2010年12月ハンギョレ21 838号

‘スイートホーム’作る家事コンパニオンの苦い労働

 [2010.12.03 第838号] [私たちの傍らの5指]

‘私たちの傍らの5指’
六番目の話… 4大保険非適用、感情労働と人間的侮蔑の中で限りない家事サービスをしている家事コンパニオン労働者たちの孤単な台所

□ アン・インヨン

洗濯室-居間-台所-書斉-茶の間-寝室-居間-洗濯室-お手洗-台所-リサイクル・ゴミ回収場.
チェ・ミョンソン(49・仮名)さんの一日は洗濯室から始まり、ゴミ回収場で終わる.
アパートが作業場で, エプロンが作業服である彼女の職業は家事コンパニオンだ.

午前9時.
チェさんは毎週火曜日に、ソウル麻浦区 チャンジョン洞のあるアパートでに出勤する.
共稼ぎをしている夫婦が出勤した後の空き家に入ったチェさんは、エプロンをつけて急いで台所のそばの洗濯室に入っていった. 洗濯室に座ってかごに入れられた衣類を水に浸けて予洗をする. 衣類を洗濯機に入れ, 残りはたらいで洗濯する.
それから、居間と台所などに散らかった物などを目につくまま整理しておいて台所へ向かう.
皿洗い台に立ってタワシを持って、茶碗・カップ・鍋などを磨いて食器戸棚にきちんと並べる.
それからゴミを分別する. リサイクルするものと捨てるもの, 食物として処理するものを分ける.
手が休む暇もなく動く.


休む所もない昼休み

≫ ソウル麻浦区チャンジョン洞のあるアパートで家事コンパニオン チェ・ミョンソン(仮名)さんが働いている. チェさんは一週間に一回ずつ7時間働いて5万ウォンを受け取る.
ハンギョレ チョン・ヨンイル記者


“洗濯と皿洗い, ゴミの分別まで、午前中があっという間に過ぎますよ.
この家は一週間に一回ずつ来るのですが, 夫婦二人だけが住んでいる家なので量が多くはないけれど、その間にたまった皿洗いや洗濯をするのに時間がかなりかかるのです.
家でも家事をしますが、ここは職場です. 洗濯や皿洗いも家ですることとは違いますよ.
より神経を使ってしなければならず、より清潔にしなければならないですから.
この家の‘新妻’は、必らずして欲しいことがあればメモを残してます.
メモによって必要なことを追加するのです.”

昼12時.
12時から1時間は昼食を食べて休む時間だ.
仕事をする家におかずなどがあれば家で昼食を食べるか、あるいは簡単にラーメンなどを買いに行って食べる.
この家のように空き家で仕事をする時は食事や休息が比較的自由だが、昼も人がいる家ではそれさえ容易ではない.
チェさんは“仕事をするために来たのに, その家の家族が食べて残った汁物を出されたり、自分たちが食べない食べ物を押し付けられる場合もあります”としながら“そのような時は、普通、すぐには言えなくて時間がすこし過ぎたら、暗に‘それは困ります’と話す”と説明する.
また‘休むのが嫌’だ. 休む空間がない.
空室に一人でいることも, 人々が居間に座っているのに、居間とつながった台所の食卓に少しの間座っていることも嫌なようだ
.
午後1時.
チェさんは多用途室から掃除機を取り出す.
‘ウィン〜’ 掃除機の音が響く.
掃除機は書斉と茶の間, 寝室, 居間の順に回ってホコリを吸い込む.
掃除機をすべてかけたら、洗濯乾燥台から雑巾を持ってくる.
乾いた雑巾を持って書斉に入っていき、本箱と机につもったホコリを落とす.
居間にあるTVとノートブック, オーディオ上にも乾いた雑巾が通り過ぎる.
乾いた雑巾のあとは水雑巾の番だ.
水雑巾六枚が入っている赤いゴムバケツを持って居間に出てくる.
チェさんは両手に水雑巾一枚ずつを持って両手で拭き掃除を始める.
そのように2時間、30坪を超えるマンションの床をすべて磨く.
一般的に家事コンパニオンはモップ雑巾などを利用して床を磨いたり、一部だけを雑巾で磨く. ‘床をすべて拭き掃除してくれ’という要求は無理なことと見なされる.
ところが、チェさんは何故苦労して雑巾で床を磨くのか.

“ああ, 大変ですよ. 肩が痛いです. 50歳を過ぎて仕事を始めてしまったせいではないかと思います. でも、拭き掃除をすると、すっきりと清掃したという気がします.
家事コンパニオンをしながら最も重要なことは、顧客に良い反応をもらうことなので, このようにすれば気持ちが楽です.”

家事コンパニオンは、50代初め・中盤が最も多い. チェさんは若い側に属する.
それで拭き掃除も他の家事コンパニオンたちに比較すれば相対的に易しい方だ.
そのようなチェさんにも、からだがきつく難しいことがある.
クリーニング屋に任せればいいカーペットやカーテンの洗濯のような、重い仕事がそうだ.
仕事が多くない日に敢えてしなくてもいいことをわざわざさせられたと感じた時や疲れている時はよりそうだ.


感情労働, からだより心がもっと苦労する

≫ チェさんは“洗濯・清掃・アイロンがけ・食事準備まで時間内に終えようとするとなかなか休む余裕がありません”と話す.
ハンギョレ チョン・ヨンイル記者


午後4時.
チェさんはアイロンとアイロン台を持って居間に出てくる.
洗濯乾燥台に乗っているシャツなどをみなアイロンがけする.
アイロンがけが終わればトイレ清掃に入っていく.
ゴム手袋をつけて、ゴムバケツに洗剤と清掃用タワシを入れてトイレに入っていく.
洗剤とタワシを使って洗面台と浴槽, 便器を磨く. 鏡も忘れない.
トイレ清掃もやはり拭き掃除のようにからだを曲げて腕に力を集中してしなければならない.
トイレ清掃まで終えたら、家事仕事の仕上げに入っていく.
最後に家の中を点検しながらゴミ箱にゴミを入れる.
そうこうしたあと、見ればすでに午後5時だ. エプロンを外して家に帰る道にゴミを出す.
そのようにして、この家での日課が終わる.
共稼ぎ夫婦がどちらも遅く外で夕食を食べて帰ってくるのでこの家では食事の準備をしないが, 他の家では食事の準備までしてこそ仕事が終わる.
食事は普通ご飯とスープ・鍋一種類, ナムルおかず二種類, 蒸し物一種類を準備する.
家事コンパニオンたちが難しさを訴えるのがこの食事準備だ.
家ごとに好みがみな違うためだ.
問題は調味料だ. 調味料無しで料理をすれば‘美味い’という印象を与えるには難しい.
その上、家の人々の好みが互いに違う場合には問題が大きくなる.
チェさんは“ひとりは固めの料理を好み, ひとりは柔らかめの料理を好む時は、ふたりの顔色をうかがわなければなりません”としながら“作った料理が‘まずい’と言われた時はストレスがたくさんたまります”と話す.

チェ・ミョンソンさんは2007年から家事コンパニオンとして仕事をしてきた.
子供達が大学に通っていて、夫の稼ぎだけでは家計を維持するのが困難で“おかず代でも稼ごうと思って” 家事コンパニオンを選択した.
福祉館で2週間洗濯・清掃・料理・アイロンがけなど‘暮しの技術’と応対法等の家事サービス教育を受けた.
福祉館に会員として加入して年会費を払えば家事サービスの仕事を紹介してくれる.
はじめは3ケ月間産後支援コンパニオンをして, それからは家事コンパニオンをずっとしてきている.
いまは一週間に一度チャンジョン洞のマンションに行き, 一週間に三回ヤンチョン区のあるマンションに行く.
朝9時から午後5時までの終日勤労手当ては5万ウォンだ. 1ケ月に80万ウォンを稼ぐ.
チェさんは以前に行った公共勤労や食堂の仕事に比べて、家事コンパニオンは時間をすこしは余裕をもって使えるというのが長所だが, 感情労働部分は相変らず難しいと話す.
からだよりも心が大変な時の方がもっと多い.
“福祉館で紹介してくれた家に初めて行く時は、そちらがわではどんなことを望んでいるのかをまず把握します. そのようにすれば、定期的に仕事ができますから.
お互いに心を開けるまでには時間が長くかかります. そうしてお互いに対する信頼が生まれれば、粘り強く仕事をできるようになりますよ. チャンジョン洞のマンションの場合、3年目の仕事をしています.
信頼が生まれたと思ったのに、遠く感じられる時もあります.
以前に仕事をした家では、家に居るおばあさんが一度留守にしたことがあったのですが、貴重品が入っている部屋のドアをすべてロックしていきました.
理解できないわけではありませんが、それでもかなり長く働いてきたのに‘私をどう思っているのか’と言いたいです.”


4大保険が適用されない24万‘コンパニオンたち’

≫ チェさんは“洗濯・清掃・アイロンがけ・食事準備までを時間内に終えようとするなら、なかなか休む余裕がない”と話す.
ハンギョレ チョン・ヨンイル記者


一日中家の中を走り回ってこまめに仕事をしても、退勤時間である午後5時を30分や1時間超えることが頻繁だ.
働いた時間によって料金を受けるため、時間がそのままお金なのであるが, 超過した時間に対する手当てを要求するのが容易ではない.
大部分の家事コンパニオンは、一日の日当をその日の仕事が終われば使用者から直接受け取る.
そのような時、超過した分の5千ウォンや1万ウォンをもらいたいと言わなければならないのだが, その言葉が出てこない. 気がついてもらえれば‘有難い’.
チェさんが働く他の家では、食事準備で勤務時間を超過することが繰り返され、1時間超えると1万ウォンを加えることに合意した.

‘保険’の話が出るとチェさんの声が高まる.
“身元保証に住民登録謄本, 健康診断書まで出して福祉館に会員として加入して年会費も出しているのに、4大保険適用がされません.
福祉館の先生に‘何故できないのか’と尋ねても、‘遠からずできるようになるでしょう’という返事以外は聞けませんよ.
3年以上働いてきて、 今後少なくとも5〜6年は働く計画なのに、いつまで保険も適用されない状態で仕事をしなければならないのかわかりません.”
家事コンパニオン市場は毎年大幅に成長している.
家事コンパニオンの市場規模は、2007年に5兆ウォンを越えて毎年約10%ずつ増えている趨勢だ.
統計庁は今年3分期、共稼ぎ世帯の月平均家事サービス支出が2万6684ウォンで, 昨年3分期に比べて24.4%, 2005年3分期に比べて 188%増えたと明らかにした.
家事サービス支出のその大部分が家事コンパニオン費用であることを勘案すれば、共稼ぎ世帯の家事コンパニオン費用が5年間で3倍近く急増したという意味だ.
市場は大きくなったが、相変らず不安定だ.
昨年、韓国女性政策研究院が発表した資料によれば、家事コンパニオン従事者数は約10万5千名だ. 現場では実際には家事コンパニオン従事者が15万名を超えたと見ている.
彼女らの月平均所得は63万ウォンで, 平均年齢は52.8歳だ.
家事コンパニオンは、主に非営利社会団体・機関や有料職業紹介所を通して働き口を探す.
有料職業紹介所を通して働く家事コンパニオンの中には、統計に現れない人が多数いる.
15万名を超える家事コンパニオンに4大保険は‘絵に書いた餅’だ.
これは、ひとり家事コンパニオンだけの問題ではない.
家事・看病・保育コンパニオン従事者24万 名が同じ境遇なのだ.
彼女たちが社会的保障の死角地帯に置かれているのは、彼女たちが労働者ではなく、家族の一部である‘家事使用人’であるためだ.
1954年に制定された勤労基準法は、当時、時代的状況によって家事に従事する彼女たちを‘家事使用人’に分類して法適用から除外した.
56年が過ぎた今, 彼女たちをめぐる社会的環境は変わり、彼女たちは‘サービス労働者’としての社会的役割をしているが、彼女たちの法的地位だけは相変らずそのままだ.


54年に固着した法的地位

問題は、これに対する政府の二重的態度だ.
政府は家事・看病・保育コンパニオンなどの社会サービス事業の重要性を強調して莫大な予算を投入している.
政府が推進する事業を通して雇用された4万名に対しては4大保険が適用される.
社会的・法的地位保障が要因する以上、彼女たちの劣悪な労動條件はやはり改善の余地がない.
家事コンパニオンが休息時間・空間保障や正当な追加賃金などを要求するより, 仕事をしながら不必要な感情労働に苦しめられるようになったのには、相変らず家事コンパニオンを労働者ではなく‘家事を手助けする家政婦’として見る認識が一役買っている.
ソウルYWCA関係者は“私的である空間である家で会ううえに、使用者と一対一で働かなければならない場合が大部分だと、過度な要求をしたり人格的に侮辱をあたえる場合がたびたび起こる”としながら“掃除機などの清掃道具を使えないようにして、あらゆる仕事を手だけでしろと要求することもある”と話した.
このような時は、仲介してくれた団体が仲裁にたつ.

家事コンパニオンサービス使用者たちも言うことがある.
光州大 家族福祉専攻 キム・ソンミ教授は‘家事コンパニオンによる家事労動代替, 文化技術的事例研究’(2009)論文を通し、使用者の観点で家事コンパニオン雇用の問題を“家事コンパニオンのサービスの質に対する雇用前情報不足, 身分の不確実性による不安(中略) 希望期間の安定した雇用保障の欠如, 適切な報酬水準と引上時期の模倣性”と分析した.
この論文で指摘した問題は、有料職業紹介所を通して家事コンパニオンの仲介を受けた時、主に現れる.
民主労働党 ホン・ヒドク議員は、去る11月22日、韓国非正規労働センター・全国不安定労働撤廃連帯と一緒に発表した‘民間労働力仲介機構の手数料及び労働実態と改善方案’報告書で、有料職業紹介所によって家事サービスの質が落ちたり中間で仲介手数料を搾取する現状が現れていると明らかにした.
非営利社会団体・機関は、身元保障を最優先として, 家事コンパニオンの教育は少なくとも二日以上実行する.
教育を通して顧客応対法, 效率的に仕事をする方法, 職業意識などを身につかせる.
有料職業紹介所では、このような教育が一度もない.
家事コンパニオン求職者たちから受け取る仲介手数料も、やはり有料職業紹介所は月6万5千ウォンと社会団体に比べて2倍以上多く受け取ると現れた.


私たちの‘中’の5指

実際、有料職業紹介所に求職を問い合わせてみた.
3ヶ所すべてが初めての月には7万ウォン以上の会費を要求した.
業者ホームページには、家事コンパニオンに体系的な教育を提供すると出ているが, 教育は30分もかからない簡単な案内程度と答えた. 身元確認もやはり粗末だった.
“住民登録証だけ持って会社にくれば、そのまま家事コンパニオンに行けます.” 三業者から受けた共通の質問もある.
“韓国人ですか?” ある業者には韓国系中国人だと紹介した.
返事はやはり全く同じだった.
“身分証だけ持って会社にきなさい.” 有料職業紹介所の仲介形態はサービス利用者たちの不満とぶつかる.
家事コンパニオンの労働環境は‘私たちの傍らの5指’ではなく‘私達の中の5指’だ.
家事コンパニオンがサービス労働者という自分の名前を探せなくて‘家事使用人’として分類される以上、どんなに高級マンションであっても変わらない.
チェ・ミョンソンさんがインタビューの最後にバッグから取り出した手帳が忘れられない.
福祉館で配られた家事コンパニオン手帳の合間には‘魚の見分け方’‘洗濯をきれいにする方法’などが細かく書かれた付箋紙がついていた.
チェさんとすっきりしたマンションのキッチンの清潔な食卓でコーヒーを間に置いて向い合って座っていたが、そこは‘誰かの台所’ではなく、彼女の仕事場だと, その手帳は語っていた.


アン・イニョン記者 nico@hani.co.kr