2001年5月NEWS PEOPLE 468号

[復古熱風] '大衆文化時計' 逆戻る



過ぎたことはすべて美しい. 
記憶中の過去は、実際より美しく編集されて残るようになっている.そのように、感性にまさにぶつかる大衆文化では、過去とは美しさと同義語だ. 

最近、私たちの大衆文化の時計は逆に走って行っている.情緒を測る時計があるならば、たぶん、2001年の今日、私たちの文化界は丁度70〜80年代にとどまっている. 

映画‘チング(註:「親旧」親友のこと)’が、韓国映画興行記録をまた書き直している.歌謡界には長い間に忘れられなかった歌手たちが帰ってくるかと思えば、新世代の歌手たちもリメイクに精を出す. 放送は史劇ブームに、現代劇でも色あせて貧しかった裏路地物語をもれなく設定している.また、楽劇(註:韓国固有のミュージカル)はミュージカルを押さえて‘興行になる’という評を聞いている. 

復古は、既に文化界のキーワードとして位置を占めた. 

最近の復古現象は、映画‘チング’で開始したという.‘盛りが過ぎた’という言葉は、決して称賛の意味にはならなかった時があったのに、‘チング’は、盛りが過ぎた主題と小物, 流行語等で、過ぎ去ったこと自体を新しく紹介した.‘チング’の興行は、男性的な義理と友情が力強かった時代に重なって、映画的面白さもずいぶんあったが, 結局、復古的な社会現象ともよく噛み合ったということだ.それで、観客動員600万を超えてもまだ減らずに、‘ハンニバル’‘メキシカン’等、海外ブロックバスターを追い抜いている. 

しかし、厳密に言えば、‘チング’が復古を呼んだのではない. むしろ、‘ チング’が復古の波にうまく乗ったと見るべきだ. 疲れてつらい人々に、映画はチングという絶対慰安を引き込んで, 感性に直接的なメッセージを伝えたのだ.時代の情緒と映画が合一させられたというほうがより妥当だろう. さらに、‘ 18才以上観覧可’と縛られているため、興行記録を単純に映画的成功としてだけ見ることができない. 

ネチズンたちも、‘チング’の成功要因を、70〜80年代に対する復古的郷愁(33%)であるとし、逆に‘チング’が復古主義のおかげをこうむったという意見も 14%以上だ.(大学ポータルジェクシーキャンパス:www.xy.co.kr アンケート調査) 

復古旋風は、事実上、IMFの経済危機と脈を共にする.外部に向かって,物質的なことにだけ関心を持った人々が、難しい時期にまた出会いながら、自身の内面に気を使って,‘あまりにも前だけを見て走ってきた’という自覚が私達の社会の大部分人々を揺さぶったのだ. 時を共にし、小さなことの大切さと、ゆっくりの貴重さが強調されたことも、復古が愛されるのと同じ脈絡だ. 

映画マニアたちは、まさに ‘薄荷砂糖(註:邦題「ペパーミントキャンディ」)’を復古主義の元祖として選ぶ.2000年初め,“私は、また戻るのか!”という有名な台詞で絶叫したことが非常に強烈だったということだ.また、チョン・ドヨンが小学生として出演した‘私の心の風琴’や、 ユ・ジテが出演した‘同感’も、70年代をへその緒として連結し、また、‘共同警備区域 JSA’もやはり、軍隊時期, 過去の時期に対する郷愁が重要な役割だということだ. やはり、過去への郷愁が成功の要因だ. 

TVでも、復古は先んじる秘訣だ.最近の2〜3年間、‘ウンシリ’‘国会’等、時代を遡り、困難を勝ち抜く話が面白がられた. 

そして、しばらくは、製作費が多く,キャスティングもむずかしい(演技者の場合、史劇に出演すると、良い条件のCF出演依頼が入らないという)という理由で、史劇は冷や飯喰らいの身分だった.‘用意、涙’以後、各チャンネルごとに史劇を急いで編成していて、出資研究所記者たちの競争まで盛んだ.‘太祖王健’の他、‘ホン・グキョン’‘女性天下’はもちろん、現在、‘明成皇后’も開始し、いつよりも最も熾烈な史劇競争が行われている. 

また、時代劇も絶えず製作されている.現在、40〜50年代を背景にした‘梅花恋歌’では、‘人力車’‘東京留学生’‘平壌キーセン学校’等、時代的なキーワードが目を引いており,‘噂さの女’は、‘ポンチャック’と流されているポップソングが、過ぎ去った時期への郷愁を刺激する.チェ・フィジュンの‘私の愛 ジュリアン’,‘黒い傷のブルース’,‘黄色いシャツの男’と、ポップソング ‘You mean everything to me’‘ Too young’‘Crazy love’ 等、過ぎ去った歌が新しい. 

過去の歌は、流れた時間を報せてくれる装置だというだけではない.最近の楽劇は、解放前の全盛期より、むしろ公演数が多いらしい. 

父の日を狙った‘父の日 孝行ショー-楽劇 イ・スイルとシム・スンエ’は、イ・スイル役にナム・ジン, シム・スンエ役をムン・ジュランが担当してナム・ボウォンがキム・ジュンベだ.その他、ホ・チャムが兵士として登場したかと思えば、ソン・デグァン, ヒョン・ミ, ヘ・ウニ, ウンバングル姉妹, チェリーボーイ 等、過ぎ去ったスターたちが舞台に上がった. また、さる正月には‘哀愁の小夜曲’‘崩れた愛の塔 ’‘旅路’等、楽劇3編が同時に舞台に上がった.平均製作費8億ウォン以上がかかるという楽劇が公演されるということは、それだけ需要があるためだ. 

名節(註:韓国固有の盆・正月)時ではない3月に舞台に上がった‘親父の青春’は、ネチズンを通じて8千万ウォンもの製作費を集めた若者達が作った楽劇だと目を引いた. 中・老年層には‘あの時期 あのショー’という懐かしさのある楽劇は、復古という時代的潮流で、若い層まで引き込んだ. 

歌謡界でも復古旋風は、ほとんど台風に近い. 

グループ ドゥルグックァが、解体12年ぶりに再結成して繰り広げた公演は大ヒットを記録して、その後に続いて‘ドゥルグックァ トリビュートアルバム’まで出された.キム・ヒョンシク, キム・グァンシクのアルバムも作られた.また、80年代を風靡した歌手たちが新しいアルバムを製作して、ひきつづき長い眠りから覚めている. 

イ・ソンヒ イ・ムンセ イム・ジフン イ・スンチョル チェ・ソンスが、新しいアルバムを出したり、その準備中だ.‘中堅歌手’ではなく、‘過ぎ去った歌手’として後ろにしりぞいた彼らは、90年代以後、10代指向の音楽によって占領された韓国歌謡界から完全に忘れられた. 
しかし、彼らが同時多発的にカムバックしながら、10代が主流をなした歌謡界で彼らが新進勢力として急浮上している.80〜90年代のバラード曲を集めた企画アルバム‘イ・ミヨンの恋歌’が、130万枚を超える爆発的な販売高を記録したのも、復古に根をおいている. 

ヒップホップグループ DJ DOC が‘トンムルウォン(動物園)’の‘変わって行くよ’,ダンス歌手 ユ・スンジュンがチョー・ヨンピルの‘友よ’を歌い, チョ・ソンモが‘なくした傘’を, Jが イ・ソンヒの ‘Jに’を歌った. パク・ファヨビがリズム・アンド・ブルース(R&B)唱法でパティ・キムーの‘離別 ’をリメイクした. 

チョ・ソンモ, ユ・スンジュン, キム・ヒョンジョン 等、13名の現役歌手が先輩たちの歌をまた録音した‘リメイク op.01’というアルバムを, 人気ダンスグループ ‘ピンクル’が先輩女性歌手たちの歌を再編曲して歌った‘メモリース & メローディス’をまもなく出す予定だ. ピンクルはヘ・ウンヒの‘貴方はどうしていますか’がタイトル曲としてゆったりしたリズムを軽く編曲して, その他に‘見える’‘あなたは人形のように笑っているけれど’‘瞳’‘時間の中の香り’‘どんなに懐かしい’などをリメイクした. 

その他、50年代の町内の井戸と背負い荷物, 煉炭等、最近の子供たちは知ることもできない‘古典’などが、復古旋風に乗って演劇舞台に上がった. 国立劇場で、子供の日特集として用意された‘私が幼いときに-九歳の人生’は、復古旋風がなかったら、劇場の小道具室で埃をかぶっているがらくたを舞台に引出して話題になった. 

また、昨年、オンラインを熱した同窓会サイト‘アイ ラブ スクール’も、やはり、さる時代に対する郷愁に乗る世相を見せてくれた例であることが明らかだ. 

それなら、懐かしさの対象になる 70〜80年代とは、果してそのように美しい時代だっただろうか. 

文化評論家 ジョ・ヒョンジュン氏は、‘絶対平等’が、まさに復古だという.“学生服, 坊主頭で代弁される、画一的な学窓時期は、30代以上の男性には絶対平等の原形であることが明らかです.”すなわち、制服を着るだけで皆がひとつになる、そのような時期は、熾烈な競争社会, ちょっとでもよそ見をすればやむを得ず退歩してしまう現在の状況では絶対に再現出来ないので、憧憬するしかないということだ. 

音楽評論家 イム・ジンモ氏は、80年代歌手たちの再登場が、音楽的多様性を持つという側面では非常にうなずけるが、投資額が少なくて失敗する心配が少ないという理由で、退行的な復古アルバムが流行することは、復古の否定的な面だと話した. "自然にできたトリビュートレコードやリメイクアルバムでもない、既存人気曲を集めただけのお手軽編集レコードが創作の産苦を込めた新曲レコードの販売を邪魔することは明らかに問題だ"と指摘している. 

文化人類学者 ジュ・ヨンハ氏は、世紀末的現象が世紀初に現れた状況とし、“こういう流行が肯定的か, 否定的かを判断することはむずかしい.ただし、文化的商業主義がこれをうまく利用したということだけは事実”とし、民族的で文化指向的であり、感性的な70年代の情緒が、感覚的なこの時代によく溶解することを希望すると話した. 

ホ・ナムジュ記者[yukyung@kdaily.com]

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