2004年05月04日 第508号
“ポルノを合法化しなさい”
変身を繰り返して‘地下’をさ迷ってきたある成人サイト運営者が、日本AV審議結果に触覚を尖らせる理由
キム・スビョン記者
hellios@hani.co.kr
去る4月27日、国内のある成人コミュニティサイトが、日本‘成人ビデオ’(AV・Adult Video)スター3人を国内に招請した.
日本のAV製作社が国内提携社と手を取リ合って、国内成人映像物市場攻略を本格的に宣言したわけだ.
日本成人映像物といえば、近親相姦や援助交際, 乱交 等、陰湿なイメージを思い起こさせる状況から国内に安定的に軟着陸することは容易ではないようだ.
どんなにモザイク処理で程度を調節しても、1次配給分30編あまりに対する情報通信倫理委員会の事後審議を通過することは簡単でない.
日本成人映像物の国内インターネット正式サービスを観る閲覧ソリューション開発者 キム・ヒョンドン(32・仮名)氏の心情は複雑で息苦しいだけだ.
変身に変身を繰り返しても、‘地下’をさ迷う‘インターネットの毒キノコ’の身分を免れられないためだ.

△日本成人ビデオの正式サービスはなされるだろうか.
去る4月27日、日本の女優たちが成人映像物広報のために訪韓した.
高度な犯罪行為で適当に稼ぐ
4年余前に“ポルノも文化として扱わなければならない”という信念で成人映像物業界に飛び込んだキム氏が、インターネットの毒キノコとしての位置を占めるにはそんなに長い時間がかからなかった.
大学院を修了した彼は、各種健康食品をインターネットで販売しようとした. 多くの投資金も必要ではなかった.
修士論文をあきらめて購入したコンピュータサーバー2台であらゆる事が解決できた.
初めに各種サイトの掲示板とコミュニティなどを回ってアドレスを収集した. そのように集めたアドレスが数百万になった時、本格的な‘作業’に入っていった.
メールアドレスが必要な人々から一定額を受けとって、もっともらしいタイトルの商業性広告メールを送ったのだ.
自ら収益が生まれ始める頃、彼は新しい決断をした. スパムメールの弊害が深刻になりながら、広告効果も思わしくなかったためだ.
彼は大量商業メール発送の難しさを技術力で突破することにした. それは、まさに悪性アドウェア(広告用ソフトウェア)だった.
各種掲示物に悪性アドウェアを隠し、ポータルサイトに乗せた.
誰かが悪性アドウェアが隠された掲示物を開けば、アドウェアが自動でインストールされてコンピュータを勝手に操作するようにしたのだ.
感染したコンピュータは、インターネットスタート画面がアドウェアの‘術策’によって広告内容ホームページに固定されて変更することさえ不可能だった.
そのように無作為に数千万通のメールで成人サイト加入を勧誘して、運営者から広告代行費を受け取った.
彼は、高度な犯罪行為であるだけに危険負担が少なくなかったが、適当に稼げる‘不当利得’をあきらめたくはなかった.
警察庁サイバーテロ対応センターの活動が強化されながら危険手当が急騰した.
そのように顔のない成人サイト伝播者として活動した彼は、‘脱げばお金になるポルノの神話’に陥った.

△ポルノが不法の陰から毒キノコへと高まっている.
成人サイト運営者たちは無差別的に広告を送り会員を集める.
(写真/ リュ・ウジョン記者)
彼は成人サイトコンテンツを製作し‘一塊のお金’を得るようにした.
その頃、成人サイト運営者から‘ノウハウ’を伝授された.
ポルノ製作と流布が不法である国内で露骨的な成人サイトを運営することは事実上不可能だ.
それで、カナダに根拠地を置く同業者と一緒に成人放送社を開設し、コンテンツを用意して、ファイル電送プログラムで国内に電送するようにした.
誰が見てもお金になる‘事業’だった.
彼は国内で会員を確保することを担当して、同業者はコンテンツを提供する責任を負った.
不法という‘レッテル’さえつかなければ、いくらでも投資者を集めることができた.
成人サイトは技術力とマーケティング能力があれば、‘一塊のお金’を抱かせた.
成人サイトはインターネットの最大受恵者であったと言っても言い過ぎではない. 映画とレコードのように途方もない初期資本が必要でもない.
オンラインで主体の収益モデルを作った成人サイトファイル共有で窮することもなかった.
どんなに法的に強硬な対応も、成人映像物の活路を防げなかった. 先端技術で武装し、塞がった道を切り開いていくノウハウが想像を超越するためだ.
成人サイト企業は驚くべき商術を発揮することもある.
少々の有料会員を確保したサイトは、自社のコンテンツの一部を群小成人サイトに‘味見’として提供し、‘眼の味’を馴らすのだ.
成人コンテンツ物は、製作費用も低廉だ. ある成人放送社関係者は、
“熟練した俳優でなくても、簡単な演技指導を受ければ難無く‘作品’を作ることができる. 作品の質的水準も、外国に追いつく趨勢にある.
だが、製作能力があっても市場に進入することができない”と話す.
△海外のポルノ産業は巨大な市場を形成している.
フランスのポルノ俳優が撮影に先立ち、扮装をしている.
(写真/ GAMMA)
キム氏は成人映像物の爆発的成長によって、製作者として進出したい気持ちを振り切るのが難しかった.
ポルノが国内で毒キノコの身分から免れられなくても、米国等では産業的にハリウッドに拮抗する程に成長した影響も大きい.
実際に米国では、ポルノ映画と成人サイトなどを合せて100億ドル以上の市場を形成している.
これは、米プロフットボールリーグ(NFL)や米プロバスケット(NBA), メジャーリーグなどをすべて合わせたよりもはるかに大きい規模だ.
彼は世界最大のポルノ映画専門製作社として<悪い妻たち>(Bad Wives), <ユニホームを着た女>(Women In
Uniform)などを成功させた‘ビビッドエンターテイメント’の競争相手になってみたかった.
世界最大の音楽企業である‘ユニバーザルミュージックグループ’でさえもポルノ産業に飛び込もうと、衛星放送であるディレクTVとビビッドエンターテイメントなどと協力関係を構築した場面に、‘謹厳な表情’で首を横に振ってばかりはいられないと考えたのである.
いつかは成人映像物関連法の規制が解かれるはずだという期待は‘希望事項’であるだけだった.
どんなに成人サイト運営に関する技術・マーケティング能力を磨いても、使い道がなかった.
かと言って、せいぜい500余本を売る‘エロビデオ’で活路をさがすこともできない有様だった.
モバイルサービスのために芸能人ヌードを製作することは夢のようなことだった.
不法競争を繰り広げて自ら事業性を育てても、零細な成人サイト運営者としては、数億円の製作費用を‘オールイン’することが無理だった. ポルノサイト接続率
世界5,6位圏の国で根拠地を絶えず変えなければならない現実がせつなくもあった.
その上、成人サイトが露出水位を上げる競争に駆け上がりながら、キム氏はサイバー捜査隊の監視網を避けることも少なくなかった.
結局、キム氏は成人映像物市場の郊外周辺で‘公式サービス’に対応することに心を決めた.
成人用サイトは、互いに連結する場合が多く、一ヶ所だけ探して入っていけば、世界のあちらこちらをあっという間に廻ることができる.
まさに、ここでポルノ産業の競争力が出る.
セックスは国境と言語の障壁はない全世界人に共通する関心事であるためだ.
はなはだしきは、匿名の空間で性的欲求を解消しようという聖職者がポルノ中毒になり、治療を受ける事例も少なくない.
外国の大型ホテルの場合、客室で発生する収益の70%以上が成人用ページヴューサービスという話にも、わたしたちは耳をふさいでいなければならない.
相変らず、国内の成人映像物は陰地で不法のくびきを抜け出すことができないためだ.
海外に抜け出ない成人サイトは、せいぜい密閉された空間でコンテンツを作って日本等に渡したり、有名ポルノサイトの韓国語サービスのために‘嬌声’を録音することで満足しなければならない.
△
国内のエロビデオ市場が急激に減りながら、製作人材は行くところがなくなった.
ポルノの合法化がなされないと、彼らは不法に生計を継続せざるをえない状態だ.
最近、キム氏は情通委の日本成人ビデオ審議結果に神経を尖らせている.
成人映像物が正式にサービスされれば、彼にもう一つの機会がくることになるためだ.
キム氏はこれまで成人サイトを運営しながら頭を悩ました、決済と閲覧関連プログラムでいつでも市場に飛び込む準備をしている.
国内サイトからAVが正式サービスされれば、米国と日本の巨大資本が相次いで上陸することは火を見るより明らかだ.
どちらかといえば陰地で磨き上げたキム氏の技術力だけで巨大資本の攻勢に対抗することは大変だ. 不法の陰を抜け出したキム氏は、このように話す.
“いつまで文化的衝撃云々と言いながら、市場を根こそぎ渡すのだろうか. 今は衝撃を吸収する装置を作って、経済的観点でポルノ産業を眺める時になった.
このまま行けば、国内人材を犯罪者にしながら、成人物天国という汚名から抜け出させないだろう.”
インターネットの毒キノコ, はっきりと除去する方法を探そう
本当にわたしたちは成人映像物の合法化を期待できないのだろうか.
何より、合法的枠で管理するのが重要だ.
ポルノが合法化された米国だけでも、高いウェブホスティング費用に接続数が多くなれば、ホスティング費用を高める方式などを導入して、成人サイトの無差別的氾濫を制限している.
今は、私たちもインターネットの毒キノコをはっきりと除去する方法を探さなければならない.
陰地の社会は毒キノコにとっては良い土壌だ. どんなに華麗な色相を誇る毒キノコでも、陰地を抜け出せば誰も振り向かないゴミに過ぎない.
わたしたちは、あまりにも長くポルノを陰地から育てて毒キノコにしてしまった. ポルノならば無条件不法のくびきをかぶせて閉じるばかりだったのだ.
このような状況で、一般企業も関心を傾けるポルノ産業のもう一つの可能性を発見するのは難しいことだ.
エロ市場 ‘富益富 貧益貧’[国内成人映像物産業 現況]
イ・ミョング/ <スポーツ ソウルドットコム> 記者
1990年代後半まで、韓国エロ業界の主導勢力は断然エロビデオだった.
これは、どこかからだしぬけに出てきたことではなく、1970年代から1980年代までブームをなした、いわゆる‘ホステス映画’の命脈を受け継いだことだった.
1995年、チン・ドヒが主演した<乳牛夫人 旋風を起こす>は、エロビデオ全盛時代の象徴だ.
少しの間停滞したエロ ビデオは、1990年代後半、ユリ, イ・ギュヨンのような新世代エロスターを誕生させ、第2の中興期を迎えた.
しかし、残念なことにビデオという媒体の力は既に終焉を告げていた.
エロもインターネット革命という巨大な波の中に巻きこまれていき始めたのである.
2000年を前後して、草創期成人サイトとエロビデオ業界は短い期間の蜜月関係を維持した. 成人ウェブサイトはコンテンツが貧弱で,
エロビデオ業界は新しい収入源が生まれたという点で、合同戦略が可能だった.
だが、状況はまもなく逆転した.
理由は、エロデータベースとノウハウを蓄積した成人ウェブサイトが直接エロ映像物製作に飛び込み始めたためだ.
O嬢とB嬢 等、芸能人セックスビデオ事件はアナログ的エロ市場を完全にデジタル時代へと一気に変えた.
芸能人セックスビデオは、これまで暗黙的に法的枠を抜け出さなかったインターネットエロ業界に‘ポルノはまもなく大ヒット’という夢を植え付けた.
僅か何年で国内インターネット成人サイトが飽和状態に達すると、海外に進出する不法ポルノサイトがひとつふたつと増えた.
地下市場を中心に製作された韓国産ポルノが外から発信されたというわけではない.
海外でいっそのことインターネット成人放送社を開設した彼らは、ポルノジョッキーという名前の女性を全面に出して、毎日のように生き生きしたポルノを作りだした.
莫大な収益を上げるといううわさが広がりながら不法海外サイト間の生存競争も熾烈になった. それは、そのまま露出競争を意味した.
露出程度は陰毛から自慰行為に続き、実際の性行為にと、息詰まるように移っていった. これ以上はポルノに写る女性も顔を隠さなかった.
平凡なセックスは、アナルセックスと グループセックス, 顔射(顔に射精をすること)も厭わない,
もうこれ以上は行く所がない程度まで駆け上がった.
2003年からはモバイル成人市場が落ち着きながら、芸能人ヌードが本格化した.
もう、エロは裏路地に隠れている零細で粗雑な業種ではなくなった.
億台を越えるプロジェクトが相次いで推進されて、10億台を行き来する売上げを記録した.
女性芸能人たちは精一杯裸のイメージを売ってお金を稼いで、新しい転機を用意する機会にした.
現在、エロ業界は二つの軸が主導している.
ひとつは、成人サイトや不法ポルノサイトで、手硬い資本を用意したインターネット業者だ.
もうひとつは、芸能人ヌードを中心に肥大化した成人モバイル業者だ.
もちろん、ウェブとモバイル両方を基盤とする業者もある.
だが、注目する点は、エロビデオ市場は完全に危機に瀕しているということだ.
最近、エロ業界ではビデオ用エロ映画撮影が急激に減った.
その代わりに、モバイルとインターネット用に合う5分程度の短いエピソード類エロ映像物撮影がその場を埋めている.
ポルノは最も資本主義的な事業だという言葉と共に、エロ業界もやはり典型的な富益富 貧益貧現状を見せている.
モバイルとインターネット成人市場は、すでに、新規に進入しては決して成功出来ない構造として固まっている.
その反面, 先行獲得と独占効果をずいぶん享受する企業は順次途方もない収益を上げている.
国内市場と海外市場は、危険水位を越えないエロと性表現の制限がないポルノとに明確に区分された.
韓国のエロ業界は、今年のはじめ、日本文化全面開放方針によって内部競争で、もはや海外派と対抗するべき立場に置かれている.
今後、エロ業界の主導権がまたどのように変化していくかと速断するのは難しい.
ただし、明らかなことは、エロ業界が無視するにはあまりにも大きい規模の市場として成長しているということだ.
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