2002年4月週刊東亜
331号
‘顔美人’は取り替えて … ‘八方美人’上昇 | ||
‘顔美人’は取り替えて … ‘八方美人’上昇 ‘可愛い娘’‘弾む娘’が脚光を浴びる時代 … ‘漫画の主人公’のような身近なイメージに代理満足を感じる "孤独だけど 悲しいけど 私は泣かない〜. ”20, 30代の女性たちの中で、この歌を知らない人があるだろうか. あたかも、この同年配の男性たちが‘気運力強い天下壮士〜’で始まる‘マジンガーZ’の主題歌を記憶しているように,‘野バラ少女 キャンディ(註:"キャンディキャンディ"’の主題歌は、新世代女性の記憶中に丹念に刻印されている. この歌に沿って、少女たちはどんなに悲しいことがあっても泣かないように努め, アンソニーやテリウスのように素敵なボーイフレンドの登場をひっそりと待ったりもしたのだ. 平凡な少女であるキャンディは、その平凡さのために、その時期の少女たちの友人であり偶像だった. ![]() まさに、‘四角い王女’ パク・ギョンリム(25)と‘明朗少女’ジャン・ナラ(21)だ. 2人は色々な面で違うが、奇妙な共通点がある. 放送3社を縦横無盡に縫っても足りずに最近CDまで出したパク・ギョンリムは、どんなによく見ても奇麗だとは言えない顔だ. しかし、パク・ギョンリムはウィットあふれる話し方と各種の猟奇的な, とはいうものの憎めない行動で、最高のスターとして君臨している. 花のようなハンサムとスキャンダルを一度は作ってやると気炎を吐くと、ドラマのなかで(‘ニューノンストップ’)最高のハンサム チョ・インソンの愛を一身に受けて結婚までした. 真摯よりも軽さを好む時代的情緒にも便乗 ジャン・ナラはどうだろう. 昨年、女性のイメージを強調して‘涙に顔を埋める’を歌った時には、彼女に注目することは別になかった. しかし、可愛くて明るい少女としてイメージを変えるやいなや、一気にスターダムに上がった. 歌手とMCを経て、演技にまで領域を拡張したジャン・ナラは、既存の美しくてセクシーな女性スターとは違い、ませてちゃっかりしていて可愛いキャラクターで自らを差別化するのに成功した. “ずば抜けた美人といっても、セックスビデオや財閥2世とのスキャンダル, 性急な結婚と離婚などのスキャンダルが絶えないのが、既存の女性芸能人の姿です. このように、似たりよったりの芸能人に食傷気味な視聴者は、相対的に純粋で清潔なイメージのジャン・ナラに容易に魅了にならざるをえないのです.” 文化評論家 イ・ドンヨン氏が話すジャン・ナラの人気秘訣だ. しかし、これだけでは説明にならない. 最近ジャン・ナラが出演しているドラマ‘明朗少女成功記’は、日本の漫画である‘花より男子’とあまりに似ていると話題になった. 純情漫画(註:少女漫画のこと)の初期に登場した主人公は、主にスマートな西欧の美人型だった. しかし、1980年代以後、純情漫画の主人公は、読者層の年齢に合わせて‘可愛い10代’に変革した. 漫画評論家 パク・インハは、批評で、‘誰がキャンディを陥れたか’で、可愛くて天真爛漫な80年代純情漫画主人公を‘キュート(Cute)型主人公’と呼ぶ. 彼によれば、80年代純情漫画に現れた‘キュート型主人公’は、90年代少年漫画まで、広範囲に広がって一つの文化現象をなした. このような脈絡で見れば、ジャン・ナラが青少年たちに容易に親近感を与える理由を理解することができる. CFと各種放送プログラムに出演しているジャン・ナラの姿は、驚いたような大きい目と丸い顔, 自由自在に変わる表情までが、隣の家の娘のような親近感の‘キュート型’それそのものだ. その上、若干そそっかしくて大それた行動まで、真に漫画的ではないだろうか. ジュ・チョルファン教授(梨花大)も、やはり‘明朗少女成功期’の成功は、‘漫画世代’の意識を代弁しているためだと話す. “‘明朗少女成功期’は、深刻で真摯なことよりは、明るくて軽いことを好む現代の意識をよく表しているドラマです. そこに加わる成功ストーリーは、常に私達の社会が渇望する主題でもあります. このように、大衆が願う要素を揃えたドラマで、ジャン・ナラが主人公チャ・ヨンスンのイメージを效果的に具現するのに成功したのです.” ジュ教授は、“芸能人が人気を博すのに最も重要なことは、個人の能力かもしれないのですが、時代の情緒も無視することが出来ません. ところが、ジャン・ナラの場合は、この2種類が同時に噛み合ったのです”と診断する. ‘可愛くないことが競争力’ …青少年の隠された気風? パク・ギョンリムの人気の秘訣は、ジャン・ナラとは若干違う. 空に向けて両手を広げて、‘ウハハ’ と笑ったり, 割れ鐘のような声で歌を歌うパク・ギョンリムの行動は、純情漫画の主人公というよりは、漫画映画‘シュレック’の猟期王女に近い. パク・ギョンリムの猟期イメージもやはり漫画マニアたちには馴染まなくない. ‘進め稲中卓球部’や‘みごとだ マサル(註:原題不明)’のように、日本漫画は90年代に入ってから重点的に慌てて猟奇的なキャラクターを登場させ始めた. 当時、日本社会は‘いじめ’が深刻な社会問題として台頭する時点だった. “‘進め稲中卓球部’のような漫画中の猟奇的な主人公たちはいじめられるわけではなく, 鬱陶しい日常に疲れている一般人を魅惑して、彼らの英雄として君臨します. 現実の矛盾を漫画特有の誇張された文法で解いてしまったようです. このような理由で、90年代漫画の美しくはないけれど挑発的なキャラクターは、読者に大人気を呼びました.” 漫画評論家 イ・ミョンソク氏の話だ. 心理学者 ファン・サンミン教授(延世大)は、“王女のようでなければならないという芸能人の典型的なイメージは既に破られた”と、パク・ギョンリムの人気の秘訣を説明する. “最近の芸能人の中で猟奇的なイメージ, 既存の典型的イメージとは異なるイメージを前面に押し出して人気を博した場合は意外に多いのです. トランスジェンダー ハリスの人気は、過去には想像出来ないことでした. リュ・スンボム, ヤン・ドングン も同じく決してハンサムではない‘チンピラ’スタイルも人気を博しています. 今は美人と芸能人の基準も、過去のような整形性を抜け出した様子です. ‘ポケモン’の主人公も、善男善女ではなく、100余人なみの平凡なキャラクターではないですか.” しかし、パク・ギョンリムの確実な人気秘訣は、青少年の‘自己同一視’にあるようだ. まず外貌が重要視される状況で、そんなに可愛いわけでも優秀でもなかったが, 代わりにウィットと瞬発力で努力する姿勢を揃えたパク・ギョンリムが ‘うまくやってのけること’自体が青少年に慰安と安堵感を与えるという話だ. ここにもっと付け足すと、パク・ギョンリムは声など、自身の弱点までも長所に転換させる‘美徳’を見せた. “事実、パク・ギョンリムが歌手になるとか, ハンサムと恋愛することは、一般的な基準とみれば不可能なことです. ところが、パク・ギョンリムは放送のなかで、そのように不可能なように見えた事を連続的にやり遂げています. そのような姿で、青少年は代理満足を感じているようです.” 放送作家 ハン・ヨンヒ氏の分析だ. 現実の矛盾を特有の誇張と文法で一気に解いてしまう漫画のように, 漫画のカタルシスに親しんでいる世代がTVでもう一つの‘似た形’スターを捜し出したことは、あまりにも当然だと見られる. “よく遊んで、よく話す芸能人の比重が大きくなる” 実際に米国でも、80年代末、黒人女学生はぼってりした女優 ウーピー・ゴールドバーグを偶像に定めた. 自分たちと似た条件を持った, しかし、成功した俳優であるウーピー・ゴールドバーグを通して、黒人女学生たちは代理満足と共に、‘私も成功できる’という自信を感じたためだ. 換言すれば、パク・ギョンリムとジャン・ナラこそは、最近の青少年の‘欲望のアイコン’であるわけだ. もちろん、最近の放送プログラムでよく遊ぶ‘全天候個人技型’芸能人が勢力を伸ばしていることは事実だ. “イ・ヨンエやキム・フィソンのように‘完壁な美人’という声を聞く芸能人は、敢えて放送で笑い者になりたくありません. しかし、パク・ギョンリムの場合は違うのです. 事実、パク・ギョンリムのウィットと瞬発力は、ついてくる人がいない水準です.” ある演芸専門記者は‘今後もTVプログラムでよく遊んでよく話す万能芸能人の出演比重はますます大きくなる’と分析した.
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