98年10月
新東亜
[集中 取材] ‘準備ができていない’ 韓国カジノ産業 第2民放(民間開放)始まる |
アン・ギソク 東亜日報 新東亜 次長 -------------------------------------------------------------------------- 蒸し鍋のような蒸し暑さが相変らず猛威をふるっていた9月12日 土曜日の午後. ソウル市 廣津区 廣壯洞 シェラトンウォーカーヒルホテルの地下1階にあるパラダイスウォーカーヒルカジノ(以下 ウォーカーヒルカジノ) 入口には、日本人団体観光客に見える中年男女が熱気を帯びて入っていっていた. 「内国人は出入できない」という注意書きのそばに、ユニホームをきちんと着た女子職員たちとがっしりした体格の男子職員たちが守り立っている. 日本人観光客たちは、カジノ中央ホールに入るやいなや、各自の好みのゲーム機に散らばった. 入口から左右の壁面には、スロットマシンが並んでいて、広い中央ホールには、ルーレット, ブラックジャック, ダイス 等の各種テーブルゲームがある. スロットマシンには女性たちが何名かだけ座っているのに比べて、テーブルゲームには多くの人が集まっている. カードをさばく若い女性ディーラーの手つきは速くて、カードを受ける客たちの顔には悲喜が交差する. 勝敗によって歓声をあげたり、ため息をつくこともある. 『この程度なら、稼動率が50%にはなるのでとても良い方です. 以前は、VIPが主な顧客であったのですが、今では観光客がたくさんきます』 イ・チャンウ (株) パラダイス経営支援室部長の話だ。 しばしば「黄金の卵を産むガチョウ」と呼ばれるカジノ産業. さる年末、IMF管理体制以後の至上目標の「外貨稼ぎ」を全面に出して、政府がカジノ新設を許可する方針を立ててからは「脱税と不正の温床」としてのみに見えるカジノ新設ブームが起きている. シン・ナッキュン(申楽均) 文化観光部長官は、さる7月2日、金大中大統領に『年内に2ケ所のカジノ新設を許可する方針』だと報告した. 観光振興法には、『カジノ新規許可は最近新規許可を行なった日以後に、外来観光客が30万名以上増加した場合に限って、これを行なうことができる』と規定されている. この規定によって、2ケ所は許可を出すことができるという. -------------------------------------------------------------------------- 新設カジノ誘致競争熾烈 -------------------------------------------------------------------------- ソウルでは、永らくカジノ新設を準備してきたロッテワールドホテルとリッチカールトンホテルがカジノ設立を急いでいる. ロッテグループは、シン長官の発表があった日、ロッテワールドホテル地下 1階 1300坪にカジノを設立する作業を推進すると明らかにした. この空間は、80年代初めのホテル建設時から、カジノ敷地として用意したが、許可が出なかった所. リッツカールトンホテルは、所有主のジョンウォン産業が済州島に持っているホリデーインクラウンプラザのカジノ経営経験を生かしてカジノを新設するという. 現在、ビュッフェ食堂として使用している場所を、カジノに転用するということだ. この空間は、リッチカールトンホテルが開業した時からカジノ設置のために用意しておいたという. 新羅ホテルもカジノに関心を持っている. ソウル市が奨忠体育館を売却する場合、これを買い入れてコンベンションセンターとカジノとして使用する計画であると明らかにした. 深刻な経済難にさまよう釜山ホテル業界も積極的だ. カジノ新設のために、金大中大統領の家族にまでロビーをしようとしたが、挫折したことが知らされた. 釜山でも、ロッテ側がカジノ誘致のために熱心に走っている. 釜山ソミョン(西面)にあるホテルロッテは、84年の法人設立時から計画を立てて、900坪あまり規模の大型カジノ場を用意していた. 今後、ソウルと釜山にカジノが新設されれば、既存業者と熾烈な顧客誘致競争を繰り広げることと予想される. ソウルでカジノ新設を推進する三ホテルは、皆、ウォーカーヒルカジノより金浦空港に近いという利点があって, 釜山ホテルロッテは海雲台にある釜山パラダイスビーチホテルカジノより場内が3倍も大きいだけでなく、金海空港にも近い. 仁川広域市は、観光開発5ケ年計画中の一つで、2002年、仁川国際空港ができれば、市内ホテルに 3, 4個のカジノを新設する計画だ. 国際空港が入るヨンジョン島内の新築ホテルにもカジノ施設が入る. ヨンジョン島 国際投資 自由都市 開発計画の発表以後、外国のカジノ業者たちが投資意欲を見せている. 一方、政権交替で与党地域になった湖南と忠清等でも、カジノを新設しようという動きがあるが、現行法上容易ではない. 観光振興法によれば『国際空港や国際旅客船ターミナルがある市・道または観光特区地域内の一流ホテルに限りカジノ新設を許可できる』となっているため. 政権業務引継ぎ委員会が『カジノ新設規定を緩和しなければならない』と主張, 湖南 忠清地域にカジノを新設しようという意図ではないかという疑惑を呼び起こしたりもした. -------------------------------------------------------------------------- 江原道廃坑カジノ法人スタート -関連記事はこちら -------------------------------------------------------------------------- 既に何年か前から、カジノ団地建設を推進していた江原道にも、カジノ旋風が本格的に吹き始めた. 廃坑カジノ法人の 轄]原ランドは、さる7月23日、江原道ジョンソン郡コハン邑 石炭会館で機関名掲示式を持った. このカジノが設立されれば、国内では唯一内国人出入が可能だ. カジノが入る場所は、ジョンソン郡 ペクウン山一帯の350万坪の敷地. そこにスロットマシンとテーブルゲーム等、大規模カジノ施設を揃えた550室規模のホテルが入る計画だ. ホテルの他にも、テーマパークとコンドミニアムなどを含んだカジノリゾート団地を2001年までに建設するという. 江原ランドは、カジノリゾートが開場される2001年には、年間300万名以上の観光客が訪問して、2000人程度の直接雇用創出が可能だという夢に膨らんでいる. 慶尚南道 巨済にもカジノが入る予定だ. 慶尚南道は、2006年まで民間資本1兆3000億ウォンを投入して巨濟市チャンモク面 ソンジン浦 クヨン里一帯の100万坪に世界的な規模の海洋観光団地を建設する計画であるが, ここにゴルフ場(18ホール) 等、スポーツレジャー施設とホテル, コンドミニアム等 宿泊施設と共にカジノも作るという. 全羅北道でも、2006年までにカジノ観光団地を作る計画で世論を造成し始めた. 全北道が1億8000万ウォンを投入して研究した結果、国内でカジノ観光団地として最も適した地域は、全羅北道 群山市 オクド面 ソンユ島. ソンユ島とこの一帯のムニョ・ジャンチャ・シンシ島等 環群山列島は「国際海洋観光団地」造成に最も適合した所だということだ. ヨンジョン島に比べて、景色が素晴らしいという点を前面に押し出す. 既に8個のカジノ業者がある済州島でも、 同次元で国際的なコンベンションセンターを作って、カジノ施設を揃えると発表した. 注目すべきは、さる 6・4地方選挙をはじめとする各種選挙で出馬者たちが、外貨獲得と地域経済活性化という名分でカジノ新設を選挙公約として前面に押し出したということだ. これらの計画がそのまま実行されるならば、今後、全国のあちらこちらにカジノが導入されることになる. 「カジノ共和国」という新造語が生まれるかもしれないほどだ. カジノを開きさえすれば大金が入るかのような期待感で浮かれている姿だ. あるカジノ業界関係者の話. 『近頃、カジノ新設を推進する人々の薔薇色の幻想を見ると、金泳三政権時に民放とケーブルテレビ事業権を取得するために途方もない競争を繰り広げたことが思い出されます. その時、事業権を取得しさえすれば、金の台座にどっかりと座れるだろうと期待してロビー戦を繰り広げたが、結局赤字の山に座ってしまうなめになったじゃないですか. カジノ増設もそうなりかねない素地がありますよ』 こういう憂慮は、既存カジノ業界の不安を反映したことである. しかし、韓国の経済・社会文化的次元でカジノ増設がおよぼす影響を冷静に確かめる必要がないだろうか. 準備なしでカジノ増設を許したが、体験することになる後遺症は、結局国民にも返ってくるはずなのだから. 現在、韓国カジノ業者は13. ソウル 釜山 仁川 江原 慶州に 一つずつ、8業者が 済州島に集まっている. これらの企業の最近3年間の売上額推移を見れば、国内カジノ産業の展望は明るくない. 国内カジノ産業規模は、97年末現在で売上額 2億4404万ドル程度. 95年 2億8410万ドル, 96年 2億6733万ドルに比較すれば、ますます減少する趨勢だ. マカオ等、主要競争国の97年の売上額は、マカオが19億ドル, 豪州が12億ドル,マレーシアが7億ドルで、私たちとは比較にならない. 国内カジノ業者の入場者数も、95年 63万3千余名, 96年 51万7千余名, 97年 51万8千余名と、下降傾向だ. カジノ施設の平均稼動率も 6% 水準でとても低い方だ. 済州島地域カジノは稼動率が2%で、もっとだめだ. まさに「閑散としている」状態だ. 全国の13業者中 8業者が済州島に集結しているが、年間利用客は8万7千名で、国内総利用客の 17%, 売上額は570億ウォンで、国内総売上額の 25%水準にすぎない. 連係観光商品が備わっていて、ビザが必要ない地域だが、これに似合った実績を上げられないでいる. 96年には 8地域企業が全て赤字を記録した. -------------------------------------------------------------------------- 行き過ぎたダンピング競争で顧客を失って・・・ -------------------------------------------------------------------------- カジノ業界では、このようになった原因を2種類にとらえている. まず、外部環境の変化. 台湾と国交断絶以後、台湾からの観光客が減ったの加えて、2年前にマカオに空港ができ、台湾の顧客たちがマカオに取られ始めた. 95年からは、日本経済のバブルがはじけて日本人顧客たちも減った. 昨年からは、日本政府が自国民出国時の日本円持ち出し限度を500万円から100万円に低くした. その上、日本内に2000余に達するカジノバーが昨年から事実上政府の許容下で営業をしている. 『韓国を訪れるカジノ顧客は、日本人と台湾人が大部分でした. 顧客 70%が日本人であり、不動産業者たちが大きな顧客でした. ところが、日本でバブルがはじけると、彼らも消えました』 カジノ業界関係者の話だ。 二つ目は、国内業者の過当競争のためというもの. 特に、8業者が集まっている済州地域のダンピング競争が深刻だと、カジノ業界関係者たちは皆が言う. 『客を誘致するために、ゲームで失った分の10%以上を補償しようと、お互い競争します. カジノ側の収益率が10〜15%であるのに、客をたくさん誘致しても何が残りますか. 違うところで努力するしかないでしょう. 自分の鶏を食べるようなものです. 結局、カジノの雰囲気も薄れて、客もまた来なくなります』 顧客誘致競争は、海外でより一層熾烈だ. 国内業者中の10業者程が、日本の各都市に出張所を持っていて、販促競争が大変なのだ. 『VIPリストに上がった顧客たちに電話と手紙攻勢を繰り広げることは基本です. 顧客の立場では、いろいろな業者に悩まされることになるからいらいらしますよ. 日本の主要空港に一度出かけてみてください. 顧客が入出国するたびに、販促社員たちが空港待合室に出てきて、競争するように手をついて礼をする姿を見ることができます. 顧客の立場では、おこがましくてうるさいものです』 ウォーカーヒルカジノ関係者の話だ。 今後、カジノが新設されれば、競争はより一層激しくなることだろう. すでにそのような兆しが見える. 政府がカジノ新設を許す方針を立てることに、江原道 廃坑カジノ設立を推進する側は、反対の立場を表明した. 新設されるカジノが外国人専用だとしても、いつかは内国人の出入を許すことになるのではないかということだ. そのようになれば、廃坑カジノはまた門を閉めなければならなくなるかもしれない. したがって、政府がカジノ産業の育成のために「交通整理」をしなければならないという声も出てくる. 例を上げれば、『現在分散されているカジノ施設を整理し、済州 江原 ヨンジョン島 等 3地域にカジノ企業を集めよう』という案だ. 済州島には、主に日本人顧客を誘致して, 江原道 廃坑カジノ団地には内国人, ヨンジョン島には、中国 ロシア 日本 東南アジア などの顧客を誘致するようにして特性和解をするという. 内国人のカジノ出入り問題に対しては、カジノ業界内部でも意見が紛糾している. まず、内国人出入時期尚早論を主張する人々は、『1人当り国民所得が 2万ドル 程度になれば、内国人出入を許しても良い. 仮に、IMF管理体制にならなかったら、韓国 1人当り国民所得がおそらくは 2万ドルになっていただろう. しかし、現在の経済危機状態では、当分 2万ドルになるのは難しい』と主張する. これに反し、いつかは内国人に許すしかない状況ならば、速く開放することがカジノ産業育成のために望ましいという主張もある. 内国人たちがカジノに集まってこそ外国の顧客もくるというのだ. そして、これまで国内でカジノ出入を許していなかったために、米国やマカオ フィリピン などに抜け出した巨額の賭博資金を国内でつかむことができるという主張だ. カジノ業界では、外国人観光客が増えるからといって、カジノ利用客が増えるとは見ていない. 毎年韓国を訪問する外国人観光客数は、400万名水準なのであるが、この中でカジノを訪れる人は52万名程度. ところが、この利用客もカジノ側からはそんなに喜ばしいお客さんではないとのことだ. 観光与件がよくなくて、短期滞在の観光客が大部分なのに加え、彼らが使う滞在費が1人当り 1500ドルにすぎないのだ. 宿泊費などを差し引くと、カジノに注ぎ込む金はいくらにもならないという計算になる. こういう状況なのに、13業者が競争をしているので、零細性を免れない. 韓国 カジノ 1業者の平均売上額が2000万ドルであるが、主要競争国はこれを はるかに上回る. マカオは、9業者があるのに、内外国人合せて 97年のカジノ利用客が2512万名で, 企業当たり売上額が2億1000万ドルだ. 豪州は、12業者を2180万名が利用, 企業当たり売上額は 1億ドル規模であり, カジノがひとつだけのマレーシアは、1572万名が利用, 売上額 7億ドルを記録している. マレーシアの場合を見れば、1ケ所でも正しく管理育成すれば、外貨獲得に大きな効果を上げることができるということがわかる. 政府は、外国人投資促進法を制定し、来年5月からカジノ業に対する外国人投資を許した. 国際競争力を揃えられない国内カジノ企業が、これらの進んだ経営技法と強大な資金力に耐えられるのかは未知数だ. 最近、政府が用意した法律改正案によれば、外国企業や個人が1億ドルを観光事業に投資すれば、カジノ業の許可を受けることができるようにしたのだが、カジノが増えるだけで外資誘致効果は微小なものだという指摘もある. -------------------------------------------------------------------------- 総売上額の半分はウォーカーヒルカジノが占有 -------------------------------------------------------------------------- 韓国カジノ業者中、最も規模が大きい所はウォーカーヒルカジノ. 97年 国内カジノ総売上額 2億4404万ドル中、57%に該当する1億3950万ドルがウォーカーヒルカジノの売上額だ. 2番目は、3764万ドル(15%)の売上げ実績をあげた釜山パラダイスカジノビーチ, 三つ目は、2210万ドル(9%) 売上げ実績をあげた済州島のパラダイスグランドだ. ところが、この三箇所はすべて「韓国カジノの大物」 チョン・ナグウォン氏(71・パラダイス投資開発会長) 所有だ. 3業者が総売上額の80%を占めている. 現在、ウォーカーヒルカジノ代表理事はシム・ギョンモ氏(58). カジノ業界で永く経験を積んだ専門経営人だ. 済州島 西歸浦市のホテル新羅カジノと済州市グランドホテルカジノを経営したこともある. 以前は、チョン・ナグウォン氏の妹婿だったキム・ソンジン氏が代表理事を務めていた. ウォーカーヒルカジノ運営主体の(株)パラダイス株式持分は、会長のチョン・ナグウォン氏 27.85%, 前会長の妹婿のキム・スンジン氏 16.33%, 前会長の妹のチョン・スクヒ氏 1.92%で、チョン氏を含む親姻戚が46%を所有している. チョン氏が建てた法人中には、釜山のパラダイスカジノビーチが30.74%, ケウォン学院が 4.96%, パラダイス建設産業が 6.67%の持分を持っている. 残りは、社長のシム・ギョンモ 3.84%, ジャン・シグウォン 4.8%, カン・スチャン 1.92%, ユ・ヨンソプ 0.96% 等、パラダイス役職員らが持っている. しかし、名目上の持分所有者と実質所有者が一致しているかどうかは確認することができない. 業界慣行上、実質所有者を隠すために「パジ(ズボン)株主」を前面に押し出すことができるため. ウォーカーヒルカジノの場合、最近死亡した某財閥会社会長と某言論社主が持分を持っているといううわさが飛び交った. この分野を捜査したことがある、ある退職した検事は、『その言論社主の持分比率は確認することができなかった』としながら、逆説的な暗示をした. これに対して、パラダイス社側では、『ウォーカーヒルカジノの持分を釜山のパラダイスカジノビーチホテルが持っていて, このホテルの持分を鮮京グループ系列社のウォーカーヒルホテルが持っているから、そのようなうわさが立ったようだ. そして、その言論社主と前会長が近い間柄間なので広まったうわさ』と、否認した. -------------------------------------------------------------------------- カジノ王国の第一人者 -------------------------------------------------------------------------- 釜山のパラダイスカジノビーチの代表理事はカン・ヨングク氏. カン氏は、前会長の妹のチョン・スクヒ氏の長男で、大宇電子副社長. 前会長が所有している、アフリカ ケニアにあるサファリクラブ社長などを受け持っていている途中で、年初に代表理事になった. 済州島グランドホテルにあるパラダイスグランドカジノ代表理事は、イ・ジェヒョン氏で、専門経営人出身. 以前は、シム・ギョンモ ウォーカーヒルカジノ社長が務めていた. チョン氏は、93年 カジノ脱税事件以後、経営の第一線には出ないでいるが、いまだに「カジノ王国の第一人者」として席を堅固に占めている. 国内ではチョン氏に追い付く者がないらしい. しかし、世間では、チョン氏がカジノ業界の第一人者になれたのは、果して自分自身の経営能力だけで可能だったのだろうかという疑問が湧き上っている. カジノ許認可過程で、権力の特典が作用したということだ. 1950年代初め、国連軍関連納品事業をしていたチョン氏は、『最小の費用で最大の経済的効果を上げることができる』という考えでカジノ事業に関心を持ち始めた. 観光協会理事に在任中だったチョン・ナグウォン氏は 65年, ユ・ファヨル氏(70)が仁川に新築中だったオリムポスホテル側の要請で、理事資格で経営陣に合流し、67年 1月にはユ・ファヨル氏と共同代表理事になった. オリムポスホテルは、その年 8月 朴正煕政権から営業許可を受けて、国内最初のカジノを開場した. 当時、オリムポスホテル社長だったユ・ファヨル氏は軍出身で、朴正煕 大統領と近かったことが知られていた. ところが、67年末、韓国観光公社がウォーカーヒルホテルにあったカジノ施設を運営してくれるようにオリムポスホテル側に要請した. オリムポスホテルは、3ケ月間の準備を経て、68年 3月にウォーカーヒルカジノ営業を始めた. 『当時、政府のカジノ営業許可は、ホテル附帯施設の営業場所に対する許可であったのですが、ウォーカーヒルホテル カジノ業許可権はオリムポスホテルでハなく、観光公社所属のウォーカーヒルホテル所有でした. 当時、観光公社は全般的な経営悪化を打開しようと、カジノ業に手を付けたことと理解しています』 チョン・ナグウォン会長側の説明だ. すなわち、カジノ事業権は、当時観光公社所属だったウォーカーヒルホテルが取得したものであり, オリムポスが特典を受けて取得したのではないという主張だ. チョン・ナグウォン氏は、72年 4月 オリムポスホテルの代表理事職を辞任して、一人立ちを試み, パラダイス投資開発株式会社を設立した. オリムポスホテルが経営したウォーカーヒルカジノは、コンチネンタル観光株式会社という法人として独立したのだが, チョン氏は 75年にこの会社の経営権持分を完全に引き受けることによってウォーカーヒルカジノを掌握することになった. パラダイスは、72年末、経営悪化で苦戦していた済州島 西帰浦ホテル側から西帰浦ホテルを含む 3ホテルを引き受けて、ホテル業にも本格的に飛び込んだ. チョン氏は、80年に釜山のパラダイスビーチホテルとカジノを引き受けて、いままで運営してきている. このホテルは、57年、国営 海雲台鉄道ホテルとして設立されたのだが、経営事情がよくなくて、公社と様々な民間業者がホテルの経営権を譲りうけて、経営正常化を試みたが、結局回生させられなくてパラダイス側に買入を依頼したのだ. -------------------------------------------------------------------------- 鄭ドクジン氏 カジノを甘く見て -------------------------------------------------------------------------- チョン氏が済州島グランドホテル カジノを引き受けたのは92年. 当時、このホテルのカジノ事業主だったチョ・チュンジャ氏が別途事業の組合住宅詐欺分譲で拘束された迂余曲折の末に、詐欺事件被害者の債権団が引受打診をしてきたという. チョン氏がカジノを引き受けるのに「驚くべき」手並みを見せたことは事実だが、平坦な路のみを歩んできたわけではない. チョン氏最側近の言葉によれば、『ウォーカーヒルカジノ草創期には、日本のやくざが集まって、チョン会長に持分を出せと脅迫して、困ったこともあった』ということだ. 済州島 西帰浦KALホテル カジノ事業権をめぐって葛藤もあった. チョン氏はカジノ賃貸保証金問題で、西帰浦KALホテル側と論議沸騰があった上, この頃、チョン氏側から西帰浦KALホテル周辺の土地に対する請求訴訟を出した. 元来、この土地はチョン氏の所有だということだった. このため、チョン氏と西帰浦KALホテル間に亀裂が生じると、スロットマシンで金を儲けた鄭ドクジン氏が89年 12月 KALホテルカジノ内パチンコ持分を取得しようと、影響力を行使した. しかし、結局、事業権を取得できなかったため、組織暴力団親分だった金テチョン氏が率いる数百名の「黒服部隊」を動員してデモをしたとのこと. これに対して、チョン氏側では、『賃貸保証金問題でもめたことと、鄭ドクジン氏が食い込もうとしたことは事実だが、鄭ドクジン氏がウォーカーヒルカジノに黒服部隊を動員したのは、他の理由のためだった. ウォーカーヒルカジノ職員の中に、鄭ドクジン氏と親しい姜某氏がいたが、その人を解雇しようとしたから行ったことだ』と説明した. そして、ウォーカーヒルカジノ事件以後、盧泰愚 政権は「犯罪との戦争」を宣言した. 鄭ドクジン氏 兄弟は、89年末から90年春まで、政治資金提供と関連, 大統領府と安全企画部が主導した、検察 警察 国税庁 監査院 保安司 等、司正機関の集中的な内部調査を受けた. この時にひどい目にあった鄭ドクジン氏側では、チョン・ナグウォン氏に会い、謝罪した. 鄭ドクジン氏の弟の鄭ドクイル氏(スターホテル会長)が兄を救う求べきだという考えで、単独でチョン・ナグウォン会長に会い、『もう、カジノを甘くみない』と約束したのである. -------------------------------------------------------------------------- 『カジノ 持分あれば脱税』 -------------------------------------------------------------------------- これまでの韓国カジノ不正の核心にあるのは、脱税とうしろ暗い政治資金を用意することができるというのが、最も大きな問題点. カジノ産業のある専門家は、『これまでの慣行をみれば、カジノ業者持分を持っているならば、脱税をするしかない』とまで主張する. カジノに従事した人々の話を聞いてみると、客がカジノを初めて入る時は、まずスロットマシンに手をつけて、順次 ルーレット、ブラックジャック, そして 出入するようになって 3,4年にもなれば賭け金が大きいバカラゲームに陥るようになるらしい. バカラゲームは、ディーラーがカードを返す時、9に最大限に近い所に賭けると勝ちで、カジノのディーラーは参加せずに手数料だけを受けとる. 賭け金が大きく、勝てば、8倍にもなるため、途方もない金額が行ったり来たりする. あるカジノ業者の場合、年初に台湾人がバカラゲームをして、2000万ドルを取ったという. 日本人顧客たちは、このゲームをする時、現金を持ってはしない. 日本当局の規制で、100万円以上を持って出てくることができないためだ. それで、日本現地で入金したことが確認されれば、これに相応するチップをディーラーがくれる. 現金の取引は日本現地でなされるのだ. 問題は、日本現地で入金されたお金が国内へは、10分の 1も送金されないということにある. ここで脱税がなされる. 検察で把握している、国内カジノ業界が発表する売上額が実際の10分の 1 水準だというのは、こういう取引を勘案したのである. 国内カジノ業界は、こういうバカラゲームをできる特別顧客を数百人から数千名確保している. 彼らを正しく管理することが営業のノウハウだ. 販促社員たちは、特別顧客のために、あらゆる便宜を提供する. 飛行機チケットと宿賃を代わりに支払って、ゴルフ場に案内することは基本という. 検事だった時期にスロットマシン事件で名声を飛ばした洪ジュンピョ ハンナラ党 議員は、カジノ不正に手を付けようとしたことがある. 『韓国 3大 賭博不正は、スロットマシン・カジノ・競馬 不正です. 93年当時、スロットマシンの事業規模は、全国に337ケ所で売上額は 1兆2000億ウォンでした. 内国人を相手にしたために、 国民におよぼす被害が大きく、組織暴力団と政治的庇護勢力があるということが問題でした. カジノはそのような問題はなかったが、脱税と政治資金に利用されるということが問題でした. 競馬不正の核心もやはり政治資金でした. それで、まずスロットマシンを捜査して、次にカジノと競馬を捜査しようとしました』 しかし、その計画は挫折してしまった. スロットマシン事件を終えたソウル地検がカジノを内密調査している段階で、この事件をソウル 釜山 仁川 各地検の特捜部に渡したためだ. カジノ不正を単純脱税事件とだけ見て、各地域の検察捜査に任せたのであった. その結果、チョン・ナグウォン パラダイス会長とユ・ファヨル オリムポスホテル会長が租税脱税などの嫌疑で拘束されたが、執行猶予で解放された. チョン氏がさる光復節の時に赦免復権になったのには、960億ウォンの罰金と追徴金を全額納付した点が勘案されたという. チョン氏側では、『実定法を破った点は認めるが、火災が起こったケニア サファリクラブの復旧と系列社の増資のために不回避だった点を理解して欲しい』と話した. カジノと関連して、私達の社会で最も否定的に受け入れらるのは、外国のカジノで巨額の賭博をする場合. 国内では、カジノに入ることができないから、財産家は外国のカジノに行く場合もよくある. 米国 マカオ フィリピン 豪州 等にたくさん行き、巨額の賭けの借金のために検察に摘発される場合が国内言論でも退屈しないほど報道される. 米国 ラスベガスでは、シーザーズパレスホテル カジノとリベラホテル カジノが、韓国顧客たちの主舞台. 以前、ローラ崔という女性が、賭けの借金をもらおうと、100余名の名簿を持って韓国にきたことがあったが、カジノ業界関係者等の話によれば、シーザーズパレスホテルカジノ副社長の在米僑胞 趙テイル氏が有名だという. 彼が確保している韓国人顧客名簿は、ベールに包まれているのだが、名前を聞けば誰でも知っている有力人が多いという. カジノ産業は外貨を獲得して地方自治体の財政を確保するだけでなく、観光レジャー産業等、関連産業を発展させるという意味で肯定的な側面もある. しかし、否定的な側面がより多い. カジノの附帯施設及び周辺遊興業所などをめぐった利権介入, 高利貸金業, 売春などと関連した犯罪組織が活動する可能性が非常に高い. いまは、カジノ出入が外国人にだけ許容されているために、こういう問題点がほとんどないほうがだが、今後、内国人のカジノ出入が可能になれば、スロットマシンよりもっと大きい暴力組織が寄生する可能性がある. また、カジノは賭博指向が非常に強いゲームであるため、国民の射幸心を助長させ、勤労意欲を低下させることは明らかな道理だ. カジノゲームに深々と陥った瞬間に、多量の金を飛ばして家庭が破綻したり、衝動的な犯罪を行うことは、他の国の例で十分に見ることができる. 年内にカジノが二郡で新設され、来年 5月から国内カジノ業に外国人投資が許容されるが、こういう否定的な側面をどのように管理するか. あらかじめ、対策を立てておくべきだ. -------------------------------------------------------------------------- Copyright(c) 1998 All rights Reserved. E-mail: newsroom@mail.dongailbo.co.kr
|