2002年5月ハンギョレ21 411号

町の商店まで適当に儲ける
期待される16強効果…家計消費支出増加中の試合好転に、株式市場にも大型好材料
[ カバーストーリー ] 2002年05月29日 第411号

町の商店まで適当に儲ける
期待される16強効果…家計消費支出増加中の試合好転に、株式市場にも大型好材料

写真/韓国16強(註:16強進出)は 'もう一つの文化'としてのサッカー文化を作りだすものと見られる.(キム・ジョンス記者)

“ワールドカップ開催国は必ず16強に上がる! この不敗の神話は、今回のワールドカップでも間違いなく立証された”というのは、未熟な夢だろうか.
そこに加えて、16強進出が持たらす効果を前から期待していると、こういう文句が即刻帰ってくることは間違いない.
捕らぬ狸の皮算用で, そんなに騒いでいてはできることもできなくなる、と.


株式大勢上昇?

もちろん、‘韓国16強’は、歓喜そのものだ.
サッカーをそれほど好きでもない人でも誰でも、16強進出に歓呼することだろう.
この魅惑の前で、‘16強効果’を科学的に正しく計量化するのは、むしろおかしなことだと言える.
16強進出によって、国民が感じる感激指数は、数値で表すことができないためだ.
このように、16強進出という‘波乱’で起こる歓声は、地域・階層・世代を横断して、人々を一つにまとめることができる.

しかし、手で捕えられる効果も、おまけ以上だ.
16強進出は、消費者に景品と現金をたっぷりと抱かせる.
企業が掲げた各種16強進出祈願‘超大ヒット’イベント景品が、わっと降り注ぐためだ. 消費者は、景品と現金に乗って、同時に浮き立ったついでに消費支出を増やす.
このように、16強進出を祝う外食, 雑誌購買など、家計消費支出が増加しながら、町の商店の主人も16強の受恵を見ることができる.

16強のとても大きな効果は、何よりワールドカップ熱気の持続を保証するという点だ.
熱気は徐々に時間をおいて経済に反映される.

まず、‘16強現象’で株式市場も熱く持ち上がる公算が大きい.
トンウォン証券 ジョ・ホルレ理事は、“16強進出は株式市場に思いがけない大型好材料”とし、“こんなに耳あたりが良い言葉‘ワールドカップラリー’(大勢上昇)が現実化する”と見通した.
ヒョンツ証券 パク・ジュシクリサーチセンター長は“16強がすぐには株価暴騰を引き起こさない”とし、より遠く見通す.
“韓国が16強に至ったら、消費心理が息をふきかえし、これが長期的に景気回復を操り上げる”という展望だ.

ワールドカップ公式パートナーとして参加した企業にとって、16強は韓国チームの試合がより増えるのには終わらない.
世界の輸出市場で数十億ウォンの広告費をつぎ込むよりもずっと大きな広告効果を見ることができるのだ.
16強を背に負って世界ステージで韓国商品のブランド価値をより高めることができるためだ.

ヒョンツ証券 パク センター長は“16強に進出すれば、世界が韓国をまた見直す”とし、“現代自動車のようなグローバル企業が‘韓国サッカー16強’を十分に活用して売上げ拡大を試みることができる”と話した.

世界が韓国をまた見直し、‘好感’を持つ, このような時に国内企業が‘サッカー強国 コリア’をブランドイメージ向上の機会にすることができるということだ.


世界市場開拓, 現代自動車の期待

写真/FIFAワールドカップ公式パートナーである現代自動車が、海外を廻って繰り広げているワールドカップ関連グッドウィルロードショー.

現代自動車側は“まだ開拓段階にあるヨーロッパ市場では‘現代自動車はどの国の自動車か??’という問いを時々受ける”としながら、“16強に進出すれば、現代自動車が韓国の代表ブランドとしてヨーロッパ市場に食い込むのがいっそう容易になる”と話した.
韓国輸出の死角地帯であり、ヨーロッパに劣らずサッカーが文化として位置を占める中南米市場も同じだ.
大韓貿易投資振興公社(KOTRA)側は、“中南米国家の企業を見ると、大部分が多量の金を持っていて、数多くのサッカークラブを育てるスポンサーになっている”としながら“サッカーと企業が離れられない関係を維持している分、‘サッカー強国’である韓国の企業との交流も増える”と話した.

国際サッカー連盟(FIFA)公式後援業者に及ばないとしても、‘FIFA’という単語を使用しないまま‘16強’を巧妙に前面に押し出してワールドカップマーケティングを繰り広げてきた他の企業もやはり16強は明らかに好機だ.
16強進出で韓国チームの試合が続くように、ワールドカップ特需も終わらないからだ.

16強が持たらす生産性効果は容易に予測することは難しい.
韓国生産性本部 キム・ヒョンギ政策研究センター長は、“国民的祝祭によって生産性がどうなるかとは調査されたことがない”としながら“ただし、16強進出以後は何日間か浮き立った気分で労働意欲が落ちかねないが、時間が過ぎるほど国民的自負心が生産性上昇を引出す”と見た.
ブラジルでは、ワールドカップで自国チームが勝てば、その次の週は工場生産性が12.3%上がり, 逆なら工場事故率が15.5%も増えたという調査結果が出たこともある.

スポーツが政治と出会う時は、たびたび‘不穏な視線’を受けるものだ.
政治的苦境を迎えた与党にとって、16強は国民の目を政治から逸らさせる好材料だ.
各種腐敗ゲートで汚れた局面をあっという間に転換させる劇的な反転効果をもたらすことができる.
しかし、その効果はどれくらいもつだろうか.

16強効果は、文化でより一層明確に現れることが明らかだ.
緑のグラウンドで脚本無しで繰り広げられる90分ドラマが16強を演出すれば、サッカーファンが増えて, 自然に‘もう一つの文化’を形成できる.

文化評論家 イ・ドンヨン氏は、“ワールドカップでサッカーの感動を満喫したファンが、地域ごとにサッカークラブを作り, また、そのようなチームを応援するファンクラブを設けながら能動的な文化の主体として登場する”と話した.


代表チーム選手たちは金の台に…

サッカーブームが起きれば、これは国内プロサッカー活性化につながる.
もちろん、プロサッカー成長は、また韓国サッカーを‘安定した16強’にあげる踏み台になる.

ワールドカップ組織委員会 ジョン・ビョンモク企画部長は、“16強熱気でプロサッカーチームがよりたくさん生まれれば、プロチームの試合をワールドカップ競技場で消化しなければならないことになり, それとともにワールドカップ競技場施設をよりよく活用できる”と見通した.

16強進出は、根性と闘志だけで耐えた韓国サッカーを変革させる契機にもなる.
16強コンプレックスを克服し, ヒディンク式の新しいサッカーで、韓国サッカーがより豊かになるだろう.

‘16強効果’を最も早く, そして、はっきりと見る者は、やはり韓国代表チームだ.
各地から殺到する優勝ボーナスなどで、代表チームの選手たちは一朝一夕に金の台に座ることになる.
自分の価値をぐんと跳ね上げて海外に進出することができる.
代表チームは、ワールドカップのステージに立つだけでもFIFAから43億ウォンの出場手当てを受け, 16強に上がれば、160万スイスフラン(13億ウォン)を追加で受け取る.
サッカー協会が受け取る金だが、相当部分が選手に対して褒賞金として行く予定だ.
もっとも大金持ちになるのはヒディンク監督だ.
ヒディンク監督は、昨年1月からワールドカップまでの18ケ月間、計145万ドル(約18億8千万ウォン)を受け取ると契約した.
16強に上がれば、ボーナスとして25万ドル(約3億1千万ウォン)をさらに受け取る.
現代自動車が16強に至ったら与えると約束したニューグレンジャーXG(ヒディンク), ニューEFソナタ(コーチと選手)も待っている.

ジョ・ギェワン記者 kyewan@hani.co.kr