2008年5月ハンギョレ21 708号

健保民営化に怒った方達いらっしゃい

2008年05月01日 第708号

健保民営化に怒った方達いらっしゃい

<シッコ> 上映会 インターネットカフェ‘阻止連帯’のママ・パパたち, “自ら体験したのであまりにも切実です”

□ 文・写真 イ・スンヒョク記者 hyuk@hani.co.kr

時期尚早な春の暑さが猛威をふるった去る4月19日午後1時に, ソウル大学路に位置する緑色教育センターに人々が三々五々集まった.
“ここは、もしかして<シッコ>の…, ですか?” または“あの, 映画<シッコ>を観に来たのですが”と、事務室のドアを開いて入ってきた彼らは、総じて生れて間もない子供を抱いていたり5,6歳の子供の手を繋いでいた.
お互いが初対面のようでぎこちない挨拶が行き来した.

△ 4月19日午後、ソウル大学路 緑色教育センターで‘医療保険民営化阻止連帯’カフェ主催が開いた<シッコ>上映会.

デモをして‘選挙法違反’の調べを受けたことも

“こんにちは.私は○○○といいます.”
“あ, どうも, うれしいです.私は ○○○です.”
彼らはインターネットカフェ‘医療保険民営化阻止連帯’(http://cafe.daum.net/minyengbande)会員たちだ.
政府が健保当然指定制廃止と医療機関営利法人化許容などを検討中であるうちに, 民営医療保険を中心に医療産業化が進行した米国の現実を写し出したドキュメンタリー映画 <シッコ>(註:マイケル・ムーア監督"SiCKO")を共に観るために集まったのである.
20人ほどの参席者全てが皆深刻な表情で2時間の映画を見, 時には溜息が聞こえることもあった.
この日の上映会を準備したのは‘阻止連帯’カフェ世話人であるムン・グァンドク(33)氏.
ムン氏は、政府が推進中の保健医療政策の問題点を知らせるために、退勤後の少しの時間を使ってワンマンデモにたつこともした(704号人の話‘医療保険民営化,パパの頭に角が’).
平凡な会社員である彼は心臓病を病んでいる息子ゴンヒ(5)のために病院を出入りしているうち、自然に新しい保健医療政策の問題点を悟って‘行動’にたつようになったという.
ムン氏は“実は、ワンマンデモをしたけど、‘総選挙に影響を与える’という理由で鍾路警察署に連行されて、選挙法違反嫌疑で調査まで受けました”としながら“それでも活動を止めることはできませんでした”と話した.

彼の悩みは“もう少し多くの人々と問題意識を共有して、より積極的になにかをしてみよう”という側に移り, その結果、去る4月1日‘阻止連帯’カフェが開設された.
4月24日現在、会員数が970人を超えた.
作られて 1ケ月にもまだならなかった‘阻止連帯’カフェが、最初のオフライン活動として<シッコ>上映会を開くまでは‘ゴンヒ パパ’ムン氏でなくとも‘ヨンビン パパ’ オ・スンフン(28)氏と‘ジェヒョン ママ’ シン・クンジョン(35)氏が大きな役割を果たした.
この三人は、映画上映会に先立ち、4月17日夕方に集まって顔をあわせて今後の活動方法について議論したという.
ムン氏がいろいろな市民団体と政党などに<シッコ>上映会を知らせる等、主務を担当して, オ氏は使用者製作コンテンツ(UCC)をはじめとするメディア側活動を担当することにした.
緑色連合常勤活動家で、育児休職中であるシン氏は団体活動経験を生かし、具体的なカフェ運営の道案内役をすることにした.
シン氏はまた<シッコ>上映会が開かれる場所として緑色連合付設機関である緑色教育センターを借りることができるように脚を運び, オ氏はUCC製作のために、上映会当日カムコーダーを持ってきて、互いに対話をする彼らを映像に収めた.
このように“健保民営化を防ぎきろう”と意気投合した三名の共通点は、皆病気を病む子供のママ・パパという点だ.
‘ヨンビン パパ’ オ氏には、ムン氏と同じように先天性心臓奇形を病んでいる生後5ケ月の息子がある.
生まれた後、いままで病院に払った本人負担金だけでも2千万ウォン程に達するというオ氏は“健保適用がなかったとしたら1億ウォンに近いお金を負担しなければいけなかった”と“(健保の恩恵を) 自ら体験したことがあまりに切実で, それで(こういう活動に)出ることになりました”と話した.


活動の先頭に立った三名の共通点

‘ジェヒョン ママ’シン・クンジョン氏の事情も似ている.
9ケ月のジェヒョンは心臓の心室間の壁に穴が空いた心室中隔欠損症を病んでいる.
子供が成長するにつれて穴が自ずから閉じられることがありうるが, そうでない場合には数百万ウォンを超える手術をしなければならない.
彼らでなくとも、この日の行事に参加した者の相当数は家族の中に患者がいた.
キム・テヒョン(38)氏は“母は糖尿を病んでいて、父は癌にかかっていて来週には手術を受ける予定なのですが, いまは薬をもらっても何千ウォンかだけ出せばいいけど、政府の計画通りに制度が変わると、このようなことは夢にも見れませんよ”と、“国民の生存権に影響を及ぼす、このような動きを静観していてはならないと思って、この場にくることにしました”と話した.

△映画が終わった後は、会員が顔をあわせて、今後の活動方向について議論した.
一番右側がカフェ世話人である ムン・グァンドク氏.

現在、政府は健保と関連した総合的な政策方向を提示していないが, 民営医療保険強化側に段階を踏んでいっている.
イ・ミョンバク大統領と大統領職業務引継ぎ委員会は、健保当然指定制(あらゆる医療機関で正当な事由無しで健保を拒むことができないようにする制度)の緩和方針を明らかにしたが、国民の荒々しい反発を呼び起こした.
また、企画財政部は去る3月10日の大統領業務報告で、民間保険活性化と営利医療法人導入などについて検討して細部案を用意し、今年中に関連法改正まで終えると報告した.
法制処もまた3月25日の大統領業務報告で営利医療法人許容の前段階として医療債権発行に関する法律を6月の定期国会で処理すると明らかにしたことがある.

このような政府方針に対する会員たちの態度は頑強だった.
<シッコ>上映会を終えた後に開かれた今後の活動を議論する席では“民営化政策反対UCCをできるだけ多くの所にばら撒こう”,“韓国版<シッコ>を作ってみよう”,“学園祭に合わせて大学で<シッコ>上映会を開こう”,“健保政策に反対する内容を込めたバッジを作って配ろう”など、多様なアイディアがあふれ出た.
ムン氏を紹介した<ハンギョレ21>の記事タイトルである‘パパの頭に角が’を真似て“ワールドカップ応援に登場したことがある赤い角がある鉢巻きを巻いてデモ行進をしよう”というおもしろい提案も出てきた.
結局この場では<シッコ>上映会を継続して, 政府保健医療政策に反対する活動を粘り強くしていこうという結論が下された.
映画上映会はソウル スソ総合福祉館に席を 移して進行することにした.
ムン氏は“できるだけ多くの人の参加が重要なことです. 各政党と社会団体にもこういう動きを積極的に知らせていきます”と話した.
参加連帯と保健医療労組など100余団体が進行中である‘共に観よう<シッコ>’キャンペーンとは‘別々に、そして、共に’進行される‘<シッコ>を観よう運動’が始まったわけだ.


‘新しい集会方式’公募中

5〜6月にソウル市内で医療保険民営化反対集会も開く計画だ.
ムン氏は“病気を持った人たちと市民ができるだけたくさん参加することができるようにしよう”と話した.
‘集会経験者’である大学市民連合関係者たちは集会許可と場所選定など、具体的な‘ノウハウ’を提供することにした.
‘阻止連帯’カフェ掲示板にも、市民と共にすることができる‘新しい集会方式’を公募する文章が掲示された.
平凡な人々のこのような自発的な動きに、既存市民団体などでも積極的な同調の意思を表した.
上映会に参加した健康世の中ネットワーク イ・ジョンレ健康保健チーム長は“医療保健団体の連合体である健康連帯次元で<シッコ>を観よう運動を推進中であり, 全国民を相手にするキャンペーンと健保民営化にともなう被害事例発表会を準備中”とし、“このように自発的な動きが起きるとは思わなかった. 今後どのようにするにしていくのか考えるべきだ”と話した.
席を一緒にした進歩新党 チェ・ウンヒ組織チーム長も“積極的に賛成する. 地域組織別に<シッコ>を観よう運動にたつ計画であり, 健保を守る運動をどのようにしていくかも考えている”と話した.

医療保険民営化, パパが怒った? 米国は韓国のぞっとする未来だ?