日本の自衛隊より優秀な国軍の優秀性を自慢したい
さる土曜日、ソウル太平路プレスセンターで会った李ギュヒョン監督は、多くのインタビューで鍛練(?)されたのか、能動的に取材を導いていく方法を知っている人だった.
インタビューの段取りの説明ひとつとっても、自分が知っていて、あたかも蚕の繭から絹糸を引き出すように、記者が望む内容を繰り出す.
その上、適切にユーモアまで混ぜて話を易しくする彼は、インタビューがしやすいが、気のおけない相手に会ったとは感じられなくなる.

李ギュヒョン監督は前作映画の漫画映画‘ハングリー ベスト5’の惨めな興行惨敗にも屈しないで、映画に対する執念を隠さなかった.
今回挑戦する映画は、ビデオ用映画だ.
けれども、韓国でではなく、日本で作る計画だという.
スタッフも、韓国人と日本人が半々くらい混ざった韓日合弁映画になるはずだ.
まだ日本文化の開放がなされていないために、思ったよりクランクインが遅れているが、新政府が日本文化に対して前向きの姿勢を持っているために、近い将来、メガホンを下げた李ギュヒョン監督の姿を見られるようだ.
李ギュヒョン監督は、今回の映画の素材に軍隊を選んだ.
特に、韓国の観客を対象としているのではなく、日本の観客を対象としたために、我が国の軍隊だけが持っている妙な魅力を遺憾なく見せる考えだ.
“日本人は韓国の軍隊に対して衝撃的に思いますよ.
日本で名をはせている放送局プロデューサーたちにも作れない番組があります.
それがまさしく‘友情の舞台(註:この番組の司会者に関しての関連記事あり)’です.
軍隊などという媒介でお母さんとか恋人が来て、視聴者が泣き笑うということは、日本の状況ではありえないのです.
日本に1万本だけビデオが輸出されても、韓国で10万本も出した大作と収入は同じだと、外貨獲得にも貢献することになります.”
もちろん、日本にも自衛隊という職業軍人と似た形態の軍隊があるが、韓国の軍隊と比較すれば、一言で水準でも意識でも差が大きいらしい.
日本で林權澤(イム・グォンテク)監督が作った‘証言’という映画を見て面白いと考えたように、軍隊の映画をまともに作れば、十分に勝算があるというのが李ギュヒョン氏の考えだ.
“映画の内容は、韓国の若者と日本の若者が第三国で軍隊を媒介で出会うことになるという話ですが。
軍隊を通じて行われる、各種ハプニングと胸のつまる内容を見られます.
もちろん、主人公の実際の国籍も、日本人と韓国人であり、名のある俳優よりは新人の中から演技の優秀な有望株を起用するつもりです.”
やはり、李ギュヒョンらしいアイディアですねというと、白髪頭を掻きながら笑って話した.
“私はうまくやっているわけではありません.
私の顔を掲げて広報して映画を撮れば、興行がうまくいきますか?”
若者達の流行とファッションを研究すれば、お金が得られます.
彼はまた経済に対しても一家言がある.
十分知られているように、以前‘不況を読めばお金が得られる’という‘大衆経済書籍’を出して再びベストセラー作家の列に連なった.
この本は、多年間日本に住みながら経験した、不況に勝つ事業経営指針書だ.
“他の人々は不況というけれど、私はむしろ不況によってお金を儲ようという気がします.
三星経済研究所から軍人までなどから講演依頼が入るのだが、彼らが願うことは結局、IMF時代にどのようにすればお金を儲けることができるか?
という問題なのだ.”
李ギュヒョン氏は、不況期にもお金を儲ける方法では自身が専門家であることを隠さなかった.
なによりも多年間の日本研究を通じ、お金を儲けるノウハウを体得したということだ.
“不況期にもお金を儲けるならば、なによりも若者達を研究しなければならないです.
私たちの経済のアキレス腱は若者達です.
この頃、若者達に対して既成世代では‘礼儀をわきまえない’などの誤った偏見を持っていますが、このような点よりは、若い世代がお金に関しては合理的であることを好む消費パターンが独特だという点を注目しなければならないのです.”
日本でも、若者達を相手にする事業は危険確率でも失敗率が少ない安全な事業だと認識されているという.
したがって、李ギュヒョンが提示する IMF型事業は、若者事業だ.
若者達が、どこで会って、何を食べて, 何の話をして ,どこに何を見に行き、どこで寝るかという総体的な部分を扱う事業であるから、分野も広くできることも多いということが、李ギュヒョン氏の分析だ.
ところで、こういう事業に挑戦する時、最も重要で基本になることは、若者達の感性とリズムを理解することだ.
それを李ギュヒョン氏は‘ファッション’だと話す.
ファッションを、服を着ることだと考えるのは大きな誤りだ.
ファッションは、以前の若者達が持っていない個性である場合もあり、記号でもある.
李ギュヒョン氏は、こういう若者達の流行の流れであるファッションをよく理解することができる例で‘ブルータス’という日本の若い男子を対象にした雑誌をあげた.
ポパイ漫画に出てくる毛むくじゃらの悪党の名前のこの雑誌では、現代を生きていく若者達の主要なファッションが何かを赤裸々に見せるということだ.
この雑誌では、男子ファッション, カフェ, 自動車, 趣味,コレクションなどは基本で、最高の関心事はやはり女の子とどこでなにを食べて、なにを飲んでこそ楽しいデートになるかだ.
“ブルータスは、特集をものすごく重要に考える雑誌なんです.
この雑誌が一度、どんな特集を出す時売り切れるのか調べたことがありました.
その結果がとても興味深かったです.
現代日本の若者達が好んで関心を持つあらゆることがこの調査で明るみになったのです.”
具体的な例に入っていってみよう.
日本には、一人で住んだり、若者同士で同居する人々が多い.
しかし、父母から経済的には完全に独立したわけではないために、小さな坪数のワンルームを望む場合が多い.
ブルータスはこれに着眼して、日本列島に散在している値段が安くて住みよい10〜15万円台のワンルームを特集で組んだ.
単純に不動産紹介所式にワンルームを紹介したのではなく、若者達のファッション感覚を充足するように、木でできた家でも色使いがいい家,
構造が独特な家などを紹介したのであった.
2番目には、若者達が、特に男子が何の話をして、どんな話し方で女の子を惹き付けるかという問題に入っていってみよう.
若者達には、以前のタイムズ紙を持ち歩いて‘得意がる’心理と全く同じく、多くの知識を保有しているかのように偽装したい心理がある.
ブルータスは直ちにそのような部分に着眼した.
また、シェークスピアを特集に選んだ時も、シェークスピア研究書籍的な内容というよりは、ハムレットの‘生きるべきか死ぬべきか’‘女は弱し
されど母は強し'という言葉はどこに登場するかなどを書いておいて、一言でシェークスピアの戯曲に出てくる文章でどのようにすれば格好をつけられるかということに主眼点をおいた.
日本に対する多様な情報を、李ギュヒョンは記者のように直接人に会って取材すとともに、無数にあふれ出る雑誌と新聞から主に得ようとする.
しかし、1次的な情報を得ることが重要なことではない.
情報を土台に、それをどれほど韓国化して韓国の状況に合うように再構成するかが重要だ.
そういうことを見て‘李ギュヒョン氏 !
貴方はそんなに金をもうける方法をよく知りながら、直接お金を儲ける事業を何故しないのか?”という人もあるという.
しかし、事業をすることは自分の役割ではないというのが彼の考えだ.
“私は日本でこういう事業の傾向が流行しているので、このように頭を働かせば、事業形態が出てくるというアイディアを提供することが任務だと考えています.
ただし、放送側に日本で流行している動きを提供して“TVは愛を積んで”とか“体験
生の現場”を同じ原作より優秀な番組を作るのに助けを与えたとはいえます.”
李ギュヒョン監督は、現在、日本の東京
世田谷区という所に夫人と娘ユンジと一緒に暮らしている.
李ギュヒョン氏本人が韓国と日本を行き来して、多様なことをするために、特別な問題ではないにしても、娘に関しての教育問題が深刻になるだろうに全く意に介さない.
“私は娘を国際人に育てたいのです.
日本語も習うようにして、英語も身に付けさせます.
後で余裕ができたら、家族皆でヨーロッパに行って暮らしたいです.
そうしたあと、人生を整理する頃にはネパールに行きたいです.
たとえ、私の精神的な根は韓国人であっても、誇らしい国際人として生きたいし、私の娘も国際人として生きることを教育するつもりです.”
文 / 崔ビョンイル 記者 写真 / 全ヨンギ 記者
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