その男の夜は、昼よりも美しい
<反則王> 撮影現場
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(血の色が乱舞するデホとユビホの試合. マスクがずたずたに破れ、互いに打撃を被って気を失った二人.) |
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(デホとチームを組んで、ユビホと戦う太白山(パク・サンミョン). 撮影が遅れると、パク・サンミョン氏はマイクを握る. 500余名のエキストラたちの寒いからだを、彼は口でなぐさめる.)
陽が落ちると、ぐっと服の襟を絞めたくなる程、寒気が降りる11月上旬のある夜. 城南市 城南体育館は、夜11時を越えるというのに、時ならぬレスリング試合の準備が真っさかりだ. キム・ジウン監督の2度目の映画<反則王>の撮影現場だ. 4千席規模の体育館の中央には、特別に製作したレスリングリングが架設されていて, 試合の場面のために特別に動員された500名のエキストラがその周囲を囲んでいる. 四方から大型ライトが照らすなかで、四角のリングで何回もレスリング試合が繰り広げられるのだ. レスリングを素材にしているため、躍動性をよくつかみ出すために2台のカメラが廻って, 秒当たり120フレームずつの超低速撮影が可能なカメラを米国から導入した. 一日の貸与料だけで2千万ドルという、このカメラと体育館, エキストラ等、一日5千万ウォンという製作費が投資されたレスリング試合の場面は、映画のハイライトになる. 場所が場所であるため、マイクを持って現場を指揮したキム監督は、雰囲気がのってくると、予定になかった次の場面, デホとレスリング名人ユビホの血が出る対決までを夜通し撮影した. この日、現場には世界映画紀行ドキュメンタリー番組を製作している中国の放送社が韓国編撮影のために立ち寄ることも.
<反則王>は、昼は平凡な銀行員の男が、夜になると冷酷な反則プロレスラーに豹変する話. 上司には無能力だと虐待され, 同僚等と片思いしてる女性に無視される銀行員デホの無気力な日常は、偶然に入ったレスリング体育館で活力の出口を探す. ちょっと聞くと、コミックな設定だが, キム・ジウン監督の作品であるだけに、そんなにコメデイなだけではない. デビュー作<静かな家族>で、コメデイと殺人劇を混ぜた変則ジャンルで奇抜な笑いを醸し出した監督は、今回も笑いのすみずみに生の重さを隠しておく考えだ. さる12月20日、撮影を終え、現在、編集中で, 元旦前後には映画館街で会うことができる.
文 ファン・ヘリム・写真 ソン・フンジュ 記者
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(デホとユビホは血はねる 試合場面で映画 <ガソリンスタンド襲撃事件>で顔なじみのキム・スロは、数十回やり直しを繰り返しても耐える根性を見せた.) |

(同じ銀行に勤めるジョ・ウンヒ(キム・ガヨン)に片思いするデホ. 彼は夢の中で彼女のためにエルビスの服装をしてリング上で歌を歌う.)
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(城南 室内体育館に作られたセットでは、マイクが必須だ. 静かに現場にあれこれと指示するキム・ジウン監督だが、満足な場面が作られるまで、彼の口は静かに閉じられている.) |
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