2003年11月ハンギョレ21 485号

無料新聞, 地下鉄襲撃事件
[ 特集 ] 2003年11月19日 第485号

無料新聞, 地下鉄襲撃事件

総合日刊紙までが無料新聞市場に飛び込んで… 市場定着可能性はもう少し様子見
地下鉄電車ごとに乗客たちの手に手に無料新聞があふれ出ている.
今は一部総合新聞社も創刊を試みている.
無料新聞は言論市場に定着できるだろうか.
記事に問題点はないか.

“なぜ、読むのかといえば、無料ですからね”

あまりにも当然なことをことだろうか. 地下鉄電車のなかで<メトロ>や<ザ デイリー フォーカス> のような無料新聞を読む人に購読理由を尋ねたら、10人中10人が, 全く同じ返答をした.
ソウル地下鉄を利用して出退勤するキム・ミョンギ(34・会社員)氏は
“大きさも適当で、生活に必要な情報がよく整理されているようです. 20〜30分程読んだ後、降りる時は電車の網棚上に投げて降りると負担がない”と話した
.

創刊初期 赤字不可避

11月13・14日午前8時から2時間、ソウル地下鉄5号線光化門駅から孔徳駅まで往復した. そして、電車5車両のなかで新聞を見る人々を数えた.
計47人が新聞を見ていた. その内9人がスポーツ新聞を, 6人が総合日刊紙を見ていた.
残り32人は、<メトロ> <ザ デイリー フォーカス>などの無料新聞を広げていた.
このような地下鉄風景は、去る4月 <オーマイニュース>が地下鉄乗客1500人を対象に繰り広げた面接調査でも現れた.
この調査によれば, 朝出勤の交通便新聞購読者の72.8%が無料新聞を見て, スポーツ新聞は8.8%, 総合日刊紙は3.7〜5.6%に過ぎなかった.
国内無料日刊新聞1号は、昨年5月31日に出てきた<メトロ>だ. 去る6月には、<ザ デイリー フォーカス>が創刊された.
読者の立場では‘無料で新聞を分けてくれて、果して商売になるだろうか’が最も気になる.
広告収入に100%依存する無料新聞は厳密に正せば無料ではない. 読者が後で物を買う時に払うお金を広告主があらかじめ代わりに渡すことになるからだ.
無料新聞は総合日刊紙や放送が見逃したスキ間広告市場を掘り下げると主張する.
ある広告代行社関係者は、
“広告主は首都圏比重を高くみなします. 首都圏地下鉄を中心に配布される無料新聞の発行部数は思ったより多いのです. 読者があれば広告主は注目します. 広告は固定されたわけではなく、移動するのです. 20・30代読者が多い無料新聞に携帯電話やコンピュータ広告を出せば効果が思ったよりいいですよ”と説明した.

朝、出勤時間に首都圏地下鉄を利用する人口は、一日平均150万名程. 首都圏の出勤時間に配布される無料新聞は90万部を超えると知らされた.
無料新聞は、創刊初期には紙の値段, 印刷費用, 配布費用, 人件費などが固定的にかかるために赤字が出ざるをえない.
<メトロ>は、昨年6月から12月まで、50余億ウォンの赤字を見たが、今年6〜7月頃に損益分岐点を突破したと主張する.
<ザ デイリー フォーカス>関係者は、“去る6月16日の創刊以後、5月間で100億ウォン程を投資した”と明らかにした.
<ザ デイリー フォーカス>は、毎月5億〜6億ウォン程の赤字が出ているが, 心配する程ではないと主張した.


既存業者たち 売上げ激減に反発

ソウルの総合日刊紙は、規模が小さくても、記者だけで200人, 広告・製作・販売人材などを合わせれば、全職員が500人を超える.
ここに、全国新聞販売網を維持しなければならず、自転車やビデまで景品としてあたえる新聞販売競争が熾烈だ.

写真/地下鉄で読むのに丁度良い.無料新聞読者の90%は、20・30代の若い層だ.

これに比べて無料新聞は、地下鉄を利用するため、新聞のように配布網維持費用がかからず, 記者20余名を含む全職員50人程度が新聞を作っている. 印刷は外注であるため、輪転機を用意する必要もない. 無料新聞の月支出規模は、17億ウォン程だ.
ある無料新聞関係者は、“わたしたちは、考えが大きくて、体つきは小さな組織”と説明する.
無料新聞は、一日7千万ウォン以上の広告売上げを上げてこそ生存が可能だ. 無料新聞の損益分岐点は、月売上げ規模18億〜19億ウォン程だと知らされた.
無料新聞の市場定着可能性は、もう少し時間を置いてみないとわからないようだ.
ある無料新聞関係者は、“まだ冒険をしているというのが事実だが、市場に定着する可能性は半々だとみる”と明らかにした.

既存新聞業界では無料新聞をどのように見ているのだろうか.
昨年の創刊時から、無料新聞は架販業界と摩擦をかもしてきた. 地下鉄などで新聞を売る架販業者たちは、無料新聞のせいで売上げが激減したと反発している. 彼らは架販業者は、最近、架販新聞売上げが40%ほど落ちたと主張する.
ある架販業者は、
“首都圏地下鉄の架販物量は、スポーツ新聞35万部と総合紙15万部を合わせた50万部なのであるが, 毎朝無料新聞を90万部以上も無差別的にばら撒かれて商売になるか”
と話した. 既存新聞業界でも、架販販売比率が高いスポーツ新聞業界が最も影響を受けた.
メディア経営研究所の市場展望分析によれば, スポーツ新聞上位2社は、今年上半期販売売上げが180億ウォン台で、昨年同時期の190億ウォン台と比べて約3%(5億ウォン)ほど減少し、他の1スポーツ新聞社は発行部数が2万部程度減った.

一方、総合日刊紙側は広告市場蚕食により気を遣っている.
経済沈滞で縮まっている広告市場を無料新聞と分け合って食べなければならないためだ.


不公正取引論議沸騰中に

メディア経営研究所は、“現在2無料新聞の月売上額を合せると約20億〜22億ウォン台だと推算されるのだが, これは新しい広告市場の創出よりは既存有料新聞の広告市場に対する媒体間再分散に起因する.
今後、無料新聞がある程度既存広告市場で新規広告を自ら創出していくのか, 既存広告市場の単純再分配に終わるのかは、無料新聞のマーケティング力が左右するものと見られる”と分析した.
11月17日、総合日刊紙としては初めて文化日報紙が創刊して地下鉄無料新聞 市場に飛び込み, 大韓毎日新報社も無料新聞発行を検討している.
総合日刊紙の無料新聞創刊は、新しい広告市場を確保して金を儲けるためだ.

写真/既にお金を出して新聞を見たくない.

新聞架販業界は無料新聞のせいで売上げが40%ほど落ちたと主張した.
無料新聞が全国紙を目標に地域配布を拡大するのではと、地方新聞も大きく警戒している.
11月7日午後、全国言論労組などの主催で開いた‘無料新聞実態診断と対案摸索のための討論会’で、イ・ジェヒ言論労組地域新聞特別委員長(<釜山日報> 支部委員長)は、“新聞を刷って配布することだけで新聞を維持するには、歪曲された情報を量産する新聞が乱立せざるをえず、その被害は読者に帰し, 無料新聞が乱立しないように定期刊行物法上、新聞社登録要件を強化する必要がある”と主張した.
釜山民主言論運動市民連合は、来年、総選挙報道モニター対象に無料新聞も含むのかの可否を検討している.
この日の討論会で、ジョ・ヨング ハンリム大 言論情報学科教授は、
“広告に全的に依存する無料新聞を合法的にばら撒くことは、新聞市場正常化を威嚇する可能性が大きい. 状況を注視する必要な政策を建てるべきだ”
と話した.

無料新聞側は、不公正競争という問題提起は誤解だと説明する.
ジョ・チュンヨン<ザ デイリー フォーカス> 経営企画室長は、
“既存日刊新聞と労組の立場では不公正競争に見えるだろうが, 無償提供紙と無料新聞は異なる概念だ. 金を受け取るべき新聞をそのまま配る無償提供紙は不公正行為だが, わたしたちは当初から文化観光部に登録する時に無料であることを明らかにした. 読者が見たくない新聞を無理に抱き合わせられない. 世界各国で市場と読者の要求変化によって、無料新聞ブームが起きている. 外国の事例を見ると、それまでは新聞を読まなかった20代が無料新聞を読んで新聞購読をする場合が多い. 長期的に見れば、既存日刊新聞にとっても助けになる.”

キム・ヨンウク韓国言論財団 選任研究委員は
“‘新聞を見てこそ世の中を理解する’と、真摯なジャーナリズムとは異なる無料新聞の成功を見て辛かった. 無料新聞を否定的には見ないが、もう少し見守らなければならないようだ”
と話した.
キム研究委員は“読者が無料新聞を選択するということは、既存日刊新聞には‘500〜600ウォンの投資価値もない’という不信判定を下したわけだ”と話した.


文 クォン・ヒョクチョル記者 nura@hani.co.kr
写真 リュ・ウジョン記者 wjryu@orgio.net