全土の墓地化. 考えだけでもぞっとする‘光景’だ.伝統的な埋葬風習で土地が逼迫している.先進外国のように火葬が一般化になり、納骨堂文化を定着させることが、事実上もはや‘スローガン’で終わる問題ではない.もうすぐ、埋める土地がなくなるのだ.
私たちの 墓文化は解決する道がないのか? 墓地難の実態と豪華墳墓,
火葬・納骨文化の定着水準などを多角的に探ってみた.[編集者 チュ]

以前、‘蕎麦の花咲く頃’の作家イ・ヒョソクの墓地移葬問題で何日ももめたことがある.江原道
平昌郡 龍坪面にあった墓を遺族たちが坡州市
タンヒョン面に移葬したことが発端だった.そのことで、平昌郡側で推進中だった
‘ヒョソク記念館建立
生家復元事業’にはすぐに大きな穴があけられた.それでも、誰かが仲立ちに入ることができなかった.“近いところに移葬してつつましく守りたいのです”という遺族の言い分のために….
墓地の一部分が周辺工事で損傷することを知った以上、先祖の墓を放っておくことが出来なかった遺族たちの真心は、どちらかといえば賞賛されてもいた.
だが、改めて考えてみると、問題はかなり変わってくる.‘なんとしても土に埋めなければならない’という、根深い伝統墓文化の弊害が国土難につながり,
一気に‘火葬制度’が論争の中心に入った最近では特にそうだ.
現実には、埋葬の風習がこれ以上歓迎される状態ではないためだ.
97年末現在、全国の墓地面積は約996ku.全土の1%を占めているわけだ.
墳墓数は、概略2千万余基(集団墓地が31%,個人の墓地が 69%と集計)に達するという集計である.
ここに毎年新しくできる墓が20余万基(8ku).
この趨勢が続けば、2100年には全土で墓地が占める比率が 2%に達するはずだという予想だ.
この数値を皮膚で実感溢れるように一度置換してみよう.
総墓地面積は、全国工場敷地の3倍くらいになるということで,
毎年汝矣島の面積の3倍ずつ墓地が国土を蚕食していくという‘ぞっとする’話だ.
韓局墳墓研究会
鄭ギュナム会長は“埋葬文化に一大変革がなされるべきで、もはや、これ以上退く余地さえない”ことを前提にして“火葬率か合葬率を画期的に高めることができる根本的対案が開発されなければならない.
そうでなければ、生きた人間の生存が脅威を受ける状況がこないとも限らない”と話す.
生存の脅威にまでは行かなくても、一般庶民の立場で死んだ人の後始末で‘背筋が曲がる(註:金を絞り取られる、という言い回し)’事例は既に統計でも確認されている.
97年 3月、保健社会研究院調査資料によれば、葬儀を一度行うのにかかる平均費用は740万ウォン(火葬の場合は埋葬の51%
水準の381万ウォン).全体の費用中で最も高い比重を占めるのが葬儀関連費用で
60.6%.墓の敷地を定めるのにかかる費用だけで 37.4%を占める.
首都圏公設墓地の墓地価格は 1.5坪 基準で 110万ウォン.封墳がある3坪の墓地は150万ウォンだ.私設公園墓地も価格事情は類似している.6坪基準で450万ウォン線.
これ位になれば、なにやかやと葬儀費用が1千万ウォン台を軽く超えることが問題だ.
それさえも、面倒とお金だけで解決できる問題ならば幸いだ.明堂(註:風水説で墓を置くのに良いとされる場所)はもちろんのこと、近い将来には敷地を定めることさえ難しく、二重三重に頭を悩ますようになるのだ.
現在、公設及び私設(法人)を合わせた公園墓地は全国に総数 245がある.
しかし、これらの大部分が既に飽和状態ということに問題の深刻さがある.
ソウル市の場合、220万余坪に達する 5つの
市立墓地があるが、現在利用可能な所はヨンミ里1墓地だけだ.
ヨンミ里2・ビョクジェ里・マンウ里・ネゴク里墓地は満場だ.
ソウル市 施設管理公団 墳墓作業所 ムン・テヨン課長は“ヨンミ里1墓地も
今年中に満場になる予定だが、市でも抜本的な対策をだすことができないでいるのが実情”と明らかにする.
敷地探しもそうだが、現行関連法上、それに対する国庫補助金が全くなく(政府では公立納骨堂だけでも毎年
65億ウォンを国庫補助する)、すぐには予算確保が難しいということだ.
火は既に足元に落ちた.それさえも、ヨンミ里1墓地さえ先般の水害被害の復旧が終わらず、今年中は使用が全面中断されている.首都圏集中豪雨で被害を蒙った墳墓は計
4千96基.現在 65%だけが復旧完了した状態だ. 結局、先山(註:祖先の墳墓のある土地)がないソウル市民が、今葬儀を行おうとするなら、他地方の私設墓地を探すしかない.
火葬文化への改善は‘スローガン’に留まる余地がこれ以上無いことを如実に立証している現実だ.“一般的な国民情緒が火葬に対して拒否感を持っていることも事実だが,
制度上の弱点もまたあまりにも多い”と専門家たちは批判する.
保健福祉部はさる93年、墓地面積縮小と時限付き埋葬制導入を骨子にした‘埋葬場及び墓地等に関する法律’改正案を立法予告したことがある.改正案の主要内容は、集団墓地内の墓地面積を
1基あたり30u(9坪)から10u(3坪)に減らし、(合葬は15uまで可能),
埋葬時限を最高15年とするものの、 3回までは延長し,
時限が終わればすべて開葬して納骨墓に安置するというものだ.そして、個人墓地は、80u(24坪)以内だったものを30u(9坪)に再調整することにした.
アパート高層の虚空に浮かんだ面積まで合せて、生者の平均住居面積が
1人当り 4.3坪であることを勘案すれば,
死者に与えられた空間は狭くない.
61年に改正されて以来、この法律はいままで3回の改正過程をたどった.それにも拘わらず、相変らず非現実的な部分が多いというのが埋葬文化改善に悩む彼らの指摘だ.
ソウル市
墳墓作業所の一関係者は“墓地を使う時、厳格に事前申告して許可を得なければならないのが原則だ.しかし、その法規を守る人は一人もいない実情なのに加え、墓地面積規定を違反しても処罰するきちんとした対策もない”と話す.
全国の墳墓の実態を把握する仕事が不可能にならざるをえない.実際に、保健福祉部家庭福祉課から出される全国の墓地現況関連数値は
3年前と今がそっくりだ.
火葬に対する国民的拒否感が大きいだけ、政府は火葬政策誘導策を至急に打ち出すべきだというのが専門家たちの共通な意見だ.
公設・私設墓地や納骨堂等の管理側に当局が格別に神経を使うべきだという指摘も、そのような次元で出てくる.
韓国墳墓研究会
キム・チョンシク研究官は“外国の場合のように、管理当局がきめこまかく対応して、死者を納骨堂に安置した遺族が安心できる雰囲気を作るべき”と話す.
限界に達した墓地難を克服するなら、伝統墳墓文化に対する画期的な国民の意識変化が先行しなければならない
.専門家たちが提示する、最も薬効が速い処方せんは‘社会指導層が率先して火葬文化を開いていくこと’だ.
<ファン・スジョン記者 sjh@seoul.co.kr>
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