2009年12月ハンギョレ21 791号

噂になった‘名家’

[2009.12.25 第791号] [オフ・ザ・レコード]

噂になった‘名家’.

2009年、放送関係者間に飛び交ったあらゆる噂と後日談のラストを飾ったのは、新年に放送される韓国放送のドラマ<名家>だ.
製作陣の話によれば、“イタリアのメディチ家に比肩する韓国の名門 慶州 崔氏の物語”だという.
最近の言葉で‘ノブレス・オブリージュ’を実践した慶州 崔氏の家門を通して正しくて道徳的な富とは何かを見せることによって, お金で勢力を伸ばす最近の世相に警鐘を鳴らすということだ.
ところが、<名家>の噂は、まさにこの‘お金’から開始した.
ある保守右翼指向の政治団体が<名家>に製作投資をしたという噂が1-2ヶ月前から放送関係者間に飛び交い始めたのである.


韓国放送提供


法的に禁止されたことではないが, 特定政治団体がドラマ製作に参加するのは初めてなので、事実ならば論議沸騰になることだった.
製作者がどんなに‘コンテンツ創作と表現の自由’を尊重すると宣言しても, 製作陣としてはお金を払う人の顔色をうかがわざるをえないことが現実ではないだろうか.
そうして、放送関係者間では<名家>が当初の企画意図とは正反対に, お金さえあれば誰でも自身の趣向に合うドラマを製作して全国に放送する程に勢力を伸ばすことができるという点を証明するようになるのではないかという皮肉も流れ出た.
信じる価値のある消息筋から始まった‘政治団体製作費支援説’が流れる頃, もう一つの噂が<名家>を重ねた.
<名家>が実は“韓国放送が‘高い方’に向けて歌う賛美歌”だということだった.
おそらく、そのような噂であるほど人物・事件・背景の3大要素が明らかだろう.
現政権が入った後、韓国放送は社長交替をはじめとするあらゆる風波を体験し, ニュース論調などを勘案する時は政権に対する忠誠心を確実に見せる姿勢がされているというのがこの噂の‘背景’をなす.
<名家>が<不滅の李舜臣> <千秋太后>など、視聴層が厚くて権威ある1chテレビ大河史劇放送時間帯に編成されたことは‘事件’だ.
昨年、韓国放送は経営難を理由に1chテレビで放送した大河史劇<大王世宗>を2chテレビに移し、“公営放送が広告収益ばかり重視する”という荒々しい反発をかった.
それなら、韓国放送の財政状況は大河史劇の広告収益までうらやましがらなくても良いほど良くなったとのか, もし広告収益まであきらめて<名家>を黄金時間帯に推したのではないのかという疑問がこの噂の3大要素中のひとつだ.
最後に、果して誰のための賛美歌かという‘人物’編で, 思いがけないクライマックスが待っていた.
チェ・シジュン放送通信委員長が‘慶州 崔氏 中央宗親会長’を続けたことだ.
簡単に宗親会ホームページに行けば、チェ・シジュン宗親会長の挨拶の言葉を誰でも見られる状況で, この噂はついに相当な説得力を得て、言論社ニュースの種として浮上した.
何であれ、<名家>は想像しなかった‘ノイズ マーケティング’に助けられて, しかも、‘話題作’から‘問題作’として注目されるようになった.
<名家>が名を馳せるようになるのか, 敗家亡身するか、はふたをあけてみてこそわかることだが.

イ・ミギョン ブロガー・mad4tv.com