98年10月
女性東亜
追放恐怖, 主婦憂鬱症, セックスレス … 共稼ぎ主婦のストレスパターン&楽しく暮らすための14の方法 |
文: 朴ウンギョン(フリーライター) -------------------------------------------------------------------------- ■追放恐怖症 男女を問わず、最近は会社員ならば誰でもとらわれずにはいられない、追放に対する恐れと不安感. しかし、共稼ぎ主婦たちが皮膚で直接感じる追放の危機感は、言葉そのままに凄じい恐怖として迫っている. ‘共稼ぎ主婦は整理解雇の第1順位’という認識が自分も含めて、いつのまにか社会全般に広まっているためだ. これによって、最近の職場内には ‘IMF処女’という新種軍団が登場した. 既婚女性なのに、整理解雇を避けるために未婚のふりをして通い続ける女性会社員のことだ. “どれほど苦しめば、他の人々の目につかないように結婚指輪まではずして通うことになるでしょうか”と訴える会社員 趙ユジョンさん(32). また、服装から化粧に至るまで、可能な限り‘アジュマ’色をあまり出さないために、変身にあらゆる努力をする既婚女性会社員も少なくないということを趙さんは耳打ちした. 事情がこんな感じだと‘子供が病気で…’‘家に急な用事ができて…’という話は上司に切り出せない. 解雇のきっかけを与えないためだ. 共稼ぎ主婦だという理由一つだけで、あたかも罪人になったかのように、人の顔色をうかがって戦々恐々としなければならない既婚女性会社員の追放恐怖症は、そのためのストレスが深刻な水準にある. ■主婦憂鬱症 クァンヘ病院 神経精神科 専門医 シン・スンチョル博士によれば、最近 1ケ月に10余名の共稼ぎ主婦が、各種ストレスを訴えて病院を訪れたという. 職場では誰よりも深刻に解雇不安に苦しめられながら、家事分担と育児は相変らず妻の役割として残されている、私たちの社会の現実, その上、IMF 以後いらだちと愚痴がより一層頻繁になった夫の鬱憤晴らしの相手までしなければならない等、共稼ぎ主婦が体験する苦痛は二重三重に重くなったためだ. 目の前に迎えた現実がこのようだ、と、共稼ぎ主婦患者の大部分が憂鬱症や火病(註:鬱火病の略.強い悲しみや憤りから起きる)で病院を訪れるとシン博士は指摘する. “心の中では、今すぐにでも会社を放棄したいけれど、夫の収入が非常に減った状態だと、そんなに容易ではない”と さらけ出す共稼ぎ主婦 李ヒャンミさん(35). IMF 以後、共稼ぎ主婦の憂鬱症を加速化した主犯として浮上したことは、最近、多くの夫たちが共通して見せる態度のため. すなわち, 会社で受ける自分のストレスを解くために、家族を相手に鬱憤を吐き出す現象がめだつように現れているということだ. “この頃、ストレスをよりたくさん受けるのは、むしろ共稼ぎ主婦だ. ところが、そのような妻を理解するどころか、家に帰るのが怖くなるほど、ありったけの愚痴をぶちまける夫を見れば、今すぐにでも離婚したいという気持ちが切実だ”と告白する金ソンヒさん(29). 金さんは “このような時代に、まだ別れもせずに共稼ぎをする妻がいるという事実だけでも夫にはありがたく思ってほしい”と強調する. ■セックスレス症候群 IMFによって‘萎えた男性’が爆発的に増加した一方、一時的不感症に苦しめられる女性も少なくないことが明らかになった. 特に、夫婦共に極度の緊張感の中で職場生活をしている共稼ぎ夫婦の場合、どちらも性欲が全く生じないセックスレス症候群に陥った例が多い. “どちらか片方が性的に嵩じれば、やむなく行為をするが、どちらもその気にならない日が多い”と告白する会社員 朴ジュヨンさん(30). 朴さんは、最近の数ケ月間、夫と寝床を共にした回数が五指で数えられる程度だという. また、別の共稼ぎ主婦 尹ミギョンさん(31)は“お互い疲れているから、できれば相手の神経に触らないように人の顔色をうかがう時が多い. そのせいか、性的欲求や行為も連動して萎縮しているようです”と話す. しかし、専門家は “セックスレス症候群が夫婦間のより深刻なトラブルに発展しないために、より一層お互いの誠実さと努力が必要とされる時期”だと指摘する. また、敢えて性器挿入が気乗りしないのならば、軽い愛情表現やスキンシップ程度は頻繁にして、夫婦間の親しみを維持できると強調する. “難しい時であるほど、夫婦間の紐帯や親しみの厚さで困難な生活を解決することができるのだが、そのために最も良い方法が愛情を込めた身体接触だ”とシン博士はいう. ■妊娠・出産忌避症 近頃、妊娠や出産は共稼ぎ主婦にとっては‘自殺点’をゴールに入れる行為と違わないという認識が公然と広がっている. どうにかしてひとりでも多くの職員を減らしたい会社の立場で考えれば、妊娠しても、出産休暇の後まで席の保証を受けることはほとんど不可能なことだと容易に察することができるためだ. こういう危機感が共稼ぎ夫婦間に妊娠・出産忌避症を拡散させている. これを反証するように、男性避妊器具コンドームを製造する、ある製薬会社が出した調査結果によれば、IMF寒波以後、コンドームの販売量が2倍程増えたという. 妻は会社内で自身の席を死守するために, 夫は妻の経済力を守るために共稼ぎ夫婦が繰り広げる、妊娠予防努力は実に涙ぐましい境地にある. “以前は生理周期を基に、夫と寝床を持った. ところが、こういう方法は安全な避姙法ではないために不安でした”と答える共稼ぎ主婦 金ヘジンさん(29). やむをえず、金さんは最近病院を訪ねて、からだの中に避妊器具を入れる手術を受けたという. また、別の共稼ぎ主婦のソ・ミンスクさん(32)は“ひょっとしたら、夫が膣の中で射精をしないかと神経を尖らせて、興奮をそれほど感じることができない”とさらけ出す. それだけでなく‘IMF 堕胎’が問題になったことは、既に遠い以前のことだ. 難しくなった経済事情で、堕胎をする場合も多いが、妊娠・出産による追放恐怖から抜け出すために、共稼ぎ夫婦が窮余の策として堕胎を選択する場合も少なくないためだ. ■親と同居増加 最近、ある結婚情報会社が首都圏地域の男女各 1千名を対象に‘IMF 以前・以後の結婚意識’を比較・調査・分析した結果によれば、‘舅姑との同居を願う’という女性がIMF以前比較すると、2倍以上に増えたという. 同居を希望した応答者中 90%が‘経済難’を理由として前面に押し出して、‘育児問題が解決する時までの時限付き同居をする’と応答した人も少なくないことが表れている. このような趨勢を反映するかのように、以前、婚家から分家して住んでいた共稼ぎ夫婦が、また婚家に入っていく現象が明確に増加している. “二人で稼いだとしても、実質所得に直せば、IMF 以前のひとり分しかない. すぐに生活規模を半分に減らさなければならない場面で、子供をどうして他人の手に任せられるでしょうか. やむをえず、何日か前、婚家に引越ししました”と話す、共稼ぎ主婦 李ジンヒさん(32). 最近、婚家に根拠地を移した、別の共稼ぎ主婦 金ドヨンさん(34)は“子供を舅姑様に任せられるために、職場にいる間、家の仕事に気を遣わなくてもいいので良いようだ. また、生活を共にするので、別にかかっていた生活費もあまり出ていかない”と話す. 舅姑と共に生活する不便さを甘受してでも、家事や育児で若干は楽になり、職場生活に専念したいというのが、追放恐怖を感じている共稼ぎ主婦たちの心情だ. ■ピンクカラー増加 IMF 以前にも、既婚女性中の多くが‘自己実現のために’あるいは‘能力発揮のために’という理由で社会生活に飛び込んだ. しかし、IMF 寒波以後、大部分の既婚女性が‘経済的理由’を前面に押し出して共稼ぎをしている. そのため、最近報告書を出した三星経済研究所は、順次‘ピンクカラー’が増える展望だと明らかにした. ピンクカラーは、自己実現やキャリアを積むことよりも、生計維持のために仕事をする女性, 特に結婚した主婦を称する言葉だ. 元来、ピンクカラーとは、1970年代の米国で性別によって職業に対する分析を試み、秘書職や店員等、専門技術が必要でなく、低賃金と単純技能職に従事する女性勤労者を指す意味で使われた. これは、男子のブルーカラーに該当する言葉で、単純技能職従事者を指したピンクカラーが、以後、生計の責任を負う主婦たち全体を指し示す用語として通用している. IMF 以後、狭い働き口を求めて、多くの主婦たちが自身の学歴や適性, 能力などを全く考慮しないまま、家政婦, 日雇い, 店員, 果ては遊興業にまで飛込んで、ピンクカラーの増加と共に、高学歴既婚女性のピンクカラー化も進んでいる実情だ. ■男性育児休職者 増加 IMF 以後、各企業は職員に支払う賃金を減らすために、緊急に無給休暇などの対策を用意した. そのうちの一つとして登場したものが、まさに男性育児休職制だ. IMF 以前にも、男性育児休職制があったが、申請する人が一人もいない状態だったため、有名無実だった制度に過ぎなかった. しかし、整理解雇の代わりとして、企業側は男性育児休職制を積極的に導入し、共稼ぎ夫を中心に育児休職を申請する事例が明確に増加した. “育児休職が整理解雇させられることより、ずっとましだという気がして、一年間休職届けを出した”という会社員 チョン・ヒョンウクさん(36). チョンさんは“それでも妻が稼いでいるので幸運”という表情だ. また、別の会社員 金ソクヒョンさん(37)は、チョンさんより肯定的な姿勢で育児休職を志願したケース. “同僚間で誰かが死んで誰かが生き残る解雇よりも、不利益を少しずつ分け合う方が望ましい方法のようだ. そのような意味で育児休職を選択したが、子供を自分の手で直接育ててみるのも、男性として貴重な経験になる”と金さんは言う. 手の付けられないほど難しい時代を迎えて、個々人が重い荷物を肩に担いで生きなければならない状態だが、いまだに‘妻は家の内にいる, 夫は会社にいる’という固定観念が社会を支配する、私たちの現実で、特に共稼ぎ主婦が耐えなければならない苦痛はどの誰よりも大きいのが事実だ. これらの困難を最も近くうけとめるべき人は、まさに夫だが、男もやはりこの頃は社会で受けるストレスが少なくない. そのため、共稼ぎ夫婦が体験する拮抗した緊張感が、時には家庭を崩壊させる不幸を招きかねない. “したがって、いつでも夫婦二人が一 チームとして固く結束して、お互い協調的な姿勢で家庭をつくる必要がある”と女性学 講師ですあり、幸福説戒師の呉スクヒ氏は話す. 呉氏はまた、“夫は夫らしく, 妻は妻らしく、という性別役割分担の固定観念にしばられたまま生活すれば、夫婦がお互いに不幸を呼ぶだけ”だと付け加える. 家族と性相談所 柳キョンヒ 事務局長は、“共稼ぎ夫婦は各家庭の状態に合うように、夫と妻が適切な役割分担のモデルを作って、これを調節して行く融通性を発揮しなければならない. そのためには、妻と夫が共に相手を配慮して尊重するという土台の上で、変化する条件を機敏に活用する一方、積極的にストレスを解消していく楽観的な姿勢が重要な時”と強調する. 共稼ぎ夫婦 成功生活 |