[2012.11.12 第935号]
[焦点]
軍部隊砲弾の破片が飛び散って落ちる ヨンチョン郡シンダム里の住民たち,
“子供たちの頭上にだけは飛んでこないようにしてくれ” 呼び掛け… 300人 住民中86人が聴力低下訴えるが、軍は射撃場位置調整に否定的
□ イ・セヨン

≫ 村を横切って砲弾が飛んで行く.子供たちの頭上を砲弾が飛んで行く.
砲弾砲着地点(四角形内)に‘百発百中’させるという軍人たちの話をどこまで信じなければならないか.
家にはひびが入り、人々は驚き腰をケガした.
すぐそこに訓練場が眺められるシンダム里 村.
写真 ハンギョレ21 タク・ギヒョン記者
“すぐにショーを中止して.” “銃を撃ちたいのなら、私たちの胸を撃て”
切羽詰った反応を予想できないように軍人たちはうろたえていた.
現場責任者である朴某大佐が出てきた.
“皆さん, 誤解があるようです.”
訓練場を管理する第6砲兵旅団の副旅団長だという.
状況は修習出来なかった.
“もういいかげんにしろ”
“それでも国民の軍隊か?”
現場を離れながら住民が一言二言言い残した.
“陸軍本部からも来たから, 村の上を砲弾が飛んで行く状況を直接確認させましょう.” 住民の何人かが出て説得したが、無駄だった.
“地図を見るだけでも分かるのに、何を見てるんだ?”
“155mm, 8インチ砲はどこに隠した?”
軍が住民たちの要請で用意した砲射撃の騷音の公開検証行事は、結局、砲を一発も撃たずに45分で霧散した.
騷音に驚き、脊椎にケガをした住民たち
10月31日午後, ひと騒動が行われたヨンチョン郡チョンゴク邑シンダム里一帯は、陸軍6軍団の砲撃訓練場が密集した所だ.
ハンタン江が長く南に曲がって流れるこの 村には、52, 53, 60, 64陣地陣などの6砲陣地がある.
河を渡って西方の訓練場に5砲陣地が, 東方のコッボン訓練場にも似た規模の砲陣地がある.
村会館を中心にして半径2km中に20に近い砲陣地が村を東西南北に取り囲んだ形勢だ.
陸軍第6軍団に所属する3個師団と1個砲兵旅団が使用するこの訓練場を通称し、‘ダラク台砲兵射撃場’と呼ぶ.
すべての陣地から発射される砲弾の砲着地点がチョンジャ山(海抜642m)裾のダラク台のようだからだそうだ.
この一帯では砲撃訓練による騷音と震動, 軌道車両が起こす媒煙と粉塵などで、最近10余年間民願が絶えなかった.
昨夏には射撃場を確保していない京畿道金浦と慶尚北道浦項の海兵部隊までが‘遠征訓練’に来るという事実が現れて,
住民たちが訓練場と通じる道路を占拠してデモを繰り広げることまでした.
この日の騒動は、住民たちの要請で第6砲兵旅団が用意した砲撃騷音測定行事に、普段の訓練時に配置された155mm自走砲などの大口径火器ではなく,
105mm曲射砲6門だけが配置された事実が確認されて始まった.
住民たちは“被害規模を縮小しようと、意図的に訓練環境を変えたのではないか”としながらざわざわし始めた.
軍関係者は“今後、村と近い 陣地では105mmなど小さな口径の砲射撃だけをする計画であるため,
事前了解を求めた後で火器を編成しただけ”と釈明したが,
住民たちは“村で砲射撃を続けようという要式手順にすぎない”としながら‘参観拒否’を宣言して訓練場を抜け出た.
住民たちが伝える被害状況は深刻だった.
シンダム里 住民生存権連帯が集計した資料を見ると, 300余名の村住民中で86人が騷音による聴力低下などを訴え,
150世帯中の半分近い70世帯が砲撃時の震動で屋根と壁体亀裂, 窓と電灯破損を経験したと陳述した.
2009年9月25日には、砲弾破片が真昼に村を通りかかった乗用車の屋根と空家の中庭に落ちる事故が起きた.
住民 金ジンフン氏は、“田んぼで働いていたら、突然155mmの射撃(TOT)の音に驚いて倒れて、ソウル清潭洞の病院で脊椎手術を受けた”とした.
帰農人 チョン・ヒョンス氏もやはり2010年 9月、家で石を運んでいて砲声に驚いて腰をケガをした後、下肢のマヒ症状が起きてソウル
セプランス病院で手術を受けた.

“北傀儡軍より困ったやつら”
この日午後, 住民 ファン・デジン氏と一緒に砲陣地が造成された村と周辺丘陵を見回した.
6軍団が3番国道一帯に散らばっていた13砲射撃場を統合して造成した訓練場は、シンダム里の住居地域とハンタン江を間に置いて向かい合っていた.
丘陵の稜線から眺めた西側斜面の砲陣地では軍人たちの砲撃準備が真っさかりだった.
東側斜下にはハンタン江が流れていて, その向こうには刈りいれを終わらせたシンダム里の村会館を中心に集まっている民家,
より遠くには砲弾の砲着地点であるダラク台が視野に入ってきた.
“あの下の砲陣地と砲着地点をつなぐ直線上に村がそっくり入っているのが見えますね? 騷音だけの問題ではありません.
頭上に一年数千発の砲弾が飛び交う村で誰が安心して暮らせますか?” 1996年に陸軍
大佐で予備役に編入し、一歩遅れて牧師按手を受けたファン・デジン氏は3年前からシンダム里の教会で活動をしている.
彼は、軍出身である自身さえ納得できないのに, 住民たちの不信はどの程度か、切ないという.
“金浦, 浦項からだけでも嫌ですよ. 沖縄駐屯米軍までがここにきて砲を撃って行くのです.
軍をどんなに理解しようとしても, できないことはできません”
激しい民願にも、軍は訓練場移転のような, 住民たちが要求する根本対策は考慮せずにいる.
騷音を減らすために、村近隣の陣地で運用する砲は小口径(105mm程度)に制限し,
軌道車量移動による道路破損と粉塵と騷音などを防ぐために専用迂回道路を作るという水準だ.
住民たちは‘その程度も見込めない’という 態度だ.
ある70代住民の口からは、この日“北傀儡軍より困ったやつら”という言葉まで出てきた.
“キム・ジョンウンという奴も臨津閣に砲弾を撃ち込むと威嚇して、善良な人民は待避しろと言ったよ.
これが大韓民国の軍隊がすることか??” あちこちで“賛成”という呼応が溢れでた.
近隣のジャンタン里長イ・ヨンジェ(58)氏は住民たちの剥奪感をこのように説明した.
“訓練するなということではありません. 南北が対立していて, しかも前方地域なのに、私達が何故軍の有り難みを知らないでしょうか.
ただ、屋根の上や, 私たちの子供たちの頭の上に砲弾が飛んで行かないようにしてくれというのです.
畑で働くおばあさんたちが頭上に砲弾が飛んで行く音を聞いて、105mmなのか, 155mmなのかなどと占う程なら、本当に深刻な問題ではありませんか?”
“全国の射撃場がみなそうです”
だが、軍は既存射撃方針を変えることは困難だという態度だ.
砲弾が民家上空を通り過ぎないように、村の前側(コッボン訓練場)だけで射撃すれば、砲着地点との距離が短くなるうえに,
多様な射程距離で移動射撃をしなければならない砲の戦術運用原則にも合わないというのが理由だ.
状況の深刻性に対する認識も違った.
この日、陸軍本部で出た訓練場計画将校(中佐)は、‘シンダム里のように砲弾の弾道が民家密集地域を横切る砲射撃場がもっとあるか’という記者の質問に、“全国の射撃場がみなそうだ”と答えた.
翌日、陸軍本部に直接電話をかけて具体的な数値確認を要請したが, “出張中ですぐには確認が難しい”という答えが帰ってきた.
この日も、シンダム里周辺陣地では105mmと155mm砲撃訓練が続けて行われた.
ヨンチョン=文 イ・セヨン記者
monad@hani.co.kr 写真 タク・ギヒョン記者
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