2003年8月ハンギョレ21 473号

シュワー〜 コーラ 気が抜ける音
[ 経済/経済人 ] 2003年08月20日 第473号

シュワー〜 コーラ 気が抜ける音
消費者の健康志向と外食減少で、昨年に比べて急激に売上げ減少


コーラの売上げが減って、業界で大騒ぎになった.
真夏の盛需期にも消費者はコーラを無視した.
専門家は、健康志向傾向と外食減少が主原因だと指摘する.

コカコーラは、世界195ケ国で一日平均7億杯(1杯 237ml 基準)以上売れている. 全世界で1秒当たり7500瓶が消費されているわけだ.
全世界的にコカコーラが生産, 販売されていない国は20ケ国もない.
1886年、米国アトランタの薬剤師ジョン・ペンバートンが製造法を発明した後、20世紀の終始、世界人の口を占領してきたコカコーラは、名実共に米国の世界最大輸出品だ.
ところが、韓国でコカコーラの勢いがますます落ち込んでいる.

写真/米国アトランタ市のビルディングに掛けられているコーラ広告看板(SYGMA).
コーラ不敗神話は2000年代に入って少しずつ亀裂を見せた.ある商店の陳列台に積まれているコーラ(パク・スンファ記者).
韓国コカコーラは、最近、非炭酸飲料に目を向けて、多様な新商品を披露した.


2000年代に入って亀裂が見えたコーラ神話


飲料業界によれば, 今年上半期、国内炭酸飲料市場は約5900億ウォン台と推算される. 昨年上半期に比べ、7%ほど売り上げが減った.
炭酸飲料を代表するコーラ市場だけを見ると、急激な売上げ減少がより明確で深刻だ.
国内コーラ市場売上額は、今年上半期に約2700億ウォン台に終わったと集計された. 昨年に比べて15%ほど成長が後ずさりをしたのだが, 史上最悪の実績だということができる.
今年上半期にコーラ市場再跳躍のために、コカコーラ(韓国コカコーラ(株))とペプシコーラ(ロッテ七星飲料)が攻撃的なマーケティングを繰り広げたのにもかかわらず、2桁のマイナス実績をおさめたという点は多分に衝撃的だ.
その上、蒸し暑さが始まる春季以後が清涼飲料の盛需期である点を勘案すると、 売上げ急減はより一層通常ではない.
それなら、コーラのみだけでなく炭酸飲料市場が全般的に沈んでいるのだろうか? でなければ、コーラだけが唯一韓国で苦戦を免れられないということなのだろうか、興味深いことは、同じ炭酸飲料でもサイダー市場は着実に成長の勢いを継続しているという点だ.
今年上半期、サイダーは昨年対比7%も成長し、約1700億ウォン台の市場を形成した. 飲料業界によれば, 七星サイダー(ロッテ七星)とキンサイダー・スプライト(韓国コカコーラ)すべて売上げが大幅に増えた.
これについて、ロッテ七星飲料関係者は“飲料消費者の健康志向傾向と景気沈滞にともなう外食減少で、コーラ消費が急激に減っている”としながら、“サイダーの場合、コーラとは違いカフェインがないという点がそのまま宣伝材料になるようだ”と話す.
飲料市場の支配的流れが健康重視に変わりながら、コーラ市場がもっとも大きな打撃を受けているということだ.
コーラの売上げが急減する原因として、‘反米感情’拡散を選ぶ人もある.
米帝国主義を象徴する商品であるコーラが、国内反米感情の直接的影響圏に入りながら、消費者から敬遠されているという分析だ.
果してそうだろうか? ‘コーラ独立’を掲げた8・15コーラ(コンヨン食品)を見よう.
反米感情がコーラ消費減少の一原因ならば、相対的に8・15コーラの売り上げが増えるのが正常だ.
だが、この商品もやはり売上げが減ったのは同じだった.
8・15コーラは初登場した去る1998年のコーラ市場占有率が15%までぐんと上がったが、最近3年間は市場占有率5%線を上下している.
コンヨン食品関係者は、“全コーラ市場が減ることによって8・15コーラ販売量も減少している”としながら“国産コーラを愛飲しようというブームはない”と区切って話した.
彼は、“以前は消費者は喉が渇けば特に考えないでコーラを買って飲む程コーラがうけていたが、最近は喉が渇くとミネラルウォーターを買って飲む等、コーラの人気が大きく落ちているようだ”と付け加えた.

写真/ソウル市内のあるファーストフード店でハンバーガーを食べる市民たち.
専門家は、最近の景気沈滞で外食が減少したことも、コーラ販売不振の一原因に選ぶ.(ハンギョレ イム・ジョンジン記者)


国内飲料市場を独占してきたコーラの不敗神話は2000年代に入り、少しずつ亀裂の兆しを見せた. 炭酸飲料と健康飲料(またはジュース飲料)間の主導権争いが熱く引き起こされながら 飲料市場の 地殻変動がおき始めたのである.
飲料業界は2000年からコーラなどの炭酸飲料が‘異例的に’弱勢を見せ, ジュース類と‘2%不足する時’(註:スポーツドリンクの商品名)のようなその他飲料類が明確な強勢を表したと分析する.
2000年1分期に炭酸飲料市場でサイダーの売上げは約25%増えたが、コーラは5%台の低成長に終わった. コーラ危機はこの時から感知され始めた.
飲料業界関係者は“1999年、ベルギーで発生した汚染コーラ波紋, すなわちヨーロッパ全域で数百万のコーラ缶が回収された事態以後、2001年から国内コーラ売上げが減少傾向に移った”としながら“コーラ業界のなかで格別の対策が必要だという声まで出てきている状態”と話した.


広告コピーまでが自信を失う?

そのためなのか? 韓国コカコーラは最近非炭酸飲料に目を向けて、韓国人の口に合う多様な新商品を出すのに主力を注いでいる. 韓国コカコーラが比較的最近出した東洋的な茶飲料である‘ネスティ’ 飲用泉水‘純粋100’ 子供向け果物ジュース‘クー’などが主だ.
消費者の嗜好とライフスタイルの変化によって、コーラだけではこれ以上市場で優位を占めるのは難しいと判断したのである.
コカコーラの広告を見てみよう.
1927年に‘地球のあちらこちら どこでも’(Around the Corner from Everywhere), 1982年 ‘コカコーラ、それのみ!’(Coke is it!), 1990年 ‘何もこの味を変えることはできない’(Can’t Beat the Real Thing), そして、2003年‘考えを止めて, 感じよう!’(Stop thinking.Feel it!)につながる広告コピーは、その当時のコーラ消費形態をそのまま反映している.
地球村のどこでも味わうことができて, 一度味わえば取りあえずコカコーラだけを求めた時期があり, 他の飲料商品がコカコーラの牙城に挑戦した90年代には、そのどれもがコカコーラの味を変えることができず、自信をあらわにした.
しかし、今年の広告コピーはなにか尋常でない.
飲料を選択する時、健康だの何だのと考えずに、ただコカコーラを感じろということであるが、自信というよりは消費者に訴えている印象が濃厚だ.
もちろん、コーラの没落を下手に占うことは難しい.
しかし、“コーラは中毒性が強くて、一度飲みつければ切ることはありえない”という神話が順次色あせているのも明らかだ.


ジョ・ギェウァン記者 kyewan@hani.co.kr