さる6月2日夜10時、弘大前有名テクノバー ‘nbinb’.あたかも、秘密宗教集団信徒たちの地下アジトのような雰囲気.四方の壁に設置されたスクリーンでは、なにかわからないコンピュータグラフィックが絢爛な照明と共に朦朧とした雰囲気をかもし出していた.
そして、その中で、100余名程度の若者達が絶えず演奏される強いテクノビートに合わせてからだを揺さぶっていた.
人気ヒップホップグループ YG, DJ DOC,人気タレント
イ・ジェニ、ソン・ヘギョなどが頻繁に訪れるというそこは、その有名なだけ‘物’が良い若者達で満杯だった.真っ赤な頭,
黄色い頭, 紫色の頭,
白い頭等、色を弾ませることは基本で、髪を巻いて立てた‘稲妻頭’,上に持ち上げて縛った‘分数頭’,いっそのこと平らに押しつけてしまった‘窮屈頭’,
銀ラメの付け毛を付けた頭等、ヘアスタイルからは‘サイバーチック’な香りがする.
10時50分頃になっただろうか、音楽がますます大きくなるのかと思うと、フロアの端に作られた、黒いビニールで識別された舞台からバービー人形のような三名の女性たちがどこからともなく‘退廃的’に感じられる衣装をまとって中央舞台に歩いて出てきた.
壁面のスクリーンには‘バービー人形の解体記’という文字が浮かび上がって、益々速くなる音楽に合せて三名の女性が踊り始めた.このパフォーマンスは、11時10分頃、三名の女性がまとっていた服をつまんで投げることで終わり、場の雰囲気は最高潮に達しているようだった.ここまでは、‘N世代’がたくさん集まる所に行けば、ありふれた、よく見ることができる雰囲気だ.本当に‘破格’なのは、その次のことだった.
‘バービー人形解体記’というパフォーマンスの興奮が冷めていく前に、突然、舞台に白色のからむし製の韓国民族衣裳
チョゴリズボンに黄緑ベストを着た、50代中盤の男性歌手がタンバリンひとつを手に持って現れた.ソウル郊外のキャバレーでよく見るような顔と衣装だった.舞台に上がって、彼はすぐ、“こんにちは〜イ・バクサです”と、簡単に自己紹介をすると、‘オホホオ、ドゥリドゥリ、ドゥドゥリリ、チョアチョア、ミジョミジョ、アッサ、ドリゴドリゴ…’などと、騒がしいアドリブと共に‘歌’を始めた.(註:ここをクリックしてください.real
playerで聴けますよ)
その歌というのは、静かに聞いてみれば、まさにバス運転手のおじさんたちには‘不滅の人気名作’の‘ポンチャックメドレー’.恐ろしいのは、この‘ポンチャックメドレー’音楽に、先端文化の尖兵というN世代たちが熱狂することだった.あたかも、何かのロックグループ公演場にきた雰囲気で、色とりどりの頭たちが全身を揺さぶって踊り,
歌を叫んで‘キャアアアッ’と歓声を上げた.女友達を帰して踊りに熱中している20台序盤の男性に“この歌良いの?”と尋ねると“面白いですよ”と答えた.
最近のN世代たちに別名‘ポンチャック’と呼ばれる‘トロット’が人気だ.‘トロット’の熱風を作り出したのは
‘遊園地の男キーセン’あるいは‘ダンス音楽の新人類’と呼ばれる‘イ・バクサ(本名イ・ヨンソク・55)’という歌手.
韓国で観光バス案内員,
キャバレー歌手等として活動している途中で、日本のソニーミュージック関係人の目について、1996年、日本に進出した.当時、日本のティーンエージャーから多くの愛を受けた.イ・バクサが韓国N世代たちに‘思いがけない’愛を受け始めたのは、最近、パソコン通信ヘビーメタル及び日本ポップ同好会資料室を通じてイ・バクサの曲が浮上してからだ.ヘビーメタルや日本ポップ等は、少数のマニアたちが集まった所なので、照会数がせいぜい100回を超えることができない場合が大部分なのであるのに比べて、イ・バクサの曲は500回以上の照会数を記録して‘爆発的な人気’を誇示した.結局、このような人気に助けられて、ある高等学生が4月末、パソコン通信‘ナウヌリ’に‘宇宙のファンタジー’というファンクラブを開設した.
‘宇宙のファンタジー’は、イ・バクサのアルバムタイトルから取ってきた.現在、300名の会員が加入、大部分が10代の高等学生と20台の大学生だ.ナウヌリを始めに他のネット‘イ・バクサ
カフェ’,‘イ・バクサ音楽室’,各
大学・高等学校で‘イ・バクサ’ファンクラブホームページが雨後の筍のように生まれている.同好会会員たちの目標は、‘HOT’ファンクラブに次ぐ‘イ・バクサ’ファンクラブを組織すること.
彼らのイ・バクサに対する愛は大変なもので、ファンたちは彼を‘博士様’と称する.絶版になった彼のレコードを求めるために、日本専門レコード店などを廻ったり、ファイルとしてコンピュータに上げてくれという要請が‘殺到’している.流行曲に最も敏感だという‘キルボード(註:"キル"は道のこと)販売(路頭のリヤカーで販売する海賊版)’でも‘よく売れるレコード’として順位に上がったということだ.ナウヌリ
イ・バクサ同好会のハン・チョルさんは、“路頭でテープを求めた”としながら、“おじいさんが第2集が良いと推薦してくれた”と話した.おじいさんと孫の間に‘音楽’に対する共通分母が生じたのだ.また、彼の曲に対する‘解析’を頼む文章と答弁が、連日掲示板を埋めている.これらの解析を見れば、彼らが何故イ・バクサのトロットを好んでいるか、‘感じ’が捕えられる.
ナウヌリ キム・サンウ(ゲイキングカ)氏は、‘モンキーマジック’という歌を‘青山別曲’に比喩する.そうして見れば、歌は‘猿は木に登って尻尾を振って座って/夜にも猿はディスコをよく踊ってよく遊ぶよ’
等、特に内容がないように見えるのに、
キムさんは“全体的に見ようとするなら、ある人間が社会に飛込んだが、それに正しく適応できなくて悩む姿を表している”としながら、“卓越した比喩と哲学的な批判意識が際立って見える歌”だと評している.‘クンチャッククンチャック’特に意味もなく見える歌を単純に聞いて楽しむのではなく、歌詞に自らの解析と批判を加えている‘N世代的な発想’だ.
彼らがイ・バクサのトロットに熱狂する理由は、他にもある.ホームページを運営している高等学生
キム・ジュンシク(17)君は、“非常に楽しくて,
聞けば聞くほど気分が良くなる”と話す.“ダンス歌手等のlip sync,
電子音がたくさん混ざった人為的な音楽にうんざりしてしまった”というのも、キム君が‘トロット’に心酔する理由のひとつだ.この他に、ポンチャックが一段階発展しながら‘メドレー’という形式を通じて、自然にイージーリスニングを誘導するということ.ここに、“キーボード一つだけを利用して反復するリズムとサウンドを挿入,
テクノのトランス効果のような麻酔状態に陥るように作る要素がある”という解析が加わる.これを通じて、ティーンエージャーが不安感やストレスを解消できて、また、自由を満喫できるということだ.
イ・ジンア記者[jlee@kdaily.com]
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おわび
どうしてもイ・バクサ氏の歌を流したくて、勝手にrealファイルにエンコードしてアップロードしてしまいました.
著作権者の韓国TGRには無断です.すみません.でも、50分以上も続くメドレーのほんの一部(4分近く)なんです.おゆるしを・・・.
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