2001年9月ハンギョレ21
374号
誰も6mmを見くびれない ‘TV 総合視聴率4位’に躍進した‘VJ特攻隊’ |
[ 文化 ] 2001年08月29日 第374号 誰も6mmを見くびれない ‘TV 総合視聴率4位’に躍進した‘VJ特攻隊’…庶民的素材を探して庶民のなかへ ![]() さる8月10日附テレビ視聴率順位表. ドラマでも, 娯楽番組でもない番組のひとつが4位に上がった. 常時10位圏で頑張る強者であったが, この日は視聴率と順位でどちらも最高記録を出して躍進したのである. 視聴率(TNSメディアコリア調査)は25%, 占有率は何と43.7%であった. ドキュメンタリーとしては驚くべき数値であった. ドラマはもちろん、<日曜日 日曜日の夜に>や <一夜のTV演芸>のような各放送社の看板娯楽番組を押さえた、このドキュメンタリーは<VJ特攻隊>であった. ドキュメンタリーに関する通念を新たにする 最近、<VJ特攻隊>は、まさに絶頂の人気を享受している. 全体視聴率順位でも、数ケ月目には10位圏を維持していて, ドキュメンタリー番組視聴率順位では、去る4月以後、19週連続1位を記録中だ. 特に目を引く点は、この番組視聴者が老若男女を区別せず均等だという点だ. “ドキュメンタリーは、30代以上の男性用番組”という通念を吹き飛ばし、“若い女性も楽しむ、溌刺としたドキュメンタリー”になったのである. このように人気があがった<VJ特攻隊>は、現在、韓国放送の孝行息子の様相だ. 広告に28社が追いすがって、広告販売率100%を 記録している. 広告料が最も高い‘SA’(special A)の時間帯だという点を勘案すれば、この番組ひとつが、年間100億ウォン以上の広告売上げを上げるという計算が出てくる. さる6月には、異例的にパク・グォンサン韓国放送社長が直接、外注製作局に立ち寄り、ビデオ ジャーナリスト(VJ)たちに金一封を渡すこともした. 毎週4話の短い話を送りだす、この異色な番組が、このように人気を享受する理由は、いったい何だろうか. <VJ特攻隊>が成功できた原因は、なによりも、既存ドキュメンタリーとは異なる構成と方式によって評価を受けている. この番組は、色々な点で他のドキュメンタリーとは差別化される. まず、物静かでやや低めなナレーションで進行されることが不文律のように千編一律的だったドキュメンタリーを、果敢にも映像とコミカルでリズミカルな進行と構成で勝負した点だ. だが、なによりも最も大きい違いは、既存の放送用ENGカメラではなく、6mmデジタルカメラで撮影するという点だ. 6mmは、ENGカメラのようにきれいな画面ではないが, はるかに小さなカメラで取材源に接近するため、撮影対象がENGカメラで撮る時のような拒否感を感じずに、自然に対することが長所だ. まさに、この点を活用し、<VJ特攻隊>は庶民的な素材を探して、庶民の生活に食い込んで、率直な画面を切り取る. また、放送本社の巨大組織ではなく、活動性が強い個々人たちが製作するという点のおかげで、これまで放送番組があまり扱わなかったりないがしろにしてきた事柄を取り上げられることも、欠かせない成功要因だ. 実際、<VJ特攻隊>がこれまで放映したアイテムを見ると、既存ドキュメンタリーや番組では見ることができなかった、暮しの中の話が多い. 夜にはあらゆる事が行われる派出所風景, 真夏夜の漢江の水辺の姿, 二等兵の初めての休暇, 泣き笑いの慶弔事費の話, 地下鉄行商と取り締まり班の鬼ごっこ等、人の臭いが漂う生活現場が放送に乗った. ‘彼らと共にした’ 119救助隊員の死 ![]() ところで、この多様な内容は、果して誰が, どうさせたことなのだろうか. <VJ特攻隊>は、徹底して外注で作られる. ハブネットと韓国シネテル, TVユニオンの3社が順番に一週ずつ作る. 各社には4〜6名ずつのVJたちと作家が所属している. 現在、この番組を作るVJは計14人. この中の2人が女性だ. まれに、作家をしていた途中でVJに転向した場合もあるが、VJたちは大部分が外注プロダクションのPDから始めた者たちだ. 20代後半から30代序盤が大部分で, 若さと熱情が最大の武器だ. 一度撮影を始めれば、普通は4〜5日, 長ければ半月は家に帰れずに生活することもあるので、体力は必須だ. 彼らの中でプロダクション正式社員の場合は月給で受けとり, フリーランサーの者たちは完成されたアイテム1編当たり150万〜220万ウォンを受けとる. 収入は労働強度に比べてそれほど多くない. 実は、彼らが最も頭を痛めているのは、時期適切でおもしろいアイテムの選定作業だ. 渉外や撮影は番組の認知度が高く、思ったよりは難しくないらしい. 放送が終わると、VJと作家は新聞, 雑誌, インターネットなどの基本資料を集める一方、周辺の人々, 各自の取材源を相手にアイデア収集にたつ. <ハンギョレ21>の人気コーナー‘記者が飛び込んだ世の中’に登場した‘代理運転’が契機になり、‘代理運転の世界’を作ったのがそのような事例だ. 作家 ノ・スングム(29)氏は、“一日稼いで一日食べて生きる感じ”とし, “アイデアがよく出てこない時には、1週間終始会議だけをすることも茶飯事”とアイテムを探す窮状をさらけ出した. 最近、<VJ特攻隊> 製作陣は、放映初期に主に新聞や雑誌で取材先を探していたことから完全に抜け出し、自力発掘に主力を注いている. 周囲から偶然に聞いた一言や、普段生活しながら持った好奇心で奪ったアイデアの方がはるかに評判が良いためだ. ‘公益勤務要員24時’や‘海印寺 僧侶 キムチを漬ける日’などが、そのようにひねり出された作品だ. 一度撮影を始めれば、取材対象と何日も共にいることもあるために、人間的共感が生じて親しくなる点は、VJたちにつきものの面白みであり追憶だという. だが、胸のふさがるような悲しい追憶もあった. 今年初め、弘済洞 火災鎮圧当時、命を失った119救助隊員たちが、まさしく昨年9月に放送された‘凄いことをやり遂げる男たち!-119救助隊’の主人公だった. 半月間も共に生活して撮影した担当VJは、事故の消息を聞いて、しばらく魂が抜けたようだったという. それで、惨事の次週のさる3月初めには、彼らの生前の姿を現した資料を通じて、また‘119 花火のような男’を作って放映し, 遺家族に故人を撮ったテープを贈呈することもした. “問題はヒューマニズムだ” 昨年5月5日の初放送から10%の視聴率で順調に出発して以来、<VJ特攻隊>はとりあえず今までは際立って見える成功を収め, その成功をよく維持している. だが、課題がないことはない. 映像ドキュメンタリーという性格が強力な点だとしても、あまりにも映像アイテムにばかり偏重する場合、番組全体の力が落ちる恐れがある. 料理や動物のような素材が最もやりやすいアイテムであるとしても、今のように毎回登場させることが長期的には否定的であるという点を製作陣は意識している. また、<VJ特攻隊>があまり扇情性に偏っていて、珍しい風景や騒動の現場を表面をなめる式で紹介するのに終わっているという指摘も受けている. その上、はじめには強力な点だった形式の独自性も、今は似たような番組が出てきながら、以前のように新鮮な武器ではあり得なくなっている. こういう点をよく知っている製作陣は、結局、人臭い, すなわちヒューマニズムを強化することに活路を探している. 最近放送した、慶尚北道 漆谷のオートバイ免許取得熱風や、山奥の子供達が初めて海を見に行く日などの作品が、そのような努力の一環だ. もちろん、1年以上VJたちの努力と熱情で積まれた番組の人気はまだ上々だ. それでも、一般人にはなじみがうすいビデオジャーナリストという言葉を日常化したという自負が大きいために, VJたちがこの番組に持つ愛着は大変なものだ. 多少の難しさがあるとしても、こういう熱情が持続するかぎり、<VJ特攻隊>の人気は容易に冷めないように見える. ク・ボンジュン記者 bonbon@hani.co.kr
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