99年9月 Cine21 232号

 映画 <島> 撮影現場


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韓国版'タイタニック'?
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(女主人公フィジン(ソジョン)の店は、水辺に作られたセットで、松二本もやはりわざわざ植えた. 貯水池にある、唯一のこの家は、映画<島>に東洋画のようなイメージを与えている. キム・キドク監督がここを撮影場所に選んだ理由も、こういう美しさのためだ.) 

“これはいたずらじゃないよ. <タイタニック>なんだ.” 京畿道 安城 コサム貯水池に到着するやいなや、キム・キドク監督が投げた冗談は、逆説的な真実を含んでいる. 史上最高の製作費を注ぎ込んだ映画と、忠武路(註:韓国のハリウッドといわれる映画街)の平均製作費にも及ばない<島>を比較するというのが妥当ではないように見えるけれど、撮影過程を見守れば、<タイタニック>と同じような苦労があるということを悟るようになる. 


(ヒョンシクに対するフィジンの執着は、ヒョンシクを訪ねるチケット喫茶店(コーヒーの出前もし、その際に売春もすることがあり、チケット制で給料が計算される)アガシ(註:娘)ウンア(朴聖姫)との葛藤で表現される. ) 

 (キム・キドク監督の映画は、いつも物議をかもす映画だった.製作陣は、渡し船で行われる事件を納めるために、別の渡し船にカメラを積んで動く.) 

製作陣は、コサム貯水池に一間のみがある小さな家をセットとして建てて、そばに松を植えた. お盆のようになだらかな水面と、屏風のようにめぐらされた秋の山の景色に溶け込んだこのセットは、一幅の東洋画を連想させる. 殺人を行って、釣り場に逃げて身を隠す前職警察官と、釣師たちにからだを売って生活するある女の出逢いを通じて、人間の原初的で動物的な感情を描き出す<島>は、キム・キドク監督の4番目の映画. 映画は90%以上を、このコサム貯水池で撮影するのだが、岸辺の感じを生かすのが映画の関門だ. 貯水池に浮いている座台は、映画のために注文製作したもので、貯水池の夜の場面を撮るために、 水面下にケーブルを敷いて照明塔を設置することもした. 製作陣は小さな渡し船にカメラを積んで、波に揺れながらここで行われる事件を収める. 男女主人公は、<江原道の力>の警察官 キム・ユソクと<ふたつ ひとつ セックス> <薄荷砂糖> 等に出演した俳優 ソ・ジョンだ. キム・ユソクはこのように話す. “配役自体が<江原道の力>の延長線上にあるようだ. 雪岳山でさびしい生活をしていた警察官が、偶然に殺人をして逃亡する身になったわけです.” キム・キドク監督は、ソ・ジョンが引き受けた配役にも前作<波乱大門>の暗い影を落とす. <波乱大門>の始めの場面で、イ・ジウンが到着する時に海辺の村を離れた老いた売春婦(パン・ウンジン)が、この貯水池に定着するようになったという設定. 

(ヒョンシクに対するフィジンの愛は 動物的な分、原初的だ. 多くの男たちの相手をする女だが、一度心を許した対象には、怖い程に執着する. キム・キドク監督は、"男と女の極限の心理を描きたい"と話す.) 

<島>は、総製作費が約4億ウォンの低予算映画だが、セットと照明につぎ込んだ費用は、一般の忠武路映画より多いほうだ. 一空間で圧縮的に撮って、出演者数が多くないのが費用節減の要因だが、代わりに、東洋画のような雰囲気を作るセットと照明には、心血を傾けたと自慢する. さる11月末、撮影を終えて、現在、後半作業中の<島>は、2000年2月末くらいには、劇場にかけられる予定だ. 

写真 ジョン・ジンファン・文 ナム・ドンチョル 記者 



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