2002年12月ハンギョレ21 439号

法務部認定女性として新たに出た芸能人 ハリス氏
… 性的自己決定権拡大の試金石になるか
[ 人と社会 ] 2002年12月20日 第439号

法務部認定女性として新たに出た芸能人 ハリス氏… 性的自己決定権拡大の試金石になるか

写真/ついに男性から女性に! ハリス氏が戸籍訂正と改名で、イブを希望していた自身の夢を遂げた.(イ・ヨンホ記者)

‘750117-2xxxxxx’
芸能人 ハリス(27)氏が住民登録番号後席の最初の数字を、女性を示す‘2’に変えて、ついに‘法務部認定’女性になった.
仁川地方法院が12月13日、ハリス氏が出した戸籍訂正及び改名申請を受け入れた結果だ.
これで、ハリス氏の戸籍上の性別と名前が、男性‘イ・ギョンヨプ’から女性 ‘イ・ギョンウン’へ入れ替わった.
戸籍訂正の知らせを聞いたハリス氏は“いまや、ついに‘女性’としてまた生まれた.
結婚もして、子供も三人くらい養子にして育てたい”としながら、喜びの涙を流した.


1千余の性転換者たち 苦痛の日々

ハリス氏の涙は決して‘オーバー’ではない.
持って生まれた性別と性的正体と実体性が一致しない性転換者(トランスジェンダー・Transgender)たちにとって、戸籍訂正問題は象徴的な自我探しの意味を越える.
彼らは外貌と住民登録上の性別の不一致のため、就職と結婚などの日常生活で終わりのない差別をされてきたためだ.
性転換者 ジョン・某(31)氏は、“大学卒業後、筆記試験に合格しても、いつも面接で落ちて就職をあきらめて自営業をしています”と話した.
大部分の性転換者たちは安定した職場をあきらめたまま、身分証が必要ない臨時職を転々としたり、性転換者を雇用する遊興店舗に流れていかなければならなかった.
一部の性転換者たちは事実上の婚姻関係にあるが、婚姻届けも出せずにいる.
現在、国内には約1千余名に数えられる性転換者たちがこのような苦痛の中で生きている.
ひどいときは、性転換者たちは犯罪行為をされても対応無策だった.
1995年、性転換者の30代女性はある男性に強姦されたが、大法院は“刑法上、強姦罪は‘婦女’を対象にした場合にだけ適用される”として、強姦罪成立を認めなかった.
2001年には、性転換者 キム・某(当時41)氏が“外貌と住民登録番号が一致しない”という理由で航空機搭乗を拒否された.
苦痛から抜け出すための性転換者たちの戸籍訂正申請は、87年の初訴訟 以来、粘り強く継続してきた.
だが、戸籍訂正許可可否は、判事によって一貫性無しに決定された.
今年7月、釜山地方法院が性転換者ユン・某(30)氏が出した性別訂正申請を受け入れた反面、昨年4月に大邱地方法院は男性に性転換手術をした ホ・某(25)氏の戸籍訂正申請を棄却した.
90年の天安地院の初めての戸籍訂正許可を始め、ハリス氏まで、計6名の性転換者だけが戸籍訂正の許可を受けた.

しかし、去る11月、ハンナラ党 キム・ホンシン議員の代表発議で、与野議員20人が‘性転換者の性別変更に関する特例法案’を国会に提出し、一貫性ある法適用の希望が芽生えている.
去る5月、特別法発議意思を表明したキム議員は、関連人権団体等と公聴会を開くなど、立案作業を着実に進行してきた.
キム議員たちが提出した特別法は、性別訂正の要件として、△性転換手術を受けて △未婚であり △兵役義務の免除を受けたか終えていること などを提示している.
72年のスウェーデンを最初に、米国・オランダ・ドイツなどの西欧国家で性別訂正権利は既に普遍的人権として認められている.
最近では、トルコ・フィリピンなどの第3世界国家も性別訂正を認める趨勢だ.


普遍的人権として認めることができないか

性的少数者団体などは特別法提出を歓迎しながらも、法案の限界点を指摘している.
ジョン・ヨル同性愛者人権連帯代表は、“性転換者の中には性転換手術を望まなかったり、数千万ウォンの手術費負担のために手術を受けていない人もある”としながら、“性的自己決定権を尊重し、手術を受けない性転換者も、本人が望めば戸籍訂正をできるように道を開かなければならない”と主張した.
1千余名の性転換者がハリス氏の‘涙’を羨んでいる.


シン・ユン・ドンオク記者/ハンギョレ 民権社会2部 syuk@hani.co.kr