2002年10月ハンギョレ21 428号

韓国映画 金脈がふさがる
[ 文化 ] 2002年10月02日 第428号

韓国映画 金脈がふさがる
大作の相次ぐ興行惨敗で危機説… 手硬い企画力・マンパワーで突破口探し


暴雨で水害になったところに‘マッチ売り少女’という台風が押し入ってきた感じだ.
旧盆連休を控えて封切りした<マッチ売り少女の再臨>(以下 マッチ売り少女)の興行成績は、9月24日基準で全国14万名. 韓国映画史上最大の製作費である110億ウォンを投入したが、その費用を回収するだけの道が見えない数値だ.

すでに、産業としての韓国映画は<マッチ売り少女>以前と以後にわかれるようになった.
韓国型ブロックバスターの挫折なのか、韓国映画の危機なのか?


映画界を揺るがす‘マッチ売り少女の災難’

<8月のクリスマス> <娘たちの夕食> <武士> <火山高>など、挑戦的な商業映画を覇気をもって作った(株)サイダース チャ・スンジェ代表は率直に言ってあまりにも苦しいらしい.

“調整期ではなく、明らかな危機です. 調整をするには製作費があまりにも上がりました.
何より恐ろしいことは、<イエスタディ> <アー ユー レディ?> <マッチ売り少女>につながる70億ウォン以上の大作が興行に失敗しながら200億ウォン程の製作資本が消えたということです.
映画は興行がうまくいくことも, ならないこともありうるのですが、そのような問題ではありません. 一朝一夕でガソリンがなくなったのですから….”

それでもなにか解決策がないのかと聞くと, 少しの間話を止めた.

“…ありません. そのまま一生懸命にやらなければならないこと以外には….”

チャ代表は<マッチ売り少女>を作った当事者ではない.
彼は最近の数年間、韓国映画界を主導してきた最高級プロデューサーであり、製作者だ.
そのような彼がこのようにまで悲観的に話したことはなかった.

<マッチ売り少女>を作った(株)チューブエンターテイメント キム・スンボム代表は
“率直に言って、(会社の)未来は不透明です. まだ信じて投資してくれる方もあるので説得中です”と話した.

この映画社の危機をとても狭く見れば, 現在製作中だとか企画中である数十編の映画が連鎖危機を迎えたということだ.
後半作業中である<ナチュラルシティ>と<チューブ2030>, 撮影中である<デウス マキナ>など、50億ウォン以上の大作に、どんな形でか、ひびが入り, 企画・開発中である5-6編の映画が‘オールストップ’しかねない.
直接的な余波はここに終わらない.
K映画社は純製作費22億ウォンの映画製作費全額をチューブエンターテイメントから投資を受けることで契約を結んで2ヶ月を過ぎたが, お金が入らなくて製作進行を出来ずにいる.
チューブエンターテイメントと同じ船に乗った運命に置かれた映画社が他にももっとあるという.
斬新な企画力を認められるK映画社代表が話す状況は、今、映画界がどんな境遇に置かれたのかをよく物語っている.

“今年に入って金脈がかわき始めたのですが、今のような程ではありませんでした. 既にキャスティングまで終えたもう一つの映画もファイナンスされていません.
その前は俳優キャスティングが完了すると製作費調達は難しくなかったのです.
あらゆる投資社・配給社を尋ね歩いたのですが、とても冷淡です. ジャンルはなにかと尋ねて、コメディでなければ(企画案を)見せることもするなというように・・・. CJエンターテイメントのような手硬い会社も同じです.”
 
ブロックバスターを‘量産’しようと 去る2年間、絶えず投資者を尋ね歩いたチューブエンターテイメントのキム代表は“今年上半期を通し、金を置いて 金を稼ぐという短期金融資本はみな離れていったようです”と話した.


製作費暴騰で金融資本苦味

突然に危機だなんて? 韓国映画の上半期占有率が46%に達して, 週5日勤務制が広がって、マルチプルレックス映画館が増加する等、映画産業の成長可能性がいつの時より高いと叫んだのは、まさについ先ごろではないか.
外形的数値だけを見れば、一見そのように見える.
上半期の映画館客数は昨年の同期間よりも19.1%増加した1780万名を記録した.
特に、韓国映画観客数は、何と46.9%増加した834万名に達した.
だが、この期間に封切りした韓国映画44編中で損益分岐点を超えた映画は五編程度に過ぎない. <公共の敵>(300万名)や<家へ…>(420万名)のような大型興行作が観客の大部分を連れ出したという意味だ.
その反面、平均製作費は2〜3年前より二倍ほど上がった40億ウォンに達し、投入損失がそれだけ大きくなった.
KTBネットワーク, 産銀キャピタル, 無限技術投資など、ベンチャーキャピタルが注ぎ込んだ数百億ウォンの資金が大打撃を受け, 各種映画ファンドの大部分が上半期だけで20%以上の損失を蒙った.

最近、韓国映画の製作費構成は、ベンチャーキャピタルを中心に形成された金融資本が50〜60%, 二大山脈をなすCJエンターテイメントとプレノスエンターテイメントを中心にした配給社が30〜40%, 製作社が10%をなす.
短期金融資本が大ヒットを期待して主に資金をふんだんに使ったブロックバスターが列をなして崩れたため、金が引き潮のように抜け出ていった.

悲観論が広まるが、反対意見も手強い.
<共同警備区域 JSA>に続き、50億ウォンの大作を作ったミョンフィルムのイ・ウン プロデューサーの方も現在表れる数値と大きな差がない.
昨年、映画投資のブームが絶頂をなし, その果実を受けてその前年の二倍に達する平均40億ウォン程が今年開封されている60編あまりに入っていった. 2400億ウォン程が費用として入っていったわけだ. 今年、韓国映画が稼ぐことができる規模は1200億ウォン程度なので、1千億程度は損をするようになっているということだ. その翌年に注目する必要がある.

“損害の大部分は金融資本です. 映画も資本主義化になったため、収益性があればお金が集まって, 収益性が少なければお金が出て行くのが当然です.
ところが、程度の問題はあるものの、資金は完全にはなくなりません. 儲ける所もあり, ヴィジョンもあるために、相変らず投資は続きます. 相対的に昨年よりファイナンスが難しくなったら、企画段階からより一層手硬くなるしかなく, すると、また商品が良くなります. 一定の暗闇期間を経て、このような発展的過程を期待することができます.”


“発展的暗闇期間経れば、商品性高まる”

多くの映画関係者がブロックバスターに対する試み自体を問題視しない.
費用をたくさん使うということは、新しい素材と形式に挑戦するという意味で, 国内外市場開拓に 先頭に立つことができるためだ.
チューブエンターテイメントのキム代表が固執するのがこの大きな課題だ.

“ブロックバスターにすがるというより、質の高い良い映画を作るということです. <チャンピオン>も必要だから数億ウォンを投入して、ロスアンゼルスで特設リングを作って撮って,<共同警備区域 JSA>も完成度を高めようと、数億ウォンを入れて板門店セットを製作するではないですか. <マッチ売り少女>は大きな費用をかけたのに比べて、観客に魅力をあたえる効果がなかったのです. 誰よりも失敗を多くしたから、必らず挽回したい.
世界市場を狙って、より安定した形態のブロックバスターを作りたいですよ.”
 
ブロックバスター製作の問題は、当初企画した日程と範囲が限りなく引き伸ばされながらプロダクション過程が統制出来ず, その結果、費用はどんどん増えながらも作品の質は管理されない現状が繰り返すところにある.

イ・ウンプロデューサーは
“平均製作費が二倍に暴騰した主な原因は、人件費上昇にあるのですが, その間スタッフを抑えることをしなかったため、結局上がったと見るべきです.プロダクション過程の細分化・専門化を通し、撮影期間を減らすなどの方法しかありません”
と話した.

本当の危機は、映画という商品が多様な味を失って、消費者の信頼をのがすところにある. 香港映画がそうである.
ある作品がうまく行くと、質にこだわらずに似た映画を量産する体制だった.

<ハッピーエンド>を生産した青年フィルムのキム・グァンス代表が、すぐに次期作の製作費準備に困難を経験して足をバタバタさせながらも楽観している理由は性格のせいではない.

“ギャングコメデイが売れるのとはいうものの、きちんと整っているものがうまくいきます.
<オアシス>も100万名を突破して, <フォン>のようなホラージャンルも興行がうまくいくなど、多様なジャンルが共存しています.
また、ジャンルと関係なしに興行を継続させる俳優がいます.
製作の側に(ノウハウ等)準備ができていなかったのに、一発を狙って飛び込んだことが問題でした. 今の難しさをよく活用すれば、むしろ肯定的な整理の効果を期待することができるでしょう. 事実、キャスティング大乱というのも、製作社が乱立し, それだけ映画作りが横一列に並んでモチを食べようとしたためでなかったでしょうか.”


希望の根拠が根をおろす

能力ある製作者たちの考えが両極端を走る程、韓国映画界は混とん中に陥っている.
だが、希望は常時あるようになっている.
釜山国際映画祭のホ・ムニョン韓国映画プログラマーは‘観察者’の位置でこのように話す.

“90年代中盤以後の爆発的にブームが起きた頃と比較すると, 創意的な大衆映画とジャンル映画が減退しているということは明白です. 市場でもそのような映画が外されています.
それでも、展望は暗くありません. 韓国映画は満足ではない条件で常時突破口を作ってきたし、今でもその力が生きているためです.
その力の源泉はマンパワーにあり, 良い人材は相変らず集まっています.”


イ・ソンウク記者 lewook@hani.co.kr