2001年6月NEWS PEOPLE 473号

[社会] 全国民 '贅肉落し戦争' 終わりはどこに…



たやすくは終わりが見えない戦争だ.
まるで、すべての国民が‘贅肉落し戦争’に参戦しているかのようだ.しかし、勝者のない、敗者ばかりの戦争だ.
男子3人中一名, 女子は4人中3名ずつが贅肉落しを試みた経験があり、葡萄ダイエット, 貴族ダイエット, 食酢ダイエット, 薬物から金魚運動機, AB術等、運動器具まで、数えきれない程多くの‘秘法’が浮き上がっては消えた.

それで、最近、コメディアン イ・ヨンジャ氏の36s体重減量は新鮮な衝撃だった. 彼が明らかにした‘秘法’の駆け足はすぐにブームを起こした. しかし、脂肪吸入術が実際には直接的な方法ではなかったのでは、という疑問がふくらみながら、状況はとてつもなく波及し、今度は形成外科が門前市を成している.

総じて4月から8月まで,‘露出対応水着 スタイル作り’シーズンは形成外科の盛需期とも丁度合致し、今年の形成外科はどの年よりも混雑している.

“これまで‘効果があるだろうか?’‘後遺症はないだろうか?’等、疑問と共に隠しておいた欲求がそとに噴出, 増幅されたのは事実”と、形成外科医師は最近の状況を観測する.

もちろん、法廷にまで行くことになった脂肪吸入術攻防の明暗が、いずれにせよ脂肪吸入を知らなかった人々まで関心を持つようにしたことだけは、今回のハプニングの‘成果’であることは明らかだ.

まさに“脂肪吸入術は効果がなかった. やはり運動が最高だった”とイ・ヨンジャ氏は強調したが、最近、ある形成外科で実施した調査によれば、‘痩せなければ’と決心している女性中の何と62.1%の女性たちが‘明確に脂肪吸入で痩せる’と考えていることが表れた. そして、その女性中の50%以上が‘可能ならば私も脂肪吸入手術をしたい’と本心をさらけ出した.

“果してどれくらい落とせるのか?”という疑問は、“イ・ヨンジャがあれ程落とせるのなら、私はもっとスマートになるのでは?”という期待に変わった.
最近、形成外科のホームページには、“脂肪吸入手術を受けると、果してどれくらい痩せることができるでしょうか?”“費用はどれくらい?”と尋ねる女性たちの質問が‘切なく迫る’.
さらに、‘贅肉を削らなければ、生きていけない’や‘魂を悪魔に売っても、一度スマートになれれば良い’という言葉に至れば、私達の社会の贅肉落しシンドロームは関心事とみるよりも病理現象という恐れが感じられる程だ.

さらに、最近になって、贅肉落しは女性たちだけの関心事ではない.既に形成外科の脂肪吸入手術中の20%が男性だという.さらに、腹部肥満がめだつ40代後半の男性のみだけでなく、スタイル管理のために、20代中盤の男性たちまでがこれに加わっているという.

太った人は鈍くて愚鈍なばかりでなく、‘自己管理しない未開人’などと揶揄されている.

さる9日、夫の友人集いに参加した ジョン・フィギョンさん(37 ソウル 永登浦区 汝矣島洞)は、はっと驚いた. 男たちがひとりずつ入るごとに、“わあっ, ずいぶん肉が落ちたね!” あるいは、“からだが太ったねえ.運動しないの?”というのが、共通の挨拶の言葉だったためだ.

“集まりさえすれば、贅肉を話題にするのが最近の女たちだとは知っていました. ところが、男たちも劣りませんね.”
さらに、この日のハイライトは、僅か58sの痩せた男性が‘減量中’と言いながら天ぷら料理には手も触れなかったという事実だった .
“本当にストレスです。男たちでさえこのように体重を減らすのに、私はどうすればいいのか, 図らずも憂うつになりました.私の夫も、集いの後、ダイエットしなければと、ヘルスクラブに登録しました.”

贅肉落しは、すでに外貌管理ではない. 自己管理だ.
むしろ、やせるために生きているように見える人々も少なくない. ただの一日だけでもヘルスクラブに行かなくても腰が太るようで、夕方になるとそわそわするという40代主婦がいるかと思えば、170p,51sという20代女性も‘やせていない’と、悩んで精神科を訪ねる例もある.
‘見栄えがよい’ 中年夫人が20代のスタイルを基準にして、‘私は肥満だ’という誤った呪文を唱えて苦しがることは、見る者には‘好事’だが、当事者にはぞっとする悩みだ.

精神科専門医 ジョ・ソンジュン博士は、問題の深刻性を逓減できるが、こういう現象は今後より増えるはずだと断言した.“原因がそれぞれ異なる憂鬱症も、結局体重減量や美的コンプレックスと複合的に絡まり、精神的・肉体的問題を育てています. 非常に最近は美の基準が非正常に駆け上がっていて、問題はより一層大きくなるでしょう.”

肥満は明らかに病気だが、私達の社会では、まさに‘肥満ではないのに肥満だと悩む患者’がより一層問題だということだ.

ソウル大 精神科 クォン・ジュンス教授は、これを‘私達の社会の強迫的な特性’と重なることを前提に,‘外貌至上主義’‘一等主義’の集団ヒステリー症状は、それが作られる機会だけが与えられてもその深刻性が炸裂して出てくると診断した.“実際に身体異型症患者, すなわち、自身の外貌や身体が異常だと思って苦悶に陥る患者たちのうち、体重問題が最も大きな原因になっている事実は確認されています .マスコミでスマートな女性たちがもてはやされるかぎり、ダイエット熱風を眠らせることができないでしょう.” 最近、主婦対象ポータルサイトがアンケート調査をした結果、全国の1千400名の主婦中、腹部体型矯正, 腕と太ももの脂肪除去手術等の脂肪吸入手術を望む人が480人(33.5%)で、しみ・そばかす除去(155人,10.8%), 二重まぶた手術(140人,9.8%)をはるかに追い抜いた.

ホ・ナムジュ記者 yukyung@kdaily.com

 
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