256号/2000.10.26
商人たち 1匹あたり2千ウォン以上の不当利益
…
大きさ・色 似ていて、識別困難
10月11日午後、ソウル西大門区のあるショッピングセンター
水産物売り場. 20代の男性が“良い太刀魚が入ったよ”と、主婦を集めていた.
20余匹の太刀魚が並べてある棚の上には、‘済州産 銀太刀魚 一匹1万2000ウォン’と書かれた価格表が立てられていた.
その男性は、“私たちの売り場には、100%
国産太刀魚しかない”と話した. 同じ日、慶畿
イルサンのある大型ショッピングモールも、国産太刀魚だけを取扱っていた.
売り場関係者は、“鉛入り渡りがに事件以後、中国産太刀魚は輸入が中断された”と説明した.
10月12日、釜山 チャガルチ市場.
既存の市場では原産地を表す表示は、さがすのが難しい.
太刀魚を手に取ったある主婦は、“大きいし、丸々としていて、見たところ、当然国産ではないですか”と話した.
“流通物量の半分以上が日本産”
最近、全国のデパート, ショッピングセンター,
既存の市場で、太刀魚はほとんど‘国内産’として売られている.
消費者は、そう思って買って食べる. ところが、一匹で1万ウォンを超える、その太刀魚がすべて国産だろうか.
太刀魚専門家たちの見解は違う.
彼らは、“既に私たちの食卓は‘日本産太刀魚’で占領された”と話す.
消費者の手に渡る直前、日本産太刀魚が国産太刀魚に変身するということだ.
さる10月1日、日本・福岡の空中波放送であるRKBでは、日本の水産物需給と関連したプログラムが放映された.
水産物の安定的供給が脅威を受けかねないので、それに対応しようという内容だった.
ところが、このプログラムは、韓国の太刀魚を事例として挙げた.
あとは、このプログラム企画-製作業務に賛同した キム・ウンホ氏(前
日本経済新聞記者)が説明する取材内容だ.
“日本の製作陣たちと共に9月に釜山を訪問した. 韓国では、2, 3年前には太刀魚を自給自足していた.
多くの量を輸出することもした.
しかし、取材の結果、最近では事情が変わったという事実が表れた.
韓国は今、日本から絶対多数の太刀魚を輸入していて、仮に輸入が切れる場合、国内需要を充足させられない状況だ.”
キム氏は“韓国内で流通される太刀魚の半分以上が、実は日本産太刀魚”だと話した.
10月13日午前9時、釜山国際旅客ターミナル. 釜山-日本
下関を運航する旅客船 釜関フェリーが停泊していた.
記者は、その船の貨物庫に入ってみた. 15個の大型コンテナがあった.
下船責任者のノ・ボンテ氏は、“すべて、今日の午後から国内デパートと市場で流通される日本産太刀魚を積んでいる”と話した.
日本産太刀魚は、釜山国際旅客ターミナルとカムチョン港中央埠頭を通じて韓国に入って、こちらから全国に広まる.
この日一日、釜山に入った日本産太刀魚は、少なく見積もっても50tに達する.
ノ氏によれば、釜関フェリーとはまゆう号等、二隻の船が日本産太刀魚を釜山国際旅客ターミナルに運ぶのだが、最近では日曜日を除く毎日、この程度の分量の日本産太刀魚が入るらしい.
ノ氏は“一言で、莫大な量だ.
日本からこのように多くの太刀魚が輸入されるなどとは、想像も出来なかった”と話した.
太刀魚流通商人たちによれば、10月に入って、日本産太刀魚の輸入量は、国産太刀魚生産量を追い抜いた.
水産協同組合と取引する、釜山の太刀魚仲買人
イ・グンシル氏は“最近、国産太刀魚は、済州島〜南海附近で10kgボックスで一日2000ボックス程度捕れる.
しかし、日本産太刀魚は、これよりもっとたくさん輸入される.
毎日、平均2000〜3000ボックス, 多い日には7000ボックスまで入ってくる”と話した.
日本産太刀魚輸入業者の‘Y&Cインターナショナル
カンパニー社’が入手した韓国の年間太刀魚輸出入統計資料によれば、日本から輸入した冷蔵太刀魚の量は、98年
1624t、99年 6955tと、4.3倍にも伸びた. 99年、冷蔵太刀魚輸入によって、韓国が日本に払った外貨は2240万ドルに達している.
日本で漁獲後、3日で国内流通
日本産太刀魚が韓国で流通されるのにかかる時間は、3日. 例えば、1日の夕方に日本漁船が捕った太刀魚は、2日の明け方に日本の港で競売を経た後の3日午前までに釜山に届いて、3日午後くらいには、全国水産市場に陳列される.
最終流通段階までかかる時間は、済州産太刀魚に比べて、一日程度しか違いが生じない.
冷凍状態で輸入される外国産水産物とは違い、大部分の日本産太刀魚は冷蔵状態で国内に入る.
したがって、料理する場合、その味は国産と大きな違いが生じない.
また、大きさと色・形でも、日本産太刀魚は済州産太刀魚と似ている(しかし、太刀魚商人たちは、韓半島から遠く離れた太平洋で捕られる日本産太刀魚は、済州産太刀魚に比べて、目が大きくて鼻と口が短いと説明する).
全国水産物流通業社に日本産太刀魚を大量に供給している釜山の仲買人
キム某氏は、“日本産太刀魚と国産太刀魚の識別が難しいという点を利用して、日本産太刀魚を国産太刀魚だと偽って売る場合が一二度ではない”と明らかにした.
彼は、こういう事実を最近何回も確認したという.
キム氏によれば、日本産太刀魚が国産太刀魚より多く流通されているけれど、実際には市中で国産太刀魚が目につくということは、まさにこういう‘取り替え’の結果だということだ.
それなら、日本産太刀魚は、どの段階で国産に変身するか.
日本産太刀魚が海や船で密取引されて韓国漁船に渡されるような場合は、ほとんどないらしい.
鉛入り渡りがに波紋以後、遠-近海の取り締まりが大きく強化されたためだ.
税関通関をたどらないで国内に搬入される可能性も少ない.
輸入太刀魚にかかる関税率は10〜20%に過ぎず、こういう冒険を敢行する必要性が大きくないということだ.
商人たち 自重の努力の他には代案なし
キム氏は“日本産太刀魚は、消費者に売られる直前、最終小売り商によって、売り場で国産に変わる”と話した.
税関を通過した日本産太刀魚は、ボックス上に原産地を表す表示がつく.
しかし、最終販売段階でボックスをばらして、太刀魚をバラで陳列台上に上げながら、自然に原産地表示もなくなることになる.
その代わりに、原産地を表示する立て札を置くことになっているのだが、ここで不正が生じるということだ.
キム氏は、“日本産表示の代わりに、国産表示を付ける,
でなければ、太刀魚をさっと国産表示のある方に移動するだけで、あっという間に太刀魚の国籍が変わる.
これは、あまりにやさしい仕事なので、多くの商人たちがこういう誘惑を取り払うことができずにいる”と話した.
商人たちが日本産太刀魚を国産太刀魚だと偽って売る理由は、国産太刀魚の収益が多いためだ.
日本産太刀魚が7000〜8000ウォンである時、大きさが似た国産太刀魚は1万ウォン以上で売ることができる.
取り締まりがほとんどされない点も、商人を気楽にする.
税関で太刀魚の原産地操作が摘発された場合はまだない.
最近、中国産鉛入り渡りがに波紋以後、輸入水産物に対する拒否感が広がりながら、太刀魚原産地操作がもっと頻繁に起きるようだ.
キム氏は“国産太刀魚は当日皆売れるのだが、日本産太刀魚は鉛入り渡りがに事件の影響を受けて、在庫が発生する場合が多い.
新鮮さが生命の太刀魚を当日売り切ることができなければ、大きな損失をこうむることになる”と説明した.
キム氏は、中小水産物取扱店舗や既存の市場のみだけでなく、全国の相当数の大型デパート,
ショッピングモールでも
日本産太刀魚を韓国産太刀魚として売っていると明らかにした.
こういう現象は、デパートが直営する水産物売り場よりは、テナント賃貸売り場で頻繁に現れるらしい.
彼は“売り場を貸りた商人は、普通、魚販売の売上げの10〜35%を手数料としてデパート側に出さなければならない.
このように高い手数料率が、デパートでも原産地操作された太刀魚を売る原因になる”と話した.
キム氏の話に同意する太刀魚流通専門家は多い.
釜山のある日本産太刀魚輸入業者
パク某課長は“日本産太刀魚が韓国産太刀魚に変身しているということは、流通業界ではよく知られている事実”と伝えた.
キム・ウンホ氏も、“取材過程で会った韓国の太刀魚流通業者たちから‘太刀魚の原産地が日本から済州にすぐに変わる’という事実を確認することができた”と話した.
日本産太刀魚は、私達が考えるよりもはるかに多い量が国内に入っている.
そして、そのうちの相当数が国内産に変身して売られていると、関連者たちが話しているのだ.
太刀魚の原産地操作は、消費者への不当な価格負担へ帰する.
また、食品の安全性確保にも否定的影響を与えるしかない.
しかし、商人たちの自重努力以外の対案は、まだ提示されることができずにいる.
釜山税関関係者は、“表示操作の可能性は十分にある.
これを明るみにしようとするなら、太刀魚の流通経路を逆追跡し、太刀魚を海で漁獲した生産者を捜し出さなければならないのだが、この作業はぼう大で難しく、限界がある”と話した.
<ホ・マンソブ記者 mshue@donga.com>
太刀魚漁獲量、何故急減したか
海洋環境 変化・水産業界萎縮 複合
日本産太刀魚が国内に潮が満ちるように押し寄せる原因は何だろうか.
水産人は“海で太刀魚を守ることができないため”と指摘する.
最近、済州島で、太刀魚の‘きらり豊漁’があったが、国内産太刀魚が市場で占める比重はますます減る趨勢だ.
韓国では、既に、済州島近海でしか太刀魚が捕れない.
木浦等、韓半島西南海岸の漁獲量は全く落ちた.
理由は3種類に集約できる.
まず、南海岸で太刀魚の幼魚であるしらすの数が減った.
しらすは清潔な海水で活動する魚類であるから、これは、結局韓半島海洋環境の悪化を意味する.
二つ目、韓日漁業協定以後、韓国水産業界が大きく萎縮したことにともなう間接的影響を受けた.
三つ目は乱獲だ.
最近、済州島で太刀魚大豊作の消息が聞こえてきたが、釜山の太刀魚流通業者たちはむしろ“よけいなことを”と冷たい視線を送った.
実際に、この時、済州産太刀魚のボックス当たりの価格が大幅に暴落した.
ある流通業者は“韓国産太刀魚の場合、豊漁である時に価格が落ちて、その後、漁獲量が激減する悪循環が繰り返している”と話した.
日本の漁夫たちはこの点を利用して、韓国の太刀魚市場を攻略している.
日本人は以前から太刀魚を好まない. 東京では太刀魚一ボックスは5300円にしかならないが、韓国で売れば7000円の収入を上げる.
自然に日本の漁夫たちは太刀魚の主販地として韓国を選ぶようになった.
ところが、日本人は韓国に輸出する太刀魚の量を、常に一定に維持する政策を行っている.
日本 和歌山県
有田市の場合、水産業団体が太刀魚漁獲量を調節し、一日60t以上水揚げをすることができなくしている.
日本産太刀魚輸入業者のY&Cインターナショナルカンパニー社のジョ・フェイル社長は“この政策は、大きな成果を見せている”と話す.
“国内産太刀魚は、価格と需給の騰落が激しい反面、韓国に入る日本産太刀魚は価格と供給量が一定で、市場で安定的に取引される.
どちら側がより多くのお金を儲けるか.”(ジョ・サンジャン)
日本産太刀魚は、ひそかに国内太刀魚市場で、その比重を高めていっている.
済州道内の太刀魚流通業社 ジンミョン水産の
ハン・ジェイル社長は“済州島以外の全国で、日本産太刀魚が広範囲に販売されている”と話した.
その過程で、日本産太刀魚が国内産に変身するということだ.
ひどいときは、国内産太刀魚がほとんど出ない時期にも、市中で国内産太刀魚として堂々と売られるようなことまで起きる.
十中八九は国内産太刀魚と似た日本産だ.
太刀魚流通業者たちは“韓国という巨大な太刀魚消費市場を開拓した後、日本の太刀魚商売が漁夫たちに多くの所得をあげている”と話す.
太刀魚の事例は崩壊の危機に瀕した韓国水産業の一断面であるだけだ.
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