2010年1月ハンギョレ21 795号

“朝鮮籍在日同胞入国拒否は不当”

 [2010.01.22 第795号] [報道 その後]

ソウル行政法院“南北交流協力法で、韓国出入制度的保障”… 旅行証明書発給拒否処分取消判決

□ イム・ジソン

韓国国籍も北朝鮮国籍も選択しない‘朝鮮籍’在日同胞に駐日韓国領事館が旅行証明書を発給しないことによって事実上韓国訪問を拒む措置(764号 ズームイン ‘何故今になって南北間選択を強要するのか’参照)は、不法だという判決が出た.

南北のどちらにも国籍変更をしなかった彼ら ≫ 韓国入国を拒否される朝鮮籍在日同胞を扱った<ハンギョレ21>764号報道


旅行証明書を手にしているのは、もう一人の朝鮮籍在日同胞被害者であるオ・シンジェ氏.
ソウル行政法院14部(裁判長 ソン・ジヨン)は、昨年12月31日、朝鮮籍在日同胞 チョン・ヨンファン氏が出した旅行証明書発給拒否処分取消訴訟で“駐日大阪韓国総領事館がチョン氏の臨時旅行証明書発給を拒否したことは、その理由が存在しなかったり合理的な裁量権の範囲を逸脱した処分”と判決した.

訴訟を提起したチョン氏は、昨年4月末にソウルで開かれたシンポジウムに討論者として参加するために大阪総領事館に旅行証明書発給を申請したが拒否された.
日本 立命館大コリア研究センター専任研究員である彼は、既に去る2006年と2007年の2度旅行証明書発給を受けて韓国を訪問したことがある.
ところが、突然昨年から旅行証明書発給を担当する領事が‘国籍を変える意思があるのか’その可否を問いただした.
チョン氏は書類に‘(国籍を変える)予定が無い’と表明した.
これに大阪総領事館は、無国籍者のチョン氏の身元証明にならないと旅行証明書発給を拒否した.
結局、チョン氏はシンポジウムに参加できなかった.
当時、旅行証明書発給業務を担当したイ・ソンヒ領事は、<ハンギョレ21>との電話取材で“朝鮮籍在日同胞に旅行証明書を発給することは原則的に不許可”とし、“今後朝鮮籍 在日同胞が危急な事由でない場合に旅行証明書発給を受けるのは難しい”と話した.
しかし、これはイ・ソンヒ領事個人の考えであるだけだというのが法院の判断だ.
無国籍者には旅行証明書発給を受ける権利がないという被告側主張に対して法院は、“南北交流協力に関する法律は朝鮮籍在日同胞を外国居住同胞と規定しながら彼らに旅行証明書発給を通した韓国出入を制度的に保障している”と明らかにした.
法院はまた、“国家の安全保障, 秩序維持, 公共福利を害する明白な事由があれば旅行証明書発給を拒否できるが, チョン氏は既に以前に何回も旅行証明書発給を受けて韓国を訪問して学術活動をした”としながら“チョン氏にそのような恐れがあると認める何らの資料がない”と指摘した.


昨年上半期だけでも拒否措置4件

1947年、日本政府が在日朝鮮人に一括的に‘朝鮮’国籍を附与した後、韓国と北朝鮮のどちらにも国籍を変更しない者が朝鮮籍在日同胞だ.
彼らは‘無国籍者’と分類され、‘無国籍者の地位に関する国際協約’と旅券法などによって旅行証明書発給を受けないと韓国に入ることができない.
旅行証明書発給が拒否された事例は、1999〜2004年の間に申請された1万1819件中の4件に過ぎない程にまれだったが, <ハンギョレ21>の取材の結果、2009年の1〜6月の間にだけで4件の拒否措置が確認された.

ペ・ドクホ地球村同胞連帯事務局長は、“政府は法院の決定を尊重して、職権乱用した担当者を問責して政府次元の根本的な再発防止策を用意しなければならない”としながら、“今後は朝鮮籍在日同胞が旅行証明書ではなく正式ビザ発給を受けて韓国にくることができるように‘在外同胞の出入国と法的地位に関する法律’についての憲法判断を提起する”と明かした.

イム・ジソン記者 sun21@hani.co.kr