97年9月29日 SPORTS SEOUL

1998ワールドカップ最終予選アジアB組 韓国-日本 戦(9/28 東京)

日本現地の雰囲気…まだ遠かったのか?

日本サッカー界に、また一つの韓国コンプレックスが付け加えられた.
試合開始直前だけでも"日本はプロサッカー・Jリーグを通じ、技術が格段に飛躍し、今は 韓国より一歩上だ"と、2ゴールでの勝利を大言壮語した日本陣営だったが、技術でも体力,作戦等全般的な面で劣勢にあることを見せた今回の韓日戦の結果に頭をかかえる姿だった.

東京国立競技場スタンドをいっぱいに埋めた5万余の日本の観衆は、後半韓国に逆転されると、一瞬沈黙に陥り物悲しく感じられる程だった. 大部分の日本の観衆は試合が終わった後にも、信じられないようにしばらく席を立てず呆然とした姿だったが、反面、韓国の応援席では選手と同じく疲れを知らないスタミナで限りなく応援が続けられ、対照的だった.

スポーツでサッカーを最も好むという日本の情熱女性ファン コンダ・ミドリさん(30)は "試合が始まるやいなや `あ,やはり韓国のスピリット(精神力)に押されているのではないか'という不吉な感じがしたのに、惜しくても予想が当たってしまった”と溜息をのんだ.

付け加えて、"それにしても、減ってきているJリーグの観衆がこんなに多く来ました”と言いながら悔しさを隠さなかった.韓国の応援団が試合終了後、競技場のそとに出ても鉦やケンガリを打ち鳴らす姿を、過ぎ行く日本観衆は静かに見守りながらもうらやましい視線をおさめきれなくて舌打ちして帰宅を催促した. 一般市民は "韓国にひけをとらないとの予想を聞いていた.やはり日本サッカーはまだまだだ”と言いながら、あたかも投げやりな感じだった.

また違う日本の観客は、"韓国は強いから、あえてB組2位になってA組2位と正面対決して本戦に進出して、日本を1位に行くようにしてくれれば良いのではないでしょうか”と、冗談めかした本気の話で韓国の譲歩を願ったりもした.

競技終了ホイッスルが響くとほとんど同時にゆっくりと空から静かに降り始めた雨は、韓国サッカーには祝福を,日本サッカーには惨めさを抱かせた象徴のように感じられた.




東京=カン・シンムン特派員
ワールドカップ 今日のスター…イ・ミンソン


決勝ゴールはチェ・ヨンスではなかった.とりわけ日本に強いユ・サンチョル,かと言ってコ・ジョンウンでもなかった.引分けてもだめで、敗けてはよりより一層いけない日本戦で劇的な勝利に率いた殊勲は驚くべきことに守備手イ・ミンソン(24 釜山大宇)だった.

ストッパーとして、日本の秘密兵器のロペスをマークすることが主な任務だったが、彼は千金の決勝ゴールをさく烈させてTV中継を焦燥しながら見守ったサッカーファンを一瞬にして歓喜のるつぼに追いこんだ.日本が自慢する新世代GK川口の魂を抜く強力な左足中距離シュートで編み出した彼のゴールは競技終了を僅か4分しか残っていない状況でさく烈し、より一層貴重だった.

イ・ミンソンのこの日の活躍はロペスの活路を徹底的に遮断したことだけでも称賛を受けるものだ. 日本は韓国との試合を控えて、ブラジル生まれののロペスを帰化して、韓国戦に初めて投入したがロペスはイ・ミンソンの影のような守備に縛られて一度もまともにプレーできず、後半27分秋田に席を譲らなければならなかった.

ムンイル高〜亜洲大を経て、昨年釜山大宇のユニホームを着たイ・ミンソンの得意なのは対人防御. ロペスに身動きさせないことでも分かるように執ような密着マークと正確な位置選定,力を土台にした対抗力で相手攻撃手の足に鎖をつける.

彼の真価が遺憾なく発揮されたことは、さる8月10日蚕室オリンピック主競技場で行われたブラジル代表チーム招請戦.チャ・ボムグン軍団に合流してわずか4ケ月程もならなかった彼は、短い代表経歴にもかかわらず、世界のトップスター ホナルドを徹底的にマーク,好評を買った.

所属チーム釜山では、ストッパーとサイドアタッカーを交互に引き受ける程守備手としての幅ひろい資質を認められている.

-逆転決勝ゴールを入れた感想は.

▲私のゴールで韓国が重要な試合で勝利をおさめてものすごくうれしい.一言で、空を飛ぶ気分だ.敵地なので、すごく緊張したのに多くのファンが遠征応援をしてくれて、大きい力になった.残った試合でも、ファンの積極的な声援を頼みます.

-ゴールは予想したのか.

▲ボールを捉える瞬間、日本の守備手たちが後ずさりするのを見て、空間が生まれてシュートをしたので、良い結果が出てくることという気がした.結果的に果敢にシュートをうったのが良かった.

-もともとゴールをねらっていたのか.

▲私に与えられた任務は、相手の攻撃手をマークすることだ.まず、主な任務を充実させながら、今日のように攻撃に加担すべき状況が生じた時だけシュートを飛ばす.


東京=ワールドカップ特別取材班
ワールドカップ 一言(I)

□国民の皆様、声援をたいへんたいへんありがとうございます.(逆転決勝ゴールの主人公 イ・ミンソン)

□ぼくのコンピュータの中には、日本に関する情報が数えきれない程多くある. その資料に基づいたので、このように正確に日本に勝った.(チャ・ボムグン監督.日本にどんな戦略で臨んだかという質問に)

□寝てもさめても三浦のことだけ考えています.(主将 チェ・ヨンイル.三浦の専任マークマンに決定された所感を尋ねられて)

□南北に分かれているが、日本との試合では一つの心であるのです.(在日居留韓国民団 関係者.韓日戦が始まる前、朝鮮総連関係者たちからの激励電話が殺到した、と)

□韓国は純粋な選手でゲームをする.(中日スポーツ 山本記者. 日本は93年のラモスに続き、今回の予選ではロペスを帰化させたとし)

□監督生活30年間、このように多くの応援を受けてゲームしたのは初めてで、勝ちたかった.(加茂 周監督)

□今回の韓日戦は戦争も同じであった.戦争で勝った気分だ. (サッカー協会 キム・ウォンドン支援部長.日本に勝った気分は空を飛ぶようだ、と)

□どうしたものか.(日本サッカー協会職員. 韓国に敗れた衝撃が予想より大きくて心配だ、と)
シン・ムンソンの観戦評-[韓 国 - 日 本]

体力戦での優位が逆転勝ちの踏み台となった. 後半20分、コ・ジョンウンのミスにより先制ゴールを失った後の試合の流れ, 競技運営の重要な役割が、結局韓日両国の勝敗の分かれ道に率いた.日本は先制ゴールを入れた後にロペスを抜いて秋田を投入,守備を強化し、全体的なチーム戦術を守備側に置くようにしたが、韓国はこの機会をのがさずに右側攻撃侵入が息をふきかえしながらチーム環境が反転し始めた.

結局、加茂 周監督が選手交替と試合のリズムを`守備強化'に変えたことが日本の 決定的敗因になってしまった. 1ゴールを許した韓国が急激に組織力が
薄くなって競技ペースを失った状況で、加茂 周監督の誤った判断(?)が韓国を蘇らせる結果になった.

韓国は、前半守備と攻撃の比率を6対4でプレーを繰広げて、ロペス 中田 三浦 という要注意人物をイ・ミンソン チャン・ヒョンソク チェ・ヨンイル に専担マークさせながら奇襲を試みたことが奏効し,ゲーム内容面でも先んじた. 脚本のないドラマの序幕は、山口のゴールがさく烈する前、相馬が放った中距離ゴロシューティングが右側ゴールポストにはねとばされて開始した.

韓国は遠征試合の心理的負担が加重になって、日本は急激に気を吐く試合の流れで行った.この流れは山口の先制ゴールにつながった. 1-0で遅れをとった韓国が突然に入れられたゴールに当惑する状況で、加茂監督が試合リズムとテンポを遅らせなかったら、逆転勝ちのドラマは演出されなかった可能性が高い.

韓国は先制ゴールの威力とホームファンたちの熱狂的応援,韓国の急激なペース低下に顔を背けた日本の作戦ミスのスキを突き、体力的負担を克服できる心理的
上昇雰囲気を築いたことが韓国の復活につながった. さる94年米国ワールドカップでスペインに2-0で立ち後れたが、2-2で引分けを得たことと同じ脚本のないドラマの開始は加茂監督の誤った判断と体力戦で勝った結果であった.

敵地での難しさを克服して勝利を争奪したチャ・ボムグン監督と選手たちにサッカーファンと共に祝賀を送る.[本紙 論評委員]