2001年5月NEWS PEOPLE 469号

[文化] 文化芸術界に '商標権紛争' が熱い


‘芸術の殿堂’とは、固有名詞か,普通名詞か. 
時ならぬ国語の学習ではない. ただいま、‘芸術の殿堂’名称をめぐって‘芸術の殿堂’と京畿道 議政府市の商標権紛争が尖鋭に対立している最中なのだ. 
交響楽団間でも、名称をめぐって神経戦だ.‘ソウルフィルハーモニック オーケストラ’という名称をめぐって、ソウル市交響楽団とニューソウルオーケストラ間にも商標権紛争が起きている. 

‘芸術の殿堂’(社長 キム・スンギュ)という名称をめぐって‘芸術の殿堂’と議政府市間に商標権紛争が始まったのは、去る4月6日、‘議政府 芸術の殿堂’開館に際してからだった. 

議政府市は計500億ウォンの工事費を投入して、議政府2洞に地上3階, 延面積 6千770坪規模の公演場を完工, 市民を対象にインターネット公募を経て、‘議政府 芸術の殿堂’と定めたことが知らされた .開館に先立ち、議政府市は高さ5mの鉄の銘板を公演場入口に設置し、公演場に達する主要道路の案内表示にも‘芸術の殿堂’と表記した. 

すると、‘芸術の殿堂’は、88年‘芸術の殿堂’という名称を商標権登録を終えて、有効時限10年が経過した99年に商標権を更新, 2008年まで有効な状態であるとし、 議政府市側が名称を変更することを要求した. 

しかし、議政府市は、決して商標権侵害ではないという立場だ. "‘芸術の殿堂 ’と‘議政府 芸術の殿堂’は、厳格に異なる名前だ"というもの. 

芸術の殿堂 訴訟 担当 キム・グァンス氏は、“議政府市が名称盗用でないと主張することは、‘高麗大学校’を‘議政府 高麗大学校’と言った後、盗用ではないと主張することと同じだ”と話した.キム氏は、“わが国は知的財産権に関して、非常に粗雑にしてきた傾向があるが、公共機関ですらこのように類似商標をむやみに借用して使うことはあってはならないこと”とし、“法廷訴訟を繰り広げて、必ず議政府市の知的財産権毀損行為を是正させる”と明らかにした. 

芸術の殿堂 労組(委員長 ソン・インサン)側も、“議政府市のこのような名称詐欺を芸術の殿堂の実体性と関連した重大事項とみなし, 市側に即刻な法的対応うを求める”と要請した. 

‘芸術の殿堂’側は、96年に‘清州 芸術の殿堂’が開館した当時にも、名称変更を要請したが、清州市はこれを無視, 公演場の建物に‘清州 芸術の殿堂’が明記された銘板をかけ、各種ポスター・広報物,言論報道などにも、ずっと芸術の殿堂という名称を使用中だ.‘芸術の殿堂’側は、"清州の場合は地理的に遠くて文化圏が異なったため、当時は強力に対処しなかった側面があるが、首都圏の議政府で同じ名称を使用することは困る. 今回を機会に、清州にも同じ問題提起をする”と明らかにした. 

‘芸術の殿堂’側は名称変更を要求する民事訴訟を準備していて、これは結局法廷で明るみになるものと見られる. 

一方、議政府市は‘議政府 芸術の殿堂’という名称は、商標法上の商標概念ではなく、業務標章概念の範ちゅうに属するので、特許庁の商標概念に関する登録商標とは別個とし、名称変更の意思がないことを明らかにした.市 関係者は、“市民公募を通じて名称 定めたうえに、既に市条例まで通過した状態での名称変更は事実上不可能だ”ということだ. 

ソウル市交響楽団とニューソウルフィルハーモニック間の商標権紛争も複雑にからまっている. 

91年11月に創立されたニューソウルフィルハーモニックオーケストラ(団長 アン・ダン)は、最近、第2部創立のために、ソウルフィルハーモニック オーケストラと、名称を変更した.ニューソウルフィルハーモニックは フィルハーモニックの前の‘ニュー’という接頭詞が、あたかも別のオーケストラの亜流のような感じを与えるうえに、第2部創立に似合うように雰囲気を刷新するという次元で、‘ニュー’の字を抜いたという.英語名称は‘Seoul Philharmonic Orchestra’を選んだ. 

すると、ソウル市交響楽団が異議を唱えた.混乱の素地があり、外国に知られたソウル市交響楽団の名称と全く同じだというのが、その理由であった.ソウル市響は ‘ソウル フィルハーモニックオーケストラ’を使うことはあってはいけないこととし、ニューソウルフィル側は即刻改名方針を撤回しろと要求した.ソウル市響側は “ソウル市が世宗文化会館を財団法人としてスタートさせた混乱期のスキを突いて、ニューソウルフィルが商標権申請をした”という. さらに、韓国を代表するオーケストラの名前をそのまま使用しようというのは、故意的な商標権盗用が明らかで、一般人に混乱を呼びおこし、利益を得ようということが見えると指摘した. 

反面、ニューソウルフィル側は“商標権登録されていない名称を先に登録すれば、誰でも使用することが出来るのにもかかわらず、既得権者の世宗文化会館が固執している”という立場だ. 

しばらく停滞していた両側の紛争は、最近、ニューソウルフィルがグロリア オペラ団主催のヴェルディのオペラ‘リゴレット’公演パンフレットにソウルフィルハーモニックオーケストラという名称を使ったことでまた開始した.芸術の殿堂 オペラ劇場であった‘リゴレット’ 公演で伴奏を引き受けたニューソウルフィルがソウルフィルハーモニックオーケストラという名称で印刷物に表記し, 一部言論にもこのように紹介されると、ソウル市響は正式に問題を提起するに至った. 

ソウル市響は声明書を出して、“大韓民国の代表的で、最も古いオーケストラの名称を盗用しようというニューソウルフィルの行動を決して容認しない”と糾弾した.世宗文化会館 関係者は “ニューソウルフィルの行為は、道徳的に容認することができず、このような試みには強力に対処する”と明らかにした.さらに、‘ソウル市響の横暴ではなく、政治圏を背負ったニューソウル側の圧力が手強い”と話した.そして 音楽人の署名運動を準備中だと明らかにした. 

このような状況を眺める一般人たちは、文化界の利権争いを眺めて冷笑的だ. 

ソウル市響 公演発展委員会 アン・ドンヒョク氏(コントラバス 第1首席)は、“ニューソウル フィルハーモニック側の公演問い合わせがソウル市響側にきている”としながら、これは一方的な‘譲歩’の問題ではないという.同じ地域内に同じ名称がありえるかということだ. ニューソウル側の主張するように、公然化抑止ではなく、ニューソウルの‘リゴレット’演奏時にもソウル市響に実際に電話問い合わせが降り注いだことを例に上げた.また、同じ名称を使用する場合、海外演奏者を招請する過程で、混乱は火を見るより明らかだということだ. ソウル市響側は、ニューソウル側に‘Seoul City Symphony’は使用することが出来ることを明らかにした. 

芸術の殿堂 ユン・ドンジン課長は、商標権紛争が決して文化界の利己的な戦いであるだけではないと強調した.“著作権という概念もなかった時があったが、自身の固有の特色に関する自意識が初めて生じる、肯定的な側面もある”と分析した. うまくおさまれば、商標権に対する新しい認識と基準が作られるはずだという期待もした. 

知的財産権紛争の専門家 パク・ソンホ弁護士は、これに対して、“商標法では明確にきちんと明示されていない.法解釈に少しずつ差が出ていたが、これを契機に、国内公共機関の名称に対する商標権が整備されることは明らかだ”と話した. 

文化芸術界の尖鋭化した商標権紛争は、まゆをひそませたことは事実だが、著作権問題が文化界でも看過することができない時がくることを見せた例でもある. 

ホ・ナムジュ記者 yukyung@kdaily.com

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