2001年11月ハンギョレ21 384号

64% “1年以内に泣いたことがない”
[ カバーストーリー ] 2001年11月14日 第384号


64% “1年以内に泣いたことがない”
大企業男子社員300人アンケート調査… 70%以上が、“涙は耐えなければならない”

‘男子の涙は、醜いものではない. ただし、侘びしいばかりだ.’

2001年、韓国男性の涙観に関する根拠ある仮設だ. <ハンギョレ21>が、去る10月30日から11月8日まで、大企業男子社員300人(浦項製鉄, ハンビ銀行, 大韓投資信託証券 所属男子社員 各100名ずつ)を対象に実施したアンケート調査の結果によれば、過半数(53%)に達する男性が男子の涙が “哀れで、侘びしい”と考えていると現れた. 回答者の年齢は、20代39人, 30代176人, 40代84人, 50代1人などで、比較的若いほうだ.


26% “いつ泣いたか、思い出せない”

男子の涙が “醜い”と考える男性は非常に少なく(5%), 思いのほか“美しい”と感じる男性も29%と、比較的高い比率を占めた. これは、応答者中で泣きたい時に耐えるという比率が80%(239人)に達した結果とは明確な対応を見せ, 男子の涙に対する男性たちの二重的な考えを現わす.

‘泣きたい時に泣くことができない最も大きい理由は何か’という質問に、38.5%の応答者は、‘男子は涙を流してはならないと言う考えのため’, 31.8%の応答者は‘頻繁に泣かないから、泣くことに慣れていないから’と答えた. ‘周囲の表情のために’と答えた人は13.4%に過ぎず、涙を隠す理由において、女性と明確な差を見せた.

 頻繁に泣かないから慣れていないということは、それだけ涙を節制する訓練が体質化されていて、自ら意識できないという意味でもある.

したがって、70%以上の男性が‘涙は耐えなければならない’と、幼い時から教育を受けたのである.

その他の回答中で出てきた、‘弱くなりたくなくて’や‘負けず嫌い’,‘泣くのは悔しい’などの回答も、結局は過度な男性性に対する執着から出てきたものだと見ることができる.
また、‘泣いても効果がない’,‘泣いても解決するわけではない’,‘泣くよりは覚醒する’という回答もいくつか出てきた. これまた、自然な感性よりも過度に理性的にあらゆる問題を解決しようという男子たちの‘理性や論理に対する強迫症的な態度’を見せている.
自身の涙は節制して抑圧することを美徳としてみなす男性たちが‘男子の涙’に対して、醜いというよりはかわいそうだ, 美しいとさえ考えるのをどのように見ているだろうか.

結局、これは、男性もやはり意識の底には気楽に泣いてみたいという欲望が位置しているということを見せる.
映画館の観客が映画を見ながら主人公の涙に感情を移入させるように、多くの男性が涙を流す男性に無意識的に自己憐憫を投射しているのだ.
また、この結果は、涙に対する男性たちの認識変化を測る大きな課題でもある. 涙を流す男子に対する拒否感が消えているということだ.
<春は行く> <パイラン>等、男子が涙を流す姿, しかも、わあわあ声を上げて泣く姿が、最近の韓国映画で増えたことは、こういう認識の変化を反映する例だ.

しかし、大部分の男子にとって、涙は相変らず自身の涙ではない.
‘最も最近、貴方が泣いたのはいつか’という質問に、64%の男性が1年以内に泣いたことがないと回答した. この中に、‘5年以前’が16%, ‘思い出せない’が26%を占め、男性たちの意図された‘眼球乾燥症’が深刻な水準であることを知らせてくれる.


涙といえば、チェ・ミンシクが思い起こされる

‘最も最近、貴方が泣きたいという気がしたのはいつか’という質問にも、25%以上の応答者が“思い出せない”と答えた.

興味深いことは、泣きたいと感じた回答者と実際に泣いたと明らかにした回答者との間に10%程度の差が出る点だ.
24.3%の男性が、“1ケ月以内に泣きたいという気がした”と回答したのに比べ、“最近1ケ月中に泣いた”と応答した男性は14.7%だと現れたのである. 10%内外の間隙に属する男性たちがさる一ケ月間、涙を忘れるために仕事中毒に陥ったり、ネクタイを頭に巻いてカラオケで騒いで感情を治めたかもしれないということだ.

‘貴方はどんなきっかけで泣く場合が多いですか’という質問には、半分に達する男性が ‘テレビや映画を観ていて、悲しい場面が出てくる時'と答えた. ‘家の事や職場でのストレスが積もって’と答えた人も34.6%に達した.
‘男子は生まれて三度泣く’という古語が見る陰も無いこの結果は, 結局、男子や女子は泣く理由ではたいした差が無いことを見せてくれる.
その他には、‘両親を想う時’という回答も少なからず出てきたし,‘親しい人に裏切られた時’,‘感動的な場面を見た時’,‘祈る時’,‘他人が泣くときにもらい泣き’などの多様な回答が出てきた.

写真/ 灰になったパイランの遺骨を抱えて入り江で鳴咽するチェ・ミンシクの演技は、なかなか涙を流さない男性観客も耐えるのが難しかった.

‘涙’といえば、まず思い起こす男性俳優は誰だろうか.
ハン・ソッキュ, チェ・ミンス, チェ・ミンシク, ユ・ジテ, チョン・ウソン 等、多様な男性俳優たちの中で、最も高い点数を受けた人は、思いのほかチェ・ミンシクだ.
チェ・ミンシク(65人)の外貌自体が多少悲しく(?)見える側面もあるが, 最近上映された映画<パイラン>で見せてくれた、印象的な涙の場面と無関係には見えない.

灰になったパイランの遺骨を抱えて入り江で鳴咽するチェ氏の演技は、なかなか涙を流さない男性観客も耐えるのが難しかった.
チェ氏の後に続く俳優は、ハン・ソッキュ(59人). ハン氏は <チョロクムルコギ>で、ボスの命令によって殺人を行った後、公衆電話のブースで兄に電話する場面でずば抜けた涙の演技をしたことがある.
ユ・ジテ(39人)がその次に従ったのも、最近封切りした<春は行く>の影響が大きいようだ. チェ・ミンスがユ・ジテと同率を成し遂げたのは異色的だ.
前の三人が深い印象を残した涙演技は、皆、スタイルというよりはもう少し人間的に泣いた場面であるのに比べ, チェ・ミンスは泣かないマッチョ的カリスマとして人気を享受したためだ. 男性的カリスマが特に魅力を持つことができない最近の男性の涙に対する古典的イメージ, 悲壮と宿縁の涙に対する相当数の男性たちの郷愁が反映された数値であると見える.


キム・ウンヒョン記者 dmsgud@hani.co.kr