2001年3月273号 週刊東亜

非難を受けるサイトたち“私たちにも言い分がある”

第273号/2001.3.1

自殺・爆弾サイト “自殺衝動克服が本来の趣旨” “あちらこちらに警告文, 爆弾製造法も初歩水準”
さる年末までインターネットポータル業態で‘自殺クラブ’という名前の同好会を運営していたMさん(17). 彼女は、日常で起きる憂鬱なことをお互いにさらけ出して、勇気も培ってあげて、1年以上同好会活動を続けてきた. “もちろん、自殺するために作ったわけではありません. 人々を自殺に誘導するという意図は、さらさらありません.” 

事が絡まり始めたのは、昨年12月頃. TVと新聞で自殺サイト関連記事が連日ヘッドラインを飾った頃からだった. “自殺方法を教えてくれ、とか、自分が代わりに非常につらくてたまらなくなる、等、おかしなメールが来始めたのですが、そのまま無視しました. ところが、私たちのクラブと関連した事件が起きたら、わたしの責任だとサーバー業者側から通告が来ました.” 結局、運営を他の人に渡した翌日、同好会は閉鎖された. Mさんは “生きていれば、誰でも辛いことが無いでしょうか? 辛ければ辛いと、さらけ出すことができる小さい空間を作っただけなのに… 始める前には一人で苦しんでいたのに…”と、惜しんだ.

自殺サイトと爆弾サイト. 果して、これらは皆サイバー世界から追放されるのに適当な‘極悪無道な反社会的行為’なのだろうか? 

この問題が各種媒体を熱し始めたのは、昨年12月14日、江陵で自殺した大学生二人が、インターネットを通じて出会ったことが確認されてから. そうかと思えば、さる2月3日、大邱 爆発物事件を契機に、爆弾サイトに対する一斉取締りがなされて、いくつかの運営者が立件されることもあった. しかし、まさに当事者たちは、“サイトに問題があったとは思えない”としながら反論を提起している.


サイト運営者たち 司法処理を準備

警察によれば、81だった国内自殺サイト中50程は自主閉鎖して、10余は情報通信倫理委員会の勧告で閉鎖措置になった(2月15日 現在). 爆弾サイトの場合、20サイトすべてがその痕跡をなくし、そのうち、‘問題がある’と判断されたサイトの運営者6人が警察調査を受けた. 現在は、国内検索エンジンを通じてこれらのサイトに接続することは不可能になった. 警察は、自殺サイト運営者には自殺ほう助, 爆弾サイト運営者には爆発物使用煽動嫌疑を適用し、司法処理を準備している. これらは、刑法上、各々懲役1年以上10年以下, 懲役2年以上無期懲役までが可能な重大犯罪に該当する.

しかし 業者 関係者等と 運営者らは 警察のこのような取り締まりがどんぶり勘定式だと指摘する. “警察や言論によって公開された自殺サイト中の大多数の開設趣旨は、‘意志疎通を通じて自殺衝動を克服しよう’ということだったのですよ. 自殺という名前だけで問題だとみなしたことは行き過ぎではなかったかと思います.”(某ポータル業者 コミュニティ管理者).

自身の相談サイトに‘自殺房(ルーム)’を開設した精神科 専門医 イ・キルフム博士の場合も同じ. 昨年まで‘自殺’という検索語で接近が可能だったこのサイトも、既にその方法ではさがすことができなくなった. “問題がありますよ. 危機に瀕した人が助けを求めるサイトをさがすことができないということなんです. 以前に存在していた多くのサイトたちが、そのような役割を部分的に遂行していたというのが、事実ですよ. たぶん、そのようなサイトのおかげで自殺をあきらめた人の数も相当なものではないでしょうか?” 今は行く所がなくなった彼らの大部分が、‘話を聞いてくれる所’を探してさまよっているというのがイ博士の診断だ. 


“同じ内容の本は放置しておいて、何故私達だけ”

爆弾サイトの場合はどうか. 簡単な爆発物情報サイトを運営していて閉鎖された Lさん(24)は、内容を皆本や海外サイトから取ってきたことであったのに、何故問題になるのかと質問する. “外国の検索エンジンで、いくらでもさがすことができます. 翻訳サイトを通じれば、90%以上正確に韓国語で見ることができる.” 火薬類 管理技師 資格試験教材だけ取り寄せれば、より詳細な内容を知ることができるのに加え, 大邱 私製爆発物事件がインターネットと関連があるという証拠もあるわけではないという抗弁だ. そうかと思えば、爆弾サイト運営で立件された中学生 K君(15)も、調査過程で“サイトのあちらこちらに警告文を付けて置いて、爆弾製造法も概要の水準だった”としながら、純粋な‘科学的好奇心’で作ったものだという主張を展開した.

警察関係者も、このような抗弁を一部認めているが、治安を担当している自分たちとしては止むを得ないという立場だ. 警察庁サイバーテロ対応センター ヤン・グンウォン捜査チーム長は、“‘私たちは自殺しよう’と主張する場合はほとんどない. しかし、はじめは自殺防止という動機で集まったとしても、そのなかで否定的な内容が伝えられる蓋然性を無視出来ない”と説明する. 爆弾サイト関係者を直接調べたソウル警察庁サイバー犯罪捜査隊 シン・ジュファ班長は、“これらの煽動嫌疑が検察でや法院で終わりまで認定されるとは確信しないけれど、多少無理があってももう少し積極的な法適用が必要ではないか”という強行論を表明することもした.

しかし、このような警察側の主張に対して、異義を提起する声も強い. ‘民主社会のための弁護士の集い’のジョ・グァンヒ弁護士は、“問題があるとしても、適切な立法を通じて解決しなければ, 自殺幇助や爆発物煽動と同じ重罪嫌疑を適用することは‘罪刑法定主義’原則に合わない”と話す. 特に、警察が強制閉鎖権を持つべきだという意見に対しては、自由な情報流通と表現の自由を侵害しかねないというのが、彼の見解. 一方、ソウル地検 コンピュータ捜査部 ジョン・ジンソブ部長検事も、“一部からは‘より強力な規制’を求められているが、猥褻物流通等、明白な犯罪事実以外には、可能なかぎり市民-社会団体の自浄を待つことが望ましいと思う”という見解を提示した.

‘書店に置いてある火薬類関連図書と、自殺を扱う映画, 歌謡は皆そのまま置いておいて、何故インターネットだけを問題視するのか’というネチズンたちの主張と‘インターネットは、既に仮想現実でない’という警察の立場が平行線を走っている. 明らかなことは、この問題が‘沸き立つ世論’に押されて、即興的に決定するにはだいぶ重要な意味を含んでいるという事実だ.


< ファン・イルド記者 shamora@donga.com>

自殺青少年たち, 本当に自殺サイトのせいか
直接的関連性なく… 言論興味誘発報道が火種 

自殺サイト取り締まりを始めて、警察が掲げた主要理由は、‘このサイトを出入りした小-中学生の自殺が相次いでいる’ということだった. しかし、果して青少年たちは自殺サイトの影響で死を選んだのだろうか.

2月16日まで言論に報道された関連事件は、計三件. 2月6日午後、忠北 清州で服毒自殺した 中学生 L君(16), 同じ日の夜、全南 木浦のあるアパートから投身した小学生 J君(13), 2月8日午前、除草薬を飲んだ光州の中学生 S君(14)がそうだ. しかし、取材の結果, このうち、二件はインターネットとの関連を建てるには難しい事件であり、残りの一件も直接的な影響はないことが明るみになった.

L君の場合、発見された遺書で確認された、‘私の友人Sが死んだ. 義理を裏切ることが出来ない’という内容と彼が普段インターネットを楽しんでいたという家族の証言が根拠になった. これを土台に、全国の主要日刊紙は、翌日、L君の死を‘インターネット自殺’と決めつけて報道した. しかし、警察が L君のコンピュータを分析した結果、自殺関連サイトに接続したという記録は確認することができなかったし、さらに、遺書に登場する友人Sは実存人物でないことが明るみになった. 担当刑事は“今回の事件がインターネットと関連があるという証拠はどこにも ない”と断言している.

J君の事件の場合、警察は当初から自殺サイトとの連関性を捜査線上にあげなかった. 遺書でも特別な点を見つけることができないのは同じ. “当時、取材記者たちにはインターネットの‘イン’とも話したことがない”と話す担当刑事は、自殺サイトと関連があるという某言論社記者の推測報道で本当に困った、と吐露した. しかし、他の9中央日刊紙は、この報道を受けて、‘インターネット自殺’として記事化した.

S君の場合だけ、比較的連関性がある. 病院に移されて少しの間意識を回復したS君が父に、“自殺サイトで知った除草薬を農薬商から購入して飲んだ”と話したことで確認されたため. しかし、担当警察は、暴力サークルに加入しろという学校の友人たちのいじめが主な動機だと明らかにして、“‘自殺サイトに心酔して死を決定した’という一部報道は事実と違う”と話す.

これと関連し、ソウル地検 ジョン・ジンソブ部長検事は、“サイトの内容自体より、むしろ言論報道が伝播性を増幅させている”としながら、慎重さに欠ける一部言論の商業的慣行を指摘した.