[ 特別企画 ] 2003年04月10日 第454号
“私はチュリーニング(註:ジャージ)を着て会社へ行く”
運動する女性たちが作りだした新しいファッション傾向… カジュアル+レジャースポーツの‘カポーツ スタイル’も人気

写真/“どう‘クール’でしょ?” 今春、道はランニングマシンを走るようなスポーツルックが占領した.
“そんな格好で会社に行くのか??”
会社員 イム・ウニョン(29)さんが 初めて ‘チュリーニング ファッション’を披露した時、父母は舌を打った.
友人たちからも一言ずつあった.
“スーパーマーケットに行くの? 仕事に行く?”
だが、トレーニングズボンにかかとの高いヒールまで履いて出かける感覚にはお手上げだった. イムさんはトレーニングズボンにヘソのあたりまでの体にぴたりとフィットしたシャツを着て、スポーティーなハンドバッグを下げて雰囲気を合わせる.
セクシーなスタイルを演出したければ、肩を出す服に、ストラップがこっそり見える色のある下着を着ることもする.
いままでイムさんが一つ二つ購入したトレーニングズボンは、10着を超える.
からだを覆いながらも楽にフィットする綿ズボン, 足首部分にジッパーがあって靴によって幅を調節できるもの, 組織が粗く整えられて涼しそうに見えるもの,
光沢がある質の感触のために高級な感じを与えるベルベットトレーニングなど、色合い・素材別に多様だ.
イムさんがトレーニングスタイルを好む理由は簡単だ.
“からだも心も気楽だから.” 彼女は“からだを無理に服に合わせて緊張させないで,
活動性のあるみだしなみをしていれば、事務室でも自ずから能率が上がります”と話した.
“からだも心も気楽なので…”
大学院の同僚の間で服に不自由がないと噂されたイ・某(26)さんも、最近黒いトレーニングズボンを一揃い買った.
イさんは本来きちんとした感じの正装を主に着て、おとならしいクラシックなスタイルで登校したりしていた.
そんな彼女が真っ赤なストライプが鮮明なトレーニングズボンを履くようになったのは、流行を無視することが出来なかったためだ.
トレーニングズボンに合わせて、黒いスニーカーとフード付きのジャンバーを着て講義室に入る彼女の姿は、2003年春の大学街の風景として少しもぎこちなくない.
‘チュリーニング’は変身した.
運動する時に汗をよく吸う機能性トレーニングウェアや、家でごろごろする時に着る、膝が出てきたホームウエアではない.
家とヘルスセンターの垣根を越えて、街頭に行っても何も問題がない日常のファッションとして落ち着いた のだ.
スニーカーやかかとの低い靴,
フード付きウェアや、Gジャンなどと共に着るのはもちろん,‘ファッションリーダー’たちは、白いストライプが2〜3列入っている‘明白な’トレーニングズボンを思い切って正装ジャケットの下に履いて、不調和になった感じをより一層楽しむこともする.
このように、トレーニングウェアが流行っているのは、女性たちのからだと健康に対する関心が一つのトレンドとして登場したからだ.
広々と見渡せるガラス窓の空間でヘソが出たタンクトップと下半身の線がよく表れるトレーニングズボンを履いてランニングマシンで走る姿は、多くの女性たちの理想的な自己管理モデルになった.
早朝の陽差しが降り注ぐ広いトレーニングルームでランニングマシンを走ったタレント
イ・ヨンエが“○○が私を変えた”と言いながら汗を拭う広告も、まさにこのような脈絡から出た.
からだに対する関心は、単純に細い体つきを超え、適当についた筋肉と活気あふれる態度, 堂々とした生の姿勢などに引き継がれている.
食餌調節を通した‘飢えたスリム’ではなく‘運動する健康さ’が、新しいからだのキーワードになったのである.
機械を利用したヘルス, エアロビクスでなくとも、ヨガ, ダイエット ボクシング, ボクシング・テックォンド・空手が混ざり合った クァンド,
テックォンド・エアロビクスが合わせられたテボなど、フィットネス産業の領域が広くなりながら自身を育てることができる運動をするときには、どこでも着ることができる服も多様化した.
映画 <イナフ>でジェニファー・ロペスが扮した役割も、からだに対する女性たちの新しい認識を典型的に見せる.
彼女は、数年間夫に殴られてきたが、どんなに逃げても夫から離れることができないことを悟って、‘正々堂々と’力で対抗し、夫を殺すスリム役を担った.
スリムは、この‘大事’のために、3ケ月間イスラエル女性軍の激闘術であるクラヴ・マガを習う.
スリムが多様なトレーニングウェアを着て、汗まみれになったまま猫のように柔軟でヒョウのように猛烈なクラヴ・マガを習う姿は、よく鍛えられた脚の筋肉とよく馴染んでいる.
女性が主導するスポーツウェア市場
写真/ボードウェア スタイル
ズボン+ビンテージ綿シャツ+バンダナ
運動する女性たちが増えながら、男性中心だったスポーツウェア市場は女性が主導する趨勢が続いている.
我が国の代表的スポーツブランドであるプーマコリアだけでも、2000年までは全顧客中、女性は25%に過ぎなかったが、2001年には60%,
2002年には80%に増えて、女性パワーを実感させている.
プーマコリアのキム・ウンジョン代理は、
“ワールドカップ以後、女性たちがスポーツに対する関心度が急増して、週5日勤務で週末にレジャースポーツを楽しむ女性人口が多く増えました.
外貌を重視するダイエット熱風で、運動を通して明るく自分を表現しようという女性たちが、堂々とスポーツを楽しみ始めたのも、このような変化を加速化しました”と分析した.
プーマコリアは、今年もやはり顧客の80%を女性だととらえている.
主消費層が女性だと見たら、機能性とともにファッションに対する欲求を満足させる多様なスタイルが溢れ出て,
その結果、日常生活の中で着ても何らの負担無しに安らかに自身を表現する服が流行するようになったのである.
スポーツブランドはこのような変化を、時には先導して、時には追い付いて捕えるために苦心している.
女性たちの心をとらえるために機能性を生かしながらもセクシーで美しいスポーツルックを先を争って出している.
プーマコリアは、昨年秋、‘フィットネス ライフ
スタイル’を前面に押し出して、綿と混紡でできたタンクトップと長いズボンスタイルを出して市場の熱い反応を得た.
これに助けられて、今春にはタンクトップの上に重ねて着ることができる簡便なジャンパーと、裾が順次広くなるトレーニングズボンを市場に発表した.
これ以後には、もう少し多様なトップと袖が長く男性用として主に認識されてきたナイキはブランドイメージを変化させるために、3月から女性を狙った広告を出した.
売り場に入ると、風を切って明け方の道を走る筋肉質の女性の代理満足を感じることになる.
秋には現場で開発・試験した女性用フィットネスウェアーを本格的に市場に発表する計画だ.
水着・エアロビクスウェア等で‘高機能性’スポーツウェアブランド イメージを積み重ねた国内ブランド
レノマジムも、2000年フィットネスウェアを始めた時は、からだにぴったりくっつくレキンス中心であったが、順次運動領域をひろめながら、公共の場所で重ねて着るズボンや,
スポーツブラジャーの上に重ねて着る短いTシャツなど、多様な概念の服で変身を試みている.
アディダスもやはり平常時にも容易に着ることができる服で構成された‘アディダスカラーズ’で消費者の注目を呼んでいる.
アイダスカラースは、バスケットボールのオレンジ色, テニスボールの黄色, 芝の緑,
ボクシンググローブの赤、というように色々なスポーツを多様な色で表現した.
写真/‘セクシースポーツルック’
チュリーニングウェアは、どのようにコーディネートするかによって千差万別の感じを出す.
スポーツウェアがこのように変わるはずだということは、ファッション界では何年も前からスタッフのデザイナーたちが予感してきた.
日本出身の世界的なファッションデザイナー
ヨージ・ヤマモトは、3年前のパリコレクションでアディダスを援用したスタイルでファッション界に衝撃を投げかけた.
彼は、アディダスの象徴である三色線だけを生かして、クラシックでセクシーなコードを加味し、新しいスポーツルックの世界を開いたのだ.
ドイツブランドを代表するデザイナー ジル・サンダーも、正装ズボンにプーマのシューズ履く等、プーマをコンセプトとして前面に押し出した服等を見せた.
だが、スポーツルックが‘湯飲み茶碗の中の台風’を超えて、実際に突風を起こすかは誰も予測できなかった.
ファッション専門広告代行社 ナ・ミョン理事は、
“2001年から国内企業もスポーツルックの変化を試みていたのですが,
ワールドカップ時に‘赤い悪魔’があれほどになるとは思わなかったように、スポーツルックもやはりこのように驚くべき躍進をするとは、予想できなかったのです. 救済金融期(註:IMF時代)以後、沈滞したファッション市場をスポーツルックが気勢を上げて活気を吹き込みました”と話した.
‘スポーツ風’は、どのように完成されるのか
写真/“外出も運動も万遍なく”明洞のあるカジュアルウェア売り場で、客がカポーツルックを選んでいる.
スポーツブランドが洗練された色相とデザインで日常に食い込む傾向とともに,
カジュアルウェアではスポーティズムが加味されたカジュアルとレジャースポーツが混ざり合った‘カポーツスタイル’も人気を博している.
A6, C.O.A.X., BNX, MF, EXRなどは、外出する時や運動する時にもあまねく着ることができるスタイルを出した.
‘カポーツスタイル’として分類することができるのは、ウェストに長いひもが出ている‘ドローストリング’ズボン,
袖や裾などをひもで調節できる‘ストリング ジャンバー’, 自動車レースに出てくるレーサーが着ているような‘ライダージャケット’,
発汗・防水機能を揃えていながら、色合いが多彩なジャケット類などだ.
このようなカポーツスタイルは、安らかさ, 自由さを超えて、自由でセクシーでロマンチックで、時には猟奇的だ.
たとえば、サッカーユニフォームのような光沢質の感触に、選手番号を大きく抜いつけておいて、腰の部分はゴムひもで締められて、体の線をより一層強調するとか、ワンピースに登山リュックにあるようなネットを部分的に使用することもする.
一時は70sを越えたが、昨年ヨガとヒップホップダンスを学んで15sを減量したキム・某(33)さんも、カポーツルックをファッションテーマとすることにした.
運動を通してからだ作りの重要性を 悟ったキムさんは、
“何年間も誰かに奪われた自分のスタイルをとりもどした感じで、個性のない大きな服を投げ捨てました”と話した.
彼が自ら演出するコーディネートは、ボードスタイルのズボンに、腰までの短いGジャン.
ジャケット内側には、はさみで切り貼りしたような綿Tシャツを着て、自然な感じをもっと足す.
ここにバンダナを頭に被せれば、‘スポーツ風’ファッションは完成.
売り場によく立ち寄って、最近の傾向を‘点検’と感覚を十分磨くキムさんは、“活動がしやすく、服の色合い,
感触においては、今まで見て知っていたカジュアルウェアとは次元が違う服が溢れ出ています”と満足気だ.
彼は、“そうでなくとも、春になれば服を買いたくて心が浮き立っていたのに、あまりにも気に入った服が多くて、カードを持って行くのが恐い程”と話した.
C.O.A.X 広報チーム
バン・フィギョン代理は、“すでに、消費者は平凡で無難な‘イージーカジュアル’の代わりに、果敢で独特なスタイルを願っています.
明るくて活動的ながらも、なにか、自分だけのことを追求する‘感性カジュアル’時代に、スポーティズムは、新しいアイディアの良い資本になっています”と話した.
ゆったりと吹く春風と共に変身を繰り返すチュリーニングファッション.
今春、この旋風がどこまで行くのか, 街のファッションマニアたちは終わりを知らないようだ.
文 イ・ジュヒョン記者 edigna@hani.co.kr
写真 パク・スンファ記者 eyeshoot@hani.co.kr
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