97年6月号NEWS+
“私も素敵なミュージカルスターになれる” 新世代たちの公開オーディションが上げ潮 実力一つで‘夢’を握る競争舞台。“端役も辞さない”熱情派も多数 |
ミュージカル俳優の夢を抱いてオーディションを見ようと ニューヨークにきた 田舎少女ペキは迂余曲折のはてに、コーラスガールとして採用される. しかし、舞台で女主人公に負傷させてしまい、公演が取消になる危機に置かれて, ペキは解雇されそうになる. だが、ペキの実力を 知っている 団員たちは主人公の代役に彼女を推薦し, 猛練習の末に翌日の舞台でペキは「スター」として誕生する」. 1981年トニー賞受賞作の ブロードウェー ミュージカル「42nd Street」のあらすじだ. 「スター誕生」ストーリーはいつも人々の気持ちを新たにする. しかし、取りあえず「運」のおかげならば、それを見下す彼らの確率はもっと落ちる. 「オーディション」という制度の魅力がまさしくそこにある. 才能と努力を付き加えるならば「私も…」 という希望が あるためだ. 「42nd Street」でなくとも、ミュージカル「コーラス ライン」は オーディション過程が劇の主要な部分を占める. いつからかミュージカルが大衆的人気を集めている韓国でも、いまやオーディションが頻繁に実施されており, それに伴い「オーディション部隊」と称するほどの若者達の群が形成されている. 昨年には、代表的には、3月に 三星映像事業団が「42nd Street」, 5月に CMIの 「ケチュ」オーディションが あり、今年に入って4月1日に「42nd Street」, 5月11日に に「明星皇后」 ニューヨーク公演出演者オーディションが行われた. この外にも小規模なミュージカル俳優を募集するオーディションが随時ある. ミュージカルオーディションには、100余名から多い時は400名まで受験者が殺到する. 二〇名ほどの募集に1万名が集まる途方もない競争率の放送局タレント試験に 比較すれば、みずぼらしい水準であると言える. だが、参加者の熱気は途方もなく熱くて持続的だ. 歌や踊り, 演技。どれかひとつというのはでなく、皆を おしなべて揃えて誇り、 観客の反応を直接集めるミュージカル舞台の魅力は『あたかも麻薬と同じで, その歓呼と終わった後の余韻を忘れられない』と、このように皆が話す. それで、端役も辞さずにオーディションに駆せ参じるのだ. 10回を越えるほどオーディションをうけた. かと言って、はじめから主役になることを願ったりしない. 舞台に立ちたいためだ. 後ろでコーラスをしても、私が主人公だと考えれば楽しい』( 朴ヘヨン・25才) 昨年から大きい作品のオーディションに立って受験した. スターなることは、あまりにむずかしい. もちろん、最終目標は主演だが、まずオーディションを 通じコーラスからじわじわと上っていくことだ』(朴ソンジュ・26才) 主催側“お金をあまり使わなくても才能ある人物を選んで”喜色満面。 ミュージカル「42nd Street」公開オーディション 『ミュージカルは、多くの人々が楽しむことができる大衆的ジャンルながらも芸術性がある. 分業化されて専門的なミュージカル公開オーディションをたどりながら卒業後初めて音楽的満足感を感じた. 軽薄なスターになるよりは、作品の一構成員になりたい』(崔ムヨル・30才) オーディションは、受験者や主催側双方に長所が多い制度だ. 受験者では、主演級俳優等と共に挑戦するために、刺激にもなって選抜過程で短時間に多くのことを習うようになる. 劇団代表兼演出家の尹ホジン氏は『俳優ならば他人の前に立たなければならない. そのような面で、オーディション自体が一つの訓練だ. 外国ではオーディション受験自体を 重視し、落ちても経歴になる. 我国も、受験者数が順次増えて、水準も徐々に高まっている』こう診断する. 劇団や同人での運営による、私たち演劇界風土では、既存の主演級を中心にキャスティングをするために、新人等の抜てきが容易ではないのに、公開オーディションはこういう慣行の外側にあるという点から、俳優や主催側の皆が肯定的な機会だ. お金だけかかって技量も知れているのみならず演習する時間もまともに取れないスター級を用いるより, 広報効果まで加わるオーディションを通じて新人を選ぶ方がいいという. 映像事業団の朴ヨンホ氏は『危険負担はあるけれどオーディションは、新鮮で才能ある人を発掘し、養成することができる機会だ. 昨年からマスコミの注目も受けて問い合わせ電話もたくさんあったり, 大学に関連講座が開設されたり、俳優推薦を頼む連絡も受ける. クラシック音楽専攻者が少しずつ受験者に入ることも, 昨年よりタップダンスを踊れる人が100〜200名ずつ増えたこともオーディションの肯定的な効果だ』と話す. 我国のオーディション文化は、まだ初歩段階だ. しかし、その長所に対しては皆うなずく. 公開オーディション制度は、ますます広がるようだ. 舞台に喝采を送って、その舞台のスターを夢み、今日もオーディション広告を探して新聞を読み漁り、同僚と情報交換に聞き耳を立てる若者達が増えているということだ。 〈キム・ヨンシン 記者〉 |