‘純粋な同居’広がる… 終生
事実上の婚姻関係を持とうという人々も
(写真/デートする若い男女.
新世代たちの結婚観と実際生きていく姿は、結婚と家族に対する‘公式’が破られていることを見せている.)
“結婚はしないんですったら.”
昨年11月から 婚前同居生活をしているキム・サンジュン(仮名)さんは‘婚前’という言葉に異議を唱えた.
結婚を前提とした同居ではないと、繰り返し説明した.
彼らが同居する重要な理由は、生活が便利で経済的な助けになるということだ.
もちろん、お互いに好きだという前提もある.
大学の時期、経済的に困難な状態で個人作業室を持つことができず、一空間を共有するようになって彼らの同居は開始した.
生活費も減らすことができ,
共に夜を過ごすため、ホテルに行く必要もなくなった.
“婚前同居? ただの同居ですよ”
(写真/京畿道 ファソンの‘ヤ マギシズム
社会京郷実現地’の人々.
子供たちは幼い時から近くで見ているおとなを、皆父母のように感じるようになるらしい.)
しかし、二人が独立できる安定した条件が整ったら、直ちに別々に住むというのが、彼らの計画だ.
決まった期限もなく,
その時になればふたりの関係を清算しようというものでもない.
経済力が許すかぎり、各自の家を持って住みながら、恋人として過ごしたいだけだ.
なぜか. 答は簡単だった.
配偶者と子供を扶養しなければならないという荷物を負いながら、両方の家と面倒な関係を結ばなければならない結婚が嫌なためだ.
そのため、彼らはお互いを束縛しないようにした.
付き合いたい別の人ができたら、相手方に紹介して認められた後、公開的に付き合っても良いと話す.
処女・チョンガーが出会い、結婚式を挙げることが、公認される家庭を設けて終生連れ添うことが、少なくとも今までは結婚と家族に対する‘公式’だった.
だが、若い世代の結婚観と実際に生きていく姿は、こういう、既成世代の公式をこれ以上認めないようだ.
少なくとも金さんのような結婚と関係がない同居でないなら,
若い世代に同居は全く馴染まない文化ではない.
愛の電話 パソコン通信 相談室がさる4〜5月、パソコン通信利用者
1114人(未婚 81.5%)を対象に調べた結果は、婚前同居が配偶者を選択して決定する過程のひとつだという認識を見せている.
婚前同居に賛成するという返答が 54.9%で、反対(41.7%)より多く, 9%は実際に経験があると明らかにした.
賛成の理由は △より慎重な決定のために(61%)
△結婚より自由な生活(22.8%) △経済的な側面(6.1%) などだった. 10人中に
6人は婚前同居に対する認識が、今後、より肯定的に変わるはずだと見通した.
韓国家庭法律相談所は、さる97年から相談事例統計を出し、‘事実上婚姻’に対する分析をしてきている.
事実上婚姻関係にあって別れる場合が全体相談に占める比重はまだ小さいが,
相談を通じて事実上婚姻が順次増えていることを感知したためだ.
相談所側の分析によれば,
結婚式をしても婚姻届を出さずに先送りしておけば、後で問題が発生してもあとくされが無いという考えで、事実上婚姻関係を維持することが難しくなると、法的問題がなく、容易に別れることを選ぶということだ.
離婚相談は30代女性が40.9%で、最も多いのに比べて、事実上婚姻関係解消に対する相談は20代女性が46.2%を占めている.
2世を作っても、終生事実上婚姻関係で暮らしていく事例もまれではあるが存在する.
作家 ハン・リマさんは、結婚式も,
婚姻届けもしないまま家族を作り上げて生きている.
法的には未婚の母で、子女は私生児だということになる.
各種の税制優遇も受けることができず、周囲の露骨な反感に苦しめられる等、苦しい事が多いけれど、ハンさんは自分の選択を後悔していない.
安定した同居生活を享受する同性愛者たち
ハンさんがこの道を選んだのは、女性にばかり苛酷な結婚という制度に向けた揶揄であった.
“嫁にくればこれもしなければならない、あれもするべきだ、というような慣習が嫌いです.
今でもやりたくないことはしません.
だけど、このように暮らすのは、男性にも家長という責任を負わせないで、家族の構成員の皆が分担するべきだという意味もあります.”
IMF以前には、広い道を挟んで別々に家を用意して暮らした.
広く開かれた空間で静かに仕事をすることを好むハンさんと、ドアを閉めて音楽を鳴らしてこそ気がすむ夫は、生活習慣が違ってもお互いに不快さを与えなかった.
こういう雰囲気で暮らす子供は、父母の別居を異常に思う周りの人々の質問に“それがそんなに重要なことなんですか?”と問い直すほど考えが自由だ.
最近になってからは、安定した同居生活をする同性愛者も増加している.
経済力のある同性愛者たちが‘カミングアウト’しながら現れた現象だ.
同性愛者 人権団体の‘チングサイ(友人間)’会員中の2組が同居をしていて、5〜6人が一軒で暮らしている場合もあるという.
彼らは、2世を産んで育てる家族の生物学的な機能はないが,
共同で生計を維持して、互いに助け合う等、家族間に交わされる緊密な紐帯を形成して暮らしている.
チングサイ会長は、“異性愛に基づいた家族モデルより、お互いの関係が平等で、家事分担などもより明確です”と話す.
まだ同性愛者の結婚を合法的に認めている所は北ヨーロッパのいくつかの国家だけだが、世界的にも明らかな‘現象’は間違いなく韓国でも遠からず一つの争点になるものと見られる.
血縁に基づいた家族という境界を越えた共同体家族を指向する流れも着実に続いている.
代表的な共同体家族の実験は、京畿道ファソン郡 ヒャンナム面
グムンチョン里‘ヤマギシズム社会京郷実現地’を挙げることができる.
12世帯が集まって一家族として暮らしている所だ. 50年代、日本で山岸氏が始めたこの運動は全世界に広まり、スイス
ドイツ ブラジル オーストラリア タイ 米国 等に根をおろしている.
ユン・ソンリョン(56)
代表は“他人同士が出会って夫婦関係を結ぶということは、血縁がなくても一家族として暮らせるということです”と話す.
一つの農場で仕事をして、家事労働も分担して行って、子供たちも一緒に世話してみると、心の底辺の見えない垣根まで取り払われてしまって、一家族のように感じるようになるということだ.
特に子供たちは、幼い時から近くで見ているおとなたちを、皆父母のように感じるようになるらしい.
彼らは、人間の所有欲と利己心に勝つことができる家族を社会全体に,
そして、人類全体に拡大する実験をしている.
ビョン・ファスン韓国女性開発院
首席研究員は“家族生活の単位を必ず夫婦中心の核家族や、血縁中心の自然的家族など、どれか一つに限定させる必要はない”としながら“色々な生活条件と境遇で多様な生活共同体を組織し開発させて行くことができる”と話した.
既に私達の社会のあちらこちらでは、極端な個人主義的傾向から、家族利己主義を跳び越えようとする試みまで、既存の結婚と家族制度に対する静かな反乱が進行している.
パク・ヨンヒョン 記者
piao@mail.hani.co.kr
ハンギョレ21 1999年 07月 15日 第266号 .
Copyright 1995-1998 ハンギョレ新聞社
webmast@news.hani.co.kr
|