
‘入養(註:孤児などを養子として迎え入れること)を活性化しなければならないが、さて、自分自身の、養子を嫌う風土に対する考えを明らかにしなさい.’
今年、ソウル大面接試験でも‘入養’問題が出題された.
入養問題は内部矛盾として、私達の社会問題中のひとつだ.もちろん、入養’という‘難しい’話の種に対する答は既に出ている.‘海外入養を減らし、国内入養を増やさなければならない’‘これからは私たちも良い生活をするようになったから、私たちの息子を海外に出して売るようなことはしないようにすべきだ’‘孤児輸出国という汚名は脱がなければならない’などなど.
この‘良い’言葉に、誰が異論をとなえようか.しかし、問題は理論ではない.実際に入養問題解決とは、大学試験に出るほどむずかしい.少なくとも、私達の社会では.
何故、私たちには入養がそのように難しいか.
開いた心を持った人が入養を願ったとしても、意味を貫徹することは易しくない.
まず、この‘大それた考え’をした人には、願わなくても各種の否定的な資料が与えられる.周囲の人々は、養子についての誤った例をどこからでも捜し出して聞かせる,‘根本(ルーツ)のわからない’‘心の黒い獣…’‘汚い血’等、言葉で心を揺さぶるのだ.
それでも揺れずに養子にしようとするなら、まず、引越しする家を探すことになる.入養後、そのまま暮らそうとしても、結局は移るしかないためだ.関心が行き過ぎて無礼な人々の、傷を負わせるほど鋭い視線は執拗だ.もちろん
転居で問題が解決するくらいならば、どんなに良いだろう.
“何故、ご両親に一つも似ていないの?”“兄弟とはなんだか違うね?”
入養事実を知らない人でも、こういう無遠慮な質問攻勢を繰り広げる.思春期を迎えた入養児には、傷を負わせるにはうってつけの状況が広がっている.
それで、入養児を育てようとするなら、最小限で5回,多ければ10回かそれ以上も転居しなければならないという話もある.どうしても養子にしようとするなら、引越荷物をほどくことができないということだ.
さる6日,米国の新聞ワシントンポストは、韓国児童を養子にした米国家庭が、韓国人たちの嫌がらせで大変な苦労をするという記事を載せた.アメリカ人の養父母は、入養児に配慮する心で、韓国人の文化を教えようと、韓国人社会に接近するが、むしろ、韓国人たちの偏見に、入養児や養父母が共に傷つけられるという話だ.これを、在米僑胞たちだけの無教養だ、くらいで片付けることができれば、どれほど良いか.
ある不妊夫婦が、7歳になる子供を養子にした.不妊という、自身の不幸を乗り越える試みはそれほど難しくなかった.しかし、まさに、問題はそこで終わったのではなかった.子供との適応等、新しい家庭を築く問題に神経を注ぐいとまもないうちに、“あの子供と遊ぶな”と、アパート団地内の母親達が入養児を‘孤立’させた.さらに、自転車をなくした子供の母親が入養児の家に自転車を探しに押し入ろうとまでしたということだ.まれな例ではない.これは、入養に対する、私たちの認識の現住所なのだ、とフンソン社会福祉館
シン・ソンジョン幹事は指摘した.
入養機関のある関係者は、海外入養に関し、わたしたちは‘感情的’で‘非論理的’だと指摘した.“この土地で発生した問題を、外国人に任せる”という海外入養が決して良いわけではありえないけれど、かと言って、“国内入養を増やすことは、そう簡単に出来ることではない”ということだ.こういう偏見が入養児を傷つけている.
海外入養を恥部だと考えるほどだから、まさに国内入養は増えないのが現実.
人々はいう.“政府は何をしているのか?”そして、児童保護施設,
孤児院の増設だけを強調する.もちろん、社会福祉施設も拡充されるべきだけれど、既に社会施設の限界は現れている.それよりは、国内入養を増やそうとするなら、政策的な配慮,
現在は障害者を養子にする場合にだけ与えられる数種類の恩恵を一般児童にまで増やせば、アパート入居権や銀行貸出等よりも現実的な問題で手助けしなければならないという言葉もある.もちろんその通りだ.大部分の国内入養をした人々が、経済的に余裕がある状況であることを見る時、これは大幅な福祉恩恵へ立ち戻らなければならない部分だ.しかし、それに先立ち、私たちの意識を変えること,
それが入養問題を解く鍵だ.
海外入養児を困らせる僑胞(註:海外在住韓国人)たちの関心の実体は、まさに‘国民的羞恥心’に根をおいている.新しい家庭を外国に探さなければならなかった入養児たちの切迫さを、彼らは‘外国人に恥ずかしい’で片付けてしまう.
入養人で、韓国人社会の入養児に対する誤った偏見を正そうとする代表的な人物は韓国人入養広報会(MPAK:www.mpak.com)の会長
スチーブン・モリス(韓国
名 チェ・ソクチュン)氏だ.彼は、昨年6月,ソウルプレスセンターで開いた‘国内入養活性化及び意識改革
養父母大会’で“外国に入養に出した私達をあわれに思ったり同情しないことをお願いします.また、私たちの孤児をきちんと世話できなくて外国に送りだしたのについて、申し訳なく思うこともしないでください”と話した.そして、個人的に‘拾い子’という表現に、強い拒否感をあらわすこともした.
“海外入養を恥ずかしく考えてはならない.大部分の人々は、この言葉に強力に反発するけれど、海外入養を奨励しようとするのではなく、入養児に対する羞恥感をなくさない限り、入養児問題の糸口は捜し出すことができない”と、アメリカ国内入養児問題を研究してきたオハイオ大
キム・ウォンジョン主任教授は指摘する.海外入養を正当化する修辞ではない.これを恥ずかしく考えては、決して国内入養もすることが出来ないという話だ.
ここで、まず、入養を統計で接近してみよう.
国内の入養の歴史は、朝鮮戦争直後の55年, 混血孤児8人を養子にしたアメリカ人ホールト氏夫婦で開始した.‘あらゆる子供は家庭を持つ権利がある’という、有名な言葉を残したホールト氏は、ホールト児童福祉会を設立して,海外入養の道を開いた.
このように始まった海外入養児数は、14万2千名(99年6月現在、保健福祉部統計
).最も海外入養をたくさん送った年は、85年で8千500人.しかし、88年、ソウルオリンピックを前にした時点でふくらんだ‘孤児輸出国’という汚名と共に減り始めた海外入養は90年代に入って、2千名水準で維持されている.2千180人(95年),
2千80人(96年),2千57人(97年).IMF寒波によって、98年には200余名増えた2千249人.
一方、国内入養は、さる40年間で5万7千名だ.それさえも、幸運なことは、さる95年は
1千25人, 96年 1千229人,97年 1千412人,98年 1千416人と、少しずつではあるが、増加している.IMF状況でも、国内入養が減らなかったことも現れている.
現在、入養は全国30余の民間団体で受け持っている.ホールト児童福祉会をはじめ、大韓社会福祉会,
東方社会福祉会, 韓国社会奉仕会等、4団体は国内外入養を同時にしていて、30団体では国内入養だけを担当する.
入養は、入養促進及び手順に関する特例法により, 25才以上、結婚3年以上の夫婦で、入養子女との年齢差が50才(註:原文通り)を超えなければならず,
からだと心が健康で、経済的・情操的に養育できる資格要件を揃えるべきだ.こういう人が一旦入養機関に申請すれば、入養機関の相談と社会福祉社の家庭訪問等の細心な過程を経て、入養児と入養父母にお互いに良い‘子女’と‘父母
’を持つことになる.
しかし、国内入養相談は“私が良いことをしようというのに、何故そのように面倒なことをするのか?”という言葉で途絶えることもある.
入養機関では、入養準備は、まさに‘胎教’だという.子供を産む前、胎教が必要ならば、既に他の経験を持つ子供を自分たちの家族として迎えるためには、何倍もの緻密な準備が必要とされるということだ.
また、入養後管理が先進外国では当然のこととして受入れられている.入養機関に報告書を作成し提出して,
入養機関の社会福祉士が定期的に訪問もする.その反面、国内入養父母たちは、周囲の人々の偏見が恐ろしくて、社会福祉士の訪問を拒んだり,
こっそりと住所を移してしまって、全く連絡途絶もよくある.当然、入養児管理は不可能になっている.
“このよう管理されなければ、入養児に起きる問題を、父母は解決できなくて,混乱に陥りますよ.それで起きる問題は、皆、入養自体に対する問題として受入れられるのですが、これは入養の問題ではなく‘入養過程’と‘管理’の問題なのです.”
ホールト児童福祉会
イ・ヒョンジュ課長は、偏見がまさに入養の問題だと釘を刺した.
国内入養を阻む問題はまだある.最近のIMF以後、貧困などで崩壊した家庭のために入養になった児童もあるが、大部分は婚外出産による子供たちに、私達の社会は‘汚い血’だと、追い詰めるようになっている.‘子供に何の罪がある??’という話は肯定しても、これを出身成分だと思う意識が残っている.こういう血が、私たちの家門に入るということに戸惑う.しかも、息子を所有物だと考えるので、自分から親父母を探していかないかと、心配せざるをえない.
だから、国内入養は皆、‘秘密’でなければならないという前提条件がつく.産んだ父母にも秘密でなければならず,
子供自身にも秘密でなければならないことはもちろん、周囲に対しても秘密維持が先決条件だ.それで、子供がないからといって、国内入養は考えることも出来ない.もし、‘可愛い女の子’ならば、ちょっと歳を取っていても、国内入養が可能かもしれない.だから、障害児の国内入養は、ほとんど不可能だ.
入養に対する偏見を跳び越えようとするなら、“乳児用の童話の本と小学校の教科書から、入養が論議されなければならない”というイ・ヒョンジュ課長の指摘だ.入養問題は意識の問題だということだ.
ホ・ナムジュ記者[yukyung@kdaily.com]
Copyright (c)1995-2000, 大韓毎日新報社 All rights reserved.
E-Mail: webmaster@seoul.co.kr
|