2001年8月ハンギョレ21 371号

携帯電話, 君 どこまで行くの?
[ 特集 ] 2001年08月08日 第371号

完壁な動映像サービスに向かった IMT-2000 …決済機能が強化されれば、カードも必要なし

問題. 次のうち、移動電話端末だけで出来ないのはどれ?
@自販機で飲物を買う Aクレジットカードなしで物を買う B映画チケットを予約する C乗車券なしで地下鉄に乗る.
答は、なし.

無線インターネットサービスに加入し、移動電話の多様な機能を自由自在に活用している青少年層には、日常のこととして常識なのだろうが, 携帯電話端末機が1台あればできる事が意外に多いのには驚く.
移動中、路頭から携帯電話を通じて、読みたい本を注文、レコード, CDロム, 衣類, 化粧品はもちろん、自動車用品, 家電製品, コンピュータまで買える. 演劇, 映画などの各種チケットを予約及び前売りできるだけでなく、入出金, 自動振替等の銀行業務にかかわることも、既に行われている実際状況だ. 携帯電話の液晶画面を通じて映画を見て, TVニュースを見ることも、近い将来には当たり前になる展望だ.
 

ビデオまでは見れるようになった

写真/ 無線インターネット加入者が携帯電話を通じてクレジットカード決済をしている.(KTF 提供)

これはきわめて一部の顧客に限定された話なのだろうか? 国内移動電話加入者数は、全人口の60%を上回る2800万名に達し、この中の半分ほどが無線インターネットサービスに加入している.
無線インターネット加入者だからといって、移動電話についている各種機能のいろいろを全て活用することは難しいが, 携帯電話が単純に声だけをやりとりする機械でなくなったことは明らかだ.

SKテレコム戦略開発室の ジョ・シン室長は、“カラー端末機さえ購入すれば、現在はネットワーク技術によって3世代移動通信で享受することができるサービスはほとんどみな可能”と話した. ジョ室長は、“動映像サービスがまだきわめて制限的な水準に留まっているのは、制度的な後押しがなかったり, 該当サービスに対する需要が少なくて、端末機技術がついてきていないということです”と説明した.

移動電話技術は大きく、1世代アナログ, 2世代デジタル, 3世代IMT-2000を経て、4世代へと区分できる. 韓国は、現在2世代と3世代の過渡期で, 3世代の初期形態サービスを披露している. 1世代と2世代を区分する定規がデータ(文字)サービスの可能可否ならば, 2世代と3世代の差は動映像サービスだ. 韓国は移動電話加入者数が僅か4年で5倍程に増えたように, 技術水準の発達速度もまた世界最高水準だ.

政府と移動通信事業者は、いままで2003年頃からIMT-2000の本格的なサービスが始まることと展望してきた. ところが、意外にもIMT-2000へ行く過程で技術発展が急激になされながら、2世代周波数を利用しても動映像サービスが可能になった. これが、まさに最近通信事業者たちが誇らしく広告を出すCDMA2000-1xだ.
SKテレコムは、昨年10月、この技術を世界最初に商用化したのに続き、今年6月からはこのネットワークを通じてVOD(注文型ビデオ)等、マルチメディアサービスを実施している. 携帯電話を通したVODサービスを商用化したのはSKが世界初で, 今でも唯一だ.

国内で当初CDMA2000-1xは、2世代と3世代の中間であるから2.5世代と呼んだのだが, 最近、国際電気通信連合(ITU)は、これをIMT-2000だと担当責任解釈を下した. 周波数帯域に関係なく動画像サービスがなされればIMT-2000ではないのかという論理もあるが, この技術を開発した米国QUALCOMNからロビーを受けた結果だという解釈もある.
とにかく、韓国国民は移動電話動映像サービス技術を世界で最も早く, そして、最も広く恩恵を享受しているわけだ.


コンピュータと携帯電話の境界が消える

写真/ 無線インターネットサービスは 既に'日常化'された. 4世代移動電話が商用化されれば、有線インターネットと似た水準のインターネットを楽しむことができる.(KTF 提供)

日本のNTTドコモが‘i-モード’という無線インターネット端末機を普及して2年も経たないうちに加入者数2千万人という記録的な成長の勢いを見せたが, 実際のサービス内容はゲーム提供水準に留まっている. 自らいろいろ取りそろえた非同期式IMT-2000(WCDMA)サービスも、当初はさる5月から開始することにしていたが、来る10月に延期した. 完壁な3世代通信機術に達する道は、相変らず遠く険しいことがわかる.

現在、国内で具現されているCDMA2000-1xは、データ電送速度が144Kbps すなわち, 1秒に144キロバイトのデータを送ることができる. これは、停止状態で他の利用者がいない時、すなわち, 理想的な状況で出すことができる瞬間最大速度だ. 平均速度は70Kbpsになるはずだと見ている. こういう速度では、簡単なアニメーションをダウンロードするのに、30秒〜1分程かかる. 映画やミュージックビデオは言うまでもない. 参考までに、有線超高速インターネットは1メガ(Mbps)から最高8メガまで出ている.

このような限界を克服するために、QUALCOMNが作りだした技術がCDMA2000-1x EV-DO(Data Only)だ. ここで、EVはエボルーションと言う. これは、周波数を音声とデータ用に分けて、データ領域だけの電送速度を最高2.4メガまで上げることだ.
SKテレコムとKTフリーテルは、来年5月(ワールドカップ以前)に、このサービスを商用化するという抱負を明らかにしている. これなら、ワールドカップ競技場で携帯電話を利用して、家にいる妻に試合を生中継できる. QUALCOMNは、2003年頃にはデータと音声領域が統合されるCDMA2000-1x EV-DV(Data&Voice)に進化させる計画だ. このようなCDMA2000系列の技術が、まさに同期式IMT-2000だ.

非同期式IMT-2000の瞬間最大速度は2メガなのであるが, 韓国では早くとも来年末, 遅ければ2003年初めにでも商用化がなされるものと見られる.
第4世代は3世代よりも高い周波数帯を使用するようになる. 4世代の核心は、交換局と基地局, 基地局と基地局間のあらゆるネットワークをIP(インターネットプロトコル)化するということだ. このようになれば、有線と無線超高速インターネットが完全に統合されることができると見られる. 携帯電話一つで、家のコンピュータに届いたe-mailを開いてみたり, 有線インターネットと似た水準のインターネットを楽しむようになる. 4世代商用化時期は、当初の2007〜10年からますます前倒しになることが予測されている. 正確な時期は、IMT-2000事業者たちの利害関係, 3世代の投資分に対してどれだけ回収できるかにかかっている.

国内で, 既に実施された、次世代移動通信技術と多様な付加サービスの定着可否は市場性による.
既存の携帯電話よりはるかに高い端末機を買って初めて利用可能なサービスが多く, カラー液晶画面の場合、価格が40万〜50万ウォンに達する程で、まだ負担の高い水準だ.
 サービス地域も制限的な場合が多い. 例えば、携帯電話で自販機を利用しようとするなら、移動通信業者と自販機運営業者間に提携関係が結ばれていなければならないのだが、まだ範囲が狭い実情だ. クレジットカードなしで携帯電話で自動車給油価格を決済できるというのも、あらかじめ発給された別途カードを携帯電話に挿入する、面倒な手続きを踏まなければならない.


世界最高の端末機製造技術

写真/ 龍山電子商店街に立ち並んだ移動電話端末機販売ブース. 韓国は、既に世界最高の端末機製造技術を持っている.(カン・チャングァン記者)

けれども、携帯電話を通じた決済サービスの範囲がますます広くなるはずだという期待は高い. これは、インターネットでショッピングや映画観覧等、有料利用サイトが急速に広がっていることも、決済手段が不足していたり、決済方法が不便な現実から、携帯電話が有用に活用できるようになるという観測に土台をおいている.
まもなく、電子貨幣の機能する集積回路(IC)チップを搭載した携帯電話が登場すれば、別途のカードを挿入しなければならない手順も省略される. このようになった場合、携帯電話は各種会員カード, 電子貨幣, 交通カード, マイレージ積み立てカード, 割引カード などの機能を洗いざらい搭載することになる.

写真/ 携帯電話を首にかけて街頭で通話する姿は、既に見慣れた風景だ.(パク・スンファ記者)

移動通信サービス技術の発達と合わせて、新しい端末機もあふれ出ている. 三星電子は、さる5月からCDMA2000-1x カラー携帯電話機を開発・販売している. これに先んじ、LG電子は4月末、‘サイアン カラーホルダー’を開発, 5月からLGテレコムに供給することを始め、本格的な営業にたっている. この他にも、現代キュリテル, ハンファ情報通信, セウォンtelecom等、国内の10余移動通信端末機製造会社は、世界のどこでも品質と機能面で遅れをとらない端末機製造技術を誇っている. 韓国は昨年、移動電話端末機及びその部品産業が20兆ウォンを生産し, 年間53億ドルの黒字を出して、新しい輸出優秀産業として登板した.

移動通信市場の量的膨脹, 質的成長の勢いをおいて、人ごとに評価が違う. 通信料金をめぐる民願, 変則営業にともなう未成年者加入等、暗い部分も少なくないためだ. それでも、移動通信市場は、日々拡張勢いを増し、それに沿ってますます私たちの生活パターンを大きく変えるということでは、特別な意見の差がないようだ.


パク・スンビン記者 sbpark@hani.co.kr
キム・ヨンベ記者 kimyb@hani.co.kr
イ・ジェソン記者/<ハンギョレ>経済部 firib@hani.co.kr