2002年4月ハンギョレ21 406号

拒食症を監視したセルフカメラ
[ 人の話 ] 2002年04月24日 第406号

拒食症を監視したセルフカメラ

写真/(シネ21 オ・ゲオク記者)

来る4月26日に開幕する全州映画祭に<キム・ジナのビデオ日記>という風変わりなドキュメンタリー一編が上映される.
この作品は、拒食症を病む監督が、6年間カメラで自身の痛みと希望をパフォーマンス化した157分のセルフドキュメンタリーだ.

セルフドキュメンタリーだが、一般的なセルフカメラのように自身の話をして, 日常を紹介する場面はほとんどない.
日記のように私的であるこの作品は、日常の記録というよりは、自身の状態を劇的に表現するパフォーマンスだ.
便器に顔を突っ込んで吐きながら、自分の姿がよく映るようにカメラの高さを調節するとか, よくセッティングされたカメラの前で、まるで動物のような非日常的な身振りをする若い女性の生を独特のアングルで見せる.

キム・ジナ(29)監督は、ソウルで大学を終えて米国ロスアンゼルス カルアートでビデオアートを勉強した.
大学在学時から乳房拡大手術のグロテスクさを皮肉る短編<ヘロイン>, バービー人形のような外貌を強要する社会的先入観の中で女性の外貌コンプレックスを形状化した<私が描く絵>など、ビデオ作業をしてきたし, 自身が拒食症を病むと8mmホームビデオカメラでビデオ日記作業を本格的に始めた.

拒食症が始まったのは、大学卒業直前.
‘成人’として社会進出を控えていた 彼女は米国留学に行った後、拒食症に陥る.
飲んだ水一杯の量も記録する、ほとんど断食に近い病的ダイエットをした彼女に、カメラは唯一の話相手であり、監視人であった.
‘自分の姿が醜い’と思い、家の外に一歩も出ずに飢えたが、彼女が好転し始めたのは、ある日暴食をした直後、裸身で自身を鏡に映してみてから.
カメラはあたかも妊娠婦のように腹だけが膨らんだ彼女の姿を見せる.

“拒食症は、言葉そのままにご飯を食べないということではありません. ご飯を食べないと言うのは、母親を拒否することで, また一方、女性の欲望を抑圧する社会の中で他者の視線に麻痺することでしょう.”

ビデオ日記を撮って、拒食症を治癒し遂げた彼女は、最近自身の体験がよく溶け込んでいる, 女性の欲望をフェミニズム的に考察する長編劇映画 <その家の前>の準備とともに、祖母, 母, 自身に引き継がれる母系家族史を主題にしたビデオ日記も継続して撮っている.
 

チェ・スイム記者/ハンギョレ シネ21部 sooeem@hani.co.kr