2007年2月ハンギョレ21 648号

“後腐れがない韓国の観光客は良いですね”

2007年02月15日 第648号 [キム・イル]
□ ウルムチ=キル・ユンヒョン記者 charisma@hani.co.kr
□ 写真 リュ・ウジョン記者 wjryu@hani.co.kr
 

キム・イル氏は今年二八歳になる朝鮮族の青年だ.
生まれた所は、中国・延辺 朝鮮族自治区.
彼が生まれた故郷を離れて中国の西北端の新疆ウイグル自治区の首都ウルムチに移ったのは3年前だ.

“故郷で就職をして稼ぐより、ここで観光ガイドをした方がもっとたくさんお金を得ることができますよ.”

キム氏のようにより良い働き口を探して、日本や韓国, でなければ中国内の他の地域に移った朝鮮族数は既に推し量ることさえ困難だ.
韓-中修交がなされる前の1990年代初めには200万名に至った朝鮮族自治区の朝鮮族数は既に50万名代に落ちた.
ウルムチに初めて定着した韓国人は彼の伯父だった.
新疆ウイグル自治区が中華人民共和国に併合された後, 中国政府はウイグル側を中国人に同化させるために他の少数民族をこちらに移住させた.

“大学卒業生に家と職業を与えて強制的に移住させたということです. その時、伯父もこちらに入ってきて敷地を定めて住んだのでしょう.”

50年の歳月が流れる間、祖国の南半部の人々は驚くべき経済成長を成し遂げた.
その経済力を基盤としてこちらには毎年2万名の韓国観光客が押し寄せる.

“私たちの間で日本の観光客と比較をよくしますよ. 韓国の人々は後腐れがなくて良いですね.”

 日本の観光客は観光をしている時は言葉無しで静かだが, 日本に戻ってから不満をぶちまけるためにガイドが困ることが多いらしい.

“韓国の人々は不満があればすぐに言ってくれるから, 私たちにとってはずっと気が楽ですよ.
別れる時にはご苦労様とチップもはずんでくれますし.”

結婚はまだできなかった.
ウルムチに定着した後、ウイグル族の女性と1年ほど付き合ったのだが, サムギョプサル(註:豚のバラ肉の焼肉)を食べられなくてあきらめた(ウイグル族はイスラム教を信じるため、豚肉を食べない).
彼の祖父の故郷は京畿道であるが, 1930年代に満州へ移住した.

“韓国へはまだ行ってみたことがありません. それでも、韓国があのように栄えたために中国の人々が朝鮮族を無視できずに待遇してくれますよ. 中国の子供たちが持てない就職機会も多いほどです. ところで、わたしのことを本当に書くんですか?”