(写真/ソウル 鍾路のある食堂に集まった'家族'の仲間たち. 現在、300余名が参加している)
電話線に乗って流れる、感情のない電気信号で人と人とが疎通するサイバー空間. 情報を探してさ迷う猟場がまず思い浮かぶ、この干からびた空間にも、あちらこちらに家族の暖かい情が漂う. 多様な年齢層別に、家族共同体を追求する集いが活発に動いているためだ.
さる12月17日夕方、ソウル 鍾路のある食堂. 会社員のシン・フィテ(32)さんと大学卒業したチェ・ジンイル(28)さん, 会社員ホン・ジョンミン(23)、イ・オスン(21)さん, 浪人生ソン・ジウン(19)さん等、5人が懐かしく一堂に会した. 集まるやいなや、この日、ソンさんが通知を受けた修学能力試験の成績の話から、チェさんが引越しする話まで、身辺の大小事でにぎわった 彼ら住む所も, 姓も別々だが、一家族だ. インターネットの集い‘家族’(family.sarang.net)のメンバーである.
随時 ‘稲妻’の集い… 自然な姉さん・兄さん
(写真/パソコン通信 千里眼の ’一家族同好会')
この集まりは、同じ趣味を 媒介に集まったものではなく、明確に目標にする活動もない. 言葉そのままに“サイバー世界に家族を作ろう”という意味で、昨年3月、スタートした. シンさんは“一言で言えば、他人同士が会い、家族になる集い”と‘家族’を紹介した. こういう集いが正しく維持されることができるだろうか.
現在‘家族’には300余名の家族がいる. それも、済州島を含む全国にまたがる. この日の出逢いのように、随時‘稲妻’の集いを持って、1年に 2〜3回ずつ、全国の集いも開く. 加入すれば、まさに年齢によって、姉さん 兄さん などの呼称を使用し, インターネット上でのみだけでなく、実際の出逢いでも自然に引き継がれる.
個人的に他の都市に行くことがある時は、そちらにいる家族に連絡すれば、寝床も貸す. それで、不慣れな都市も、彼らには負担にならない. 誕生日のパーティーはもちろん、家族内の慶弔事にも入れてあげて、困難に直面した人があれば、お互い助ける. 昨年は、家族の中で3人が水害をこうむって、募金運動を繰り広げた. 運営を受け持っているハム・ヒョンオ(30・ソウル神学大 社会福祉大学院)さんは、まだ家族たちが知らずにいる話で、“登録金が足りずに悩んでいたら、‘家族’の弟が、たまたま月給をもらったからと、助けてくれたこともある”と打ち明けた. 今後は、地域別に少年家長と結ぶ等、‘家族’の垣根をよりひろめる計画だ.
彼は“核家族化で兄弟がなかったり、地方からソウルに上がってきて、一人で暮らす場合、近くに家族のように接することができる兄や姉があるということが、どれほど心強いくらい事でしょうか?”としながら“血縁関係ではないけれど、言葉では表現出来ない感じを受けます”と話した. シン・ジソン(21・順天大 3年)さんは、“パパやママに話すのが難しいことでも、こちらでは率直に言える”としながら、“実際の家族が大切だけど、もう一つの家族を持つことも良いこと”という. 友人たちの間で解けない悩みを、‘家族’のなかで経験豊かな年長者と隔てのない対話を通じて解決できることも長所だ.
‘家族’は、主に20代序盤の会社員と大学生で構成されたとするなら, パソコン通信ナウヌリの‘オンライン家族の集い’(go family)や、ハイテルの‘サイバーファミリー’(go sg1070)は、小学生から中・高等学生まで、10代を中心に運営されている. この集まりには、金星家族, ぼろぼろ家族, 天使家族などが登場する. もちろん、実際の家族ではない. 気持ちの合う会員たちの間で家族を‘作って’年齢順に父母子女の役につく.
既成世代にとってはいたずらのように見えるが, 彼らは集いで面白さと意味を同時に探している. ‘オンライン家族の集い’のファン・サンジン(18・松林高 2年)君は“パソコン通信は冷たいネットワークなので、親しくなる前に容易に遠ざかるけど, 家族という名前で会えばそうではない”と話す. ファン君は“家族の良い点は当然視しながらも、悪い点を拡大してみるために、家族崩壊が起きているようだ”というおとなの分析と共に、“お互いに家族のように迎えてくれる集いを通じて、家族の大切さを感じることができる”と付け加えた. この集まりでママ役を受け持っているオム・ヒョンジョン(19)さんは“父母が子供たちを理解して助けるということが、オンライン家族の特徴”とし、“血縁でもない子供たちによく接してくれるのならば、実際の家族により良く接するべきだという気がする”と話した.
実際の家族が集まり、より大きな共同体を形成するサイバー同好会もある. パソコン通信 千里眼の‘一家族 同好会’(go fam)は、70%以上が既婚者で構成された集いだ. 男子は28歳, 女子は21歳以上に加入年齢を制限しているが、既婚者は例外だ. 30代後半〜40代が主軸になっているこの集まりには、平凡な主婦からデザイナー, 小説家, 教授, 漢方医師, 大学生等、多様な階層が参加している.
欠食児童・北朝鮮児童支援運動も実践
(写真/インターネット 集い '家族' サイト )
彼らは、血縁を跳び越えて、となりととなりが出会い、一家族になることを指向する. パソコン通信を通じて細かく生活の話を交わしたり、直接の出逢いを持つこともある. 集いを運営しているジョ・ウォンヒ(32・江原道 サムチョク市)さんは、“さる11月、ソウルで定期の集いをした時、ある夫婦会員から招待を受けたのですが、形式的な接待ではなく、本当の家族以上の情を感じました”と話した.
活動10年目の今年からは、一家族の垣根も越えて、その外の共同体と共存するという意味で基金を集め、欠食児童救済, 北朝鮮児童救済などを実践している. 家族は、社会を構成する最も小さな単位だというだけでなく、また違う家族を作りだすことができる生命力をもって、この世に愛を最も效果的に波及させることができる潜在力を持っている組織だというのが、彼らの信条だ.
このように、ネチズンたちがサイバー空間で家族のような関係を追求する現象に関して、国会女性特委パク・スクジャ政策研究委員は、“構成員たちの間で熱い情を交わせば、核家族の短所を埋めることができ、広い意味の家族共同体”と評価した. 家族の概念で伝統的に重視されてきた共同の住居空間と経済生活, 血縁等の3要素が順次霞んできている反面、紐帯感が強調されるのが最近の趨勢だということだ.
‘一家族同好会’のジョ・ウォンヒさんは、さる12月18日、釜山で開かれる送年の集いに参加するために、前日夜、サムチョクを出発して、全羅北道 全州に向かった. 中風で動くのが不便な全州の会員 キム・ユン(50・女)さんが、集いに参加してみたいと伝えてきたためだ. 加入してまだいくらも経たない金さんのために、一晩中高速道路を走るジョさんの姿で、彼らが結ばれた紐帯感の粘性を感じることができた.
パク・ヨンヒョン記者
piao@hani.co.kr
ハンギョレ21 1999年 12月 30日 第289号 .
Copyright 1995-1998 ハンギョレ新聞社
webmast@news.hani.co.kr
|