2001年2月ハンギョレ21 345号

[文化] 海を渡ってきた観客よ、ウェルカム!

[ 文化 ] 2001年02月07日 第345号

‘演劇観光’外国観客誘致に忙しいドンスン洞… <地下鉄1号線> <義兄弟> <ナンタ> 等、マーケティング多角化 

写真/ミュージカル<義兄弟>の一場面. ハクジョン側は '日本語字幕も入れてほしい’という日本人観光客の意見をいれて、2月中旬から日本語字幕を施行する予定だ.

最近、記者 クリストファー・トシアは、ミュージカル<地下鉄1号線>を見て感嘆を禁じ得なかった. 韓国の20代達が韓国現代史を扱った難しい作品, それも2時間40分ほどの長い演劇に没頭している姿がまず驚きだったし, その時間で自分が知っている韓国現代史をもう一度復習できたということがそうである. 英文字幕があり、外国人が韓国を理解するのに適合した作品だと判断したトシアは, 企画を担当したハクジョン事務室を訪問して称賛を惜しまなかった. 


演劇を見て韓国現代史を理解 


このように、少しづつ増える外国人観客をねらって, 東崇洞は最近海を渡ってきた客の応対準備にいそがしい. 韓国観光の年を迎え、外国観光客に韓国演劇を紹介する方案を探そうと苦心しているのだ. 劇団 ナンタとハクジョン. この二劇団は、2月に入って、特に日本人をターゲットとするマーケティングを準備中だ. 

ハクジョンは 長期(将棋)公演に 入っていった ミュージカル <義兄弟>の 舞台に 今まで 入れてきた 英語字幕と 併行し 2月 中旬から 日本語字幕を 提供するようにした. ハクジョンは、既に18万観客が観覧したヒット作<地下鉄1号線>の時から英語字幕を入れて、世界からの観客に配慮したことがある. 特に近い国、日本の若い観光客がドアをくぐってたくさん集まったという後日の噂だ. 一名が観て行って、良ければグループを組んでまた観にくるという感じだったということだ. 

<地下鉄1号線>が、外国人の人気を静かに集めることができた理由を、キム・ミンギ代表はこのように分析する. “<地下鉄1号線>は、現在進行形に広がるソウルを見せる作品です. この時、初めて外国人観客が攻略対象にできるということを感知しましたよ. また、<義兄弟>は、韓国現代史を圧縮した作品です. ですから、短い時間に韓国を知ってもらうには、丁度良い商品でしょう.” 

<義兄弟>の背景は朝鮮戦争時から維新末期まで. 同日同時に生まれた双子のムナムとヒョンミンは、しかし、異なる生活を送るようになる. ヒョンミンは裕福な実家に養子に行って育ち, ムナムは貧しい母親と乱暴な兄と共に釜山影島橋の下で暮らす. 二人は偶然に出会い、義兄弟になり, ヨンヒという一人の女性を同時に愛して、仲良く過ごすが, “互いに実の兄弟だという事実を知った瞬間、同時に死ぬだろう”という不吉な予言が下される. 時間が過ぎるに従い、ヒョンミンは慶畿高等学校優等生に, 大学生に, 留学生に, 最年少国会議員にと、出世街道を走る一方, ムナムは工場に入ったが、労働運動に加担して監獄に閉じ込められ, その後は、精神病院から与えられる薬にだけ期待を抱いて暮らす. 劣等感に捕われたムナムは、自分と結婚したヨンヒがヒョンミンと姦通したと思い込んで、TV放送局で生放送を撮っているヒョンミンに銃を向ける(02-763-8233). 

やはり、長期公演中のナンタは、旅行社と連係して演劇観覧を旅行プログラムとして組み合わせることが巧みだというのが業界の衆評. ナンタの人気は日本で高い. 出演者中、セクシーな男性料理士として出演する ユ・スンヨン氏には、“理想のタイプだ”という日本女性たちのファンレターが降り注いだという後日の噂だ. これにアイデアを得たナンタ側は、いっそのこと、‘ナンタ観覧のためのツアー’を考案し、日本のJTB, PANA旅行社と 提携して、2月を‘日本人観光客の月’に決めた. ‘ナンタ観覧のためのツアー’は、2月第2週から毎週一度ずつある予定だ. 韓国語で電話予約をする日本人には観覧料を20%割り引く. 2月14日8時には、ジョンドン ナンタ専用劇場で、三十歳以下の韓国・日本の男女が贈り物を交換して、ペンパルを結ぶイベントも用意する. また、2月5日には、日本 <日本TV>で ‘日曜スペシャル-突撃 韓国珍奇体験 ナンタ’を取材録画する予定だ. 元来、<ナンタ>の公演中には料理士たちが、男女観客2名を舞台に引っ張り出して参加させるシーンがあるのだが, この日の公演では、日本のタレント神田うのと中尾 彬が、略式の韓国婚礼服を着て、その役割をすることになる. 


旅行プログラムと連係したマーケティング 

写真/エジンバラ フェスティバルをはじめ、海外公演でも好評を受けた <ナンタ>. 劇団ナンタは、2月を '日本人の月'に決めて、各種イベントを実施する.

<ナンタ>が外国人に人気を博す理由は色々あるが, 韓国的ながらも言語が必要とされない舞台だという点が、最も大きい長所だ. 2月1日、この公演を見てきたアメリカ人観光客 シェリー・ベネット(59)は、“内容の中で理解できない部分が全くなかった. 韓国の観客が感じるように私も感じたと思う”と話した. 夕方六時に始まる結婚式に合せて料理士たちが料理を用意するというあらすじだけを見ては、韓国的情緒と全く関連がないようだが, <ナンタ>はやはり十分に韓国的だ. <ナンタ>が韓国的な理由は、庁舎提灯や天下大将軍のような粗雑な小品使用のためというよりは、どうしても出てくる私たちの音調, 私たちの律動であるとみるべきだ. “ドン ドン ドンドドドン ドドン ドドン ドドッ ドドン, という演奏リズムは、太鼓ではなく、出刃庖丁でたたくことが違うだけで、サムルノリの音調そのままだ(02-739-8288). 

ドンスンホールで公演中の <トッケビストーム>も、やはり非言語劇として外国人に人気だ. 公演ごとに外国人が着実に訪れていることが関係者の間で囁かれている. この公演を主宰する‘ミルステージ’は、元来ジョンドン劇場で<風舞楽>という名前で風物(註:プンムル.音楽と舞)公演をしていた. 現在にもつながっている、このジョンドン劇場常設舞台は、元来外国人を狙って作ったのである. 徳寿宮-ジョンドン劇場-キムチ博物館でにつながる観光コース中の一部であるためだ. この時、旅行社の人々やバイヤーの接待をする人々が、外国人に <風舞楽>を紹介し, これが<トッケビストーム>に外国人観光客が訪れる土台になった. 外国人誘致は、海外公演の機会にもつながる. <トッケビストーム>は、5月14日から26日まで、米国 シアトル, タコマ, カナダ カルガリ 等で開かれる‘インターナショナル チルドレン フェスティバル’に招請を受けた. また、7月25日から30日まで‘香港 インターナショナル アートカーニバル’で招請公演を持つ. ミルステージのヨ・インドン 団長は,“益山で‘文化芸術マーケット’が開かれていた時、30分のサンプル公演を見せて、招請を受けた. サンプル公演で海外招請を受けたことは国内最初ではないだろうか”と話す. 

この作品は、事実、演劇というよりはパフォーマンスだ. 出演者の身振りも、演技をする前半部より、打楽器を叩く中間部分ではじめて躍動しはじめる. <トッケビストーム>は、会社で遅くまで仕事をしていた上司と部下が幻想中に陥りながる話. 鬱陶しい日常を破るために、部下はマッチ箱, コーヒーカップ, ゴミ箱を叩く. すると、トッケビたち(註:いたずら好きな妖精)の世界が開いて、部下職員は自分も知らない自分の中のリズムに陥る. いつのまにか、トッケビ世界でトッケビになった上司に会うことになって, 二人は激烈な打楽器演奏を通じて戦って, 笑って, 和解する. <ナンタ>と違う点を選ぶとするなら、照明に格別に神経を使って、光と音を共に体験するようにしたという点だ. ドラムスティックの中に照明を入れて、手を動かす軌跡をくっきりと見せるなどの試みがそれだ. 2月25日までで公演を終えて、具体的な延長公演計画を確定する予定だ. (02-2068-0657). 


手にあまる費用と翻訳の問題も 

写真/非言語劇 <トッケビストーム>の公演場面. ジョンドン劇場で風物公演した時から始まった外国人の足が着実につながっているという. 5月には、北米地域, 7月には '香港 インターナショナル アートカーニバル'で招請公演を持つ.

外国人に売れる作品を作るために先決しなければならない課題はなにがかという質問に、<義兄弟>の企画を引き受けたイ・ヤンヒ氏は、“問題は作品性”と話す. 作品性があるならば、言語の壁が大きいことなど、意味がないということだ. イ・ヤンヒ氏は、“英語字幕を入れて外国観光客を呼んだわけではなく, 外国観光客への便宜的なサービス次元で作った”と付け加える. 実際に、<地下鉄1号線>は、今年はドイツ, 中国, 日本に招請公演を受けて、海外に行く予定なのだが, そのどれも英語圏国家ではない. これらが英語字幕のおかげで劇をよりよく理解して招請をしたと見るのは難しい. 

韓国語の微妙なニュアンスを英語に移すことも、解くべき課題だ. 英文字幕を注意深く見るならば、部分的な失敗もまだ目につく. 例えば、<義兄弟>の主人公ムナムが、学校で勉強する場面で、先生が“米国の首都はどこか?”と質問する. この質問にムナムの級友が“パリだ!”と答えるのだが, 字幕には“Flies!”と翻訳されて出てきた. ワシントンだと言うべきところを自身満々にパリだと言って観客を笑わせる場面であるから、当然“Paris!”と翻訳してこそ正しかったことだ. 短期公演が多い私たちの演劇風土で、一台で1500万ウォンもする英語字幕専用プロジェクターや, 一編あたり二-三百万ウォンもする翻訳料を支払うのが簡単でないという点も、英文字幕製作の足手まといになる要素だ. 

いろいろな重い負担があるが、少なくとも、来る演劇界は、ドアまで引き摺られて来た外国のお客さんを迎えることから抜け出し, 積極的なマーケティング段階に移ったわけだ. 演劇界がこのように動く間、国の支援は? “外国語公演情報パンフレットを備え置く所でも十分に用意してくれれば良い.” 国家でなにをしたら良いのか、という質問に対する、ある演劇人の返事だ. 

イ・ミナ記者 mina@hani.co.kr