隠すべきことだとだけ知っていた性が、今は、インターネット放送というサイバー空間を通じて、茶の間と事務室等の日常的な空間で、まさに接することができる新しい成人文化として位置を占めている.
聞きなれない名前の職業だったIJ(インターネット ジョッキー,
成人専用トークショー進行者)の活動も、明確に活発になっている.
最近では、女子大生もインターネット成人放送番組に出演,
大胆なポーズで挑発的な性談論を導いている. IJの先頭走者としてネチズンの‘スター’になったチェリー
(本命 ナム・グンジヨン)に、家族の反対をかえりみずにインターネットTVに出てきて‘性を話す理由’を聞いてみた.
文・ペ・ソンア<フリーライター> 写真・チェ・ムンガプ
記者
70年代に音楽喫茶を風靡した長髪のDJ(ディスクジョッキー), 80年代にはディスコを支配した
NJ(ナイトジョッキー), そして、90年代のケーブル放送の VJ(ビデオ
ジョッキー)を言うのならば, 2000年には、IJ(インターネット
ジョッキー)がある. IJとは、果してどんな職業であるか.
夜9時. 弘大前、成人インターネット放送局 バナナTVの生放送スタジオ.
<アダムを食べちゃうぞ>というプログラムのシグナルミュージックがしばらく流れた後、‘Q’サインが出される.
軽いカメラワーキングに合せて、
エッチな雰囲気をかもし出す衣装を着たIJ
チェリーのオープニングコメントが始まる.
“皆さん, お元気ですか? あのチェリーが、今日も9時きっかりに皆様の前に出てきました.
この数日間、天気がずっと晴れていたのに、昨日,
今日と、やっと雨が降りましたね. ちょっと気持ち良いですよね?
皆さん, 休暇はどこへ行くつもりですか?
わたしは春川が良いんですけど.
涼しい渓谷や海辺はいかがでしょう….”
これと同時に、コンピュータのモニターには、スタジオで進行するチェリーの画像と共に、ユーザー(user,
TVプログラム視聴者のこと)たちのチャット ウィンドウが起動する.
一般チャットのように、丁寧な初めての挨拶があるかと思えば、‘今日もこんちはー’
‘チェリー様, バンバン行こう’を連発する上得意のファンもいる.
また、すぐ‘早く脱いでくれ’などと、心中が見透かされる‘オオカミ’たちもいる.
これら全てが有料視聴者.
“成人放送だし、また、プログラムの性格もあるから、脱ぎなさいという程度は愛きょうだと感じています.
一部ユーザーたちは、露出しない匿名性のために、下品な言葉や悪口,
時には人身攻撃までする場合も多いのですよ.
とりあえず顔を背けるしかありませんね.
わたしも人だから、放送進行に支障があることもあります.
どうにか感情を抑制して、笑顔で放送を終わらせたとたん、涙が流れることもあります.
1回や2回の体験でもないのに.その度に気に障りましたよ.
時には、あまりにひどいことを言うユーザーに対して、他のユーザーたちが一致協力して大声を張り上げることもあります.
そんな時、本当にやりがいと慰めを感じます.”
成人専用トークショーらしく.空中波やケーブル放送では出すに出せない、ほとんど下着に近い衣装を着たIJが、ユーザーたちと性を主題に露骨な‘Y談’を交わす.
この日の主題は、‘休暇で女友達と行く場所と避姙法,
そして避妊器具’. カメラもやはり、IJの体つきや特定部分だけをクローズアップする.
‘ユーザー’と、即席で1対1の対話
視聴者はコンピュータモニターで放送を見聞きする. IJはスタジオに設置されたモニターで、視聴者のチャット文字を読みながら、コメントで応酬する.
こういう方法で、1対1の対話が可能だ.
開局以後、やっと2ケ月をすこし過ぎた程度の短い期間であるのにもかかわらず、生放送の1対1の対話によって、進行者とユーザーたちの間に早くから親近感が形成され、サイバー世界で高い有名税を享受するようになったという.
このような成人放送のユーザーは、大部分が20代から30代の‘ペンティアム’
世代だ.
職業も、コンピュータに多く接している学生や会社員が相当数を占める.
男性の専有物であるかのようなここのチャットウィンドウには、平均10%程度の割合で、女性ファンが訪れることもある.
男性と違い、女性ユーザーの大多数が女性IJに好意的な方だ.
人気に比例して、チェリーに降り注ぐファンレターも相当なもので、一日平均30通程度のe-mailを受けとるかと思えば、直接放送局に尋ねてくるファンも少なくない.
このくらいになれば、IJという職業はインターネット成人放送の花であり、スターだ.
一回はチェリーが風邪のために放送を休むと、心配したファンたちが漢方薬とマルチーズの子犬,
彼女の顔を彫りこんだ時計などのお見舞いの贈り物を続々と送ってきた.
普段でも、ファンたちがチキンやトッポギ(註:棒状の餅をスライスしたものを甘辛ソースでいためたもの)などの間食を配達で贈ってくれる.
33-23-34, 170cm, 47kgのすらりとした体つきに、K大 産業デザイン科97学番であるチェリーは、大学1学年の時からウェディングドレスと水着モデル,
そしてナレーターモデル等で活動してきた.
そうこうしているうちに、知っているイベント会社職員が、周囲にIJができそうな友人がもし居たら紹介を頼んできたところ、むしろ“私が一度してみたい”と、積極的に出てオーディションに応募することになった.
500対1という、激しい競争率を突破して当選したのが、さる3月.
バナナTVが正式に開局したのが6月であるので、まだ経歴が浅いニューフェースIJだ.
さらに、わが国では前例がない新しい職業であるので、まだ全てのものがみな難しく感じられる.
“成人放送局自らの歴史が短いために、報酬や待遇はもちろん, IJの役割もまた
、正しく確立されていません.
どの分野でも、初めてやることには難しさがあるものでしょう. IJを見る世間の見方も、それほど良いほうではありませんよ.
明らかなのは、IJという職業は、ルームサロンのような所のサービスとは厳格に違うということです.
その差を区別できなければ、成人放送に正しく接することができないでしょう.
IJも、自らの必要によって生まれたのです.
表にあらわすことができる性が、より一層健康なのだと考えます.
性を無条件にタブー視したら、その社会が断固として偉大になるんでしょうか?
性に対する好奇心がないとは言えないでしょう.”
彼女は明確な意見を持っているが、彼女もまた家族の反対とボーイフレンドの訣別宣言,
また、学校の友人たちの冷笑と世人の屈折した物の見方に、どうしようもなく心に深い傷を負ったという.
そのような過程で、自らも初めの自信満々だった態度とは違い、多少消極的な姿勢に変わるしかなかったということを認めている.
特に母親をはじめとする家族に関して話す時は、生放送5分前と、メーキャップを完成した状態なのもかまわずにとめどなく涙を落とした.
“よりによって、私について正しく取材もしない、誇張され歪曲された新聞記事を母が読みました.
生まれてから、そんなに厳しく叱りつけられたのは、その
時が初めてでした. 叔母もすぐに駆けつけました.
それ以後、家の中に頭痛の種ができたのはもちろんで、母の溜息がない日がありません.
私をとても可愛がってくれて、花婿候補を物色中だった叔母も失望が大きかったようです.
大学にまでやって、卒業したら、デザインと関連した職場について、おとなしく嫁入りするはずだったのが、こういう方法で期待を裏切ることになってしまいました.
本当に申し訳ないという言葉以外には、何も言葉がありません.
ここが韓国でなければ、と願う程です。
このような、悪い娘にされてしまうなんて、わかりませんでした.”
彼女は小学校の時期から水中バレエと韓国舞踊,
そしてクラシックバレエと美術等、芸術分野で才能を見せた.
衣類の事業をする父母も、才知が多くて可愛い一人娘に対する支援を惜しまなかった.
裕福な家庭環境のおかげで、家族からの叱責はより一層荒々しい.
誰がお金を稼げと言ったか、すぐに打ち切れという家族の怒鳴り声が続く.
しかし、チェリーには幼いころから芸能界に対する熱望があった.
TVトークショーの有名な女性MCなどを見て、放送に対する夢を培ったという.
自身の夢に迫るのに、敷石になるだろうと感じてIJの道に直ちに飛び込んだのが事実だが、長くはない時間で悟ることができた.
敷石はおろか、道はより一層遠ざかるばかりだということを.
“誰も行ってたことのない荒地を開拓するのは、誰でも大変なことでしょう.
今、私をはじめとして、同僚IJたちが体験する試行錯誤が、時間が経つほど少なくなればと願っています.
IJという職業に関しても、また考えることができる機会を持てば、とも.
真のIJならば、美貌やスタイルはもちろん、性に関する知識も揃えるべきです.
透徹な職業意識も、必ずもたなければなりません.
性がこれ以上恥ずかしくなく、私たちの生活と文化の自然な一部分として存在する日が早くくればいいですね.
そうなれば、私のような人が愛する家族を苦痛にさせるようなことはなくなるのでは?
苦しくてやめたかった時が 1・2
回でなかったのですが、今放棄すれば、むしろ汚名を認めているようで、それはできません.
私は引き受けた場で一生懸命にするだけです.”
成人放送には、IJだけがあるのてはない.
性に関する直接的な情報と知識が含まれたサイトもあり、性関連商品を販売するショッピングサイトもある.
その中には、多分に末梢的な好奇心を商業的に刺激するサイトも必要悪として存在する.
この日、ある放送社の時事プログラム取材陣も彼女を訪ねて、IJとインターネット放送に対する一般人の関心がますます大きくなっているということを実感できた.
チェリーはまた、IJに対する認識変化の必要性を説明しなければならなかったが、まだどれくらい多くの人が彼女の言葉に心から共感するのかがわからない.
しかし、急激に変化する社会の雰囲気のように、IJの位相も早い時期に変わるはずだという点は明らかなように見えた.
'名門女子大 出身 IJ' チェ・ウンソの 10日天下波紋
さる6月、あるスポーツ新聞を通じて世間に知られることになったインターネット成人放送局バナナTVのIJ
チェ・ウンソ(本命 チェ・ジナ)が、10日間インターネットとオフラインを行来して最上の人気を享受している途中で、突然放送を中断した.
すぐに空中派放送の人気プログラムに出演しても遜色がない程の容貌と端正な話し方,
そしてソウル女子高と梨花女子大で韓国舞踊を専攻したという、最高の条件と資格のために、ネチズン達の間で熱い関心を集めたチェさんがそのように姿を隠したことは、家族とボーイフレンドの引止め,
そして同窓たちの荒々しい非難が大きな理由として作用したことが知らされた.
舞踊学院講師とナレーターモデルを兼ねていた彼女は、あるモデルエージェンシーを通じてバナナTVの関係者にスカウトされて開局と同時にIJとしての活動を始めた.
客観的な条件と資格も非の打ちどころがなかったが、出身学校と名前のような、私的な部分を敢えて隠さないという堂々とした態度も、やはりバナナTVの関係者に大きくアピールしたという.
露出の程度
最大限小さくして、ビキニ程度に終わって、それも、ゲストIJとしてだけ出演しただけだったが、近辺をはじめとして、社会全体に呼び起こした影響の強度は、当初の予想をはるかに超えていた.
彼女のIJ活動をはじめから終わりまで見守っていた関係者の比喩によれば、‘すっかり忘れていた小学校の時の友達が連絡をしてきた程’だったとのこと.
普段は父母に心配や失望をさせたことがなかったことから、両親は‘よくできた娘’に暗黙的な許諾と信頼を送っていたが、新聞を通じてチェさんの‘新しい職業’について、詳細に知ることになった母親がバナナTVを訪ねて相談を要請することもあった.
同時に、結婚を前提に交際してきた恋人がショックで入院をしてしまい、ミッションスクールのチェさんの母校から抗議の電話が鳴り響くと、率直で嘘のつけなかったチェさんが、一度に降り注ぐ関心と非難を耐えられなかったというのが、当時近かった人々の説明だ.
新しく生まれた職業に対して先入観を持たずに最善を尽くそうとしていたチェさんの姿勢と努力は知らされたが、結局、10日間の天下だけを残したまま消えた.
そして、彼女の美貌と才能に注視した空中派TVが粘り強く渉外を推進したという説があるかと思えば、また成人放送界に復帰する可能性もあるという等、彼女がどんな決定を下すかは、まだ誰もわからない状態だ.
彼女のIJ出演中断波紋が、性に対する私達の社会の固定観念とIJの位相に対して、もう一度考えてみることができる機会にならないだろうか.
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参考:バナナTVへのリンク
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