99年8月
女性東亜
性経験を率直にさらけ出した、大衆文化評論家 キム・ジリョン |
"この土地の男の99%は、私と似た '低質'です" □文・ケ・スミ記者 --------------------------------------------------------------------- ![]() キム・ジリョン氏(36)がためらいなく自らを裸にして語った. 最近編集して出したエッセー集 <私は率直に生きたい>で彼は、読む人がはっと驚く程に‘放蕩だった’自身の性経験をあからさまに告白している. 初めのうちは、彼も‘自身の行跡をさらけだす’つもりは全くなかったという. そのまま‘おじさんが女子高生にお小遣いを与えながら交わる’日本の援助交際を中心に、性文化に関する話を解き明かそうとした. ところが、行き詰まってしまった. 男という‘動物(?)’とはいかなるもので, そしてどう育つのか、その過程を省略して‘性文化’について正しく文章を書くのが難しかったということだ. 彼が何故二十歳の時に売春婦村に行ったのか、その時の感じがどんなものであったかから、まず始めた. 文を書きながら、彼は繰り返し自己に確かめ合ったという. 非難される覚悟をしなければならない. 無条件率直になろう. だが、それは容易なことではなかった. “周囲は私に家庭破綻させたいのかと尋ねるのですが, 妻は既に知っていた内容なんです. ほんとうに心配したことは、私がとても模範的な人間だと思っている、私のお母さんが気絶でもなさらないか(註:韓国では他人に自分の父母のことを話す時も父母を目上として敬語を使う)ということですよ. 岳父, 岳母様は、またどう思われるか…、だけど、心配を潔くぬぐい去ることにしました. 自身が経験したこと, 悩んだことを話さないで、どうして真実の解答を引き出すことができますか?” 彼の‘紊乱な’ 性経験は日本で体験したことを中心に、赤裸々に書かれている. 大学を卒業して、ある大企業で仕事をした彼は、1992年、二十八歳の年齢で日本留学の途に発った. 慶応大学で経営学を専攻したが、勉強よりは‘別事’により没頭したという. 日本最大の歓楽街 新宿にある、いわゆる‘風俗業’に足繁く通ったということだ. 裸体ショーをするライブショー場(註:ストリップ), 性器マッサージ(?)をするのぞき部屋, 他の人たちが見ている前で性行為をするピンクサロンに至るまで. 電話部屋サービス(註:テレクラ)でセックス パートナーを探して、初めて会った人妻とラブ ホテルに直行することもした. ところが、それが私たちの性文化と何の関連があるというのだろうか. 友人たちと酒の席で騒ぐ武勇談(?)の一種ではないだろうか. 彼は、韓国の男たちの大部分が自分と似た‘低質’であることを明らかにすることが目的であるという. そのような性行為を恣行することは、私たちの性文化の現住所であるということだ. ------------------------------------------------------------------ 日本のライブショー場をぎっしり埋める韓国のおじさんたち ------------------------------------------------------------------ “程度の差はあっても、韓国の男の99%が私のような ‘前歴’があるものです.” 日本で初めてライブショー場を訪ねた時、彼は衝撃を受けたという. ‘あまりにも淫らな’ショーが終わった後、観客を注意深く見たら, 彼らが全員韓国人だったということだ. 観光ガイドをしながら生活費を稼いだ彼は、その影響に ‘ホルダック(註:韓国語で「むき出し」)ショー’という韓国語の名前までついたライブショー場に韓国人男性を案内しながら収入を得ることもした. 上品な韓国人の客に対する通訳ガイドの仕事を得た時も同じであった. 暇さえあればセックスに関する情報を聞こうと目を輝かせる韓国のおじさんたちを見ながら、彼の心にも疑問が頭を持ち上げた. 元来、男という動物はこういうものなのか. でなければ、‘男という名前の病気’なのだろうか. “男が反省するべきだが、一方では、免罪符を与えてもいいのではと考えます. 私達の社会がそのように育てたことであるのですから. 性を正しく理解して楽しむことができる能力がないから、むしろ可哀相な人々なのではないでしょうか?” 大学に入った時、彼は‘初めての経験’をした. 龍山の私娼街であった. だが、思春期の時期から彼がいだいていた幻想はもろくも崩れた. 淫らな映画で見たこととは違い、たいして興奮しなかったし、オルガスムというものも感じることができなかった. 大学4年の時、女友達と初めて関係を持ったが、やはり満足ではなかった. 世の中には‘名器’が存在するというが, 名器に出会えば、真の快楽を感じることができるのだろうか. その後、彼の長い女性遍歴が始まったという. しかし、数多くの女性をたどった後に彼が下ろした結論は、‘骨と共に燃える夜’はないということだった. そうこうしながら三十歳から5年暮らしながら、多くの在日僑胞女性と交わりながら性に対する考えが完全に変わった. 彼女たちは自身の欲求を具体的に話しながら、‘正しいセックス’とは何かを彼に教えた. 彼は‘発散としての性’と‘コミュニケーションとしての性’の非常に大きな差を悟った. 発散としての性は, 勃起して刺激を受ければ射精する、単純な生理作用としての性行為だ. 自慰も売春も夫婦関係も大差ない. だが、‘コミュニケーションとしての性’は、相手と共感を感じることだ. 愛する相手と共感を感じながら性行為をすれば、快楽の極致を味わうことができる. 彼の最も大きな問題は、相互交流を知らないまま、一方的なセックスをしてきたということだった. ------------------------------------------------------- 性は‘共に交わす’こと ------------------------------------------------------- この他にも、彼は‘私達の社会の歪曲された性文化’をことごとく唾棄した. ベッドでも‘男性の優越’を証明しようとする家父長制, 純潔と童貞を各々‘守ること’と‘離してしまうこと’に区分される、これまでの性規範, 本当にしたい時でも結婚前には絶対にだめだと口うるさく言いながら, 欲求がない時でも結婚をしたなら、必ずセックスをしてこそ正常な夫婦だと強要する硬直した社会風土などなど. これらに対して、彼は手厳しく批判するかと思えば、頼むからあまり笑わせるなと冷笑を送ることも. “おじさんたちが私の本を卑しい話と知って読んだかどうかはわかりませんが. おじさんたちから抗議の電話をたくさん貰いたいですね. 非難を受けた分だけ、反響が大きいことだと考えて気分が良いでしょう.” キム・ジリョン氏は比較的余裕を持って応戦態勢を整えて読者たちの反応を待っている. -------------------------------------------------------------------------- Copyright(c) 1999 All rights Reserved. E-mail: newsroom@donga.com |