2002年3月ハンギョレ21 399号

主婦が月給を受けとるとしたら…
[ 経済/経済人 ] 2002年03月06日 第399号

主婦が月給を受けとるとしたら…
家庭を仕事場とする家事労動の経済的価値…
法的地位・補償などのための指標として

キム主婦(仮名・35)さんが家で洗濯をする.
キムさんが自分の手で洗濯をすれば、主流経済学はこれを価値を生産する労働ではないと見る.主婦の家事労動が無報酬であるためだ.
市場で取引(商品へ交換)されるのとは違うという理由で、生産概念から抜け出るのだ.
生産概念から抜け出るということは, 言い替えれば、家事労動が意味のある社会的労働としては認められられないということを意味する.
しかし、キムさんが洗濯をクリーニング屋に任せれば、この取引は新しく生産されたサービスだととらえられて、国内総生産(GDP)に含まれる.洗濯を家政婦にさせる場合にも、一つの生産活動に入る.
もちろん、キムさんが家の外の, すなわち‘市場’で仕事をして、労賃を‘稼いで’くれば、彼女の労働は‘生産’としてとらえられる.

主婦の労働価値判別方法

写真/家庭もサービスを生産する企業だ.
主婦の皿洗いも、食事に関連した生産活動だ.
(ハンギョレ タク・ギヒョン記者)

経済学原論では、家計は消費の空間として登場する.
家計の基本的な経済活動は、消費だというのが伝統経済学の教えだ.
几帳面に家計簿をつけて、充実した暮しをつくりあげる家庭主婦は、効用極大化を追求する、合理的ではっきりした消費者であるだけで, 社会的価値を生産する労働者ではない.
これは、家事労動が‘非生産的労働’として見なされるところから始まる.
主婦の労働価値を判別する方法 発想を転換し、家でする食事の準備と洗濯などを‘生産’として拡大してみよう.
この時、家計は単純な消費空間を超えて‘生産の場所’となる.家庭もサービスを生産する‘もうひとつの企業’になるのだ.
ここで出てくるのが、主婦の‘家事労動価値’概念だ.
家事労動の価値は、ご飯を炊く行為で容易に説明できる.
ご飯を‘生産’する時、コメと主婦の労働力、そして御飯釜が投入されるのだが, 中間消費財であるコメと耐久材である御飯釜を使う行為は、単純消費ではなく、付加価値を創出するための‘投資’に変わる.

それなら、主婦が家事労動で生産する付加価値は、どれくらいになるだろうか? 家事労動の価値の大きさを測る尺度は、もちろん労働時間だ.労働で創出される価値は、労働時間で測定されるためだ.

1999年、統計庁の‘国民生活時間調査’によれば、一日平均家事労動時間は、夫がある専業主婦の場合、6.69時間(20代7.61時間, 30代7.47時間, 40代6.30時間)と現れた.
このような観点を基礎に、家事労動の経済的価値は、三つの方法で測定できる.
まず、洗濯専門家を雇用した時、支払う報酬を算出するやりかたで、洗濯, 炊事, 清掃など、各領域で類似の該当職種の賃金率で計算(専門家代替法)できる.

また、主婦がするあらゆる家事を、家庭管理員という、他人に任せる場合を考慮して家事労動の価値を測定する方法(主婦代替費用法)もあって, 主婦が家事労動をすることで、就業で得ることができる所得をどれだけ犠牲にしているか(機会費用法)として、価値を算出することができる.家事労動時間に、どんな賃金率を適用するかによって、その価値が各々現れるのはもちろんだ.

こういう方式で成均館大 キム・ジュンヨン教授が測定した主婦の総家事労働価値は、1999年には60兆〜78兆ウォン(GDPの約12.5〜16.3%)と現れた.
国民経済成長に、主婦の家事労動が寄与する役割が明確に表れている.
この研究でキム教授は、主婦1人当り年間家事労動の価値を、約1360万ウォン,1人当り月労働価値は113万ウォンと評価した.
年齢別に見れば、30代主婦の労働価値が月139万ウォンで最も高く, 20代123万ウォン, 40代103万ウォン, 50代94万ウォン, 60代以上は71万ウォンだと現れた.
興味深いことは、労働部が発表した2000年就業女性の月平均賃金(95万4千ウォン)が、20, 30, 40代 主婦の一ケ月家事労動価値より低いという点だ.

一方、梨花女子大 ムン・スクジェ・ユン・ソヨン 教授チームが評価した99年主婦の家事労動価値は、57兆〜102兆ウォン(GDPの11.9〜21.4%)に達する.
この研究で、夫がある専業主婦の一ケ月の家事労動価値は、84万〜153万ウォンだと現れた.キム・ジュンヨン教授の研究結果と似た水準の家事労動価値が算出されたわけだ.

ところが、女性労働者賃金率をそのまま適用すれば、労動市場での男女賃金格差が家事労動にそのまま反映される問題が生まれる.
それで、平均賃金率(女性賃金率+男性賃金率/2)で計算すれば、夫がある専業主婦の場合、一ケ月の平均家事労動価値は、119万〜132万ウォンだと現れた.

このように算出された家事労動の価値が持つ意味は何だろうか? もちろん、家事労動の価値は、主婦が家事労動代わりに就業をするかの可否を判断する定規になりうる.
しかし、より重要なことは、主婦の法的地位と補償などを決定する客観的指標になるという点だ.

家庭の主婦が交通事故に遭ったとする.
現在、損害賠償の場合、家事労動に対する告示価格は日雇い都市労働者賃金が適用されている.無職者に準じて専業主婦の労働能力喪失に対する賠償をしているわけで, 女性の家事労動価値は全く反映されずにいる.
実際に交通事故に遭った主婦が受ける損害賠償額は、都市労働者賃金を適用する時、月73万ウォン台だ.これはキム教授の研究で算出した30代 主婦の家事労動価値 月139万ウォンの53%にすぎない.
梨花女子大 ユン・ソヨン教授は、“主婦の家事労動価値を、単純に日雇い労働者賃金で算定しているところで見えるように, 主婦家事労動が家政婦賃金にも及ばないように切下げされているのが現実”と話した.

離婚する時、財産分割でも主婦の家事労動価値は正しく反映されることができずにいる.
民法は夫婦が婚姻中に形成した財産に対して、原則的に50%ずつ分割するように規定しているが、大多数の判例は財産の最大30%程度だけを専業主婦が財産形成に寄与した持分として認めている.
ところが、家事労動時間と職業労働時間を合わせた夫婦の労働分担率を見ると、20〜30代の場合、55(夫)対45(専業主婦), 40〜50代は 59(夫)対41(主婦)だ.
労働分担比率に比べて、主婦の財産形成寄与部分を法院がはるかに低く評価しているわけだ.
したがって、家事労動価値は、財産を分け合う時の基礎資料として活用できる.

保険・離婚など冷遇… 国民年金対策必要

写真/国民年金も家事労動を生産的なこととは見なさずにいる.
国民年金管理公団事務室.(ハンギョレ キム・ギョンホ記者)

国民年金もやはり主婦の家事労動を‘生産的な労働’とは見なさずにいる.
現在、国民年金は専業主婦を、夫が上げた年金の被扶養者として見るだけで、独自の生産者としては見ない.これに伴い、夫と一緒に住まなかったり、夫が死亡した場合、主婦は老後の保障を受けるのが難しい.
しかし、家事労動価値が国民年金に導入されれば、離婚時だけでなく婚姻期間中にも、財産形成に寄与した分の夫の年金を分割して受けとることができる.
ユン・ソヨン教授は“全国民年金時代が迫っているが、65歳以上の主婦は、生活保護措置がない”としながら“夫が払う年金保険料の一定部分を主婦が払うことと解釈して夫婦が年金を分けて受け取れるように変わるべき”と話した.

女性省は主婦の家事労動価値に関する研究をすぐに政策に反映することは難しいが、家事労動価値に対する社会的認識が高まれば、それだけ主婦の地位と権利も向上するはずだと見通した.
 
家事労動に正当な代価を!

国際連合(UN)は無報酬でなされる家庭生産活動を反映した‘家計生産計上’を開発し、国民計上(国民所得, 国内総生産などが込められた指標)に含むことを各国に推奨している.
家事労動の経済的価値を国民総生産活動に含めろということだ.
これに伴い、女性省は梨花女子大 ムン・スクジェ教授チームに‘家事労動衛星計上開発研究’を任せ, この結果が、去る3月1日に発表された.
研究結果、99年の我が国15歳以上男女が家事労動で生産した総付加価値は、143兆〜169兆ウォンだと現れた.
これは、我が国の国内総生産(GDP)の30〜35.4%に達する水準だ.
この研究は、食事準備のために投入する時間及び食事の種類, 食事人数を出した後、これをまた貨幣価値で算定する方式で, 洗濯・清掃・子育てなど、あらゆる家事労動領域にわたり、価値を算定して合わせたものである.
家庭に対する既存の研究はこじんまりと休む空間という点から見た、社会学的接近が主流をなしていた.
反面、今回の衛星計上研究は、家庭でなされることを経済的価値で数値化したものである.
家庭主婦が生産したサービスは、家計所得だけでなく、国内総生産として入り、経済成長の土台になるということが計上の出発だ.
いまだに家計の支出は‘消費’支出としてだけ捕えられるが、衛星計上で見る時、家庭の支出は労働力再生産を助けるための‘投資’だ.
例えば、御飯釜が主婦家事労動と結びついて家計の生産活動がなされるのだ.違う言葉で言えば、家計の消費は生存的消費であり、同時に‘生産的消費’となる.

このような方法で家庭の中へ入る投入要素をすべて把握すれば、家庭が生産する総付加価値が算出になるのだが, たとえ無報酬ではあっても、主婦の労働が国民経済に寄与する役割はこのように現れる.
 

ジョ・ゲワン記者 kyewan@hani.co.kr