文化の多様性を追求して、自由な創作活動…
アマチュアリズムを克服してこそ 真の勝負が可能
新村ロータリーに位置したライブクラブ ‘マスタープラン’.
週末のさる6月19日、10坪にも足りない空間に若者達が足を踏み入れる場もないほどに一杯になる.
木製階段のような簡易客席があるが、座っている人は誰もいない.
ライブ演奏だけで運営される、このクラブの入場料は 5千〜1万5千ウォン.
出演陣によって入場料に少しずつ差がある. このライブ
クラブの舞台に上がる彼らが追求する音楽は、概して韓国の主流音楽が関心を寄せない、パンク,
ヒップホップ, テクノ, ノイズ, モダンロック などだ. 90年代初めまでに、これらはいわゆる
‘アンダーグラウンド’という名前で呼ばれた.
主流音楽の‘オーバーグラウンド’に 対する名前だ.
アンダーグラウンドは、主流が充足させられないジャンルを紹介する空間の役割も果たしたが,
一部音楽人が主流に合流するための踏み台にもなったりした.
最近、‘インディグラウンド’という名前に固執する人たちが現れた.
‘インディペンデンス’(独立)と‘アンダーグラウンド’との合成語だ.
彼らが追求する音楽が主流音楽ではないという点ではアンダーグラウンドだが,
主流を指向するのではなく、‘独立’を
指向するという点で‘インディ’というのだ.
権力と資本から抜け出した非主流文化
(写真/"インディ文化は、資本の論理に対抗し、戦う独立運動だ."
インディバンドたちは弘益大前のライブクラブ等で着実な戦闘力を発揮している.)
‘インディ’という概念は元来、映画側からまず出てきた.
映画は、現在、最も多くの資本を食べる、最も図体が大きい芸術だ.
したがって、‘元手’を考えれば‘興行’を念頭に置かざるをえない.
以前、国内でも封切りされていたロバート・アルトマン監督の<プレーヤー>は、ハリウッド映画資本が映画監督とシナリオ作家にどんなストレスを与えて介入をしているかを辛らつに見せた.
興行に成功するためには、いわゆる‘スターシステム’に依存しなければならず,
作品の完成度よりは大衆の嗜好に合うように‘ハッピーエンド’のような、安易な装置を仕掛ける.
こういうことは、韓国映画産業でも頻繁に起きている.
昨年封切りした<美術館わきの動物園>が、原作と違って、興行を考慮したハッピーエンドで終わったことなども、そのような例のひとつだ.
権力と資本から独立しない以上、いかなる自由で個性的な創作行為も不可能だという自覚が
‘インディ文化’を産んだ.
巨大資本の投資は、個別的創作行為がやる気にもなれないようなスペクタクルを提供するが,
資本は常時反対給付(利潤)を要求するため、必ず文化の論理を資本の論理下に置こうとする.
文化が資本の論理に従属する時、社会はすっかり没個性した画一主義の姿に変わるしかない.
それで、大衆音楽評論家
ソン・ギウァン氏は、“インディ文化は権力と資本の画一主義に対抗し、戦う独立運動のようなもの”と話す.
現在、インディ文化は映画のみだけでなく、大衆音楽等、多様なジャンルに拡散していっている.
大衆音楽の場合,
韓国ではティーンエージャーを狙ったダンス音楽が強大な主流を形成している.
ここに、バラードまたはロカバラードが甘草のように加わっている.
これらがレコード販売高で占める比重は90%を超える.
韓国主流音楽を、極めて偏狭な姿に作っている一等功臣はテレビだ.
各放送社は、熱狂しやすいティーンエージャーを狙い、ダンスグループやバラード歌手を中心に偶像を作って、彼らのショーを黄金時間帯に競争的に割り当てている.
ライブクラブ
マスタープランの共同運営者のひとりのキム・ヨンウ(27・仮名)氏は“外国の場合、主流音楽に編入しているジャンルも、韓国ではインディ音楽として分類される場合が多い”としながら,
“韓国主流音楽がどれくらい偏狭かは、こういうことでよく知ることができる”と指摘する.

最近では、インディ音楽が活動できる空間が着実に増加している.
さる95年、弘益大前にライブ専門クラブ‘ドラッグ’がオープンして以来、ローリングストーンズ,
SHクラブ等、新村, 弘大前, 大学路を中心にこのようなクラブが10余もの門を開いた.
これらのクラブはインディ音楽人たちの重要な活動空間となっている.
インディ音楽愛好家たちは、コンピュータ通信を通じて自分たちが好むバンドの演奏日程を探しまわる.
主流レコード社が顔を背けるこれらの音楽を専門的に編集して出す、いわゆる‘インディレーベル’も増加している.
大規模製作費と広報費を投資する、主流レコード社が資本の論理を強要するしかないならば、インディレーベルは小規模な製作費を使って、音楽人の自己表現をそのまま見せようという理念を前面に押し出している.
さる96年、クラブ
ドラッグから出した、クライング・ナッツ、イエロー・キッチンの二バンドの共同作業の
<our nation>以後、‘カンアジ文化/芸術’ ‘ラジオ’
‘インディ’ 等、10に近いインディレーベルが活動中である.
活動範囲が順次広くなっていく… 中身あってこそ
来る7月2〜4日には、弘大前エンビアイ・エンビで、タルパラン、カリオン、ディジェイ、クロシ等、インディ音楽家たちが出演する‘エクストリームダンス
パーティー’という行事も開く予定だ. この行事では、特にDJ分野(ヒップホップ)で世界的な名声を得ているDJクロシが出演する.
インディ文化の成長は“文化の多様性と健康さの象徴”だ.
これは、韓国大衆の意識水準が一層高まっていることを意味できるだろう.
インディ文化は内容面で貧弱だという批判も根強い.
ポップコラムニスト
イ・ジョンヒョン氏は“言葉だけインディを語る場合があまりにも多い”としながら、“‘お金はないけれど、音楽が好きだからやる’という程度のはハングリー精神を強調することはインディ文化の本領とは道が異なる姿勢”だと指摘する.
本当にインディ文化が社会で意味のある領域になるためには、アマチュアリズムに満足せず、内容面で主流と対抗することができる厳密さを揃えなければならないという指摘だ.
イ・サンス 記者
leess@mail.hani.co.kr
ハンギョレ21 1999年 07月 01日 第264号 .
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