待ち焦がれていた南北離散家族再会の道が広くなった.
しかし、まだ用心しなければならない点が多い.
丹念に準備して慎重に対処すべきだ.
ハン・ギフン 東亜日報 政治部記者
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キム・デジュン…金大中…
政府が南北離散家族問題解決を、南北韓間で解決しなければならない最優先課題として推進すると宣言したことによって、多くの失郷民(註:朝鮮戦争によって故郷を離れざるを得なかった人々)たちが、今回は北に置いてきた家族に会えるだろうと、期待に胸膨らんでいる.
政府は4月1日から、65才以上の失郷民が北朝鮮の招請状と身辺安全保障覚書を受けた場合、無条件に北朝鮮訪問を承認し,
60才以上の低所得層の失郷民が離散家族交流を推進する場合には、経費の一部を国庫から補助する措置を行なっている.
しかし、多くの失郷民はどのようにして北朝鮮にいる家族や知り合い等の生死消息と住所を確認して、接触できるか、まだその方法をよく知らずにいるのが実情だ.
離散家族が気になる手順と留意事項を、統一部の「南北離散家族交流協力実務案内」指針を土台に問答式で整理した.
3倍以上に増えた離散家族対面
▲南北離散家族の範囲は?
政府は、解放以後に動機の如何を問わず、南北韓国地域で分離された状態で居住する人と彼らの子女を離散家族とみている.
ここには、朝鮮戦争による失郷民と、北への拉致・越北者及び停戦協定以後の北への拉致・越北者と北朝鮮離脱住民が含まれる.
南北交流協力に関する法律施行令…第19条 第4項…は、離散家族の範囲を「8親等(註:韓国の親等)以内の親(血統関係の最も近しい関係)・姻戚及び配偶者または配偶者だった者」と規定している.
一方、南北韓国は85年 8月
赤十字会談で、家族の範囲を、別れた当時の家族とその後出生した子女で合意したことがある.
親戚の場合には、南側が傍系8親等と妻・実家4親等,
北側は、この外に当事者が要求する親戚を含めることを主張し、結局、故郷訪問団交換のための実務代表接触で、北朝鮮の主張通りに合意した.
▲その間の離散家族交流現況は?
赤十字チャンネルを通した離散家族対面は、さる85年9月20日から23日までなされた、第一次故郷訪問団交換が唯一のものだ.
この時、平壌を訪問した我が方の離散家族35世帯と、ソウルを訪問した北朝鮮側離散家族30世帯が、各々血縁と対面できた.
民間次元の離散家族交流は、政府が89年 6月、南北交流協力に関する基本指針を作ったのに続き、90年
8月、南北交流協力に関する法律を制定, 公布して本格化した.
海外に居住する親戚でも、離散家族交流斡旋団体の仲介などを通した方法によって第三国で家族と対面した事例は、さる90年から昨年までで計155世帯に達する.
特に、昨年の対面事例は61世帯で、96年の18世帯に比べて3倍以上に増えた.
昨年なされた生死確認と書信交換は、各々164件と772通信だ.
▲南北交流協力に関する法律でいう「北朝鮮住民
接触」とは何をいうのか?
南北韓国住民が意思交換の方法・手段・場所などを問わず、どんな形態でも特定内容の情報やメッセージをやりとりすることがすべて接触に該当する.
したがって、北朝鮮の家族親戚に直接会うことはもちろん、仲介人を通じたり、電話・郵便・ファクシミリ・インターネット・放送
などの通信手段を利用した意思交換も皆接触だ.
在北離散家族との対面・書信交換・生死確認などを推進する時は、まず統一部に北朝鮮住民接触申請を出して承認を受けなければならない.
▲北朝鮮住民接触申請手順は?
接触20日前までに、統一部長官に「北朝鮮住民接触申込書」と写真を付けた「身元陳述書」などの関連書類を提出しなければならない.
郵便申請でも代理人を通した申請でも可能なので、必ず本人が申請する必要はない.
海外では、在外公館に申込書類を提出できる.
また、地方に住む人は、該当の市・道の北側5道事務所(註:平安道、黄海道などの北に位置する道を管轄する)や、大韓赤十字社支社及び民主平和統一諮問会議・市・軍・区
協議会等の離散家族民願窓口を通じて提出できる.
処理期間は、受付日から勤務日(註:営業日)基準で20日,
処理結果は文書で通報される.
北朝鮮住民接触承認期間は、現在2年で、この期間中なら、承認を受けた接触範囲内で回数に関係なく接触できる.
承認期間が満了する時には、その間の接触経過に関する説明を貼付した北朝鮮住民接触申込書をまた提出し、再承認を受けなければならない.
注意する点は、接触承認は第三国での接触を承認することであるから、北朝鮮訪問接触のためには、別の北朝鮮訪問手順を踏むべきだということだ.
接触承認による接触場所として、北朝鮮地域が除外されるために、外国の北朝鮮公館内での接触は承認されない.
▲接触結果を政府に報告しなければならないか?
北朝鮮住民に接触した後、10日以内に接触結果報告書を原則的に可及的詳細で正確に作成し、統一部に提出すべきだ.
これは、政府が離散家族交流を効率的に推進するのに必要な資料を得るためのもので、秘密が保障される.
▲政府の承認を受けずに北朝鮮住民と接触した時は
どのようにするか?
次に該当する場合には、接触後7日以内に統一副長官または在外公館長に申告すれば、事前に承認を受けたと同様に認定される.
… 国際行事及び外国旅行中偶発的に北朝鮮住民と接触した時
… 外国で家族(8親等以内の親姻戚及び配偶者または配偶者だった者)の北朝鮮住民と接触した時
…
手紙受付等、事前承認が不可能でも、その他やむをえない事由によって、事前に承認を得ないで北朝鮮住民と接触した時.
▲北朝鮮を訪問する時には、どのようにするべきか?
北朝鮮側の招請状と身辺安全保障覚書などを貼付して「北朝鮮訪問証明書」発給を統一部に申請しなければならない.
北朝鮮住民接触申請の場合と同じで、郵便申請・代理人を通した申請・在外公館を通した申請がそれぞれ可能だ.
処理期間は受付された日から勤務日基準で30日だ.
北朝鮮訪問期間は、北朝鮮訪問目的と、北朝鮮側招請期間によって、適正な期間が附与されて,
最長1年6ケ月まで可能だ.
また、必要な場合には、はじめに承認を受けた期間を超過しない範囲内で1回に限り延長が可能だ.
北朝鮮訪問を終えた後には、北朝鮮訪問証明書を直ちに返却して、北朝鮮訪問結果報告書を10日以内に提出しなければならない.
▲北朝鮮訪問時に留意する点は?
北朝鮮訪問者は、統一教育院で案内教育を受けてはじめて北朝鮮訪問証明書の発給を受けることができる.
教育科目は、南北関係現況, 北朝鮮実像, 北朝鮮訪問時行動要領
及び 北朝鮮訪問目的と関連した留意事項などだ. また、「南北韓国
往来者の携帯禁止品及び処理方法」(統一部 告示)によって搬入出が不許可になる物品は携帯出来ない.
今年の政府支援は280名程度
▲北朝鮮の離散家族たちと接触できる方法にはなにがあるか?
海外に居住する親戚や知り合い等の北朝鮮訪問を通じて交流する方法と、離散家族交流を専門的に斡旋する国内外民間団体を利用する方法,
中国朝鮮族等の仲介人の助けを受ける方法などがある.
しかし、これらのチャンネルは非公式になされるため、結果に対する責任と危険負担は、結局、離散家族交流を推進する当事者が負うべきだという点を銘記しよう.
▲離散家族交流を斡旋する国内団体等の現況は?
離散家族対面推進会と、一つの民族対面会等の7団体が統一部から承認を受けて活動している.
また、ヒョウォン物産等の19対北朝鮮交易業者で構成された韓民族物資交流協会が政府との協議を経て離散家族等の北朝鮮訪問招請状発給代行業務を推進する予定だ.
▲離散家族交流を推進するのにかかる費用はどの程度か?
場合によって差があって、一律的に言いにくい.
朝鮮族が比較的容易に出入りすることができる鴨緑江・豆満江附近の北方地域で生死確認などをする費用は、彼らの接近が難しい黄海道のような地域より安い.
また、依頼人の財力,
北朝鮮当局の介入程度等によって手数料が変わる.
統一部当局者は、『生死確認に3百〜1千ドル, 対面に 1千〜4千ドル程度がかかると把握しているが、状況により加減がありえる』と話す.
政府は、このため、今後の生死確認は概略3百ドルの線でできるように指導する方案を検討中だ.
▲政府から離散家族交流に伴う経費の支援を受けられる対象はだれか?
第三国を通じて交流をしようとするが、資金負担能力が不足している60才以上の離散
1世代として統一副長官から北朝鮮住民接触承認を受けた人だ.
具体的には ▲生活保護対象者 ▲財産額5千万ウォン以下, 世帯 1人当り
月平均所得 40万ウォン以下に
該当する低所得者…最低賃金または敬老年金支給対象 水準…
▲家族から支援を受けられない人々が対象になる.
▲申請方法と支給手順は?
北朝鮮住民接触申請手順に準じ、1千万離散家族再会推進委員会に手続きをすればいい.
申請は事前申請が原則だが、事後申請も可能だ.
再推委は、申請者の生活状態, 家族関係, 年齢,
交流成功過程の難易度,
所要経費などを考慮し、生活保護対象者を優先的に選定,
統一部に支援を推薦する.
支給は事後支給が原則で、申込書と結果報告書を提出すれば、審査を経て20日内に支援可否が郵便で通報されて、支援金が申請人の銀行口座に送金される.
▲申請者 1人当り、どの程度の経費の支援を受けられるのか?
今年、政府予算に反映された支援金は、1億2千3百万ウォンに過ぎず、2百80名内外程度が恩恵を受ける展望だ.
政府は、具体的に第三国を通じて生死と所在を確認するのに必要になる仲介料の一部として、1人当り30万〜40万ウォンずつ
2百30名程度に支給する計画で、合計 8千8百万ウォンを策定している.
また、仲介人に対する対面謝礼費として、1人当り60万〜80万ウォンずつを25名に,
対面旅費支援として、1人当り40万〜60万円ずつ25名内外に支援する予定で、各々2千万ウォンと1千5百万ウォンを配分した.
多額の金を渡すのは良くない
▲北朝鮮住民との接触時に留意する点は?
第三国を通した交流時に最も留意しなければならない点は、北朝鮮がこれを公式的に認めていずに黙認するなかで交流がなされるという点だ.
このために、在北朝鮮家族との交流の事実が北朝鮮当局に知られれば、場合によっては在北朝鮮家族の身辺に危険が生じる事もある.
北朝鮮は、在北朝鮮家族が当局の承認を受けずに中国等で韓国住民と接触したり、国際郵便を通じ交流することを反国家犯罪として処罰することを原則としている.
▲生死確認と住所確認時の注意事項は?
在北朝鮮家族を探すのに必要な内容の他には依頼者の詳細な身上資料を仲介人や北朝鮮側に渡さないことだ.
現地で多くの仲介人が接近してくることがあるが、早急に事を運ぼうとするとだまされるので、事前準備を徹底的にして、仲介人選定に慎重を期するべきだ.
▲書信交換時の注意事項は?
北朝鮮当局の検閲に対応し、手紙の形式の場合でも、内容で韓国に居住しているという事実が現れないようにすべきだ.
切手と便せん・封筒はハングルがない第三国のものを使用して,
手紙の内容も、国内状況よりは家族間の安否を中心に構成するのが望ましい.
あまり頻繁な書信交換は疑念を招き、在北朝鮮家族の安全を脅かす.
また、在北朝鮮家族が巨額の支援を要求し、これに応じる場合は、むしろこれらに被害が及ぶことがある.
北朝鮮は送金額中の一部だけを支給して、強制貯蓄させるので過度な金額を送金することはよくない.
▲対面時の注意事項は?
在北朝鮮家族に対する第三国人の招請同意書と、これを立証できる書信等の書類が必要だ.
在北朝鮮家族が第三国人の招請で北朝鮮当局の許可なしで国境を越える時は、多くの危険が伴う.
旅券を持っている場合でも、韓国住民との接触は禁止されているので、接触が外部に露出しないように注意するべきだ.
対面時に多額のお金を渡すことは、むしろ害があるので、旅行経費と生計支援次元で適切に調節する必要がある.
また、在北朝鮮家族が北朝鮮脱出を希望する場合、残留家族に危険が及ぶだけだけなく、北朝鮮脱出自体にも多くの危険が伴うので慎重に対処すべきだ.
北朝鮮の国家安全保衛部と労働党統一宣伝部要員などが、離散家族交流を対南工作に利用するために身分を隠して仲介人を通じ接近してくるので、場合によっては断固とした態度を行なう必要がある.
北朝鮮訪問対面の場合、北朝鮮全地域で監視と盗聴されていると考えて、言行に留意すべきだ.
特に北朝鮮の体制や政権を批判または誹謗することは自重することが望ましい.
▲信頼できる仲介人や斡旋団体を探す方法は?
既に離散家族交流に成功した人々を通じて紹介を受けたり、いろいろな団体を比較して、信頼できる団体を慎重に選択すべきだ.
政府は斡旋団体が乱立し、離散家族が被害を蒙るようになることを憂慮,
43離散家族関連団体で構成される南北離散家族交流民間団体協議会…4月28日
結成…が法人として発足するように誘導した後、離散家族がこの団体を通じて仲介人または斡旋団体と接触するようにする方案を推進中だ.
離散家族交流の成功可否は、ほとんど誰が仲介をするかにかかっていると言うことができる.
しかし、公信力のある(註:民間にあっても、公な信用を持っていること)仲介人や団体を選別する装置が現実的でない程に当事者の選択はなににもまして容易ではないのが実情だ.
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