98年11月13日NEWS PEOPLE

“北で作ったわたしの映画を返せ”


newspeople98_11_13.jpg (13062 バイト)北朝鮮で製作した映画の著作権はだれにあるか? 最近の北朝鮮映像物議開放旋風で、北朝鮮映画のTV放映が相次いでいる中でシン・サンオク(申相玉)監督が北朝鮮に抑留されている時に製作した、自身の映画に対する著作権を主張した.

先月中旬、新しい映画‘訪問’の撮影のために一時帰国したシン監督は、最近、文化観光部に陳情書を提出する等、積極的に自身の‘権利’を提起している.シン監督は、国内某放送社が、自身が製作または監督した‘ひとで’‘愛、愛、私の愛’‘ひと月前’などの映画を上映するために、文化観光部から輸入推薦審議を受けようとしたという事実を知って、これを阻止するためにこのような行動にでたことが明らかになった.

シン監督によれば、自身の映画は北朝鮮に抑留されている当時、オーストリア ウィーンに設立した‘新フィルム’名義で製作したので、これらの映画に対するあらゆる権利は自分が持っているということだ.自身が保有しているこれらの映画の原版フィルムに‘1984年度 新フィルム映画撮影所 作品’と映画の製作者が明確に刻印されている事実で分かるように、これらの映画の著作権は自身にあるというのがシン監督の主張だ.

それに対し、これらの映画を輸入した ‘SN21 エンタープライズ’(代表 金ボエ)側は、北朝鮮政務院傘下の文化芸術部が権利を委任した朝鮮映画輸出入商社側と輸入契約を結んだため、版権は自分たちにあるという主張をしている.SN21側は “‘新フィルムが製作した、あらゆる映像物は、所有権が朝鮮映画輸出入商社にある’という北朝鮮当局の確認書を確保している”としながら、“朝鮮映画輸出入商社は、統一部の南北交流協力に関する実務冊子にも北朝鮮の主要文化芸術機関中の一つとして掲載されている”と明らかにした.

SN21側は、朝鮮映画輸出入商社が映画輸出のために、日本内業者である西海貿易側に7年間あらゆる権限を委任する契約を締結し、西海貿易はさる8月20日、自分たちに5年間権限を委任するという契約を締結したために、該当映画のあらゆる権限は自分たちにあるという主張だ.

このように、両者の主張はするどく拮抗している.シン監督側は製作者であり監督としても、あらゆる権利が自身にあるということであり、SN21側は北朝鮮当局の公式委任を受けた業者と契約をした自分たちの権利が保証されるべきだということだ.

現在、文化観光部は、シン監督が提出した陳情書の内容を綿密に検討していることを明らかにしている.文化部関係者は、“輸入申請をした業者側とシン監督側の主張で、どちらの主張が妥当かを検討している”と話した.この関係者はまた、“北朝鮮映像物の場合, 著作権の所有関係が不明なのも事実”としながら、“今回の件以外にも、輸入業者間に紛争が発生, 裁判になっている事件があると理解している”と付け加えた.

国内放送社の北朝鮮映画上映ブームは、今年初めから予見されてきた.さる2月、大統領職業務引継ぎ委員会で、北朝鮮放送開放を100大政策推進課題に選定する等、政府の‘陽光政策’に助けられて、TV 映画等の映像物の‘北方境界線’が崩れた.

SBSは9月、国内放送史上初めて北朝鮮映画‘安重根,伊藤博文を撃つ’を放映, 北朝鮮映画上映の‘いとぐち’を開いた.現在はKBSが5部作北朝鮮映画‘林巨正’を放映中だ.KBS側は‘林巨正’以外にも‘洪吉童’ 等、政治色がない北朝鮮映画を続けて紹介するという計画を立てていることが知られている.

SBSが放映した‘安重根…’は、さる79年、北朝鮮の白頭山創作団と朝鮮芸術映画撮影所が共同製作した映画で、人民俳優出身のオム・ギルソン監督が演出した.この映画もやはりSN21側が輸入したことが知られている.

輸入社間紛争で放映が遅れた‘林巨正’は、さる88年、北朝鮮の朝鮮芸術映画撮影所が製作した作品.作品が上映になった当時、平壌放送は‘封建統治者たちの苛酷な収奪と専横・虐政に反対して立ち上がった人物たちの生活像’が内容であると紹介したことがある.

北朝鮮映画開放は、‘北朝鮮を正確に知る’などの長所にもかかわらず、多くの問題点を露呈した.責任ある北朝鮮当局との直接接触が不可能な状態で、仲介業者との契約で国内輸入社間の過当競争が触発されることはもちろん、これによって輸入価が非常に高騰する副作用も発生した.現在、北朝鮮映画の1本あたりの輸入価は、数千万ウォンから数億ウォン台まではね上がっていることが知られている.

仲介業者の‘権利’を判別出来ないために、版権紛争も相次いでいる.
政府側も、北朝鮮映像物の版権に対する明確な基準を提示せず、版権をめぐる争いは今後も続く展望だ.一部では、北朝鮮製作映像物輸入をめぐって版権争いなどが相次ぎ、南北統一と和合の基礎を固めるために北朝鮮映像物を放映するという、本来の趣旨が色褪せたものになるかもしれないという憂慮の声が高まっている実情だ.

著作権問題は、今回が初めてだが、統一後には日常茶飯事に発生することもあるという点で、今回の事件に対する関心は高い.著作権問題を提起できたのは、もちろんシン監督が北朝鮮を脱出したために可能だった.シン監督がいまでも北朝鮮に抑留された状態だったら、この問題は提起されないままだっただろう.現在争点になっている部分は、大きく2種類だ.北朝鮮の著作権を認められるかという問題と、実際の著作権者は誰かという問題だ.

社会主義体制の北朝鮮には、著作権という概念自体がないことが知られている.北朝鮮は国際著作権協約(ベルン協約)にも加入していない.さらに、国内法体系上、北朝鮮はまだ‘反国家団体’として残っている.そのような点で、今回の著作権問題は、お互い相異なった、資本主義体制と社会主義体制の法律が摩擦を起こす最初のケースだということができるというのが、法律専門家たちの見解だ.

著作権者を判断する問題は、より一層複雑だ.一般的に、映画に対する著作権は、製作者にあると知られている.監督やシナリオ作家, 撮影監督等は、ギャランティーを受け取って、権利を製作者に譲渡したと見なされる.もちろん、すべて契約にしたがう.

今回問題になった ‘ひとで’‘愛、愛、私の愛’等は、製作者が新フィルムになっている.製作費を北朝鮮側が出したと知らされているが、確認することはできない.シン監督は“仮に、映画製作費用を北朝鮮が支援したとしても、映画製作にお金を出した人が映画の著作権者ではありえない”と主張する.輸入業者側とは相反する主張だ.

シン監督は文化部に陳情書を提出したこととは別に、近い将来、放映禁止の仮処分申請, 著作権確認訴訟等の法律手順を踏むと明らかにした.シン監督は、今回問題になった作品を含む, 自分が北朝鮮に抑留されていた当時に製作した7作品に対する権利を積極的に行使するつもりだいう点を明確にしている.

シン監督は、著作権を主張した背景に対しては、“お金のためではない.個人的名誉のためだ”と話した.映画人としての権利追求ということだ.今回の紛争が解決されれば、自分の映画を、国内封切り館を通じて、正式に上映する計画だというのが、シン監督の説明だ.彼は“TV放映とビデオ市場に進出するのはその後のこと”だと話した.

シン監督は、今回の紛争の円滑な解決のために、北朝鮮の金正日党書記総秘書兼国防委員長にも‘援護’を要請した.北朝鮮のUN代表部を通じて、金委員長に伝達した書簡で、シン監督は“金儲けにだけ及々とする一部の沒知覚な商売人達によって、過去に新フィルムで作った作品が売り払われている”とし、“こういう問題によって、金委員長の名誉に傷がつくようなことがあってはならない”と話した.

シン監督は、今回の紛争とは別個に、近い将来、第5,6共和国当時、当局から利敵表現物だという判決を受けた‘脱出記’‘塩’などの解禁のために再審を申請する計画があると知られている.


<パク・フンファン記者 stinger@seoul.co.kr>


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