2001年8月NEWS PEOPLE 483号

[月貰(註:ウォルセ.月払いの家賃)時代]
“2年かけて貯めたお金を使っても京畿道へ押し出される”



“月給150万ウォンで、食べるものも食べず、着るものも着ないで2年間貯めたお金が計800万ウォンですよ.ところがチョンセ(註:多額の保証金を大家に預け、その運用益を家賃としてみなす慣習)価格が2千万ウォンにも上がったから、これをどうして払えるというのです? 政府はなにをしているのでしょうか. アパート分譲価格自律化を検討すると、価格だけ煽っておいて、またこれを白紙にもどすなどと翻意する.いったい、われわれのような人々は、誰を信じればいいのでしょうか.”

ソウル 上渓洞のアパートに暮らすKさん(28)夫婦は、なかなか怒りを鎮められなかった.彼らは、もうソウル市民ではない.
IMF事態直後に結婚したこの夫婦は、ネズミのしっぽ(註:すずめの涙)ほどの月給で辛うじてソウルの北東側はずれの上渓洞の18坪アパートにチョンセを得たが、2年ぶりに非常に上がった借用権価格のために議政府に追い出されたのだ. Kさん夫婦は、その間に子供ひとりを産んで、月30万ウォンずつ正確に貯蓄して、家をひろげる夢を培った.
しかし、彼らの新しい家は、議政府 新曲洞にある19坪のアパート.4千500万ウォンを払って、辛うじて得たものだった.
“私達が困り果てていたのがわかったのか、不動産仲介所では‘ご祝儀’を受けとりませんでした. 一方には大儲けする人々がありながら、他の一方には、私たちのような境遇が何故、さらにこのようにまでなったのかという悲しさを抑えることができません.”

無住宅庶民たちの悲哀が、私達の社会にまた再び暗い暗い影を落としている.
IMF事態直後、不動産価格暴落で、チョンセ保証金を割り引くために、家主たちが困難を経験しなければならなかった一時の奇現象は今はもはや往時のことになった. いまや、家主たちが大声を張り上げることができる時代がまた到来したのである.

1999年景気回復とともに大幅に上がった、ソウルと首都圏地域のアパート価格は、昨年から単純な技術的反騰を超えながら異常の兆しを見せた. 特に、ソウル地域は、昨年末現在、IMF事態が炸裂した97年末基準の売買価格とチョンセ価を飛び超え、この上昇勢はなかなか沈む兆しを見せないでいる.
庶民はIMF直後を彷彿とさせる深刻な不況の中で体験する住宅難であるため、その窮状がこの中で, 三重の重さで迫っている.

ドクター アパート ハン・グァンホ課長は、今の住宅価格及びチョンセ・ウォルセ価格上昇で最も大きな被害を受ける階層は、3千500万〜4千万ウォン程度のチョンセ入居者たちだと明らかにした. 彼は、“ソウル地域の場合、今年初め 対応 7月末現在、20坪以下のアパートは、チョンセ価格が17%程度, 20〜32坪は9%程度上がって、40坪以上の大型は横ばいを維持している”と、小型であるほど上昇幅が大きいと明らかにした.
昨年から急増した月貰転換の被害も、まさにこれらの階層に集中する.ハン課長は、“小型アパート密集地域のソウル江西区とノウォン区で月貰転換が特にめだつ”と話した. 彼は、“ 上渓洞の場合、昨年のこの時期、チョンセ・月貰中の月貰比率が40%程度に終わっていたが、いまは80%にもなり、不動産紹介所ごとにチョンセは高くなる現象を生んでいる”そして、“月貰形態は、純粋月貰というよりは、大部分が一部チョンセ保証金を出させる保証部月貰”と説明した.

ソウル・中渓洞の17坪アパートにチョンセで暮らしている自営業者Bさん(35)は、大家と2ケ月もの労力のいる戦いを繰り広げている.
当初、1年のチョンセ契約を結んだBさんは、初めて入居した当時3千500万ウォンだったチョンセ価格を、家主が何と2千300万ウォンも値上げした5千800万ウォンでの再契約を要求してきてあっけにとられた. もっとあきれ返ったことは、チョンセを出すお金がなければ、上昇分を月貰に上乗せしろと言ってきたことだった.2年契約を義務化した賃貸借保護法を盾に、既に契約満期が2ヶ月過ぎた今まではなんとか暮らしてきたが、大家が家を売り払うと強圧的に出てきて、気苦労が並大抵ではない.

農水産物 仲介商Cさん(37)は、大家の 要求に押されて、泣きながら辛子を食べるように、月貰を払って暮らすケースだ.
2年前、ソウル中渓洞の28坪アパートにチョンセ 7千万ウォンを預けて入ったのだが、最近、再契約する時の相場は、4千万ウォンも上がった1億1千万ウォンだった.上昇分は月貰に変えろという大家の要求に、いっそ家を買ってしまおうかと悩みもしたが、資金用意ができず、結局大家の要求に従い、月40万ウォンという大金を払っている.

ソウルと首都圏地域の住宅価格上昇は借家人の周辺化を深刻化させている.
値段が安いチョンセの家を探してソウルの中心部に暮らしていた借家人たちが周辺部へ, ソウル周辺部に暮らしていた借家人たちは京畿道へと押し出されている.
京畿道 議政府 新曲洞 極東不動産 キム・ウンボン所長は、“最近訪れるお客さんたちは、ソウル地域のチョンセ・月貰価格の上昇に耐えられることができなくて、こちらに家を探しに来た人が大部分です”と明らかにした.主に上渓洞, 中渓洞, 倉洞等、ソウル周辺部から来る客たちということで、議政府地域に暮らしていた人々は京畿道 楊州郡の白石面, ジュネ面, ドッケ里等に押し出されていると付け加えた.

毎日のように上がる借用権価格はもちろん、月貰転換ラッシュによってチョンセ物件が減り、借家人をより一層焦燥させている.
倉洞のある不動産仲介業者は、“昨年末までは、チョンセ契約の満期3ケ月前くらいから新しい家を求めて来られるお客さんたちが多かったのに、いまは、5〜6ケ月前から探しに来るお客さんがかなり増えました”としながら、“そのため、チョンセ物件品切現象をより一層深刻化させる悪循環をつくっている”と話した.

月貰は昨年より低くなり、チョンセ価格基準の延べ10%程度で形成されている.それでも、5%程度の現行銀行預金金利と比較する時、相変らず2倍程度に達している. これは、月貰借家人たちに負担を強いることを意味する.
ハン課長は、韓国の月貰が外国と比較して相対的に高い理由をこのように説明した.
“現在、わが国の月貰率、すなわち住宅価格対月貰価格の比率は米国と似た7%水準だ.問題は、住宅価格自体が所得に比べて、あまりにも高いというところにある.所得水準対住宅価格、すなわちPIR(Price Income Ratio)が、韓国は5.78なのであるのに比べて、先進国は2〜3になる.言い換えれば、韓国庶民たちの所得対月貰が占める比率は、先進国の2〜3倍に達するということだ.”

反対に、このような月貰高収益をねらって、大型物件所有者たちの間では、いわゆる‘セール アンド リース’(Sale & Lease) 現象が現れている. マイホーム取得情報社 キム・ヨンジン社長は、江南等から現れているセール アンド リース現象をこのように説明した.
“現在行われている セール アンド リースは、大型物件所有者が暮らしている家を売って同じ面積価格のチョンセを出しながら、売買価格とチョンセ価格の差益で小型アパートを購入, これを月貰として貰う方式です. 40坪以上のアパートの場合、売買価格が横ばいであるので、保有メリットがなく、小型アパートはすぐに月貰を受け取れるだけでなく、売買価格上昇幅も大きくて、一石二鳥の効果を狙ったのです.”

住宅価格上昇は、チョンセ物件品薄及び、月貰転換による負担から抜け出そうという借家人たちの家探し競争が最も大きな原因だ.
しばらく住宅価格が安定しながらチョンセを選好してきた階層が、当分は住宅価格がずっと上がるはずだという展望と共に、銀行金利が低いままで、誰も彼も家探しの戦列に並んでいるのだ.
住宅コンサルティング専門業者のマイホーム取得情報社の場合、今年に入って昨年よりも相談顧客が二倍程度にも増えて、非需要期の今でも盛況を成している. この会社の関係者は、“顧客が増えたこともありますが、例年なら相談内容中の住宅購買関連相談が、全体相談件数の20〜30%にしかならなかったのですが、いまは80%程を占めています”としながら、“ 買い傾向が途方もなく増えていることを皮膚で実感しています”と伝えた.

ソウル 江南地域のある高等学校 教師のJさん(40)は、大峙洞 開浦 ユソンアパート31坪をチョンセ契約満了と共に松坡区 巨餘洞の市営アパート25坪を購入して住んでいるが、後悔が大きい.
豊かではない暮しに、高い江南でチョンセで住んできたのは、職場が近くて、小学校と中学校に通う二人の娘の教育問題からだったが、何より、当分は住宅価格が上がらないという‘安易な’判断のためだった.新しく買ったアパート価格は1億6千万ウォンで、2年前には1億3千万ウォンだった.

不動産専門家たちは、大部分がソウルと首都圏地域のアパート価格は上昇の勢いを持続するはずだという悲観的展望をだしている.これは、現在の価格上昇原因が、住宅供給不足と噛み合っているためだ.

ドクターアパート ハン課長は、住宅価格上昇の原因を、住宅市場構造の一大変化に求めている.
すなわち、低金利基調の定着と、アパート供給量の拡大によって住宅価格上昇の神話が破られながらも、月貰が新しい住宅賃貸形態として急浮上したことが、チョンセはもちろん、売買価格までも上がるようにした原因という説明だ.
しかし、大部分の専門家たちは、このような構造的原因と共に、住宅供給不足もまた、無視出来ない住宅価格上昇原因だとしている.
市民団体 住居福祉研 ジョ・ヨンソク政策チーム長の説明はこうだ.
“IMF事態以前には、ソウル周辺に新都市が続々整備されながらソウルの人口が減りました. しかし、IMF事態以後、働き口を探してソウルに流入する人口が増えて、99〜2000年の間には世帯噴火が活発化して、住宅需要が大きく増えました.その反面、供給側面では、97年1年間で住宅建築許可量が60万戸に達していたのが、98年に30万6千戸, 99年は40万3千戸, 2000年には44万戸でした.この期間の需給不一致が今になって、市場で本格的なアパート価格上昇として現れているのです.”

今すぐにアパート供給拡大政策を行うにしても、建築完工までは住宅価格上昇の勢いが続くというのが専門家の結論だ. 無住宅庶民たちは、不精の代価ではなく、政府の住宅需給政策のエラーのために耐乏を強要され、当分は血の汗を流しながらお金のより多くの部分を大家に渡さなければならないのだ.

キム・ファンヨン記者 dragonk@kdaily.com

 
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