2000年3月NEWS PEOPLE 409号

[新しい流れ] 男が台所へ行く理由は?

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‘男が台所に入ると、唐辛子が落ちる?’言い尽くされた言葉だ.世の中があまりにも変わった.こういう時代錯誤的なことを言っていると、間違いなく、結婚もできない.最近、女性たちが選んだ花婿候補 第1順位は、‘料理の上手い男’だ.台所は、もう、女性だけの空間ではない.

二人の息子を持つフリーランサー イ・イクサン(41)氏. 寝床から起きてきた二人の息子が彼に向かって叫ぶ.“パパ、朝ごはんちょうだい.”ということは、彼はやもめ暮らし? 返事は‘No’.厳然な妻帯者だ. では、週末夫婦? それでももちろんない.毎日妻と一緒に暮らしている.

それなら、朝から彼が台所に立つ理由は? 共稼ぎしている妻の代わりに朝ごはんを準備するためだ. イさんによれば、‘夕方は妻が, 朝はわたしが’当番だ. 二人の息子も、台所でごとごとしている父に対して、何らの拒否感もない.

イさんは、小学校に通う二人の息子の学校給食奉仕にも精一杯参加する.学校食堂でエプロンをかけて、生徒達に食べ物を給仕する. 手つきが慣れている.何回もの給食奉仕で、他の父母たちとも顔なじみになった. したがって、食堂でのイさんには、ぎこちなさなど微塵もない.イさんを眺める、他の母親達はイさんの給食奉仕を‘特別な’ことだとは見ていない.しかし、父母の代わりに出てきたおばあさんの視線は、不快なことこのうえない. あるおばあさんは、“ママはなにをしているの、パパが代わりに来るなんて?”と尋ねて、イさんを失職者だと見て、哀れみさえした.

以前ならば、愚か者というそしりを聞いたであろうイさん.しかし、最近、イさんは決しておかしな人ではない. 第2・第3のイさんが幾何級数的に増えている.

まだ未婚の大学講師パク・ヨンソク(30)氏. 料理が趣味だ. 94年、大学の時期にパソコン通信で食道楽同好会を作った程、料理ならば一家言がある 母親の代わりにご飯を炊いて、おかずも作る.そのような彼を母親が不満に感じていだろうと考えるのは、大きな誤解だ. 母親 チェ・ヨンオク(54)さん,“わたしの息子の趣味は料理”だと、他の人々に誇らしげに話す. 以前には想像も出来なかったことだ.

その‘想像もできないこと’が、‘自然なこと’に変わったのである.‘料理を食べるだけの男’から‘料理を作る男’へと韓国の男たちが変わっている最中だ.

書店では、男性たちの料理本と料理案内本が人気だ. イ・ギュテの‘韓国人の食膳文化’,リュ・シウォンの‘おいしい世の中’,イ・ギュヒョンの‘料理を食べる’,チョンガー医師 パク・ジェヨンの‘何食べる?’などが、女性の料理本と肩を並べて陳列台を飾っている. テレビの料理番組では、男が料理をして、女子アナウンサーが司会をする. ソウル市内の有名料理学院では、受講生の40%以上が男性だ. 1998年、米国肉類輸出協会が韓国で行った肉料理コンテストでは、受賞者22人中に7人が男だった.

料理が趣味だという男性に最も容易に会える場所は、パソコン通信だ.少なくても2千名、多くは7千余名が加入しているハイテルとユニテルの‘食道楽同好会’,ナウヌリの‘味覚村’等.これらの会員中に男性は半分を超える. これら同好会のシグオペも、大部分が男性だ.

今後、料理する男性はもっと増える趨勢だ.未来の事業予見から‘クリック! 未来の中へ’という本を出した、ペース ポップコーン.米国で‘マーケティングのノストラダムス’と呼ばれる彼が、この本で今後10年間有望な17種類の事業を展望した.その中に‘男性のためのユニセックス型台所用品産業’が入っていて目を引く.未来には台所仕事をする男性が増えるはずで、それに沿って、そのような男性を配慮した業種が有望産業になるだろうという話だ.

いままで、男性は料理を消費する人というだけで、作る人ではなかった.母系血統の原住民社会ですら、料理は女性だけの義務であった. それなら、現在、なにが男性を‘台所に追い込んだ’のだろうか?.

KBS 2TVで放映しているコメディ‘片側家族’.職場に行く妻と、家でエプロンをつけて包丁を振るって料理を作る夫が主人公だ.夫が‘主婦’になった分を、純然に妻が‘外仕事’をしているのだ.

社会活動をする女性が多くなるにしたがって、男女の役割がかなり変わった. 人類史上、今ほど女性の社会的役割に対して、深い関心を持ったことはなかった.女性が男性と同じように社会的労働に参加することによって、家事労動の分担が現実的問題として提起された. この過程で、自然に、性の役割に対する固定観念と禁忌が破られた.

女性学者イ・スキョン教授(ソウル市立大)は、“これからは男性が家庭から追出されたくないのなら止むを得ないこと”としながら“男性も生き残りたいのなら、料理をしなければならない世の中になった”という簡単明瞭な話で、その背景を説明した.

男女の性の役割破壊は、教科書にも起きている態勢だ. ‘お膳を待つ父と、台所で料理を作る母’.小学校 1学年 1学期‘生活の道案内’に出てくる挿絵だ. 近い将来、こういう絵も消える. 教育部が‘女性の活動が盛んになる21世紀を控え、男女平等教育体制を確立する’としたためだ.

大学街の下宿文化の変化も、男性を台所に向かうようにした. 10余年前には、地方から上がってきた学生たちは、大部分が下宿屋のアジュマ(註:おばさん)の作ってくれるご飯を‘食べるだけ’でよかった .ところが、干渉を嫌う最近の新世代たちは、下宿より自炊を好む. 大学街に下宿屋が消えて、ワンルーム住宅が大挙して入ったのも、まさにこのためだ.一日三食をすべて買って食べることは難しい.やむを得ず、自ら食事を解決しなければならない.この過程で、自然に料理を作る男性へと変わって行く.

しかし、彼らは、絶対に台所に追い込まれたというわけではない. 自ら料理を作る男性の道を選択したのだ. 但し、食べるだけのために料理をするのではない. 誰かの代わりに自分が作るのだとは絶対に考えない. 料理を楽しむ.ラーメン一杯を食べるにも、他人とは違うように, もう少しは個性のあるようにしなければならない. 料理を文化だと感じている. パソコン通信 食道楽同好会が、家庭・生活欄ではなく、文化・芸術コーナーに登録されているのも、みなそういう理由からだ.これら20〜30代の男性が、パソコン通信の食道楽同好会を主導する.
料理に対する彼らの意識は、主婦と夫が‘食べて生きるために’料理をするのとは大きく異なる.

味わうところから一歩進んで、彼らは料理に対する知識と教養を頭に詰め込む. 知識をたくさん積んだ人が権力を持つためだ. その知識と権力を土台に、悪い飲食店を容赦なく批判する. ナウヌリ 味覚村の‘派出所(不良村)’に入っていってみるとわかる .ソウルで立派な店構えの有名なスパゲティ店が‘値段だけ高くて、味は本当にハズレ’と、遠慮なしにメッタ切りされる.

料理と男性, 対立関係でだけ見られてきた、この二単語が、今のように近づいたことがなかった. 米国のある社会学者は“米国家庭の中心が冷蔵庫に変わっている”と分析した. 大きな大型冷蔵庫を通じて、彼らはお互いの意思を交換する.冷蔵庫上に何枚も張られたメモがまさにそれを証明している. 居間から台所に家庭の中心が変わっているのは、韓国でも感じられる.

台所は、これからは禁男の空間ではない. 女性だけの隠密な空間だった台所が、居間の延長空間へと、堂々と公的な地位を置きかえられつつある. 最近は料理を作りながら会話をすることができるように、調理台と食卓を並べて配置するのが流行だ. ジュ・ヨンハ世宗大教授(文化人類学)は“私的空間だった台所が、公的空間へと変化しながら、男性が自然に台所に向かうようになった”と、男性たちの台所行きを診断した.男性が“料理が趣味”と、堂々と明らかにするのも、まさに台所の意味が変わったことと密接な関連があるという説明だ.

出入に男女性差別がなくなった台所. これからは男性たちが台所に自然に足を向ける.21世紀は、もう、エプロン姿の男性を奇怪だと見ることもないだろう. ソ・ヒョンスク記者[rebirth@kdaily.com]


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