2003年6月週刊東亜 388号

フュージョン感覚が引き立って見える‘日本の味’
第388号 / 2003.06.12

[文化の窓から見た料理]

フュージョン感覚が引き立って見える‘日本の味’ 蕎麦料理専門店‘スバル’のザルソバには、淡泊で香ばしい蕎麦の味がそのまま生きている.

米国やヨーロッパに行くと、日本的なことを好む人が意外に多いという事実に驚く.
日本という国や日本人を嫌う人さえも、日本文化に対しては関心を見せるのだ. シンプルでディテールを強調する日本の建築, ファッション, デザイン, 料理などに魅了された人々だ.
私も、1980年代のニューヨークで、日本料理に接した後、日本に関してまた考えるようになった.
その当時、ニューヨークで知りあったK先生は、私をこの新しい料理世界に入門させてくれた‘味の名人’だった.
彼は最も恐ろしい日はクレジットカード決済日だと話しながらも、おいしい料理を楽しむためなら、いかなる投資も惜しまない人だ.
私はK先生と共に、ニューヨークのレストランを巡礼して、彼が数多くのレストランで体験した武勇談を聞いたりした.
これは、彼が長い間のニューヨーク生活を清算して帰国した後に聞かせてくれた話だ.
日本天皇に寿司を献上した寿司の名人があった. 彼の寿司の実力は実に大変なもので、料理人たちでさえ彼の寿司を食べてみることが願いだった程だった.
何とか彼の料理を食べる機会を得た料理人たちは、寿司を頭上に掲げて尊敬の念を表した後、二つの目を閉じて用心深く寿司を食べた. 彼は“どのようにしたら、このように立派な名人になることができるのですか”という質問に、“私が立派なわけではなく、魚が立派なのですよ”と答えたという.
私は、この話を開いて、いくつかの国の人々に聞かせた.
話を聞いた人々の反応は、真に様々だ.
日本の人々は、この話を聞くと感動して、何度もとても真剣に“良い話を聞かせてくれてありがとう”と話す.
米国の人々は“おもしろい話”と笑って対話を続けさせ、ヨーロッパの人々は“日本文化と韓国文化とはどのように違うのか”と尋ねる.

色とりどりな日本風装飾品で飾られた‘スバル’内部

ところが、我国の人々はちょっと違う.
“たんなる寿司ひとつに頭を下げるだって?.
日本の人々は笑わせる”と言う人から、はなはだしきは“寿司といったところで、丸めたご飯の上に生魚を切ってのせただけじゃないか”と反問する人まである.
それなら、誰が正しいのだろうか? わたしは、どちらにも一理があり, こういうことがまさに文化の差だと考える.
我国の人々の反応は、むしろ自然なことであるだろう.
わたしたちは隣国日本をよく知っていると考えるが、実は、日本的なこととは何かをよく知らないからだ. わたしの経験に照らしてみても, ソウルや釜山で食べる日本食より、ニューヨークで味わった日本食の方がより日本的だった.

しかし、私たちの文化, 私たちの料理を世界に知らせようとするなら、日本的なこととは、なぜ韓国的なこととはどのように違うかを知らなければならない.

日本の現代建築を見ると、日本料理で感じられる感覚がそのまま生きている.
日本の有名建築家 安藤忠雄の例を見てみよう.
彼の作品では、ざらざらするコンクリートの表面とは異なる、とてもなめらかなコンクリートテクスチャーを見ることができる. あたかも、木と紙の軟らかさをコンクリート上に具現したかのように見える程だ.
一見、単純に見られるコンクリートの建物を建てるには、途方もない努力が必要だ.
なめらかな表面を作ろうとするなら、流動性を高めなければならないが, このような場合、耐久性が落ちるためだ.
完壁で美しい建物を建てるために、建築家は水とセメントの配合, 鉄筋の間隔に関してまで、無数な実験を繰り返す. この過程を経て建てられた安藤の建物は、京都, 大阪の長い間の木造建物とも自然に交わる.



私たちの近くで最も容易に出会える日本的感覚は、コンビニエンス ストアやベイスキンラビンスの緑茶アイスクリームだ.材料の特性を最大限引出しながら、異質的なことを調和させる‘フュージョン感覚’は、まさに日本的なものだ.

これらの他にも、私たちの周囲には1万ウォンを超えない範囲で(ただ一食だけを食べるなら) 日本の味を感じることができる所が多い.
城北洞 カンソク美術館前の‘ピオナ’は、花をテーマにしたフラワーカフェだ.
そこの緑茶アイスクリームは、日本的な味の精髄だ.
ソウル 城北洞のピオナ(02-741-2471)は‘フラワーカフェ’と呼ばれる, インテリアが素晴しいレストランだ.
日本料理店ではないが、そこで出される緑茶アイスクリームは、本当に日本的だ.
花びらを入れて凍らせた氷器上に盛られて出てくるこのアイスクリームは、食べる前にひたすら眺めされる程美しい.
抹茶の鮮明な緑色を視覚的に楽しみながら、アイスクリームの甘みと緑茶のあっさりした味の調和を感じよう.
緑茶アイスクリームはすこし誇張だが、日本的な味の精髄だというに値する.
あまりに遠くてそこまで行くのが難しいのならば、コンビニエンスストアでハーゲンダッツなどを買って食べてもかまわない.

弘益大前のスバル(02-338-5153)は、行く度に何を注文するか悩ませる所だ.
‘山芋付き蕎麦’を食べるか、でなければ‘鴨肉付き蕎麦’を食べるかの選択のためだ.
私が特に好きなのは、真っ白い山芋が添えられたザルソバなのであるが、そこの汁はカツオブシ(鰹を蒸して堅くしたものを薄く削った料理材料)の味が良い生きていて、特に燻製の香りが濃く感じられる.
普通のザルソバよりも高いと思う人もあるが、ベトナムのうどんと比較すると、むしろより大きい価値がある.
日本でザルソバ作りをきちんと習ってきたそこの社長が、毎日毎日直接手で限定数量だけを作りだすそこの蕎麦はとても珍味だ.

 

Tips
テクスチャー(Texture)
空間を造形するのに使われる材料は、各自独特の表現効果を出す.
なめらかさ, デコボコさ, つやつやさ, ジメジメさ などのような感じ, この類の感触をまさにテクスチャーという.



(終わり)

キム・ジェミン/国民大教授 artjj@freechal.com 発行日 : 2003 年 06月12日 (388 号)