2012年10月ハンギョレ21 932号

地方自治体 欲望の花火が残した灰

 [2012.10.22 第932号]

[特集] 放送社・製作社には特典を与え、地域住民の懐をはたいてドラマ セット場乱開発, あちらこちらで放置されて崩れて… 薔薇色の展望で誘惑してドラマ製作費に充当した放送社はとぼけ, テーマパークに入居した住民の被害だけ拡大

≫ 6年前済州道の全幅の支援を受けてミョサンボン観光地区に入ったMBC<太王四神記>セット場が、去る10月4日に撤去されている.
製作社は500億余ウォンを投入してセット場近隣を映像テーマパークとして造成すると約束したが, 撮影が終わるやいなや済州を離れた.



2005年12月2日、地方自治体等の目が済州に注がれた.

各分野の最高人 プロデューサー(PD)キム・チョンハク, 作家 ソン・チナ, 俳優 ペ・ヨンジュンが手を結んで、<太王四神記>の撮影地が済州に公式決定されたためだ.
製作社チョンアムエンタテイメントの代表 キム・チョンハクPDが、この日、済州道との協約式でだした計画は華麗だった.
済州に大型セット場はもちろん、コンドミニアムと博物館などを建てて映像テーマパークを造成するという内容だった.
投資規模が500億ウォンを超えた.
<太王四神記>製作社がセット場近隣の観光地区開発事業の共同事業者として選定された.
開発事業者として経るべき統合影響評価などの手順は事実上省略された.
公示地価で1uあたり1万6900ウォンだった郡有地20万8千uが1万1千ウォンで製作社に売却された.
“映像テーマパークが造成されれば、毎年200万名の国内外観光客が済州を訪ねる”という展望を硬く信じた結果であった.


全国セット場, 27ケ所中8ケ所閉鎖

去る10月4日、済州の<太王四神記>セット場を訪ねた.
アジア映像産業のメッカに向かった済州の遠大な夢を込めたセット場が崩されていた.
撤去業者職員10余名が掘削機を動員して破壊と撤去を反復した.
宮廷と城郭など、仮設の建物が非常に多くて、去る9月17日に始まった撤去作業は2ケ月以上かかるというのが撤去業者側の予想だった.
100億余ウォンを投入したセット場が6年で虚しく撤去される原因を, 道民たちは製作社側の‘食い逃げ’のせいだと表現した.
済州道はいろいろな特典の提供を受けた製作社が<太王四神記>セット場を除く他の投資を全くしないので, 結局さる2月に開発事業施行承認を取り消した.
しかし、道民たちは製作社に弄ばれて道民に損害をおよぼした済州道に対する願望がより大きかった.
実際、済州道は生態系保全協力金と産地復旧費等の地方税2億7千万ウォンも貸し倒れになった状態だ.

直接的な被害を受けた道民もいる.
済州道の保証だけを信じてセット場内の商店街に入居した商人たちだ.

“2008年に農作業してきた畑を売って1億ウォンの保証金を出してスナックコーナーに入った. 道庁も何回も成功を大言壮語していた.
初めての1年はどうにかこうにか運営できたが、その後は観光客が減って一日の売り上げが1万〜2万ウォン程にならない時も多かった.
保証金を返してくれと訴訟までして勝ったのに、製作社はいまだにとぼけている.”
キム某(72)氏の哀訴だ.

一時熱烈だった地方自治体の‘ドラマ愛’は悲愁になって地方自治体にささっている.
2000年代中盤、競争的にドラマセット場誘致にたった地方自治体が、今は後処理にさまよっている.
数億〜数十億ウォンの予算と行政力を動員して支援したドラマの人気が早く錆びついて、セット場が管理費だけ使う無駄団地に転落したせいだ.
セヌリ党のジョ・ヘジン議員室が放送通信委員会に提出させた‘全国ドラマセット場現況’資料を見ると, 地方自治体に立てられた27セット場中8ケ所が既に閉鎖された.
残った相当数のセット場も赤字を甘受して細々と粘っている.
だが、そこには建設費20億ウォン未満の中小規模のセット場は大部分が含まれていなかった.
これらまで考慮すれば、悩みの種のセット場がひとつもない地方自治体はないと言っても言い過ぎでない程だ.
 

≫ ドラマセット場の観光資源化に成功したごく少数の地方自治体の事例は多くの地方自治体がセット場開発に飛び込む契機になった.
2005年頃、楊州のMBC<大長金(註:「宮廷女官チャングムの誓い」> セット場が観光客で混みあっている.



未来映像産業歓迎に数十・数百億投資

済州のようにセット場撤去だけは避けようという地方自治体は、民間にセット場を売却しようと努めている.
地方自治体にとって、セット場撤去は完全な行政失敗を認めるしかない最悪の状況として認識されるためだ.
仁川市 オンジン郡庁は、2005年に放映されたMBC<悲しい恋歌>のセット場と土地に関する売却手順を進行中だ.
去る9月と10月の2度にわたり韓国資産管理公社の電子資産処分システムを通し、11億4600万ウォンの入札を受け付けたが、参加者がなくてすべて流札になった.
オンジン郡庁関係者は
“8億8千万ウォンの予算を入れたのに, 2008年まで入場料などでかき集めた収益は1億5千万ウォンにすぎない”としながら、“その後は訪問客が全くなくて廃虚のように放置されてきた. 継続して管理費がかかる状況を耐えることができずに売却を決定した”と説明した.

地方自治体がドラマ撮影に臨時に使われるだけに過ぎないセット場に惹かれたのは、2000年、KBS<太祖王健>を撮った慶尚北道 ムンギョン市が大ヒットを放った後からだ.
多い時には年間50万名の観光客が訪れたムン・ギョンウン<太祖王健>セット場特需などに助けられて、2001年には観光客300万名時代を開いた.
ムンギョンの成功事例を見た地方自治体はドラマセット場が観光客を引き込む魅力的な文化コンテンツと判断した.
この時から地方自治体はセット場を引き込もうと、放送社と製作社に各種インセンティブを掲げた.
住民予算でセット場を建ててあげて, 撮影に各種便宜を提供した.
セット場誘致は自治体長の大きな政治的功績として包装された.
全羅南道ワンドの<海神>(予算37億ウォン・2004年), 全羅南道 順天の<愛と野望>(63億ウォン・2005年), 全羅北道 イクサンの<ソドンヨ>(17億ウォン・2005年)が、このようにして作られた.

もう一歩踏み出した地方自治体もあった.
ドラマセット場に教育と体験, 娯楽施設などを結合したドラマテーマパーク造成で目を高めたのである.
投入しなければならない予算が何倍にも増えたが、‘未来の食い扶持’発掘というそのような名目がついた.
1・2次産業では成長限界に当面しただけに、観光事業や映像産業のような3次付加価値産業に成長動力を探さなければならないという主張だった.
全羅南道ナジュの映像テーマパーク(2006年)に123億ウォン, 全羅北道ブアンの映像テーマパーク(2005年)に50億ウォンの予算が投入された.

放送社と製作社は、地方自治体の過激な投資を厭う理由がなかった.
彼らも韓流と史劇熱風で大型ドラマの製作に熱を上げた時、製作費負担を分けるパートナーが切実だった.

ユン・ホジン韓国コンテンツ振興院 産業政策チーム長は、当時のドラマセット場造成ブームをこのように説明した.
“先発地方自治体の一部成功を見た後発走者たちは、地域広報と観光客誘致の名目で長期的見識無しに予算から支援した.
これは地域の広いセット場で史劇を撮影しようという製作者たちの利害関係と噛み合った. 時には製作社の過度な要求が地方自治体の予算投入をそそのかすこともあった.”


予算投入したセット場, 民間業者が入場料を入れて

問題は、放送社と製作社はもちろん、地方自治体も住民のお金が要るセット場の活用には特別な関心がなかったということにあった.
初めからセット場でどのように着実に収益を出すかを真剣に悩んで予算支援を決定した地方自治体はまれだった.
せいぜい入場料や駐車費の名目で2千〜3千ウォンを受け取る程度であった.
セット場に関する著作権は放送社や製作社が持っているため、地方自治体がこれと関連した記念品を製作して販売することも難しかった.
きちんとした収益事業がないために、セット場は常時赤字にさまよったが、訪問客の足が遠のけば即座に生命力を失った.

韓国コンテンツ振興院が昨年だした‘放送映像コンテンツ製作施設の実態と運営改善方案’を見ると, ドラマセット場ブームが絶頂だった2006年にも地方自治体予算が投入された29ケ所中の5ケ所だけが小幅の黒字を出した.
かと言って、地方自治体が期待するような地域広報効果がたいして大きいわけでもない.

地方自治体がセット場建設を支援した代価として受ける公式的な補償は、ドラマ前後に少しの間露出される広報字幕でほとんど全部だ.
おまけとしては、時折り地域の名所がドラマの背景として使われたり, 放送社・製作社が離れた時に小品を残していく程度だ.

このように投資額対効果が不透明な事業をしながらも‘ドラマ製作支援に関するガイドライン’を作ってセット場の波及効果を推定するとか, 地域住民の意見を真剣に取りまとめる等の努力をする地方自治体はさがすのが難しい.
現在撮影中だとか準備中である大多数のドラマセット場も、いままでの慣行通りに作られて, 運営されるようだ.
それらのうちでも、去る9月2日から放映中であるKBS<大王の夢>セット場が最も典型的だ.
慶北道と慶州市はこのセット場を慶州市内の歴史体験テーマパークである‘新羅ミレニアムパーク’として誘致した代価に40億ウォンを支援している.
今年の慶州市の終生教育事業予算に釣合うお金だ.
そのおかげでKBSは30億ウォンでセット場を建て, 余ったお金は製作費に付け加えた.
しかし、まさに税金を出した住民たちには利得がほとんどない.
セット場の所有権が既に民間建設業体サムブ土建が運営する新羅ミレニアムパークに移転されたせいだ.
入場料などの収益はすべて新羅ミレニアムパークの持分だ.
住民のお金で放送社と建設社にとってだけ良いことがあるわけだ.

慶州市庁関係者は
“地域広報で観光客流入などの効果があることを期待するけれど, 具体的な波及効果は予算がなくて確かめられなかった”としながら“セット場を新羅ミレニアムパーク中に建てる代わりにそちら側は今後セット場の維持・保守などの事後管理を受け持つようになる”
と説明した.

放送社と製作社は“製作支援は地方自治体の選択”とし、セット場乱立の共同責任論に対して線を引く. ドラマが興行すればセット場が観光客誘致の助けになると、地方自治体が誘致に積極的なだけだという論理だ.
しかし、地方自治体が影響力ある放送社・製作社の甘い提案を拒否することは容易ではない.


≫ 一部地方自治体はセット場を支援する過程に議会の几帳面な予算審議手順を避けようと便利な方法を動員することもする.
韓国水力原子力が地域住民の福祉などに使いなさいと支援したお金で建てられた蔚山市蔚州郡のMBC<欲望の花火>セット場.



予算の代わりに特別手当て活用 見せ掛けの形

製作社支援のために‘見せ掛けの形’まで動員する地方自治体もある.
予算の代わりに各種特別手当てを活用する方式だ.
一般予算を使用しようとするなら議会の同意を経なければならなくて面倒だが, 副収入として入ってくるお金は制約をあまり受けないためだ.
最も愛用されるのが韓国水力原子力が発電所周辺の地域住民たちの教育・文化・福祉向上のために使いなさいと支援してくれるお金だ.
蔚山 蔚州郡は、2010年に放映されたMBC<欲望の花火>セット場を郡内の公園に誘致した.
セット場を建てるのに30億ウォンが投入された.
蔚州郡は韓国水力原子力が毎年支援する地域協力事業費67億ウォン中の半分を使用した.
“地域広報がうまくいけば、観光客流入で住民たちの所得が増えて、全般的な住民福祉も良くなる”という論理が追いすがった.
しかし、建物があるものの、セット場を訪れる観光客はまれだった.
選択の余地無しでセット場は無料で開放された.
結局、蔚州郡は投資額をすこしでも回収しようと、去る7月にレストランなどを運営する民間業者にセット場を貸した.
年間1億2千万ウォンの賃貸料を受け取って、3年間貸す条件だ.
ところが、必要なリモデルリングに予算11億ウォンが追加でかかった.

去る7月、釜山市 ギチャン郡も来年放送予定のMBC<火の女神 ジョンイ>(仮題)セット場誘致に入り、60億ウォン中の一部を韓国水力原子力が与えたお金から取り出して手当てした.
ゴリ1号機再稼働と関連て韓国水力原子力が住民合意金の名目で支援するお金は既に博物館体育施設などで使用が決まっていたにもかかわらず, ドラマセット場建設費に転用しようとしたのだ.
ギチャン郡は論議沸騰がふくらむと、釜山市とギチャン郡が予算を分けて充当する方式で支援方向を定めた.

放送社と製作社は“製作支援は地方自治体の選択”とし、セット場乱立の共同責任論に対して線を引く.
ドラマが興行すればセット場が観光客誘致の助けになるからと、地方自治体が誘致に積極的なだけだという論理だ.

しかし、地方自治体が影響力ある放送社・製作社の甘い提案を拒否することは容易ではない.
ある製作社のPDは“セット場候補地に行って公務員にプレゼンテーションをする時、他の成功事例などの良い点を強調する”と話した.
歪曲されたドラマ製作構造ゆえに、放送社・製作社が現実的に地方自治体に支えざるをえないという主張もある.
“ドラマ製作費の多くは、70〜80%がスター作家や俳優に行く.
常時製作費が不足し、セット場のような撮影インフラに使うお金がない.”(15年次 放送社PD)

当初の目的がいずれにせよ、大部分の放送社と製作社は今では地方自治体の支援を当然だと感じている.
その上、要求水準は継続して高まる.
全羅北道 キムジェ市は去る4月、SBS<デプンス>セット場製作に35億ウォン規模の製作支援ノ約束を撤回した.
放送社がドラマ製作計画を突然変えてしまったためだ.
放映回数は50部作から35部作に, 総製作費は250億ウォンから165億ウォンへ縮小されたのだ.
キムジェ市はその分だけ地域広報効果が減るはずだと判断したが, 製作社は当初の計画通りの35億ウォンの支援を要求した.
キムジェ市庁担当者の当時の感じだ.
“大作として製作すると言っていたが、結局は一般的なドラマ製作に変えて、お金はそのままくれと言った. だまされたようだった.
製作社の提案がだいぶ膨らんでいることを悟って事業を取り消させた.”


放通委“ガイドライン作る計画ない”

ドラマセット場乱開発を政府が法的に規制する手段はまだない.
ドラマセット場は地方自治体と製作社の双方間の自律協約によりなされているためだ.
仮に政府がこの過程にどんな方法ででも介入しようとすれば、地方自治体の予算編成・執行などに関する固有権限を侵害するという論議が生まれかねない.
放送通信委員会でもこのような理由で“セット場建設に関するガイドラインを作る計画はない”と明らかにした.
現在では“韓国観光公社が撮影以後の活用方案を含んだ適切なセット場建設方法について、地方自治体にコンサルティングをするべきだ”というジョ・ヘジン議員の主張が代案として提示されている.
住民たちの懐をはたいてセット場を建てる‘奇怪な現状’を止めることができる主体は、現在では当初の共謀者である地方自治体と放送社・製作社だけという話だ.


ソ・ボミ記者 spring@hani.co.kr