2002年12月ハンギョレ21 437号

反米世代 声をあげろ!
‘傍若無人’ 米国に唾を吐くワールドカップ世代…
[ カバーストーリー ] 2002年12月05日 第437号

反米世代 声をあげろ!
‘傍若無人’ 米国に唾を吐くワールドカップ世代… 筋の通った発言を美徳として感じて立ち上がる


“異常で嫌な気分なんです.”
“何故”
“罪があるのに罪がないと言うからです.”

米軍の装甲車に轢かれて死んだ女子中学生ミ・ソンイとヒョ・スンイを追慕するためのネチズンたちのろうそくの灯デモが開かれているソウル光化門 大韓教育保険ビルディング周辺.
時は11月30日午後6時すこし過ぎ.
制服姿にX者表明をした青色マスクで顔を包んだナ・ソングァン(16・中3)君は火がだんだん熾きてきた感じだ.
考え方も返答もよどみない.
“米国という国に対してどう思う”
“汚いと思う.”
“はい”
“今回、無罪(判決)を出したことも そうで, 6・25(註:朝鮮戦争)の時も私たちの手助けすると言っておきながら, わたしたちの国の人々を殺したでしょう.
有罪にしたり, ブッシュが直接謝罪する時まで、これは変わりません”
“米軍が撤収したら、不安ではないですか?戦争でも起きたら….”
“我が国と北朝鮮の問題ではありませんか. 何故、米国が干渉するのでしょう.
私たちの間で解決する問題ですよ.”


ろうそくの灯デモに参加したティーンエージャーの憤怒

写真/ワールドカップ世代たちが巨大な反米の波を主導している.

去る11月30日、ソウル光化門一帯で開かれたろうそくの灯デモで、彼らは常識が通じる韓・米関係を要求した.

仁川 チェムルポ中学校2学年の友人同士であるキム・ヒョンギル ク・ヒョンジン パク・フィナム君は、大韓教育保険文庫後方のバーガーキングに向かい、“出〜て〜け”と叫びながら‘おもしろくて死にそう’という表情だ.
“ただちに, 今、ハンバーガー出て行け” “バーガーキング 出ていけ〜!”
“皆はハンバーガーを食べないの?”
“あ, ぼくたちはロッテリアでなら食べますけど.”
“ここ来たことは両親は知っているの?”
“いえ、知らないです, 話さないでください.”
“ここに何故来たの?”
“同じ中2がくやしく死んだという ことが腹立たしくて来ました. 韓国で起きたことなのに、なぜ米国法によって処罰しなければならないのですか. 話になりませんよ”

仕切る人もいないのに、あちらこちらでスピーチが行われる.
‘高等学校1学年 イ・ソンユン’と自己紹介したネチズンが、まずマイクを握る.

“ここに集まられた方達は全部みな同じ心でしょう. 殺人米軍は処罰されるべきで, ブッシュから確実な謝罪を取り出すべきだというのに….”

震える声で少しの間話が途切れると、自然にスローガンが溢れ出る.
‘ヒョ〜スン〜イを生かせろ! ミ〜ソン〜イを生かせろ!’
もう一人のネチズンがマイクを握った.

“私は母とよく話します. このごろでは、米国が‘横暴だ’という話ばかりです.
オサマ, 誰?, オサマ・ビンラディンがツインタワービルディングテロをした後に米国が復讐しました. それはどこですか?, そこ.
あ〜! アフガニスタン.
それを置いて, 私たちのヒョ・スンイとミ・ソンイを殺しておいてなんの誤ちもないんですって. これで、話が道理に合いますか.
昨日、ブッシュが謝罪したということを一歩遅れて聞いたのですが, 本当に腹立たしいですよ. 韓国に来て、跪いて祈らなければならないのではないでしょうか.”

“そうだ!” “その通り!” 彼らの中から各種‘こだま’が飛び出してくる.


“米国の物を買えば、戦車を作るでしょう”

写真/デモに参加したアルゼンチン僑胞女性.

“わたしはアルゼンチンから来た僑胞なのですが….” 金髪に染色した頭に帽子を被った女性ネチズンがマイクを続いて持った.
“普段は韓国語をうまく話すのですが、今日はすこし震えますね….
先般のオーノの時(註:ソルトレーク冬季オリンピックでのアントン・オーノが不当判定で韓国選手を破って優勝した一件)も、米国製品不買運動を繰り広げようといったのですが、うやむやになってしまいました.
今回、もう一度韓国の力をはっきりと見せましょう. 最近、また不買運動の話が出てくるのですが, 殺人米軍に有罪判決が出される時までやりたいです.”

‘賛成’と叫ぶジョン・ギョンヒ(17・高2)さんに尋ねた.
“女子高生たちも‘名品(註:ブランドもの)’が好きでしょう? 本当に不買運動するのですか”
不機嫌な表情で答えた.
“米国の物を買えば、それで戦車を作って私たちの子供をまた殺したらどうしますか.
買いません.”

大田から来たという彼女は、インターネット同好会会員たちと共に、先週大邱で開かれた追慕集会にも参加したという.

友人2人と共に来た梨花女子高2年 オ・某(17)さんははるかに分析的だ.
“無罪判決は予想しました. 米軍 軍事法廷で開かれる聞いた時から.
ブッシュ大統領が今回の間接謝罪をしたのは、政治的理由のためだと見ています.
北朝鮮の核問題もあって, 反米感情がより高まってはならないと判断したのではないでしょうか.”

高校生の言葉とは思えない水準だ.

一層強めて、
“米国は私たちに助けだけを与える国ではないと思います ”
としながら、韓-米 関係の不平等性に関することまで暫く話を続けた.
横にいた友人(17)も手伝う.

“これ以上、我が国が米国の圧力に屈しないで対等な外交をするようになればいいですね. 国会議員や長官たちも外交問題で自分の考えを曲げなければいいのです.”

どこかのスピーカーから、インターネット流行歌などが流れ出て来た.
ソウル・大学路で開かれた反米集会に参加した行列が光化門に到着した.
ネチズンたちは音楽に合せてゆっくりからだを揺さぶって米大使館に向けて歩みを始めた.


オンラインで火がついて‘反米稲妻’に

写真/去る11月30日、全国民衆大会が開かれたソウル・大学路には、女子中学生致死事件に対するブッシュの直接謝罪を要求する造形物が掲げられていた.(パク・スンファ記者)

それは巨大な‘稲妻’だった.
誰が最初に提案したのかもわからない‘反米稲妻’は、インターネットサイトを通して早く伝播し, ついに光化門に数千個のろうそくの灯が燃え上がった.
去る6月、‘大〜韓〜民〜国’を叫んだ‘ワールドカップ世代’たちが, 今や同じ所で‘Fucking USA’を叫んでいる.

歌手サイが公演途中、米軍の装甲車の模型を持ち出して壊したのと, 韓国放送の人気アナウンサー ファン・ジョンミン氏が米軍部隊を奇襲した大学生を非難するような発言をしたが、ニュースアンカー席から退くことになったのは単純なハプニングではなかった.
最近、いわゆる反米関連報道を最も活発にしている媒体がスポーツ新聞だという事実は, 女子中学生死亡事件に対する若年層の関心が爆発的だという事実を反映している.

反米主義が大韓民国全域を巻きこんでいる.
特に、ネチズンたちの反米感情は極に達した.
オン・オフラインデモの主力に浮上した、これらのネチズンたちは80年 以後に出生した10代末〜20代初めの若者達だ.
彼らは幼い時からコンピュータとインターネットに慣れ親しんでいる世代として, 米国に対する自分たちの憤怒をインターネットを通して濾過することなしに吐き出している.
今年初めのアントン・オーノの‘金メダル強奪事件’時から始まったと見られる彼らの反米感情は、一言で‘米国, 傍若無人’だ.
死んだ人があるのに, 死なせた人はいないという判決は、どんな弁解にもかかわらず‘反則’ということだ.
理論的深みがない彼らの反米運動は、非常に軽く見える.
道端のあちらこちらに乱雑に貼られた‘米軍犬畜生たち, 自分の国に戻れ’というA4用紙は, 80年代中盤に‘米軍撤収’を叫んで自分のからだにシンナーを浴びせて焼身自殺した386世代のそれとは明確な差を見せる.

文化評論家 ジョン・ユンス氏は、軽いために、むしろより速く広まることができる‘若い世代の強力な揮発性’に注目する必要があると話す.

“深みがあるようにはうかがえないが、関心の幅がとても広くて、既成世代のように閉じられていません. 表から見れば、ゲームに酔って深刻な問題には関心がないように見えるけれど, 非常識的な行為に対しては耐えられませんよ.
純粋な意味の進歩性だと言える、相当なエネルギーがあります.
そのような熱情が、サッカー・音楽・ゲームから社会的議題に至るまで、多様に参加して発言するようになるものです.”
 
ホン・ソンテ教授(尚志大 社会学)は、彼らは言うなれば、我が国最初の個人主義世代だと規定する.

“個人主義は自分自身の独自性を重要だと思う分だけ他の人の独自性も尊重します.
違いに対する尊重, 文化的多様性を認める態度は、まさに個人主義で出ます.
それは、人間の尊厳に対する尊重でもあります.
今、ネチズンたちの反米運動の深層には、‘米国が私たちの人間としての尊厳を傷つけている’という認識が位置を占めています.
結局、ネチズンたちの反米運動は人間の尊厳を守ろうという身悶えとして解析できるものです.”


自己表現に習熟… 対等な関係を要求


写真/反米主義が大韓民国全域を熱している.
ある公演会場で模型装甲車を壊した歌手サイ(左側)と無罪評決に抗議してスプレーを撒く民衆大会参席者たち(右側).

ネチズンたちは、米国に対して堂々としていていない政府を非難する.
専門家たちは“‘誤りは誤り, 正しいことは正しい’と言えるのがワールドカップ世代の特徴”と話す.
彼らは自分の考えを明らかにする前に自己検閲をしない.
これは、ファッションを含むあらゆる領域で同じだ.

“彼らはファッションをはじめ、自身のアイデンティティーを表現するのに率直で躊躇せず、正々堂々です. 政治的問題に対しても同じ.
386世代だけでも服を着る時‘基地ズボン’を好きだとかという式で自己検閲をする環境で成長してきました. そうでなかった時、周辺から色々な形態の抑圧がありました.
政治的意思表現も、何回もの自己検閲と組織的学習をたどってこそ可能でした.”
(キム・スギ‘現実文化研究’代表)
 
ワールドカップ世代は、新世代論争が初めて登場した90年代初めの新世代よりは政治的にはるかに成熟している. 当時の新世代たちは、軍事政権下で抑圧を受けたと思われる自己表現を文化的な分野に限定した.
これに対し、ワールドカップ世代は文化だけでなく、スポーツや政治的問題に至るまで境界がない.

“彼らは我が国がぐんぐん物質的に豊饒になり始める時に生まれ育った 世代です.
韓国は今、国内総生産(GDP)世界11位の経済大国です. 200余を超える国の中で11位の経済力を持っているということはものすごいことです.
彼らは既成世代の米国観, 卑屈な米国観を本能的に拒否します.”

ホン・ソンテ教授はいわゆるワールドカップ世代と既成世代の米国を眺める目が違うと説明する.

絶対的貧困の時代を全身で経験した既成世代にとって米国は天国であり, 米国のようになることが願いだった.
したがって、米国の前ではびくびくした.
だが、ワールドカップ世代は、韓-米関係が一方的に依存的だとは考えない. あらゆる面で対等な関係を結ぶ必要があると考えるのだ.
キム・オジュン<タンジ日報>総帥は、これを自負心として表現する.

“以前の反米は、敗北意識に染まっていましたよ.
でも、今、ティーンエージャーはワールドカップを挟んで, 自信があります.
ここは私たちの土地で、君たちが私たちの土地にいることは君たちにとってもありがたいことではないのか. ならば、継続したければ威張らないでくれ. そうでなければ、この土地を離れろということでしょう.”

 
NOと言えない屈従は嫌だ

ワールドカップ世代の全方向的意思表現を可能にしたのには、インターネットという開かれたメディアを省けない.
過去の場合、いわゆる‘老いた既得権勢力’はメディアを独占して、自分たちがしたい話だけをして、国民の意識を操作できたが, インターネット登場以後、そのような世論操作が限界に逢着したのである.
既成権力がブッシュの謝罪を受け入れようと主張したことに対してネチズンたちが強く反発したことは、その良い例だ.
インターネットを通し、若い勢力の政治勢力化ということが可能になったのである.
キム・スギ代表は“抽象的な議論にとどまった電子民主主義が現実化している”と話した.
誤りを正さずに幼稚な方法やいんちきな謝罪でなだめることができる世の中ではないのだ.
こういう現状が‘赤い悪魔’を経て、最近の‘反米現象’に引き継がれている.

それなら、ワールドカップ世代たちが真に願うこととは何だろうか

“老いた既得権勢力に代表される政治を改革するものです.
韓-米 駐屯軍地位協定(SOFA)は、韓国が最も劣悪な時に結ばれた骨格をそのまま維持しています. 豊かに変わったのに、いまだに変わらずにいることは米国と結託した我が国の老いた既得権勢力が抵抗しているためです.
この老いた既得権勢力が政治を掌握しているというのが問題の核心です.
米国は私達の社会が変わったということをよく知っています. ただし、知らないふりをするだけです.
今の反米は、米国を完全に拒否するという反米ではありません.
韓-米 関係を合理化・正常化しようということです.
李承晩, 朴正煕, 全斗換が結んだ、不公平であった関係を, フィリピンよりも劣悪な関係を正常化しようということなのです.”
(ホン・ソンテ教授)

イ・ジェソン記者 firib@hani.co.kr
ジョン・インファン記者 inhwan@hani.co.kr