"マルチ オルガスムスを ご存じですか"
□文・カン・ウナ(フリーライター)
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タレント ソ・ガプスク(39)は、最近、自身のセックス体験談を収めた本<私も時にはポルノグラフィーの主人公になりたい>を編集して出した. 11名の男性と経験したセックスを率直に明らかにした内容で、初恋の追憶から学校の先輩との初めてのセックス, 結婚にかこつけて弄ばれた経験, 二回の同性愛, タレント ノ・ヨングクとの結婚生活, お金を前提とした妻帯者との愛,
現在愛して いる男性と繰り広げた9時間の情事, 一人の男性と二人の女性が共にする衝撃的なセックス体験談等に至るまで、当惑するほど赤裸々な経験を率直にさらけ出した.
“昨年秋、いくつかの雑誌とのインタビュー記事によって、一部事実が拡大解析されて、私がレズビアンやセックス至上主義者などと歪曲されたことに対して、はじめから終わりまでの全体を明らかにする必要を感じました. また、私の愛と性に関する体験談を通じて愛を始めた人, 進行中の人, 失敗した人々に、肉体的愛と精神的愛は全く同じく均衡を成し遂げるべきだということを效果的に伝達するために、セックスと性器と感情などの表現においては非常に率直で赤裸々に明らかにしました.”
彼女は、人間の生活の質を高揚させるための次元で、より一層具体的で現実的で公開的な性談論が議論される必要があると主張する. それで、ラジオやTVの深夜放送で愛とセックスに関する具体的で深みのある相談プログラムも作られなければならないと力説して、性の伝導師的役割を精一杯自任した.
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わたしの年齢 三十八に
セックスの本物の楽しみを知った
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彼女は、昨年秋、文化芸術人のある親睦の集いで偶然に会ったMという男性と深い愛に陥ったと告白する. 彼は建築デザイン系統の仕事をする、二歳年下の独身男で、中年の余裕の中に青年のような強さを出したり、子供のような天真さといたずらな可愛気も合わせもった、本当にきのおけない男性だという.
“彼に会って、精神と肉体の愛はひとつだということを知ることになりました. お互いを非常に愛すけれど、今は二つとも結婚に対する未練や執着はないですよ. どんな約束でも、書類上で認証された関係よりは、真実の心から綴った愛自体が重要でしょう. ひとりとの安定した愛のために結婚を選ぶというけど, その‘安定’は、いつでも割られる準備ができているガラス瓶にすぎないと考えます. 現在のわたしの姿を不断に育てて、その姿で愛してくれる男性に会えばいいのですよ. もちろん、いつか心が変わって、結婚することになるかもしれないけれど、とにかく愛において重要なことは‘結婚’という制度でなく、お互いがお互いに絶えず魅力を感じるようになるように努力する姿勢だ思います.”
彼女はMとの新しい愛を通じて‘セックスは霊魂と肉体の結合’だという真理を確認し、セックスに対して本格的に研究するようになったという. セックス関連専門書籍とビデオなどを求めて見ながら、自身のからだとセックスに対する無知と偏見を拭い去り、色々な訓練を通じて、新しいオルガスムスの世界を直接経験するようになった. その後、見違えるほどに顔と皮膚がきれいになって、生に活気が戻ってきたと彼女は話す.
愛する人とたっぷり9時間の情事を交わした後にも、全く疲れをしらずに全身に充満したエネルギーに包まれて、一晩中対話をすることができる程のマルチオルガスムスも経験したとのこと.
“健康だが、危険でない限度内で多様なエロチシズムを開発したいですよ. 愛する人間で、お互いを深く信頼する状態で交わす、いろいろ特別な行為は絶対に変態ではなく、エロチシズムの一表現です. いろいろ研究して開発するべきことであって、無条件に‘変態’だとタブー視することは出来ないと考えます. 人の肛門は菊の花びらのようなかたちですが、 いつかはわたしの肛門に黄色い野菊一輪をさして愛するときの反応を見てみたくもあります.”
“マルチオルガスムスとは、オルガスムスが一度で終わるのではなく、なんども反復しながら持続的な快感を感じるようになりますよ. 細胞の一つ一つが敏感になって、指先がかすめても、全身が性感帯に変わります. からだ全体に広がり、持続的で反復的な恍惚感の絶頂が脊椎と脳, などと手脚等、からだのあらゆる身体組織と神経のあちこちで感じられることです. あたかも自分のからだが遠くの宇宙空間中に浮遊する微細な粒子の状態というか、宇宙それ自体のような感じの中に、鳥の鳴き声または猫の鳴き声のような声がからだの中の深い所から出てき始めますよ. わたしのからだの深い所で、地震のような大爆発が起きて、全身がちりぢりに散在して、わたしがなくなっているような感じが持続します.”
彼女の経験によれば、マルチオルガスムスを体得した以後は、単純にセックスをする時にだけ快感を感じるのではなく、日常生活でも、そのエネルギーが生にあふれる健康な生活を送ることができるという.
彼女がセックスに対する肯定的な関心で、腹式呼吸及びPC筋肉訓練と歩行訓練をし終えた後に交わしたMとの情事で、膣の様子と状態が変わることを相手はもちろん, 本人自らも明確に感じることができた. 自分のからだを粘り強く開発することで幸福な愛を交わすことができるということだ. 自身の下腹部に対して無知な態度で一貫せず、新しく率直な見解で几帳面に注意深くみようというのが彼女の主張だ.
“難しくても性に対して勉強して訓練しなければならないのです. 結婚してアジュマ(註:おばさん)になって、女性としての魅力をあきらめて、そんなに‘常識’を全面に出して刀を振り回すようなことはしたくないです. 常識も良いけれど、愛らしいことのほうがより良いでしょう. 男性が年を召せば重厚な良い姿になる様に、女性もそのようにできます. からだのいろいろな筋肉, 特に膣筋肉を弾力あるように作る運動を着実にすれば、顔もかわいくなってぜい肉もとれてスタイルも美しくなりますよ.”
彼女はまた、女性のマスターベーションについても、破格的な主張と経験談を付け加える. 1950年代のキンゼー報告によれば、男性の92%, 女性の62%が自慰行為をすると明らかになっている. それから40余年が過ぎた、最近はその数値が増えたのではないかというのが、彼女の考えだ. 太ももを針で刺して‘耐えなければいけない’式で無理に性欲を抑制するよりは、自慰行為を積極的に活用しなければならないと主張する.
“21世紀現代社会に生きながら、中世時代の定規で性を見てはいけません. マスターベーションを通じて自身の性感帯がどこなのかという、オルガスムスに達する効果的な刺激法を知ることができて、性欲を調節する力も生じて、ストレス及び緊張排出にも役立ちますよ. 愛する相手に喜びを与えることができて、私も満足でありうる方法を捜し出すためにも、自慰行為は必要です. わたし自身も、時々マスターベーションをしましたよ. 顔マッサージ器やバイブレーターを使う場合もありました. 女子高の時、偶然に性器周辺を撫でると気分が良くなるということを初めて知って、その後関心がなくなりましたが, 最近、自慰もまた一つのセックスだと思いますし、衝動が生じた時はすぐにできて便利です. 動物や近親者とのセックスなどの禁忌事項やファンタスティックな話を想像して気分を高めさせます. ポルノビデオの内容を記憶してみることも. 何よりも、愛する人との良かった瞬間を思い起こせばすぐに熱くなって、容易にオルガスムスを感じるようになります. 想像はそのまま実在だというのが、私が考える愛の公式の中のひとつです.”
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人生の新しい出発を準備する
前夫 ノ・ヨングクに対して
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左手をズボンポケットに突っ込んで、首を6時10分方向に傾けたまま歩く、頑丈な肩とバランスが取れた体つきで、男性の堂々としている様を見せる男性, 正面からささる視線と野性的な眼で 10余年 前 二十六だったソ・ガプスクを新たにしたその男性は、まさに三十八の独身男ノ・ヨングクだった.
<ティータイムの情事>という演劇公演の相手役で初めて会った彼とは、12年の年齢の差を乗り越えて公演稽古中の9日間の密会に続く超スピード結婚式を挙げて、あまりにも仲が良いおしどり夫婦だと芸能界に噂されていた.
しかし、実家の父が肝臓ガン末期だという死刑宣告を受け、病院治療費による借金と夫のレコード制作による借金が積み重なる経済的な苦痛の中で、父の死による衝撃とあらゆる仕事を投げうって実家の父の病気にだけ全的に献身するかのような息子の嫁を不満気に眺める嫁家の人々から受けた心の傷が結婚生活に対する懐疑を生んで、押さえつけられていた自我を探してみたいという熱望が爆発してしまった.
1年間の別居生活を送りながら, 誰が誰のために犧牲になるのかと考えると、より深い傷を予防するために下した結論が、10年間の結婚生活を締め切ることだった.
ソ・ガプスクが考える彼の前 夫 ノ・ヨングクという男性は、とても立派で悪くない男性だった. 良い演技者、歌手になりたい夢を失わない男性で、いつも妻に称賛を惜しまないし、12年の年齢差があるにもかかわらず常時敬意を払ってくれた. 布帳馬車(註:ポジャンマチャ.屋台)でギターを演奏して歌を歌う、風情のあるデートを用意することもする、あまりにも紳士的でロマンチックな夫だった.
大家族が一戸に混み合って暮らすため、常時家族の顔色をうかがって、こっそりと早々にしなければならない‘稲妻セックス’でののどの渇きを癒すために時々はホテルでの甘い蜜月時間も演出してくれることができた考え深い夫だったが、その時、彼女自身の性に対する偏見と無知ゆえに夫婦が十分に性を楽しむことができなかったことが前夫に申し訳なく、惜まれる点でもあるという.
“離婚をすれば心が気楽になる、その理由一つだけで離婚に合意をしてくれました. 離婚後にも、彼は花束を渡しながら‘私が経済的に力がなかったから、貴方にいつも苦労をかけた. 私が貴方に買ってあげてみたかった赤いスポーツカーを買ってあげていないことが心残りだ’と言う人なのです. ちょっと前に“新しい愛が生まれたよ”という電話を受けました. 電話で報せてくれる彼の声で感じられる活気と愛の充満する満足感がとても良かったです.”
彼女は、離婚後に改めてできた友人のように気楽に会ってきていた前夫に、今はこれ以上会わないことにした.
“彼は繊細で、他人に対する配慮が深い人であるから、新しい愛で充実するでしょう. わたしたちは離婚をするときに‘お互いに良いことがあったら、祝福しましょう’という約束をしました. 私は彼の新しい出発を心より祝福します. 母親の不在で不憫だった子供たちの心配も減らすことが出来てうれしいですよ. 新しいママになられる方は子供たちにも良いママになってくれることを信じています.”
また、一ケ月に二回ずつ会っていた子供たちにも、最近はほとんど会わない. 新しいママの早い適応のため、待つつもりだという.
“これから私は、母親というよりは子供たちがいつでも休みに行くことができる大きい樹陰のような友人として最善を尽くすつもりです.”
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39歳のオールヌード旅行,
道で服を脱ぐ
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彼女はさる8月28日から9月25日まで北京を出発, ドンファン-トルファン-カラコラム ハイウェイ-パキスタンと、これを逆行するシルクロードへ行ってきて39という年齢の裸身をあらわにしてきた.
弾力とボリュームを揃えたスタイルを誇ろうというのではない. むしろ、彼女は心臓弁膜症の手術による傷痕と乳頭に生じた腫瘍除去手術のために両側の乳房が不揃いな胸だが、そのあらゆる傷や美醜をありのままに見せる作業をしたかったということだ.
“シルクロードは、元来人工的に作られた道ではなく、文明が発達する以前から自然的に辿ることによって生まれた道でしょう. 植物が育つことができる、光の道でもあって, 求道の道でもあった… 言わば、道のおじいさん, 道の原形だと考えました. 自然の原始性が最も残っている、その道に沿って行って、服という文明を投げ捨てて、服を着ること以前の自然状態に、振り出しに戻り、自然と合一しようとする意志を込めてみたかったとでもしましょうか. <ポルノグラフィー…>を率直に書きおりて行った過程が ‘心’を脱ぐ作業だったのなら, 今回のシルクロード旅行での<ヌードエッセー>は‘からだ’を脱ぐ作業になったでしょう.”
写真作家 イ・ヨンジャ氏が撮影した7千カットの多様なヌード写真と共に砂漠で服をパラパラと脱ぎ去った時の、所有と執着から抜け出した自由な感じと、そして充満した自然との交感を文章文に付け加えて、11月中に<ソ・ガプスクのヌードエッセー>(仮題)を出刊する予定だ.
撮影旅行中に生まれたエピソードひとつ. 二十五歳の若いパキスタン クライマーに偶然に出会った. 筋肉質の体格が魅力的だった、その男性は、彼女の写真集にヌードモデルとして共に賛同してもらいながら、彼女に露骨な関心を表現してきた.
“なめらかで赤銅色の皮膚にがっしりしたトラック運転手みたいな男らしさがあり躍動感のある男性との激烈なセックスを夢見ていました. わたしが持っている、一種の性的ファンタジーのようなものなのですが、彼が丁度そのような人でした. でも、そのような性的理想型がその時実際にわたしの前に存在すると、なぜかはわからない拒否感が生じました. ‘夫がある女だから’という嘘で彼を拒んでしまいました.”
最近、彼女は毎週土曜日の夕方に放送されるKBS2TV 週間ドラマ<学校 II>で、教師役で出演中、一方で‘女性の性と愛’をテーマに、モノドラマも準備中だ. また、昨年、創立公演を行ったが、財政上赤字のため、すぐに閉じた児童劇団‘青い澄んだ空’も、また蘇生してみる考えだ.
不惑の年齢を目前に控えて、新しい人生を堂々と生きていく、その女性, ソ・ガプスクは離婚女とセックスに対する社会の偽善的な偏見と固定観念の壁を崩して、一歩先んじて, 最も自然な人間としての生に充実させる, 本当に行動力のある女性だといえるだろう.
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