98年3月2日SPORTS SEOUL

シン・ムンソンの観戦評-[韓 国 - 日 本]


ワールドカップ本戦16強に向けた練習過程に赤信号を灯したゲームだった.2―1敗という結果よりも、ワールドカップ最終予選以降実施してきた練習内容に焦点を合わせてゲームを注意深くみると ▲新入選手(金ハクチョル、ジン・スンジン)に対する正確な評価▲戦術的な完成度▲ずっと指摘されてきたプレーメーカー不在に対する対案提示面で、各々不安な成績を記録したとで見ることができる.

車範根監督は、戦術の全体的主幹を相手の攻撃遮断と後半 ‘切り札’投入で勝利を得ようと勝負の賭けに出たが、結局失敗に終わった.敗因は選手の集中力不足だ.2ゴールを皆コーナーキックから許した点は示唆するところが大きい.

コーナーキックゴールでも、フィールドゴールも皆全く同じゴールなのだが、コーナーキック時にゴール前で相手選手を続けざまにのがした点は痛恨の教訓にしなければならない.初めてのゴールと二つ目のゴールもストライカーの中山と城彰二に許した1次的責任は、ストッパー 崔ヨンイル 金ハクチョル イ・ミンソンにあり、スイーパー ジャン・デイルも責任を 逃れられない.相手守備手が攻撃に加担し、ヘディングゴールをさく烈させる場合には、マークの複雑さなどが言い訳になるが、日本戦での2ゴールは守備陣のとんでもない失敗から始まったものであり、その結果がゲームにどれほど途方もない影響を及ぼしているかを如実に見せた.

ただ一瞬の放心がゲームを誤らせて、国民をどんなに失望のドロ沼に突き落としたかを選手たちはもう一度悟らなければならない.セットプレーで見せた、スイーパーのやっかいな役割も分析対象だ.

最前方攻撃手等の鈍い動きと朴ナムヨルの一歩遅れた交替が、中盤以後のゲームの流れを遮断して、雰囲気反転の糸口を失う結果をもたらしたのには、複合的問題が見られる.

ワールドカップ本戦16強入りを願う立場から敢えてひとこと言うならば、“選手は一朝一夕では作られない”というサッカー専門家の共通な意見に一度くらいは耳を傾けることをベンチに薦めたい.[本紙 論評委員]

ワールドカップチーム 緊急診断(上)-いつまで新人テストばかりすればよいのか?


薄氷を踏むような危機感が破られながら、溜息がもれたが、沈着な安堵感が混じった、妙な気分.現在の韓国ワールドカップサッカー代表チームを眺める私たち国民の心情がまさしくそうだと言えば、行き過ぎた飛躍だろうか.私たち民族の重要な記念日である 3.1節.日本の土地で、79年前日帝の植民弾圧に体のみで抵抗した先祖たちの血の絶叫も背後にしたまま、最後の何分間かを粘れなくて崩れてしまった韓国サッカー….

サッカーでは、勝敗は常時わかれること.さらに、98フランスワールドカップへ行く道すがらの1試合に敗れたからといって、あたかも空が崩れたかのように話すことにも問題はある.そして、スポーツに歴史的な意味をあまりにも大きく附与することも明らかにおかしなことだ.しかし、ワールドカップ本戦を100余日前にして、韓国代表チームの現在の姿は事実として最高の選手を集めた最強のチームとは言えない.

選手の構成とプレーの様相を見て、誰でも敗北を共感するならば、結果をおいて‘捨て石’であると慰められるが、今の状況は残念ながらそうではない.

昨年、韓国は厳しい試合スケジュールの中、ファンの声援を受けてワールドカップ最終予選を戦って本戦にいち早く上がった.そして、世界最強のブラジルをはじめ、日本 オーストラリアにそれぞれ1試合づつしか敗れなかった.ところが、今年に入ってから2ヶ月余経ったのに、すでに4敗目を喫した.オーストラリア代表チームとセミプロのオールロンゴン、そして、たとえ優勝はしたとはいうものの、キングスカップ初日ゲームでデンマークのプロ選抜チームにも2―0で完敗した.そのうえ、1日の日本戦 2―1敗戦まで….明らかに問題がある.ワールドカップ本戦を4回連続進出したプロ選抜でも、セミプロに敗れるということは明確に再度確かめて繰り越さなければならない問題だ.

状況が何故このようにまでなったのだろうか.ある者は、車範根監督のサッカーには創意性が欠如されていると指摘する.自律性がないので機械的なサッカーをするという話だ.そして、選手選抜が自己中心的なので、他の共感を引出せないということだ.長い間代表選手として国威宣揚をした古参選手に対する扱いも粗末だったという話もよく聞くし、新人を探すにも検証された忠告を聞かずに冒険に近い選抜をするという指摘を受けてからながい.

新しい選手を試験稼動することは良いが、ワールドカップ本戦がいくらまだ先だといっても、試験だけを繰り返している事実は納得するのに難しい.韓国はさる1月初めから合宿訓練をして呼吸を合わせたが、オーストラリア代表チームに1年ぶりに再び1―0で敗れた.反面、日本は代表構成して1週間で豪州代表と対決,3―0で勝った.

車監督は“能力のある選手が外国にたくさん進出しているのに、新しい選手
を選ばないことがあるか”と抗弁するが、代表選抜が技術委員会という機構を無視したまま監督の意志だけでなされたとするなら、明らかな問題がなくもなく、独善という非難を逃れるのもむずかしい.

今は現実を直視しよう.90年 イタリアワールドカップの李フィテク監督.96年アジアンカップの朴ジョンファン監督.惨敗にしりぞいた彼らの背後には技術委員会の拙い行政が一役買っていて、そのような兆しは98フランスワールドカップに臨む現在も見られる.

国家代表チームは、一個人のチームではなく、国民のチームだ.技術委員会の名分と位相も、今は明らかに変わらなければならず私たちが望むワールドカップ初勝利に進んで、16強入りのためには、これからでもサッカー界全体がしっかりして正しい声に耳を傾けるべきだ.