2000年1月 女性東亜

"一緒に暮らしたいけれど、拘束を受けるのはいやだ"

 
21世紀には結婚の代わりに'同居'をする
□ 文・イ・ヘリョン記者, イム・ヒョンジュ(フリーライター) 

昨年末に終映したドラマ<招待>で ヒョンテとサビンが同居カップルとして登場した. 劇中、ヒョンテがサビンに好きだという告白と一緒に、結婚前同居を提案する対話場面. 
ヒョンテ : え! 誰が君に結婚しようって言ったの?

サビン : ???!!!

ヒョンテ : ぼくが君をどれほど知っていると思う? 君について、ぼくが知っているのが全部かい? ぼくはまだ君の全部を知らないんだ. ぼくは君が好きなだけさ.

サビン : じゃあ、好きだからって一緒に住むの? そのまま感情がちょっと良いように思えれば、みな一緒に暮らすっていうの?

ヒョンテ : そんな程度ではないね. この女性ならば結婚したくなるかもしれない. そんな希望が見えるから、一度一緒に暮らしてみたいんだ. 暮らしてもみないで、どうして直ちに結婚できるの? そうして後悔したらどうするの?

劇中、ヒョンテは結婚前同居を通じて、お互いが一生を共にする配偶者として当然かどうかを検討した後、結婚するのが慎重な選択だという考えを持った人物で、米国留学に行ってきた、二十七歳の新世代の若者だ. ‘出逢い-デート-結婚’という過程より、‘出逢い-デート-同居-結婚’が普通になっている程に同居が自然な米国文化の影響を受けたという推測の下に、ヒョンテは説得力を持った人物として登場する. 

しかし、外国の影響を受けた新世代の若者の考えやドラマだけでありうるということではない. これを立証しているのが、同居に関する各種世論調査結果. 

昨年4月、愛の電話パソコン通信相談室が、1千1百14人を相手に婚前同居に対する認識調査をした結果、賛成が54.9%で反対よりも多かったし, 実際に経験がある場合も9%に達した. 

これよりもっと注目するべき点は、応答者等の賛成理由. 賛成理由中、最も多くの部分を占めた答は、‘より慎重な決定をするために’(61%)であった. これは婚前同居を‘不分別な若い子供の無責任な行動’だとみていた認識をひっくり返す結果だということができる. 

その他にも、昨年10月、東亜日報ミズ&ミスターチームの依頼で、リサーチアンリサーチが全国の20〜50代成人6百余人に‘同居に対する実態と意識’を調べた結果, 58%が婚前同居が可能だと答えた. 応答者中20代は72%, 30代は66%が同居が可能だとした. また、チャンネルアイが通信上で実施した婚前同居に対する調査でも、6千1百54名のネチズン中で3千5百13人が賛成すると答えて、婚前同居を肯定的に考える人が増加していることを見せている. 

再婚を専門に斡旋する結婚情報会社‘幸福出発’の婚前同居に対する調査結果は、もう一つの面で注目するに値する. ‘幸福出発’会員は、皆、結婚経験がある場合. これらの中の7百人を対象に調べた結果、男性の21%, 女性の44%が結婚前同居を希望した. ‘幸福出発’代表 チェ・ウォンイル社長は“もう一度失敗を繰り返せない、という考えで婚前検証期間を持つ同居を選ぶようにしているようだ”と分析して、予想よりも同居に対する肯定的反応が高くて驚いたと付け加える. 

実際に‘幸福出発’の会員中には、再婚前同居を実行する会員をさがし出すことができる. 形態は主に‘半同居形式’. 生計を合わせずに、父母や息子たちに同居の事実を知らせないまま、片方の家で一週間に何日かずつ一緒に過ごして、お互いに対する理解をひろめて行くということだ. 


結婚の代案として選択する同居 

しばしば‘事実婚’と呼ばれる婚前同居は遠い以前からあった. その中、最も多くの場合が、経済的な問題や父母の反対, あるいは税金などの問題で、不回避に結婚式や婚姻届を先送りした人々. これらは周辺与件だけが解決されれば、婚姻届を通じて法的な夫婦として認められようとする意志がある場合だ. したがって、ただ、順序が変わっただけで、事実上、伝統的な夫婦関係を成し遂げている. 

しかし、最近では、周辺与件のためではなく、結婚式を挙げても婚姻届を先送りする場合が増加している. さる97年から相談事例を通じて事実婚に関する分析をしている家庭法律相談所資料によれば、事実婚関係が漸進的に増えていて、これは、結婚式を挙げても色々な理由で婚姻届を出していない場合が増えたためだと明らかになった. 

家庭法律相談所 カン・ジョンイル相談委員は、合法的に結婚式を挙げても婚姻届を先送りする理由の中には“もしかしたら、という思いで、一定期間暮らしてみた後で確信が立った時に法的拘束力をもつ関係になりたいという心理が作用している”と分析する. 

一方、これよりなお一層、ふたりの合意の下に結婚をしないで、自発的に同居を始める場合もさがすことができる. この場合は、また、二部類に分類される. 

ひとつは、ドラマ<招待>でのように、より結婚を考慮してお互いを確認する過程として同居をする場合. 彼らは一定の同居期間を経て、お互いに対する確信ができれば、結婚に達する可能性がある場合だ. 

他のひとつは、最初から結婚を考慮せずに、結婚の代案として同居を選択した場合だ. 彼らは、現結婚制度を拒否して、結婚の代わりに同居を選択した場合であるために、結婚の可能性を排除している. 

一抹の差はあるけれど、二つの場合、どちらも既存結婚制度に問題意識を持っていて、これに対する代案として、同居を選択した点で共通点を持つ. 

このように、周辺の与件のためでなく、自発的に同居をする場合を、高麗大学校 社会学科 アン・ホヨン教授は‘非婚同居’と定義する. そして、正確な確認は不可能だが、社会的に非婚同居家族が増えていると見ている. こういう背景で、アン教授は結婚に対する認識の変化を指摘する. 

“私達の社会は、結婚をしない成人を未成年者として取扱う傾向があり, これはそのまま結婚に対する圧力として作用します. しかし、最近になってからは、結婚に対する圧力が順次減っており、結婚は必修というよりは選択だという考えが増えています. こういう背景の下に、結婚を選択しない彼らの中で同居を選択する人々が生じていると見ることができます.”

アン教授は、非婚同居カップルと周辺与件のために同居を選択したカップルとは、同居という点では同じだけれど、質的な面では全く違うと強調する. すなわち, 非婚同居のほとんどの場合は、既存の結婚枠組から抜け出しているために、結婚制度のなかでの妻と夫の役割分担とは別な関係が成立し、これは平等と民主的な関係を指向すると現れているということだ. 


結婚制度がもたせる責任感から
自由になろうとするのが原因 


しかし、まだ、韓国で同居は法的にだけではなく、制度的に認められることができずにいる.同居カップルに対する社会的視線も、そんなにきれいでないのが事実. こういう状況にもかかわらず、自発的に婚姻届を出そうとしない同居カップルが増える原因として、アン教授は、既存の結婚制度が持たせる負担から自由になりたいという心理が最も大きいと見ている. 

“同居を提案する側は、主に女性であると把握されています. これは、既存の結婚制度が、男性よりは女性により多くの拘束を与えるためですよ. しかし、男性の呼応がなければ、同居はできないことでしょう. やはり、男性もまた、家父長的制度下で最も附与される重大な責任感を負担にしているために同居がなされると言えます.”

サンミョン大学校 家族福祉学科 チェ・ヨンシル教授もまた原因を結婚制度に求める. 

“結婚は、家と家の結合ということができる程に、周囲の介入が多いものです. これは、肯定的に見れば、緩衝装置ではあるけれど、否定的な面では拘束でしょう. 同居は、こういう周辺の介入を減らし、お互いに充実しようとするところから始まると言えます.”

しかし、一方では、周辺の介入がないために、葛藤がある時に緩衝装置がないという点が短所だというのがチェ教授の指摘だ. 同居に反対する人々は、最も大きな反対理由として、法的拘束力を持たないために、別れる可能性が高くて、これはお互いに傷として残るという点を上げることもこのためだ. 

しかし、離婚をしようとする人々が別居を考えるように、結婚を前にした人々が同居を考慮することを否定的にだけ見ることはできない. また、離婚の否定的な側面をどんなに正しても離婚が減らないように、同居を置いて、否定的な側面を強調することは対策になっているとは言えない. したがって、サンミョン大 チェ・ヨンシル教授は“同居カップルがより一層増える場合、これに対する法的, 制度的装置が用意されなければならない. 

大韓家庭法律福祉相談院 ヤン・チョンジャ院長も、同居が増えるのが社会的流れならば、同居夫婦も法的保護を受けることができるようにことが変わらなければならないと話す. 

“これは、社会に否定的影響をおよぼさないように措置をするという、予防次元でも必要とされます. 男女同居のみだけでなく、同性愛者同居も同じです.” 


同居配偶者は医療保険,
家族手当, 相続等で除外 


結婚に対する代案で、あるいは止むを得ない理由で同居を選択する人々に、現実的な最も大きな問題は、法的保護を受けることができない点だ. 

現在、韓国は法律婚姻中心であるために、同居夫婦は法的な夫婦として認定されない. ただし、結婚する意思があるけれど、事情上、まず暮しを整える結婚を前提とした同居は法的に保護を受ける. だが ‘非婚同居’のように、暮らしてみてお互い良ければ結婚しようという場合や、結婚はしたくないけれど、一緒に暮らしてみたいと同居する場合は保護対象から除外される. また、相手方が既婚者であることを知っていて同居する場合も、法律的な保護を受けられない. 

同居夫婦もお互いに対する扶養と貞操に対する義務が適用される. したがって、殴打, 暴言, 浮気等、相手方から悪意的な待遇を受けた場合には、損害賠償請求が可能だ. その代わり、家族関係に対する責任はない. 婚家や妻家に、嫁や娘婿の役割をしなければならない義務がないという話だ. 

同居カップルは法的な夫婦として認められることができないために、相続, 医療保険恩恵, 扶養家族恩恵等から除外される. だが、事実婚関係でも産財(註:原文通り)保険恩恵は受けることができる. 

例えば、同居した男子が死亡して、財産を残した時、別途の遺言がなければ、同居の女は一銭も相続を受けることができない. また、婚姻をした場合には胎児にも相続権が認定されるけれど、同居夫婦の胎児には相続権がない. 

だが、一般財産に対する相続と違い、借用権保証金に対する相続は、住宅賃貸借保護法によって、同居配偶者にも相続の機会が与えられる. 例えば、借用権契約者が死亡した同居の男の名前になっている時、死亡した同居の男に他の相続人がなければ、同居の女が継承する. しかし、相続を受けることができる人と一緒に居住しているならば、相続者が継承して, 一緒に暮らす息子があれば、息子に全て継承される. また、一緒に暮らさないが、死亡した賃借人に父母兄弟息子があれば、事実婚配偶者は彼らと共同相続する. 

法的な問題の他にも、男子には寛大だけれど女子には厳格な、私達の社会の中での性倫理も、同居の現実的な問題. このために、同居をしていて別れた場合、男より女が傷を負う場合が多い. 

子供の問題は、よりむずかしい. 婚姻しない男女間で子供が生まれれば、いわゆる‘私生児’になるためだ. 婚姻をしない状態で子供が生まれた場合、母親の戸籍に入るが、父が認知した場合には、父の戸籍に入れることができる. 

ヤン・チョンジャ院長は、最近、離婚しながらどちらも子供を預かることを敬遠する傾向があるので, 同居カップルは結婚した夫婦よりも容易に別れることができるから同居中には子供を持たないことが 良いのではないかと話す. 


フランスは契約同居を法で保障 


同居が増えることは、全世界的な傾向. こういう傾向は、個人主義が発達した先進国であるほど、より激しい.

米国シカゴ大付設 全国世論調査センターが昨年、‘米企業会での伝統的家庭の意味と役割’というテーマでアンケート調査した結果によれば、結婚式を経て家庭を設けた後、子供を産んで生きていく典型的な家庭の比率は26%に過ぎず, 結婚式も挙げずに、子供もなく、同居形態で生きていく家庭の比率が32%に達した. 婚姻で家庭を設ける場合が70年代には45%だったのに, ますます減っている. 米国の14州では、既に内縁関係の同居を7年の時限で合法化している. 

オーストラリアで最もありふれた家族形態は、子供ない夫婦や同居カップルだ. 31%と最も多く、その次は独身世帯で24%を占める. 反面、伝統的な家族形態の夫婦と子供で構成された家族はたったの19%. 

また、97年、25〜50歳年齢の2千名のオーストラリア男女を対象にした調査によれば、‘実験結婚’で同居を選択する場合が半数を超えた. 同居をこれ以上非倫理的な男女関係だとは見ない、社会的な雰囲気のためなのか, さる10年間、オーストラリアでは婚姻外子供の出産率が70%も増加し、4名の子供中の一人は未婚母や同居カップルの子供だ. 

ドイツでは統一後、結婚や子供等、伝統的な家族関係と共同体意識が消えて、個人的な生を重視する価値観が定着しながら、子供を産まない事実婚関係夫婦が増加している. 結婚を忌避して出産率が大きく落ちこんだシュレイダー政府は、同居関係夫婦でも子供を出産する場合、各種恩恵を与える方向で政策を強化している. 

フランスでは90%の若者が婚前同居に賛成して, 結婚前に1〜2年の同居期間を持つのが一般的だ. 30才以下カップルの50%が法的関係なしで暮らしていて、新生児の約40%が婚外出産として生まれる. 

こういう趨勢によって、フランス下院、 昨年10月、契約同居を許す法案を通過させた. 正式結婚と自由同居の中間形態が、まさに契約同居であり, 契約同居を許す法案が通過になることによって、結婚と同じ社会保障, 納税, 賃貸借契約などの権利と義務の保証を受けるようになり、お互い求める時は、離婚手続きなしにいつでも別れることができる. サルトルとボーヴォワールの‘契約結婚’が、30余年ぶりに法的に認められるようになったことになる. 

サンミョン大 家族福祉学科 チェ・ヨンシル教授は、まだ韓国は事実婚を卑屈なものとする風土があるけれど、世界的な流れは、同居, 片父母家庭等、家族の多様な形態と構成員でなされた‘マルチ ファミリー’を認めることだと話す. 高麗大 社会学科 アン・ホヨン教授も、やはり同居を結婚の代案として模索する少数の選択だと受け入れるのが望ましいと指摘する. 


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